借家人権利向上委員会

借家人は意外に守られています。


なにも大家さんや不動産業者のいいなりになる必要はありません。


それぞれ個別で悩むのではなく、みんなでまとまれば、いいアイデアも生まれてうまくいくはず。


いきなり賃料増額をふっかけられた、立ち退きを迫られた、敷金が返ってこないなどなど、住宅トラブルでお困りの場合は、ぜひご相談ください。


一緒に力を合わせ、不条理な大家や不動産業者に対抗しましょう!

 


悪徳不動産会社スマイルサービスとの闘い Blog版  もよろしくお願いいたします。

 


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【転送・転載歓迎】住まいの貧困に取り組むネットワーク設立1周年記念集会&デモ

当団体のメンバーも参加している住まいの貧困に取り組むネットワークで3月22日に集会を行ないます。

以下告知です。

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【転送・転載歓迎】
なくそうハウジングプア! 立ち上がろう借家人!
住まいの貧困に取り組むネットワーク設立1周年記念集会&デモ

拡大し続ける「住まいの貧困」にストップをかけようと、2009年3月、「住まいの貧困に取り組むネットワーク」が設立されました。
それから1年。「居住権を守れ!」という声に押されて、政府が民間賃貸住宅「追い出し屋」を規制する法案を今国会に提出する一方、一部の家賃保証会社は家賃滞納者のブラックリスト作りに乗り出すなど、「安心して暮らせる住まい」を求める動きと、業者側の利益のみを追い求める動きとの間で綱引きが続いています。

私たちは、ハウジングプアをなくしていくためにも、住まいを借りている人、借りようとしている人一人ひとりが横につながり、貧困ビジネスに対抗できる力をつけていくことが大切だと考えています。
そうした考えのもと、この間、当ネットワークでは、借家人の当事者が中心となり、悪質な不動産業者や管理業者、家賃保証会社などに対する抗議行動に取り組んできました。
設立1周年となる集会では、この1年間の活動報告をおこなう一方、現状をふまえ、これからを展望できる議論をおこないたいと考えています。
ぜひ集会及びデモへのご参加、並びにご賛同をお願いいたします。

【日時】2010年3月22日(月・祝)午後2時~5時(開場1時30分)

【場所】新宿農協会館7階会議室
http://map.yahoo.co.jp/pl?p=%C7%C0%B6%A8%B2%F1%B4%DB&lat=35.68444806&lon=139.70152389&type=&ei=euc-jp&v=2&sc=3&lnm=%BF%B7%BD%C9%C7%C0%B6%A8%B2%F1%B4%DB&idx=33
新宿駅南口から徒歩5分

【参加費】資料代カンパ500円(払える方のみ)

【集会内容】
・借家人当事者の発言(予定)
悪質業者との闘い(フォーシーズ、シンエイ)、公共住宅からの追い出し問題、更新料問題
・パネルディスカッション
本間義人(法政大学名誉教授、『居住の貧困』著者)
増田尚(全国追い出し屋対策会議代表幹事、弁護士)
稲葉剛(住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人、『ハウジングプア』著者)
・各現場からのアピール

終了後、午後5時30分より新宿駅周辺のデモを予定しています!時間のない方はデモだけの参加も歓迎です。

【みなさまのご賛同をよろしくお願いします!!】
集会運営や今後のネットワークの活動のためにご賛同をお願いいたします。
個人1口、団体2口以上(1口:1000円)となります。
賛同費は当日の集会会場で受付にお渡しいただくか、下記口座にお振り込みください。
賛同いただける個人・団体は、以下の賛同フォームでメールをお願いいたします。

賛同申込送り先:sumainohinkon@gmail.com
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【1周年記念集会&デモ 賛同申込】
お名前(個人・団体名):
肩書き(個人の場合):
賛同費:  口(口数をご記入ください。個人1口、団体2口以上(1口:1000円))
ご連絡先(非公開):
------------------------------------------

■ゆうちょ銀行で振り込む場合
記号:10030
番号:31838031
名義:住まいの貧困に取り組むネットワーク

■都市銀行から振り込む場合
店名:00八(読み ゼロゼロハチ)
店番:008
普通預金
口座番号:3183803
名義:住まいの貧困に取り組むネットワーク

主催:住まいの貧困に取り組むネットワーク
世話人:稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)、坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会)、藤本龍介(スマイルサービス闘争を支援する会)
連絡先:東京都新宿区新小川町8-20こもれび荘 もやい気付
E-mail:sumainohinkon@gmail.com
URL:http://housingpoor.blog53.fc2.com/

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民間賃貸住宅部会を分析する 最終章 国交省に意見を送ろう⑤

以前から書いている国交省のパブコメに、意見を送ったので、こちらでも掲載しておきます。
断っておきますが、これはあくまでもsino個人の意見となります。

民間賃貸住宅部会の資料等については、↓のURLにあります。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s203_minkanchintai01.html
とっかかりから、すべて読むのは大変ですが、「最終とりまとめ」くらいは読んでおいて損はないです。
http://www.mlit.go.jp/common/000056477.pdf

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民間賃貸住宅政策に関する意見

【該当項目】
●紛争の円滑な解決について
□第三者による紛争の解決について
●滞納・明け渡しを巡る紛争について
□家賃債務保証業務等の適正化について
□滞納等が発生した場合の円滑な明渡しについて
●その他
□その他(管理業者、サブリース業者、賃貸業者への規制(任意の登録制)について)

【意見】
1.行き過ぎた督促行為に対する行為規制については、家賃保証会社だけではなく、賃貸人、賃貸業者、管理会社やサブリース業者についても対象とすべきである。

2.家賃債務保証会社による弁済履歴情報の共有は、借家人の民間市場からの排除を目的としており、住まい喪失者の固定化をもたらすものである。運用についても明らかではなく、早急に廃止し、禁止すべきである。

3.入居希望者に対し正当な理由なく契約の締結を拒否することを禁止する、入居差別の禁止を制度化するべきである。

4.紛争の円滑な解決策として、団結権、団体交渉権、争議権を保障した借家人組織を制度化するべきである。

5.期限が満了すると基本的には退出しなければならず、住まいの不安定化を強める定期借家制度は直ちに廃止されるべきである。

6.賃貸不動産管理業の適正化のための制度として、管理業者とサブリース業者を対象とした「任意の登録制」ではなく、賃貸業者も含めた「法律により義務づけられた登録制度」を用いるべきである。

【理由】(上記1~6に対応)
1.「最終とりまとめ」では、行き過ぎた督促行為に対する規制について、「現行の法制下における民事又は刑事の手続きによる対応のみでは十分でないことに鑑みれば、実態を踏まえた上で、貸金業法における取立て規制のような行為規制が必要」としているが、対象範囲について記載されていない。督促行為を行なうのは家賃保証業者だけではなく、賃貸人、賃貸業者、管理会社やサブリース業者においても同様であることから、賃貸人、賃貸業者、管理会社やサブリース業者についても対象として規制すべきである。

2.「最終とりまとめ」では、「賃借人の弁済履歴情報を共有するためのデータベースの構築の取組み」についても触れられている。家賃債務保証会社による弁済履歴情報の共有、いわゆる、滞納者ブラックリストは、入居者の追い出しコスト低減を目的として、あらかじめ不特定の入居希望者を市場から排除しようとするものである。業界側が排除するとしている「反復継続的な滞納者」についても、資料では「滞納家賃総額が概ね3ヶ月」としているが、滞納にはさまざまな理由があり一様に判断されるべきものではない。判例からも3ヶ月の滞納が一律に信頼関係の破壊とみなされるわけではなく、基準としてふさわしいものではない。いたずらに住宅市場から排除することは、住宅困窮者の固定化をもたらし、結果的に社会的なコストを増大させることになり、それを放置することは誤った政策である。
 また、「最終とりまとめ」では、「反復継続的な滞納を行う賃借人の滞納リスクに係る過剰な負担の解消及び信用補完の強化によって、賃借人全体の利益にもつながる」といった意見が出されているが、ブラックリスト作成によりどれほどの賃借人の利益になるのか計測的な予測があるわけではなく、このような主張は実証性に乏しく失当である。
 報道によると業界側は、10年2月からデータベースを運用開始するとしているが、いまだに具体的な運用体制について明らかにされていない。また、一部の加盟業者が作成している「個人情報の取り扱いに関する条項の同意書」(下記URL参照)では、「第8条(本条項不同意の場合の措置)」として、「お客様が、本契約において必要な記載事項(申込書及び契約書表面で記載すべき事項)の記載を希望されない場合、及び本条項の全部又は一部を承認できない場合には、当社は本契約の締結を拒否することができるものといたします。」と記載されていたり、「第11条(個人情報提供の任意性)」として、「当社は、申込者等から提供を受けた個人情報に基づき保証委託契約及び賃貸保証契約の締結可否の判断を行ないます。必要な個人情報を提供いただけない場合には、保証委託契約及び賃貸保証契約の締結をお断りさせていただきます。」などという条項が入れられている。これは、任意の同意を謳いながら、実質的には個人情報の提供への同意を強制するものであり、同意として意味がないものである。「最終とりまとめ」においても、「個人情報の利用は慎重でなければならないとの観点からは、弁済履歴情報を一律に収集・提供することによって、家賃債務保証会社に安易に保証が拒否されるおそれや、個人情報保護法上、情報の収集・提供は本人の事前同意が前提であるが、結果的には同意しない場合に保証が拒否されるおそれがあるとの指摘がある。」という意見が提出されているが、まさに現実においてその懸念の通りになっている。
 このようなただ住まいの不安定化をもたらすだけに機能する滞納者データベースは、早急に廃止し、禁止すべきである。そうではなく、より住まいの安定化を図る支援策を講ずるべきであり、たとえば、現在運用されている住宅手当を恒久化し、適用される対象者の範囲を拡大するべきである。

株式会社ネクストフィナンシャルサービス
「【個人情報の取扱に関する条項】の同意書および保障委託契約内容について」
http://www.az-stat.com/pdf/home_privacy.pdf
株式会社アルファー
「個人情報の取得・管理・利用に関する同意書」
http://www.alpha-k.jp/pdf/kojinjyouhou.pdf

3.入居希望者、特に不安定就労者や失業者、高齢者、障がい者、外国人、ひとり親家庭、セクシャルマイノリティといった住宅困窮者とされる方々は、現在に至るまで、必ずしも明らかにされない不明瞭な理由で、家主や仲介業者から入居を拒まれることが多い。家賃保証会社が運用するとしている弁済履歴情報の共有についても、業界側は、支払履歴を残すことにより実績が証明されればこれまで住宅困窮者とされていた人にとってもメリットがあるとしているが、入居差別を前提とした運用である以上、隠然として入居差別は残されることになる。そうではなく、原則として入居差別を禁止する法的な規制策を講ずるべきである。

4.「最終とりまとめ」では、紛争の円滑な解決について、「第三者による紛争の解決」として「裁判外紛争解決制度(ADR)の活用の促進」を出しているが、始まったばかりの制度でもあり実績も十分ではない。賃貸トラブルの原因は、賃貸人側と賃借人側の交渉力や情報力といった力関係の不均衡であることが多く、それを是正するための制度が求められている。たとえば2人以上の参加者がいれば、組合化でき、交渉権を行使できるといった制度があれば、紛争もより円滑な解決に至ることになる。よって、当事者による紛争解決手段として、借家人組織の制度化し、労働組合のように、団結権、団体交渉権、争議権を保障するべきである。

5.「最終とりまとめ」では、「滞納等が発生した場合の円滑な明渡し」として、契約解除事由の予測可能性の向上方策のために定期借家制度の普及・促進が意見として出されている。定期借家契約の実際の現場では、ゼロゼロ物件やゲストハウスといった、先に挙げた住宅困窮者をターゲットとしたサービスで運用されることが多い。しかも、契約期間中に家賃値上げを求められ、値上げを拒否すれば再契約しないと貸主から脅されることで、再契約を希望する入居者は値上げを受け入れることを強制される事例も起きている。このような住宅困窮者をターゲットとし、安定した住環境とは真逆に運用されている定期借家制度は直ちに廃止されるべきである。

6.不動産部会では、賃貸不動産管理業の適正化のための制度について検討されているが、そこで審議されている新設制度は、対象事業者を管理業者とサブリース業者とし、賃貸業者については、「一定規模以上の賃貸業では、管理業務を管理業者に委託しているケースが多いこと、それ以外の小規模の賃貸業の大部分は個人経営であり、所有する物件を自ら賃貸する自己管理が行われていること」を理由として、対象から外している。しかし、賃借人にとって、サブリース業者と賃貸業者を見極めることは登記簿を取ることでしかなしえず、実質的な運用では不可能である。現在の方針では実用性を伴わない制度設計となっており、問題がある。抜け穴をつくらないためにも対象業者に賃貸業者も含めるべきである。
 また、「法律により義務づけられた登録制度」では、営業の自由を制限し、実際に登録制度を運用する自治体の執行制度も大きな負担になるとして、「告示などによる任意の登録制度」が採用されているが、「任意の登録制」では違法業者、特に貧困ビジネス業者に対しては規制ができず、賃貸トラブル抑止にはならない。「告示による登録制度の具体的な効果」として、「登録事業者名は公表されることから、消費者は、登録事業者の情報を事業者選択(物件選択)の判断材料として活用できる。」ことが挙げられているが、低所得者層はそもそも選択肢がなく、結果的に低料金の業者を選ばざるを得ない。よって、登録業者の情報が選択の判断材料とされることにもならない。貧困ビジネス業者は、選択肢がなく他を選ぶことができないことにつけこんで、本来できない違法な契約を結ばせたり、鍵交換などを働くのであり、管理業者やサブリース業者に行為規制をかけるとしても、無登録業者である以上は、契約時や更新時のトラブルの抑止にはならない。選択肢のない借家人への被害を防止するためにも、一様にすべての業者への法的規制が不可欠である。業者にとっても無登録であることが営業に不利益にならないのであれば、しいて登録する機制は働かず、多くは無登録業者として継続されることが予想される。「任意の登録制」による登録業者への規制は、あくまで登録業者が原則で無登録業者が例外とならねば、有効とは言えないが、到底そのような事態は現状では望めない。
 よって、対象事業者に賃貸業者も含めたうえで、「任意の登録制」ではなく、「法律により義務づけられた登録制度」を用いるべきである。

民間賃貸住宅部会を分析する 最終章 国交省に意見を送ろう④

こうやってつらつらとブログで理屈っぽいものだけを書くのはあまり気が進まず。時間が迫っているので仕方ありません。

最終回は不動産部会をみてみます(タイトルは違いますが)。

不動産部会については、これまでこのブログでもほとんど取り上げてきませんでした。しかし、保証会社の追い出しについては、民間賃貸住宅部会で扱う一方で、管理業者や賃貸業者、サブリース業者の追い出しについては、不動産部会で扱うという「棲み分け」がなぜかされていて(おそらく不動産部会がずっと以前から続いていたものだったから、その流れで)、どのような方針の答申をまとめるのかは、非常に重要です。

昨年12月25日に第25回の部会 が開かれ、「賃貸不動産管理業の適正化のための制度について」の概要が出されています。そして、その方針はまったくもって驚くべきものでした。

○どうやって見分けるの???サブリース業者と賃貸業者

まず、資料「賃貸不動産管理業の適正化のための制度について」 にも記載されている通り、「賃貸住宅管理業の登録制度を設け、登録事業者の業務についてルールを定めることで、その業務の適正な運営を確保し、賃借人及び賃貸人の利益の保護を図る。」というのが新制度の趣旨です。その登録業者の範囲が議論になったわけですが、賃料の徴収や賃貸借契約の更新業務及び解約業務を行なういわゆる管理業者、そして、管理業者と実質的に同様の業務を行なうことが多いサブリース業者が対象範囲とされています。一方で、賃貸業者については、「一定規模以上の賃貸業では、管理業務を管理業者に委託しているケースが多いこと、それ以外の小規模の賃貸業の大部分は個人経営であり、所有する物件を自ら賃貸する自己管理が行われていること」から、対象外とされています。つまり、管理業者とサブリース業者については、登録の対象としていて、賃貸業者についてはそもそも対象外であるということになっています。

はてさて、ここで問題ですが、消費者(借家人)は、サブリース業者と賃貸業者をどのようにして見分ければよいのでしょうか??

物件所有者が、賃貸借契約上の貸主と同じ場合は、賃貸業者となり、他に別の所有者がいる場合は、サブリース(転貸)という形態になります。2つの形態の違いはなにかというと、貸主が自身で物件を実際に所有しているか否かという違いです。そして、それは基本的には法務局から物件の登記簿を出さないと分かりようがありません。単に契約書を見るだけでは、契約した業者がサブリース業者か賃貸業者かというのは書面では知りようがないのです。

サブリース業者に対しては登録対象として、賃貸業者に対しては対象外とする国交省は、借主に対して、お金を払って法務局から自分の住もうとしている物件の登記簿を一戸ずつ出せということを求めているのでしょうか???さもなくば、どのようにして見極めることができるのか、ぜひ教えてほしいものです。このような運用では、実際は、サブリースであるにも関わらず、自社物件を貸していると偽ることで賃貸業者を装うことだってありえるわけで、それを見極めることは困難である、という重大な問題があります。これは制度設計にあたって、根本的な問題と言えるのではないでしょうか?

○ルールに参加しないプレイヤーの多いルールに意味はない(「任意の登録制」では貧困ビジネスを排除できない)

次に、肝心の登録制度をどのようにするか、という点です。

この点については、3つが挙げられていました。つまり、「①法律により義務づけられた登録制度、②告示などによる任意の登録制度、③事業者団体等による自主的な登録制度」の3つです。で、不動産部会では、②の「任意の登録制」という方針を出してしまっています。「任意の登録制」とは、登録が義務ではなく、業者が登録したいと思い要件を満たせば登録でき、そういったことが面倒であれば登録してもしなくてもOKという制度です。

登録を義務化してしまうと、営業の自由を制限し、実際に登録制度を運用する自治体の執行制度も大きな負担になる、といったことが①を排除する理由として挙げられています。しかし、はっきり言って、これでは、じぇんじぇん違法業者、特に貧困ビジネス業者への規制としては期待できません。

「任意の登録制」に反対する理由をいくつか挙げます。

①多数の業者が登録を行うようになるとは思えず、結果的に骨抜きになる。

この制度では、登録業者にはかなり厳しい規制が課せられることになります。たとえば、管理業者である場合には、契約時や更新時に管理業務内容を明確に示す書面を交付するルールなどで縛られ、サブリース業者である場合には、宅建業者と同様の重要事項説明義務や書面交付義務が課せられます。つまり、現状よりもかなり面倒な手続きを業務として行うことになるわけです。果たして、このような制度に積極的に自ら手を挙げる業者がどれほどいるのか。相当疑問です。しかも、ルールを守れなければ、登録から削除され、ルールに違反した業者であるということを自ら知らしめることになってしまいます。このようなリスクをわざわざ負おうとする、ある種の義侠心(笑)をもった業者がいったいどれくらいいるのでしょうか?

国交省としては、「登録事業者名は公表されることから、消費者は、登録事業者の情報を事業者選択(物件選択)の判断材料として活用できる。」「消費者による優良な事業者(良質な管理物件)の選別が進むことで、適正な業務のためのルールが広く普及することが期待される。」といったことを意図しているようですが、そもそも、ルールに参加する業者が少なく、例外が多い場合には、このような選別自体がごく限定的なものとなり、悪質業者の淘汰・選別にはまったく意味をもちません。ルールに参加しないプレイヤーの多いルールに意味はないのです。ルールに参加したところで、たいしてメリットはなく、参加しなかった所で特にデメリットもないというのであれば、参加することのほうが例外になることは目に見えているのではないでしょうか。

有名無実の制度になることは運用前から分かり切っていながら、単に追い出しが問題だからなにかやりましたと体裁を整えるポーズだけをやろうとしていると見るのはうがった見過ぎでしょうか。

②貧困層は選択肢がなく、低料金な無登録業者を選ばざるを得ない。結果的に登録の必要に迫られない貧困ビジネス業者は生き残る。

先にも出したように、国交省は「任意の登録制」を導入する意図として、「登録事業者名は公表されることから、消費者は、登録事業者の情報を事業者選択(物件選択)の判断材料として活用できる。」といったことを挙げています。これは、いわば、賢明な消費者が情報を参照することで、業者を選ぶ際の判断材料とすることを期待しており、市場による悪質業者の淘汰・選別を狙っているといえるでしょう。

しかし、またしてもここで大きな問題があります。

行政側の意図としては、登録業者と無登録業者を選別できる消費者を想定しているのでしょうが、貧困層の場合はそうではありません。貧困層の多くにはそういった選択肢自体がないのです。単に値段が安いこと。基本的にはそれが一番の基準になって、登録業者であるかどうかといったことを選択する余裕はありません。だからこそ、後がないことにつけこまれて、食い物にされ、貧困ビジネスは伸長するのです。そこしか選ぶことができないから、多少不利な条件でも仕方ないとあきらめさせられ、業者は本来法的にはできないことをやってしまう。スマイルサービス やシンエイエステートがその具体例です。

高料金で行政からのお墨付きをえたサービスを提供する登録業者と低料金でルールに縛られない無登録業者があるとするなら、貧困層はより低料金の無登録業者を選ばざるを得ません。貧困層をターゲットにした業者は、登録しないことにより、逆に差別化を図ることで低料金であることの「正当な理由」も得ることになるわけです。で、貧困層はより安全性のない、より質の悪いサービスを受けることを強いられる。このような事態を分かっていながら、導入するのだとすれば、これではほとんど差別政策と言っても過言ではありません。住まいは人としての基本的な権利です。所得が少ないからといって、予め劣悪な処遇を強いられることが行政政策によって、あたかも決められているということは、あってはなりません。

業者側にとってみても、低料金・無登録にしたところで、客足が途絶えず、行政からの規制もかからないというのであれば、登録する必要性に迫られることもありません。結果的に、貧困ビジネスは延命し伸長し続けることになるのです。

このような方針を出してくること自体が、見識を疑わざるを得ず、貧困ビジネスとは何たるかについてなにもわかっていないことは明らかです。こんな悪制度がこのまま運用開始されるとしたらとんでもないことです。

なんとしても、管理業者・サブリース業者・賃貸業者の登録義務化をしっかりと求めていきたいと思います。

以上、ながながと書いてきました。
明日にはさらにまとめてパブコメに送りたいと思います。











民間賃貸住宅部会を分析する 最終章 国交省に意見を送ろう③

もうそろそろまとめないと月末のパブコメ締め切りに間に合わないわけですが。。

○紛争の円滑な解決に借家人組織の制度化を!


民間賃貸住宅部会では、紛争の円滑な解決についても議題に挙がっています。

「最終とりまとめ」 には以下のように認識が出されています。

民間賃貸住宅をめぐる紛争については、その発生を防止することが最も重要であり、そのためには、原状回復ガイドラインを中心としたルールの整備が必要である。しかしながら、ルールの整備やその普及には一定の時間がかかること、また、ルールが整備されても、全ての紛争の発生を防止することは現実的には不可能であることから、紛争が発生した場合の円滑な解決のための方策が必要である。(P.10)

その具体的な意見として、「とりまとめ」では、「裁判外紛争解決制度(ADR)の活用の促進」が出されています。
しかし、実際にADRが運用されている実態をみると、賃貸トラブルの紛争解決手段として有効に機能しているかどうかというのは、相当懐疑的にならざるをえません。部会でも第7回の消費者団体等からのヒアリングに、参考人として出席していた「行政書士ADRセンター東京」が出していた資料 を見ると、賃貸物件については、「敷金返還・原状回復に関する紛争」のみしか現状扱っていません。調停3回を2ヶ月間かけて行うというのですが、09年5月から9月までの4ヶ月間で「敷金返還・原状回復に関する紛争」を扱ったのは、相談件数が3件、受理した件数では1件のみに過ぎません。

これでは、ちょっと残念ながらお話にならないのではないでしょうか。

むしろ、いま求められているのは、借家人が借家人同士で連帯して紛争解決に乗り出していくことです。こういうとなにも経験がない方はちょっとためらうかもしれませんが、それほど難しいわけではありません。これまであまり議論されていなかったことなので、不安に思うのも当然です。しかし、イメージができてくれば、そういった不安も徐々に解消されるものです。

そもそも、民間賃貸住宅のトラブルの多くは、業者や貸主がもっている交渉力や情報知識、これまでの経験に比して、借主がそういった力がもっていないことの不均衡が大きな原因です。借主が、足元を見られて不当な要求をされても、対抗することができずに泣き寝入りを迫られているのが現状なのです。

国交省が出している資料でも、民営借家のうち個人所有が85%が個人所有であるとされていますが、そのうち一部又は全部の管理を業者に委託している家主は約73%に上り、つまりほとんどの場合で借主が相対するのは家主個人ではなく業者という営業組織であることがわかります。それに相対することになるこちらは、専門性もなにもない単なる一個人なわけだから、不利な交渉を強いられるのは目に見えているわけです。

不当な要求がされても、それぞれが「間違っている!」「おかしな要求だ!」といったことを声を上げていくことができれば、そういった要求をしてくる業者や貸主は減っていくはずです。なぜなら、彼らはこちらが声を上げられないことを見越して要求してきているから。だから、私たち借家人が見くびることのできない存在であると分からせることができれば、相手はそうそうおかしなことは言えないはずなのです。

労働の現場では、労働者は労働三権として団結権、団体交渉権、争議権が憲法で保障されています。それによって、雇い主と労働者の力関係の不均衡が少しではあるけれども制度によって是正されているわけです。実際、労働法をみると、労働者は闘おうと思えば、闘うための権利がしっかりと保障されていることに驚かされます。職場での組合活動も認められているし、ストライキする権利だってあるわけで。

賃貸住宅の現場でも、貸主と借主の立場の不均衡があるという意味では、基本的には労働の現場と構造としては同じです。しかし、借家人に団結権もないし、団体交渉権もないし、争議権もない。じぇんじぇん闘えないわけです。実際、以前にスマイルサービスに当方が、荷物を撤去された入居者と一緒に乗り込んだ際には、相手から「あなたとは話す必要はない」とか言われて、一切交渉してもらえませんでした。そうではなくて、借家人が借家人同士で団結して交渉し、相手との力関係を変えていかない限りは、本当の意味での紛争を減らしていく効果はないだろうし、紛争解決手段が自分たちの手段として機能することもないのです。

どういった制度が考えられるかというと、たとえば2人以上の参加者がいれば、組合化できて、組合として交渉権が保障されるとか。家賃が高いとか相手が修繕義務を果たさないといったことがあれば、家賃ストライキをする権利が保障されるとか(家賃を相手の瑕疵に補てんすることは現状でも一定は可能ですが、スト権としてはありません)。争議のためのビラを各戸に配布する権利は保障されるとか。貸主や業者には交渉拒否権は原則として認められないとか。つまり、借家人三権が保障された借家人組織の制度化を求めなければならないのです。

これについてはまだまだ議論が成熟していないので、先は長いかとも思いますが、ぜひしつこく言っていきたいと思っています。労働者としての権利がこれまでに勝ち取られてきたように、借家人としての権利も勝ち取っていかねばならないものです。

というわけで、次回が最後。不動産部会をみてみます。

民間賃貸住宅部会を分析する 最終章 国交省に意見を送ろう②

数日前に書いた国交省にパブコメを送る記事 の続きです。

先の記事では、追い出し屋規制と追い出しの迅速化がセットになって主張されていることを批判しましたが、今回は、家賃保証会社の滞納者データベース作成についてです。「最終とりまとめ」には以下のような記載があります。両論併記になっていますが、その中からいくつかを抜粋します。

「家賃債務保証会社が弁済履歴情報を共有することによって、反復継続的な滞納を行う賃借人(入居希望者)に関するリスク管理能力の充実を図ることは、賃貸人が安心して民間賃貸住宅を市場に供給できる環境を整備するという観点から有効な方法であり、反復継続的な滞納を行う賃借人の滞納リスクに係る過剰な負担の解消及び信用補完の強化によって、賃借人全体の利益にもつながると考えられる。」(P.15)

「個人情報の利用は慎重でなければならないとの観点からは、弁済履歴情報を一律に収集・提供することによって、家賃債務保証会社に安易に保証が拒否されるおそれや、個人情報保護法上、情報の収集・提供は本人の事前同意が前提であるが、結果的には同意しない場合に保証が拒否されるおそれがあるとの指摘がある。」(P.16)

「個人情報保護法の遵守を前提とした上で、このような弁済履歴情報を共有するためのデータベースの整備に民間事業者が取り組むこと自体を禁止することはできないと考えられる。」(P.16)

「弁済履歴情報の共有については、信用リスクに係る客観的な事実を過不足なく収集・提供すれば足りるものであり、また、借家が多数存在する競争的な市場において、反復継続的な滞納を行う賃借人以外の賃借人が保証を拒否されることは想定しがたく、運用開始前であり具体的問題も生じていないデータベースに不必要な規制を行うべきではないとの考え方もある。」(P.16)

○福井秀夫の詐欺的論理

滞納者DBを作成することが賃借人全体の利益になるだとか、運用開始前で具体的な問題が生じていないから不必要な規制を行なうべきではないといった意見は、福井秀夫が部会で主張したものです。福井の意見がまるまる「とりまとめ」の中に採用されて、実際DB運用も始まろうとしているという意味では、この件についても福井の果たした役割はとても大きいものです。

これまでも批判してきましたが、 たとえ滞納リスクが解消されたからといって、他の賃借人の利益になるのかどうかなんて、なんの試算もあるわけでもなく、それこそ具体的な内容があるわけではありません。たんに福井が頭の体操で机上の空論を振りかざしているにすぎないのです。そういったことを主張するのなら、DBが運用されて1年後には平均して保証料が5000円下がります、とか計量的な予測があるのならまだしも、そういったものもあるわけではない。自分は12月の第10回民間賃貸住宅部会が終わった後、福井を追いかけて行って、「DBが運用されればいくら保証料や賃料が下がるのですか?」と質問してみたのですが、一切答えてもらえませんでした。

これは福井が定期借家制度の導入の際に、制度が導入されれば、貸し渋りが改善されて、住宅困窮者にもより借りやすい状況が生まれるなどと主張していた構造とまったく同様です。この主張は、現状の定借が追い出しや住宅弱者を対象とした貧困ビジネスに使われている事態から見れば、まさに噴飯ものであり、ペテン師の論理に他なりません。

こんなふざけた論理を言っていることを、きちんと自分たちは記憶しなければならないでしょう。その論理が間違っていることは数年後に明らかになるのだから。しかし、数年後に間違いを正そうとしても遅いし、その間に生活を崩されることになる方々にしてみれば取り返しのつかない過ちになるわけで、決して許されるものではありません。

自らの間違いが明らかとなったとき、福井はどのように責任を取るのでしょうか?

○DB運用ではなく、入居差別禁止の法的制度を

さらに、このブラックリストによる入居希望者の排除は、まさに不動産業界の入居差別が前提となっているものです。一見、滞納履歴は事実だから、事実に基づく排除は差別ではない、という論理が正当であるかのように思われがちですが、それは違っています。入居差別があるからこそ、DBによる支払履歴を参照することによって、より入居しやすい条件を作ってやる、という論理であることを見落としてはなりません。つまり、DB作成は不動産業界の入居差別を前提にしていて、より排除の条件を分かりやすい形に整えていることに他なりません。DB推進者はDB作成はまっとうに支払ってきた住宅困窮者にとっては利益になる(ホワイトリストとして機能する)と主張していますが、滞納履歴がないからといって間違いなく入居できる担保になるわけではないのだから、そのような論理は失当です。

また、ここでみたように、 DBを運用する保証業者が作成している「個人情報の取り扱いについての同意書」は、同意しなければ保証契約を拒否できるという内容になっており、実質的な強制となっています。強制された条件での「同意」がどれほどの意味を持つのか、検討が必要だし、まさに部屋に入りたければDB登録に同意しろという恫喝的手法が批判されねばなりません。それに、情報が登録されることを拒否した場合に、部屋に入居できないという事態は、果たして「健全な民間賃貸住宅市場」と言えるのかどうか。部屋を探すためにどうして自分の個人情報が第三者に提供され、弁済履歴を登録され参照されることに同意しなければならないのか。

そうではなく、まずは正当な理由なく入居を拒否することを許さないという法的な強制力を持った差別禁止制度を作り上げねばなりません。

現状では、たとえばシングルマザーである、といった事情や生活保護を受けているといったことで、多くの貸主が家を貸したがらず、当事者は住みたい部屋を探すこともままなりません。自分が以前、生活保護を受給している方と不動産屋巡りをした際は、まともに探そうとしない仲介業者がいたり、別の仲介業者は、ことごとく家主からNGを出され、本来であれば10件だせるはずの物件が1件しか紹介できないと言われたことを覚えています。貸主や仲介業者は、あくまでも契約を結ぶのが原則であり、入居を拒否するのは正当な理由がある場合のみの例外であると規定することができれば、多くの住宅困窮者は不動産屋の門前払いから救われるはずです。そのような状態になって、ようやくDBがホワイトリストであるといった論理がほんの少しの有効性を持つのではないでしょうか。

といったことで、今日はここまでで、また次回に。

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