貝旅貝暦

貝旅貝暦

三浦半島で貝殻を拾ったり、海水魚を飼育したり…

現在、三浦半島で拾ったタカラガイ、42種類を展示中!

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お久しぶりです🐚
コロナの影響が広がり自粛ムードが一層高まっていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
海辺の駐車場まで閉鎖されているみたいだし、恐らく多くの方は海へ行きたくても行けない、そう感じていると思います。(勿論、me tooであります!)
そんな中新しく採集記事を書いてもアレなので、今日は初心に帰って貝について基本的なことをお話ししたいと思います。

こういう内容って、みんなある程度分かっているのかもしれないけど、ブログとかに書いている人ってあんまりいないような気がするんだ。深追いするとキリがないので、基本的なところだけ書きます。




















貝は、生物学的には軟体動物門に属するのは知ってる?その名の通りウネウネした軟らかい体を持つのが特徴だ。ほら、タコとかイカとかサザエとか思い出したら分かる…でしょ?そして貝が身を守るために分泌したものが貝殻。だから言うなれば中のウネウネが本体で殻が鎧みたいなもんだ。しかし一方で殻は移動の際に邪魔になる。そこでウミウシのように思い切って殻を退化させたやつもいるわけだ。

クロヘリアメフラシの殻。殻は非常に薄く、退化の過程にあると言える。



貝殻の主な成分は例外なく炭酸カルシウムで、それが規則正しく配列してできているんだ。それ以外にも各種微量元素やタンパク質も含まれている。ちなみに海岸でよく見るミドリシャミセンガイは我々の骨と同じくリン酸カルシウムで出来ているから貝ではないよ。そもそも体の向きも貝とは違うんだけどね。貝殻(胎殻を除く)の形成に関わっているのが外套膜と呼ばれる筋組織(ホタテでいう貝ヒモと言えば分かりやすいだろうか)で、殻と外套膜との間で反応を起こして殻を足していく。通常外套膜は殻の内側を覆うように存在するのだが、タカラガイなんかは殻全体を包むのが特徴だよね。

足の脇にギリギリ見えているのが外套膜。外套膜には部位毎に機能が分かれているらしい。

殻の成長は周りの環境によって変わる。何らかの理由で成長速度が遅くなったり形成不全を起こすことがあるのだが、その過程でできるのが成長傷と呼ばれるもので、貝殻コレクターの中にはこれを結構気にする方もいる。食性が変化したのか殻の模様が突然変わったりするのも面白いところだ。







続いて分類のお話。一口に軟体動物といっても、綱レベルだと幾つかのグループに分けることができる。よく見かけるのは腹足綱、二枚貝綱、多板綱、頭足綱だね。実は単板綱、掘足綱(ツノガイ類)、尾腔溝(ウミヒモ類)というのもあるけど、出会う頻度はそれに比べて低い。ウミヒモとか実物見たことないしなぁ。

これらの中で圧倒的に種類数が多いのは腹足綱だ。(あっ、言うの忘れてたけど、腹足綱って巻貝のことね。)海水や淡水に限らず、何せマイマイのように陸上に進出したものもいるわけだから、貝の中で最も繁栄したグループと言える。ちなみに殻を失ったウミウシやナメクジもこの仲間だ。



ここでそれぞれの種類がどの綱に属するのか、例を示そう。

ハマシイノミ…腹足綱
肺を発達させて陸上に進出したグループの一つだね。


ベニシボリ…腹足綱
鰓は後ろにあるので、ウミウシの仲間。まぁ、最近では前鰓類、後鰓類という分け方は廃れつつあるみたいだが。


アヤメダカラ…腹足綱
勿論これだって巻貝だよ。

ツツミガイ…腹足綱


ツヤモツボ…腹足綱


トクナガマメヒガイ…腹足綱


オオツカテンガイガイ、テンガイガイ…腹足綱
誤植じゃないよ、漢字に直すと「天蓋貝」


オオヘビガイ…腹足綱
これが腹足綱に属するのはちょっと意外に感じるかもしれない。




ミタマキガイ…二枚貝綱


ヒオウギ…二枚貝綱
泳ぐのが得意。



ヤカドツノガイ…掘足綱
高校生物でツノガイ=モザイク卵の例として覚えさせられた人も多いはず。三浦で拾えるものの中ではフタマタツノガイ、ロウソクツノガイといった明らかに特徴のある種類なら分かるものの、同定に悩む個体も多い。


ケハダヒザラガイ…多板綱
多板綱は8枚の殻を持ち、その内一番前の殻を頭板、真ん中6枚を中間板、一番後ろの殻を尾板と呼ぶ。そしてまわりのウネウネが肉帯と呼ばれる部分だ。ケムシヒザラガイ科では殻板の配置が不均等となるのが面白い。
海岸に打ち上がるものは腹側に大きく曲がりCの字型になるんだが、注意して探すと意外と拾える。いつかブログにも載せちゃおうかな?(かなり見た目がグロいので躊躇しているが)


アオイガイ(カイダコ)…頭足綱
タコの仲間だよ。


と、ざっとこんな感じ。色んな形があって面白いよね。


ちなみに貝類って世界に何種類いると思う?

正解は、10〜20万種類と言われているんだ。地球上で一番多いグループが節足動物で、約100万種類いるのは有名な話だけど、実はそれに次ぐ規模なのである。ハナゴウナ科、トウガタガイ科のようにまだまだ種類数が増えそうな科もあるので実際はそれよりも多かったりして…