らくご聴いたまま

らくご聴いたまま

落語に関するブログ

Amebaでブログを始めよう!

◆2021年6月6日 ザ・プレミアム文蔵 らくごカフェ

文吾『蜘蛛駕籠』/文蔵『妾馬』/文蔵「アンケート読み」//仲入り//文吾『猫と金魚』/文蔵『目薬』

★文吾さん

『蜘蛛駕籠』

駕籠屋二人のキャラクターは出ているが、侍は一寸硬すぎるし、酔っぱらいは可笑しさに乏しい。踊る男は割と可笑しかったが、駕籠屋二人の踊り方が余り上手くないのと、二人乗りする客に特徴が余りない。オチに関わる子供の声が上手くなかったのは残念。

★『猫と金魚』

番頭のリアクションが甚語楼師匠ほどにはナチュラルではないのと、番頭が鼠年で猫を怖がるのは分かるが、寅さんの意気がりがもっと誇張されても良い筈だろう。

★文蔵師匠

『妾馬』

七月上席の上野で「ネタ出し」の主任を頼まれ、その初日に演じるのがこの噺で、いわば蔵出しの稽古。お鶴が奉公へ出たのが「一年前」とちゃんと時期を振っていたのに感心した。鶏を産んだと思った八五郎が「卵で産んで孵った?」と間違えるのが面白かった。全体に八五郎は明るいので54分あったが、噺が重くならない。「おもくもく」と訊き間違えた八五郎が「煙草」と間違えるのや、「生まれてこのかたずっとがさつでいるんだぜ」と言う科白も面白かった。八五郎は大家の家にきた時、「印半纏」を着ていて、一応職人らしい。大家が八五郎の「ござり奉るを聴いて「何か物を言わない方が良い」と注意するのも可笑しかった。お屋敷へ出向いた八五郎がお屋敷の凄さに驚いて「この世の物かい?」と感心するリアクションも良かったが、「(百両を)早く寄越せよ」と言ったり、「三代貧乏してるんだい」と殿様の前でもへいきでいるのらリアリティがあった。酒をふるまわれた八五郎が「生まれて初めてだよ、透き通った酒呑むの」と驚くは日頃の貧乏の窺える科白だと思う。三太夫に向かって「(御老女に)惚れてるんだろう?」とからかったりするのは初耳の工夫である。「親父が死んだ時でも涙一つこぼさなかった気丈なオフクロが」と八五郎が酔った勢いで愚痴を零すと「三太夫が貰い泣きをするのは三太夫の役柄が良くなる。すっかりへべれけになった八五郎は次第に絡み酒になって行き、「兄弟分の杯を受けるのが筋ってもんだろ」と殿様に言い放つ。子供の頃、餓鬼大将の長松に苛められて、お鶴に慰められた話をする演出は初耳。これには後日談があり、一年後果たし合いをした話をする件で腕を叩いて三太夫に自慢するのが如何にも八五郎らしい。長松とはそれから仲間になり、「今じゃマブダチだよう」と威張るのも貧乏長屋の暮らしぶりが出ていた。「火鉢肘付き主の名を書き」という都々逸を唄う演出も初耳で、この都々逸からサゲに至る。

★『目薬』

内儀さんが「め」という字を見て「かたつむり」と言うのも可笑しいが、この夫婦が如何にも釣り合いの取れた馬鹿夫婦らしいのと、この夫婦に色気が感じられるのは文蔵師匠ならではの特色だと思う。