原油相場は小幅反落です。イランによるイスラエルへの報復攻撃のニュースにも関わらず週明けの時間外取引は軟調に推移し、失望感から一時$84/bbl割れ寸前まで売られました。そこで支えられると$85/bblを回復しています。

4月15日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比25セント安の$85.41/bblで、引け後の時間外取引は$85/bbl台前半です。

 

先にシリアのイラン大使館を空爆したのはイスラエルであり、今回のイランの攻撃もほとんどが防御されイランはエスカレートさせないといているため、イスラエルが主要国の自制要請を無視して応酬したとしても、国際社会の対イラン制裁が拡大することは難しいと考えられます。

 

従って、イスラエルとイランの緊張が高まっても、原油供給に大きな影響は出ないと思われます。

イスラエルがイランの石油施設を攻撃すれば大きな障害になりますが、その場合はイスラエルが国際社会から孤立することになります。

 

現在の原油相場は第2四半期一杯続くと予想される需給バランスの逼迫が基調を支えており、地政学リスクは短期的な動意の引き金になっています。地政学リスク自体が大局的な相場の上昇トレンドを生み出しているわけではない点に注意が必要です。

 

米国エネルギー情報局 (EIA) の掘削生産性レポートによると、5月の米国主要シェール産地の産油量は日量986万バレルで前年比4.3%増となる見通しです。37か月連続の増加で、前月比も2か月連続で小幅に増加しています。

 

3月の掘削済み未仕上げ坑井数は前月比9基増の4,522基でした。13か月振りの増加です。掘削済みは2か月連続の増加、仕上げ済みは6か月連続の減少となっています。

 



2024/4/15
NYMEX WTI May: $85.41/bbl ( -0.25 )
20日移動平均: $83.96 ( +0.15 )
ボリンジャーバンド
 +2σ: $88.00/ -2σ: $79.92
 幅: $8.08 ( -0.27 ) / 100日平均: $8.00
ボラティリティ
 18.92 ( +0.01 ) / 100日平均: 28.55

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原油相場は反発です。中東情勢の緊迫を受けて一時87/bbl台半ばに上昇し年初来の高値を更新しましたが、イランの直接的な報復にエスカレートしないことで結局上げ幅の大半は削っています。

4月12日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比64セント高の$85.66/bblで、引け後の時間外取引は$85/bbl台半ばです。

各機関の需給見通しはやや強気になっており、原油相場は下げに対する抵抗が強くなっています。

そのため地政学リスクへの反応も大きくなりがちですが、新しい実効性のある展開にならない限り上値にも限界はありそうです。

国際エネルギー機関 (IEA) の4月月報によると、2024年の世界の石油需要見通しは日量1億290万バレルで前月の予想から同10万バレルの下方修正です。2025年の需要予測は日量1億400万バレルで前年比同110万バレル増と2024年の同120万バレルから若干減速します。今年第1四半期の需要の伸びは日量160万バレルに留まり、前回予想から同12万バレルの下方修正となりました。

 

2024年の世界の石油供給見通しは日量1億290万バレルで前回と変わらず、2025年の供給予測は日量1億450万バレルで前年比の伸びは2024年の日量77万バレルに対し2025年は同160万バレルになる見通しです。このため、需給バランスは2024年が均衡、2025年は日量数十万バレルの余剰となります。

 

IEA 推定の3月の OPEC 産油量は日量2,705万バレルで前月比同11万バレル増。OPEC+ 全体の生産量は日量4,170万バレルで前月比同8万バレルの増加です。生産調整対象国の生産量は目標に対して日量50万バレルの超過でした。

 

中国税関総署によると、3月の同国の原油輸入量は日量1,159万バレル相当の4,905万トンで、前年比6.2%減でした。日量ベースにすると3か月連続のマイナスです。

 

 

石油製品の輸出入は輸出が昨年2月以来の600万トン台の高水準で、141万トンの輸出超過となっています。

 

ベーカー ヒューズによると、4月12日時点の米国の油井リグ稼働数は前週比2基減の506基でした。前年比は82基減少です。


引け後に米国商品先物取引委員会 (CFTC) が発表した4月9日時点の建玉報告では、ヘッジファンドによるWTI 原油先物の買い越し幅は前週比2.9%増で4週連続の拡大です。売り玉も増える一方、買い玉が昨年10月以来の高水準になりました。

 (参考図表)

総取組高は前週比0.3%の増加です。ここ1か月、週ごとに増減を繰り返しています。

2024/4/12
NYMEX WTI May: $85.66/bbl ( +0.64 )
20日移動平均: $83.81 ( +0.19 )
ボリンジャーバンド
 +2σ: $87.98/ -2σ: $79.64
 幅: $8.35 ( -0.08 ) / 100日平均: $8.07
ボラティリティ
 18.92 ( -0.79 ) / 100日平均: 28.77

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原油相場は反落です。先週末の高値から上値が徐々に切り下がって調整局面が終わっていないことをうかがわせますが、$85/bblを割れると支えられます。

4月11日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比$1.19安の$85.02/bblで、引け後の時間外取引は$85/bbl台半ばです。

 

中東情勢を巡る思惑が相場を動かしているように見えますが、上昇トレンドの根本的な理由は需給バランスの逼迫にあります。このままイランが自制したとしても、失望売りで大きく下げる展開にはなり難いと考えられます。

 

OPEC の4月月報によると、2024年の世界の石油需要見通しは日量1億446万バレルで前月の予想から変わらず、2025年の需要予測は日量1億631万バレルで前回から横ばいです。

 

一方2024年の OPEC 原油を除く世界の石油供給見通しは日量7,044万バレルで前回から同8万バレルの下方修正、2025年の供給予測は日量7,175万バレルで前回から同18万バレルの下方修正となっています。

 

二次ソースによる3月の OPEC 加盟12か国の推定産油量は日量2,660万バレルで、前月比同3万バレルの増加です。

OPEC 推定の今年第1四半期の OPEC 原油必要量が日量2,798万バレルなのに対し、生産量は同2,653万バレルで不足が同146万バレルとなりました。3月時点の予測では同110万バレルの不足となる見通しでした。

 

 

第2四半期の OPEC 原油必要量は日量2,876万バレルと予想されており、年初からの減産を維持しているため更に不足が拡大します。

2024/4/11
NYMEX WTI May: $85.02/bbl ( -1.19 )
20日移動平均: $83.61 ( +0.15 )
ボリンジャーバンド
 +2σ: $87.83/ -2σ: $79.40
 幅: $8.42 ( -0.50 ) / 100日平均: $8.14
ボラティリティ
 19.71 ( -0.70 ) / 100日平均: 28.94

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原油相場は3営業日振りに反発です。前日引け後の時間外取引は小動きで、EIA 統計でも原油在庫が増えたことで一時軟化したものの、$85/bbl割れを支えられると切り返しています。

4月10日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比98セント高の$86.21/bblで、引け後の時間外取引は$86/bbl台前半です。

 

需給見通しが逼迫予想であることから原油相場は底堅く、イラン情勢のような地政学リスクが落ち着くまでは下げに向かい難いと考えられます。

 

米国エネルギー情報局 (EIA) の週間統計によると、先週末の米国の原油在庫は80~240万バレルの増加予想を上回る前週比584万バレルの増加です。同303万バレルの API 統計より増加幅は大きく、API 統計では小幅減少だったガソリン在庫も増えています。クッシング原油在庫は17万バレルの減少でした。

 

原油処理量は前週比日量12万バレル減となかなか同1,600万バレル大台に届きません。原油輸入は前週比日量18万バレル減に対し、輸出は同131万バレル減りました。

 

 

石油製品の総出荷量は前週比日量206万バレル減って再び日量2,000万バレル大台を割っています。

2024/4/10
NYMEX WTI May: $86.21/bbl ( +0.98 )
20日移動平均: $83.47 ( +0.29 )
ボリンジャーバンド
 +2σ: $87.93/ -2σ: $79.00
 幅: $8.93 ( -0.86 ) / 100日平均: $8.22
ボラティリティ
 20.41 ( -0.16 ) / 100日平均: 29.08

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米国エネルギー情報局(EIA)が4月10日に発表した週間統計によると、先週末の米国の原油在庫は80~240万バレルの増加予想を上回る前週比584万バレルの増加です。原油在庫は3週連続の増加となりました。

原油処理量は日量1,578万バレルで前週比同12万バレル減少、輸入は日量643万バレルで前週比同18万バレル減少となっています。国内原油生産量は日量1,310万バレルで前週比変わらずでした。

WTI 原油先物の現物受け渡し地オクラホマ州クッシングの原油在庫は、前週比0.5%減で2週連続の減少です。

石油製品の総出荷量は日量1,924万バレルで、前週比日量206万バレルの減少。再び日量2,000万バレル大台を割りましたが、前年比はわずかながらプラスです。

ガソリン在庫は、140~180万バレル減少の予想に対し前週比72万バレル増加です。
生産量は日量944万バレルで前週比同54万バレル減、出荷は日量861万バレルで前週比同62万バレル減でした。

中間留分在庫は、60~120万バレル減少の予想に対し前週比166万バレル増加です。
生産量は日量464万バレルで前週比同3万バレル増、出荷は日量299万バレルで前週比同51万バレル減となっています。

 (参考図表)

米国エネルギー情報局(EIA)発表の週間統計(単位:1,000bbl)
              2024/4/5  前週比  前年同期比
在庫
 原油             457,258   +5,841  -13,291
 ガソリン           228,531   +715  +6,286
 ジェット燃料         41,189   +334  +2,212
 中間留分          117,728   +1,659  +5,283
 重油             29,360   -386  -1,450
 クッシング原油在庫      32,993   -170  -845

原油輸入量(日量)       6,434   -184  +241
原油輸出量(日量)       2,708   -1,314  -19
国内産油量(日量)       13,100   +0  +800
原油処理量(日量)      15,782   -115  +197
製油所稼働率         88.3%   -0.3ppt -1.0ppt
製品輸入量(日量)       2,367   +701  +92
製品輸出量(日量)       6,853   +915  +909

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