或る少女マリアの消失

或る少女マリアの消失

或る少女、少女失いゆくまでの、記録、もしくは、記憶

Amebaでブログを始めよう!
   
 鳥さん

 
 
 荒野のハイウェイで、
 
 ゆめのなかだけて、ゆける、きっさ店のひとつの、マスターが、
 
 首まで、お砂にうまっていた。
 
 
 
 かれは、『自業自得であるので、たすけないでくれたらいい』
 
 と、マリアにいいました。
 

 
 マリアは、ううむと、思案して、その場にしゃがみこみます。

 
 
 近くでは、ちいさな鳥さんが、歩いて、何かを啄ばみながら、
 
 『クビダケー、クビダケー』
 
 と、鳴いています。

 
 
 マスターは、続けて、
 
 『幽体離脱に害はない、なんて、ほんとうに、だまされた
 
  あいつらはじめから、俺を、啄ばむのが目的だったのさ』
 


 まりあは、訪ねます。
 
 『あいつらって、あの小鳥さん・・・?』

 
 
 『いいや、あれは、コバンザメみたいにお零れを狙ってる
 
  まじものは、おどろおどろしいやつだよ・・・』
 

 『え・・、マリア、逃げたほうがいいのかなあ?』
 

 『まだ大丈夫だが、逃げておくがいいだろうな、生きて、
 
  また会えたら、ブレンドは、生涯タダでいい』
 

 『わ!それは、生き延びるし、生き延びてください!』
 

 『はっは・・・最期に、安らいだよ、お嬢さん・・』
 

 『・・う、うん・・じゃあ、ごめん、マリア逃げるよ?』
 

 『ああ、そうしておく・・・・・・』
 

 
 マスターが、言い終わる前に、巨大な影が差し込んで、
 
 マリアの身体は、条件反射的に、後ろに飛び退いた。
 
 それと同時に、身体を反転させて、走り出していた。
 

 
 かすかに、横目で見ると、
 
 ドラゴンのような、こちらの世界にはない者と、目が
 
 しっかりと合ってしまった。
 

 けれど、マリアには、余り獲物として興味がないように
 
 殺気なく、ドラゴンの目からは感じられた。
 
 

 だけれど、異形の物ではあるので、推察は当たらない。
 
 とにかく、まりあは振り返らずに、走りに走った。
 
 



 かなり距離を走って、もう大丈夫かと思うところに、
 
 ハイウェイ沿いの、diner を見つけ、
 
 扉を開け、レジ横のハンドベルを鳴らした。


 
 
 ちいさな鳥さんが、
 
 『メダマと、ドーナツ、メダマと、ドーナツ、アルよ』
 
 と、カウンターを歩き、何かを啄ばみながら、鳴いた。
 
 

 十