マンガ編集者のエディターズ・ハイな日々+をゆる~くお伝え!

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出版業界という愚者の楽園で"なう"を囁いてみる?

本は単なる重い紙の束でしかありません。
ですが、本は本を越える何かになりたがっているとおもうのです。
本は幸せを、楽しみを、そして人生を良くしてくれる笑顔をあたえてくれる、
そんな夢の何かになりたがっていると思うのです。

私は、編集者の端くれとして
そんな夢の何かを感じてもらえる漫画を生み出せるよう

日々努力をしてまいります!


あなたの笑顔が、可能な限り続きますように。

Amebaでブログを始めよう!

 

一時期担当をさせていただいた村生先生が

2022年4月16日にご病気のため、ご逝去されました。

 

再録原稿の受け渡しだけだったにもかかわらず

非常に紳士な佇まいと柔らかな口調で

毎回お伺いする度に奥の先生の執筆部屋へ通してくださって

好奇心旺盛に様々な話を聞いてくださいました。

とても幸福な時間でもありました。

 

謹んで、村生ミオ先生のご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

去る2019年10月13日

以前に担当をさせていただいた

吾妻ひでお先生がなくなられました。

 

享年69歳……あまりに早すぎる死です。

 

ファン葬に参加させていただきましても

なぜだか実感がわかず、

ひょこっとあの照れ笑いのような笑顔で頭を掻きながら

吾妻先生が出てくるのではないかと思ってしまったり……。

 

たいしたことは書けませんが、

それでも駆け出しの漫画編集者時代にお世話になった身としては

追悼と感謝をしっかりと述べなければならないと思い

とても久しぶりにブログを更新させていただきます。

 

先生は、とても穏やかに話をなさる方でした。

 

私が先生を担当させていただいたのは

まだまだ漫画編集者としては3年目の2003年だったと思います。

(その前は3年半ほど書籍編集者をしておりました)

 

失踪なさって、そしてお戻りになった後の事、

その大変な時期を担当していた前担当者からは、

引き継いで打ち合わせにお伺いする際に

「先生は、こなかったり、来てもずーっと押し黙ってるときもある」

「15分以上は手が震えだしイライラしはじめる」などと脅され、

 

私のような新人で果たして担当が務まるのかと不安になりながら

某駅近くにある珈琲館という喫茶店にてご挨拶をしました。

 

でもご挨拶した先生は、

少し猫背で頭を掻きながら「よろしくお願いします」と

とても丁寧にそして、はにかむような照れ笑いで応えてくれました。

 

あれ? 聞いていたのと違うな?? と思いつつも

新しく始めさせていただく作品の構想を打ち合わせさせていただきました。

 

「吾妻先生の持ち味の可愛い女の子を活かしたい!」

「だから毎回コスプレをさせていろいろな姿でセクシーを描いてほしい!」

とかお願いし、そこから40分ほど

新人編集者の拙いアイデアも受け流さずにしっかりと聞いてくださいました。

 

まったく、押し黙ることもなく、また禁断症状も出ることもなく、

穏やかに私の話を聞いてくださったことを今でも鮮明に思い出せます。

あまりにも聞いていた話と違っていたので、

しばらくあとに先生に前担当から言われたことを伝えてみたら

「あ~、それはホントのこと…

失踪前と後では全く違うから、彼には悪いことしちゃったね」

とおっしゃっていたのも印象的でした。

いろんな意味で、よいタイミングで担当を引き継がさせていただいたのだと思います。

 

そしてその構想を元に吾妻先生がもっと大きくしてくださって

「便利屋みみちゃん」という作品を創りだしてくださいました。

 

私は、どちらかというとはっきりと意見を言ってしまう方で

漫画家さんにも多々失礼な事を言ってしまうという反省しきりの編集者でしたが

先生は、どんな意見も一考する価値があると話に耳を傾けてくださり

時にボソッと人生経験からくる真理を突くような意見をおっしゃってくださいました。

 

打ち合わせするだけで学ばさせていただくことが多々あるという

編集者として非常にありがたい経験をさせていただき、なおかつ成長もできました。

本当に感謝の念しかありません。

(また、その当時の事は「うつうつひでお日記」(角川書店刊)にて、

たびたび登場させていただいたこともなんだか面映ゆくもうれしい思い出です)

 

なんだか書いていて、泣きそうに……

これはいけません、泣く前に感謝を伝えさせていただきます。

 

 

吾妻先生、

先生のおかげもあり、今もなんとかこうして編集者を続けられております。

 

ほんとうに、本当に、ありがとうございました!

 

心よりご冥福をお祈りさせていただきます。

 

 

元担当編集者ケーキ

 

TVドラマ「義母と娘のブルース」が

感動の最終回を迎え1週間たちました。

 

私も全話TVの前に正座して見させていただきました!

 

もう、本当に、

「愛」と「絆」あふれる作品に仕上がっており、

私、毎回、滂沱のごとく涙が止まりませんでした。

 

原作で読者の皆様にお伝えしたかった内容を

脚本家の森下佳子さんが、余すことなく

なんと丁寧に、なんと大胆に

素晴らしく良い方にドラマのストーリーに組み込んでくださったことか!

 

綾瀬さんをはじめ役者の皆様が、それぞれのキャラクターを

なんと生き生きとぶれることなく熱演してくださったことか!

(矢野さんにしても下山さんにしてもいのもっちゃんにしても

田口くんにしても、脇役などいないのではと思えるほど

ひとりひとりに至るまでひとつの人生を感じられました!)

 

そして絶妙なMISIAさんのアイカタチの歌声に何度感動したことか!

 

もうすべてが、奇跡のような素晴らしい作品でした。

感謝の言葉しか浮かびません。

 

改めまして、関係者皆様に

「本当にありがとうございました!」

と御礼させていただきます。

 

すでに多くの方が、作品の内容や役者さんの素晴らしさを

語ってくださっているので、そちらは

私がさらに何か書かさせていただいても

もはや蛇足というもの。

 

ですので編集者という立場から

ドラマを拝見していて、特に凄い!

と思ったことをひとつだけ記させていただこうかと思います。

 

それは、物語の登場人物である

「キャラクターをそれぞれ丁寧に描くことの大切さ」です。

 

「キャラクターをしっかり丁寧に描く」

つまり、

登場人物が、なにか話すときや事件などが起こったときに

この人物なら、

こう話す、こういった行動をする、こんな感情をあらわす

という明確な表現を読者に伝えて、それをしっかり守ると、

その人物のキャラクターだからこそ、

そうなったんだという納得感が得られ、

物語により感情移入してもらえるということが

鮮明に感じられました。

 

ドラマ「義母と娘のブルース」は、

この部分が本当に素晴らしかったです!

漫画原作のために登場人物の動きや感情表現はかなり劇的です。

しかし、それを役者の皆様が、

しっかりとそれぞれのキャラクターをリアルとのバランスを考慮し、

統一感を大切にして演じてくださっていて、

(演出家の方々もきっとそれに細心の注意を払ってくださって)

どの役柄の方も、

「そうですよね!! うんうん、そうなりますよね!」

と全ての出来事が、ご都合主義にはならず、必然となっており

非常に物語に入り込んで楽しむことができました。

 

このキャラクターを丁寧に描く徹底ぶりには、

本当に感動するとともに、

漫画を作る際には改めて、

キャラクターがぶれていないかをより徹底せねばと心に誓いました。

 

そういった気づきを与えてくださった作品としても

「ありがとうございました!」

ともう一度、御礼もうしあげたいと思います!

 

 

あ、ひとつと言っておきながらなんですが……

もうひとつだけ、

ドラマ放映中に原作者である桜沢さんのドラマ感想ツイートにも

心から、ドラマを楽しんで、愛しておられるのが

文面からも伝わってきて、

なんだか嬉しくて嬉しくて……

元担当としては、そちらでも感動してしまいました。

 

桜沢さんの、今後の活躍が本当に楽しみでなりません!

陰ながら、応援させていただきます。

 

 

 

それでは、アイノカタチを聞いて

また感動に浸りながら

夢の中へ落ちてゆきたいと思います。

 

皆様にも愛と絆のささやかな奇跡が訪れますように!