女医さんに対してあまり良い印象を持っていない具体的実例を挙げたいと思います。

①大学で指導医だったとき
 自分のチームのミーティングが終わった後、一人の研修医がカルテを見ていました。自分のチームを横目でチラチラ見ていたのを知っていた自分が何故帰らないか?と、聞くと
「患者さんが熱だしたんです」といいます。「じゃ、抗生剤使えば?検査だしてから」というと、その研修医いわく「検査はもう出したんです。けど、どの抗生剤使えばいいのか、わからなくて悩んでるんです」とのこと。
そういうことならと、「じゃ、オーベン(指導医)に聞けば?」ってアドバイスをしてあげました。
するとその研修医いわく「そのオーベンは帰りました。なんでもお子さんが熱を出されたとかで・・・」
「でも、電話して聞けば済むでしょ?」と、聞けば、その研修医は「ええ、聞きました。そしたら、そばにいる適当な医者に聞いてくれっていわれました」
自分「・・・」(適当な医者って自分かよっ)
しょうがないから、検査データ見ながら、この抗生剤と、これを使ってと一緒に指示出して・・・。
翌日、その研修医の指導医である女医が来て、研修医に「なんでこの抗生剤使ったの?理由を言ってっ!!」とお叱り。
おい、おい。その前に、あんたがもうちょっと、面倒見た挙げたら・・・。

②一般病院で働いているとき
その女医は遅刻常習犯かつ無断欠勤常習犯とのことでした。
その話しを事前に聞いていた自分は、その日、その女医が11時になっても出勤していないことを病棟の看護師から聞かされてもあまり驚きませんでした。けれども、彼女が受け持ちの患者さんが退院するのに、指示がもらえない、代わりに指示がもらえないか?とのことで、彼女の代行をしていました。
で、その日彼女が登場したのは午後1時。
「どうしたんです?」と、聞くと、彼女は「途中で貧血の発作に見舞われ、停車駅ごと降りてはベンチで休み、良くなるとまた乗車してということを繰り返してやっと辿り着きました」と。
おい、お前、携帯もってるだろ。電話ぐらい入れられないのかよ?と、思いつつも「大変でしたね」と、いうと「女性にはいろいろあるんです」とのお返事。
翌日・・・。
定時に出勤した彼女に、「お身体いいんですか?今日は休まれると思ったんですが?」と、聞くと「いやだな、先生。私はそんなに病弱じゃありませんよ。貧血はもうすっかりよくなりました」とのこと。
おい、自分が医者だってわかって話ししてるのか?貧血が1日で良くなるって、お前輸血したのか?冗談も相手考えてから言えよ!!!

また、機会があったら、楽しい女医のエピソードを紹介します。
ここのところ、「疲労困憊」を地でいっている日々したが、ようやく夏休みに突入で、ホッとしています。といっても、5日間ですけど(涙)
なんで、こんなに忙しいのか?そして、なんでこんなに医者募集してるのに、医者が来ないのか?
理由は簡単、女医が多すぎるからです。
自分の同級でいえば、既に常勤で働いている医者は2割しかいません。
同期の卒業で女の子は46人。
簡単な計算で46×0.2=9(小数点以下切り捨て)。
つまり、9人の女性しか常勤で働いていないということになります。
でもって、100人卒業したはずの同期は結局60人しか、常勤で働いていないということに・・・。
確かに女性は出産、子育てというイベントがあります。
けれど、自分の同期は、すでにお子さまが十分大きくなっています。
なのに、常勤に復活しない。
なんで?って、思われるでしょう、みなさん。
それは、アルバイトで十分給料が得られるからです。

アルバイトで?って思われるかもしれませんが、十分なんです。
たとえば、1日外来をすれば、5~6万円。
半日で3万円くらいです。もちろん診療科目によってはバラツキ有りますが、平均的な値段です。
これが、週3日やれば、9~18万円。1ヶ月で36~72万円となります。
これじゃ、常勤で働いているのが、バカバカしくて、アルバイトのままで働きたくなるわけです。
こういう状況が、常勤離れの一つになっているのでしょう。

女医さんがこういうところに敏感に反応するのは当然でしょう。
厚生労働省が医者不足を問題視しても、現実のこういった点に着目しない限り改善はありません。
人間と水は低いところにながれるとは、かつての上司の言葉でした。
食育って,ご存じですか?
最近,子供の給食問題について考えるシンポジウムに参加する機会がありました.
そこで得た感想は,給食のみならず,食事が及ぼす健康への影響が大きいことを改めて実感したということでした.

例えば,パン.
講演の中で,このパンにいろいろ指摘がありました.
・何日放って置いてもカビが生えず,柔らかいまま
・砂糖づけの食品
・パンを食べると唾液がパンに取られるので,飲み込みやすくするには脂っぽい食事と一緒にとる必要がある
などなど・・・
とくに,パンの原材料表示が出されて,砂糖やブドウ糖果糖液が混ぜられている事実を知ってビックリ.
講演者の先生は,「パンを食事として取る習慣のある方は,砂糖を繰り返しとることに慣らされてしまっている」と,おっしゃってましたが・・・.
子供達の生活習慣病が問題になっている昨今,給食だけでも変えていきたいとのことでした.

じゃ,どんな風にかえられるのか?と,思っていたら,福島県の小学校給食が紹介され,更にビックリ.
と,いうのは,給食の原材料は全て地元のものを使用し,そして,その生産者が紹介されている給食原材料表示をしているというものでした.
作った方の顔が見えて,その材料で給食が作られ,そしていただく.こんな環境で育った子供達がうらやましく思えてしまいました.
また,長野県の小中学校の事例では,米飯給食中心に変更してから,子供の非行や不登校が激減したり,学力が上がった報告もされていました.

毎日の食事は自分の身体を作っているってことなんですね.
そう考えると,毎日食卓に上るご飯が一層輝いて見える今日この頃です.
本当に久しぶりの更新になってしまいました.
というのも,大学離れてから2回目の転職中だったからです.
なぜかといえば,理由は単純で,経営者とのベクトルが違うからです.

今年の4月に診療報酬の改正が実施されましたが,その内容はスゴイ物でした.
というのも,改正の内容を一言でいえば,『弱者切り捨て』だからです.
例えば,リハビリ.病気が起こった日から6ヶ月たつと,もうリハビリはできません.
高齢者の病気を持った方にリハビリやったってしょうがないということでしょうか?
現場を知らない机の上だけの改正なのでしょう.
実際の現場で,リハビリをやる意味は,病気で障害を負ってしまった方たちをいかにベットから離れる時間を過ごすか,そして少しでも自立できる側面を持っていただくかにあります.
もちろんいろんなケースがあるでしょうが,一方的に,それこそひとまとめにして6ヶ月という時間を決めてくる意味が分かりません.そもそも,6ヶ月っていう時間をきめたその根拠はどこにあるのかもわかりません.

いままで,一生懸命働いて,この国に税金を納め,年金を払い,それこそ国を支えてきた方々に対して,『お金がないから』と言う理由で制度を変えていく感覚には違和感より憤りすら感じます.

そして,この制度に対し,何の改善や努力目標もたてないで,同調して病院の経営方針を変える.
そんな経営者にはついていけません.これが,転職した理由です.

で,あたらしい職場は・・・.
在宅医療を中心に病院を据えている,そんな病院です.

落ち着いたところで,また,ポツポツ更新していきます.
「先生,脳出血の場所ってわかるんですか~」という,ナースの質問から始まりました.
時間は,終業時間直前です.
「そりゃ,わかるよ.そのためのCTなんだから」と,カルテを書いている手を止めて,質問したナースを見ました.
「今日の急患のかたなんですけど,うちの病院,脳外科の先生いないし,いいんですかね,脳内出血の患者さんが入院しちゃって」と,追加発言.
「何歳なの?」と聞くと,86歳とのこと.
「そのお年なら,手術適応があっても,手術自体に耐えられるかわからないから入院させたんじゃないの?誰なの,主治医は?」と聞くと待ってましたという顔で「○○先生」とお返事.
「うーん・・・」いやな予感がしました.

すると,ナースはすかさず言います.「ご家族に病状説明したとき,どこが出血しているんですかって○○先生に質問したら,先生『右だ!』って答えて・・・.だから,出血の場所ってわかるのかな~と思って質問したんです」
「ハイハイ,わかりましたよ.要は,自分が診ればいいんでしょ,そのCTを」と返事をして,CTをみると・・・.
ナイ.いや,正確には,病気はある.けれど,『出血はしてない』CTです.
おまけに,非常に危険な状況・・・.
脳ヘルニアという状態を起こしかけています.
すぐに主治医の○○先生に連絡をして,脳外科のいる病院に転送となり,事なきをえましたが・・・.

いやはや,久しぶりに冷や汗もんでした.
やっぱり,うちのナース達は優秀だな~と,感心しつつも,エイプリルフールのような,実話でした.

こんな毎日で,自分の仕事以外の仕事が多発しています.けれど,新年度再開で,またポツポツと更新していきますので .m(_ _)m
『チーム・バチスタの栄光』を読みました.
勤務帰りの途中,店先に平積みにされている黄色い表紙に目を引かれ,思わず衝動買いです.

帰ってから一気に読みました.
自分としては,感情移入が強かったです.
特に最後のシーン.
主人公と外科医「桐生」助教授との会話が心に残りました.

医者は常に数字と戦っています.
何人治せたか.何人治せなかったか.
「桐生」先生はとてつもなく素晴らしい成績を残したのに,凡庸な外科医と自分をいう.
主人公の「田口」先生は後輩が追いかける為の指標になる成績という賞賛を「桐生」先生に送るシーンです.

外科に限らず,内科も数字と戦っています.
自分にとっては,血液腫瘍性疾患が相手でしたが・・・.
そのなかで,常に思うこと.
それは,自分の目の前にいる患者様が70~80%治るということは無いということでした.
それぞれの患者様にとっては,治療に対しての成果は0%か100%しか無いという現実です.

そんな自分にとって,骨髄移植や抗癌剤の治療成績を説明するとき,学会や財団が出している治療成績の数字は『詭弁』としか思えませんでした.
だから,そんな辛い説明をした後,『絶対治ろう,治そう』が我がチームの合い言葉でした.
もちろん,いろいろな結果がありましたが・・・.

そんな頃を思い出させられた本でもありました.
機会があれば,ご一読を.
『グループホーム』って,ご存じですか?
認知症で自宅にいられない方が入所している施設です.病院とは違い,普通のマンションや家屋を使用しているところがほとんどです.
往診にいっているグループホームがあるのですが,そこが『いい雰囲気』なのです.

入所者の方たちと施設職員の方たちが本当の家族の様に住んでいます.
軒先には,三毛猫の訪問もあり,我々以外にもお客がくるよと,ある入所者の方は笑っていました.

ときに入所者の方が,施設職員の介護に対し抵抗し,暴力を振るったりすることもありますが,施設の方は毅然と対応していますし,わかってもらえるまで話しつづけます.
すごいなーと,感心すると同時に,仕事にかける情熱が伝わっても来たりします.

自分はこの往診が結構好きで,月1回の定期訪問日が楽しみになっています.

でもって,先日うかがったとき,ある入所者の方へ問診したときのことです.
「調子はどうですか?」と質問した自分に「はい,いいですヨ.これからあなたを海に沈めますから,その準備をしているところです」とのお返事.苦笑いもひきつってたかな.
 大学病院を離れていわゆる一般内科を看板にするようになって思うことは,自分の『頭の中にある医者像』と日々得られるフィーリングが一致しているということでしょうか.

 専門から離れて,はたしてどんな現実が待ち受けているかと思い,不安を少し抱えながら飛び出した訳ですが,患者様とご家族に関わり,一緒に悩んでという日々は,大変でもあり一方,充実感も得られています.
 もちろん時間通りに終業という日は少ないですし,日々色々な出来事で振り回されることも多いです.けれども,それを補って余りある達成感は,ある意味『お金で買えない』ものの1つだと思います.

 そんな毎日を送っていると,次第に自分ならこうしたい,ああしたいという組織とのズレも生じてきます.

3月になり,まわりもすっかり春めいてきますね.
新たな一歩を踏み出してみようかと思う今日この頃です.
ご家族と痰が上手く出せない病状について話合いをもちました.
このような患者様の場合,気管切開(きかんせっかい)という処置をしないと痰で窒息することもあり危険であることを告げると,前の病院でも専門医から同じ事いわれており,家族としてはそこまで治療は望まないとのことでした.
ご本人が会話ができず,ご家族の了解が得られないなら,我々としても医療を押しつける訳にはいきません.また,ご家族はご自宅近くの施設へ転院を希望されているとのことでしたので,そのまま経過を診ることにしました.

しかし,肺炎がおきてしまいました.当然の事ながら,出せない痰が貯まっていることが原因です.高熱もでるため,胃瘻からの栄養も中断し,抗生剤を含め点滴の治療に切り替えました.
ご家族がお見舞いにいらしたとき,危惧していた肺炎について説明し,やはり痰が上手く出せないと今後も繰り返すであろう話をしました.
やはり気管切開をしないと難しいでしょうというと,ご家族から
「気管切開すると植物人間になってしまうのがね,いやなんですよ」と・・・.
「???」自分は意味がわからず「そんなことないですよ.気管切開しても自宅へ帰られる患者様もいらっしゃいますよ」と答えました.
すると,ご家族曰く「えっ,前の病院の専門の先生が,気管切開するとこうなるといって,隣にいた植物状態の患者様を指さしたんですけど」とのこと.(T T)なんだそりゃ・・・.

どうやら,しっかりした説明が言ってないんだろうと察し,気管切開について再度説明.
手術の目的,方法,時間,危険性を説明し,気管切開をするメリット,デメリット,さらにはご本人の同意がえられないときには,ご家族の同意が必要であることなどを延々2時間にわたり説明させていただきました.
ようやく納得していただいて,気管切開の運びに・・・.

一応主治医だからさせていただきましたけど,いくらなんでも前の専門医の先生,頼みますよ.なんで胃瘻の説明して,気管切開の説明できないの?
紹介状みれば,どうやら肺炎を起こした経過もあるみたいだし・・・.
なんか,片手落ちのような気がするな,専門っていってもね~.
おかげでご家族からは感謝されましたけど.「詳しく説明してくれたって」
あー,しんどかった.
忙しい状態がようやく一段落しました.
超がつく重症の患者様の受持を拝命した都合でしたので,疲労困憊もあり大変な2週間でした.
コメントいただいた,いさな様,koikoi様,ありがとうございました.
また,読者の皆様これからもよろしくです.

この重症の患者さまにまつわる専門医の先生からブログを再会しようと思っておりましたので,ある意味話題提供をしていただいた事に感謝しつつ,今の日本の専門医と,医療体制について,改めて『?』を呈示したいとおもっています.

患者様は70代の神経難病を患われている方です.
神経難病というのは,診断がついた時点で治癒に向かう方法のない病気でして,ほとんどが診断で終わってしまう病気です.
その患者様も自宅で転倒してしまい,外傷を生じ,自宅近くの救急病院へ入院したのをきっかけに,何とかできていた食事も口からとれなくなってしまいました.
このような場合,胃瘻(いろう)といって,胃に直接チューブを取り付け流動食という液体状の食事をとっていただく医療を選択されることが多く,この患者様も同じ治療を受けられました.
当然自宅での介護も難しくなるため,ご家族は施設の入院を希望されつつも,救急病院からは『うちでできることは全部やった』と言われて,長くいられる病院へ移るように指示されたそうです.

救急病院がこのように,転院を迫るのは,長期の入院患者様がいると,全入院患者さんの『平均在院日数』が長くなり請求できる保険点数が下がることが背景にあるためです.
これは現行の保険診療上のルールにのっとって行われているのですが,患者様の家族にしても,どこの病院が長く入院できるのかしりませんから,病院の勧めにのって,自分の病院へ転院ということになりました.

転入院当日,患者様を拝見したとき,正直『この状態で良く転院を許可したな』と思いました.
と,いうのは,患者様は神経難病のため,食事がとれないばかりでなく,痰が自分で出せない状態だったからです.いうなれば,ご自分の痰でうがいをしているような状況.
当然息苦しく,表情は苦悶様・・・
すぐに痰を吸引処置しましたが,その日からとってもとっても出てくる痰との格闘状態.
たまりかねて,ご家族と話し合いになりました.
その話の中で,前の主治医からとんでもない説明がなされていたのでした.