事業をしており、全て現金で回収するのではなく、

掛け(売掛金)で販売する場合、

一定割合での貸倒損失は避けることができません。

ましてや、最初に金銭を貸し付けて少しづつ回収して行く

金融業では、この貸倒損失のコントロールこそが

企業の死命を制することになります。


そこで、普段から貸倒損失を見積り、引当金を計上しておくことになります。


貸倒引当金の計上から、最終貸倒までは以下のような流れになります。


①一般貸倒引当金(正常に回収されている)

②個別貸倒引当金(そろそろ危険)

③貸倒損失(あぼーん)


これが基本なのですが、②(そろそろ危険)から③(あぼーん)までは

けっこう道のりが長く、債務者と返済条件緩和の交渉や

追加での担保取得、一時的なつなぎ資金の可否など

債権者にとっても苦しい日々が続くことになります。


また、会計上は金融商品会計基準や金融検査マニュアルなどにより

厳格な引当-償却が求められているのですが、

税法上は、法的整理などの事実が無いと貸倒と認められないので、

会計と税務の狭間でさらに苦しいことになりますw


最近、ブログの更新をサボっておりましたがw

「債権放棄すればいいんだ!大金持ち銀行め」などという

おっぱい・・じゃなくて、おきゅぱいなんちゃらの無知を

少しでも解けるように、少々連載して行こうかと思います。


新株の発行を伴うエクイティファイナンス(死語)を行うと、

通常、調達額の1%弱程度の費用がかかります。

幹事証券会社の手数料、登記費用、

監査法人へのコンフォートレター発行費、

発行登録通知や目論見書の費用などなど。


会計や税務ではまとめて「株式交付費」と呼ばれるものですね。


さて、当然ながらこの株式交付費には

5%の消費税が掛かります。

弊社は非課税売上なんかないし、

全額仕入れ税額控除で問題ないお!と

考えられ、何もしていなかったかもしれません。

23年度改正までは課税売上割合が95%以上なら

全額控除できましたので、

特に意識する必要はありませんでした。


しかし、株式交付費って直接売上とは対応しません。

仕入税額控除の個別対応方式では

売上とのひも付けが必要でありますが・・


消費税基本通達11-2-16

「不課税取引のために要する課税仕入れの取扱い」には

この株式交付費が「共通対応」であることが

明記されています。


つまり、95%~99%の会社でも

株式交付費については非控除部分がでてしまうのです!

控除対象外消費税は費用になりますね。

社債発行費等でも同じですよっ

(ストックオプションが「等」に入ります)


100億調達して1億円かかると5%で500万円、

課税売上割合96%ではその4%が控除対象外になりますので

20万円が費用としてPLに跳ねることになります。


製造業や流通業では、

この思考の流れには馴染みが無いと思われます。

ぜひ改正消費税法が適用されるまでに

習得しておきましょう。



えっ、株式交付費が1%もかかるなんて高過ぎ?


もしかして、幹事証券にだまされてる...?