Dr. K  ピークオイル考
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IPCC 誕生の経緯と、その後

「地球温暖化問題をいかに世界政治と経済の歴史的流れの中に位置づけるか」
               アラスカ大学国際北極圏研究センター・赤祖父俊一


議員会館で講演されたそうです。以下はその要旨。



" 米国は彼らの自動車産業を主製造産業から外し、日本に任せたに違いない。オバマ政権と米国民は衰退している自動車企業に税金を使ってできる限りのことはしたと思っている。そして彼らがよい電気(ガソリンを使わない)自動車で成功することを希望している。

 これは何を意味するであろうか。製造産業の歴史をひもとくと、先進国は次々と後進国に主製造産業を奪われている。英国の織物産業は米国に奪われ、米国は日本に奪われ、日本は中国に奪われた。英国の製鉄産業は米国に、そして日本に、そして中国その他の国に奪われた。英国の自動車産業は米国に(主としてGM)、そして日本(トヨタ、ホンダ)に、そして将来中国に奪われるであろう。この歴史の流れは必然のものであり、誰も止めることはできない。(米国は英国より財政産業を奪ったが大失敗し、世界的経済後退をもたらした。)



 それでは米国は次の主製造産業として何を選ぶのであろうか。オバマ政権は原子力産業を選んだようである。



 原子力産業を選ぶ重要な理由がある。第一に、米国では電気エネルギーはこれからますます必要になるので確保する必要がある。加えて石油(および政治的に不安定な石油産出国)依存から脱却するためでもある。石油産出は50年後には大きく減少するであろうし、また高価なものになる可能性が高い。電気自動車を奨励しているが、その電力を確保しなければならない。さらにまた、石油輸入による大赤字を止めなければならない。したがって石炭発電から原子力発電への移行は必ずしも地球温暖化防止のためではない。良い口実である。これは順を追って明らかになる。



 それでは、地球温暖化問題はいかに原子力問題に関係しているか。この問題を理解するためには地球温暖化問題はどのようにして生まれてきたのかを知る必要がある。1980年代、当時の英国首相マーガレット・サッチャーは英国の将来は原子力発電なしには不可能という結論に達したが、英国民の猛烈な反対を受けた。ちょうどその当時、極めて粗雑な地球温暖化のコンピュータ・シミュレーションの結果が発表され、CO2の削減をしないと将来(2000年以降)、大災害、大異変が起きるということになった。サッチャー首相は原子力発電反対に対して地球温暖化をもって対向すればよいと考えたようである。彼女は英国民に原子力か地球温暖化による大災害、大異変のどちらを取るかを選ばせようとした。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は彼女の強い保証と支援なしには設立されなかったであろう。彼女は地球温暖化問題をさらに研究するためにハドレー気候研究センターを設置した。当時、気候学はあまり日の目を見ない学問であった。もともと新聞記事になるような学問分野ではなかったが、一躍脚光を浴びることとなった。したがって、CO2説は科学の一つの仮説としては妥当であるが、IPCCはその誕生から原子力に関係し、「一週間後の天気さえ予報できないのに、どうして世界の終焉が予測できるか」という疑問は最初からあったが、IPCCは大災害、大異変を予報しなければならない運命をもっていた。



 当時、世界の報道は冷戦の終末時であったので、次の大きなニュースを模索していた。地球温暖化による大災害、大異変は彼らの理想的な材料になり、温暖化の想像的大異変を毎日のように報ずることになった。



 それならば、この地球温暖化問題とIPCCはオバマ政権の原子力産業推進に関係しているのか。それはもし原子力産業だけを取り上げて推進しようとすると、米国民から大反対を受ける可能性が高いからである。スリーマイル島原子力発電所の事故以来、米国は一基も原子力発電所を建設できないでいる。



 したがって、オバマ政権はサッチャー首相のように、米国民に原子力で現在の生活レベルを保つか、もっと進歩させるか、それとも地球温暖化による大災害、大異変を防ぐため現在の生活レベルを大きく低下させ、例えば電気自動車さえ運転できなくなるかのどちらかを選ばせることになるであろう。



 したがって、オバマ政権にとっては、地球温暖化による災害と異変は大きければ大きいほど原子力産業を推進するためには都合がよいのである。したがって、本当の地球温暖化の科学は、ここでは不必要であり、問題にはならないのである。実際その目的の第一歩として、オバマ政権は原子力エネルギーは“green”(大気汚染がない)、原子力エネルギーは“non-carbon”(CO2を出さない)、そしてCO2は健康に良くない(EPA長官の発言)と宣伝している。CO2が地球生命の源であることなど、問題にならない。



 CO2の赤外線、吸収と発光の物理は十分わかっているが、地球物理学での問題は、ある量のCO2を地球というシステムに放出した場合、地球平均気温が何度上昇するかという難問を取り扱う。したがって、この科学が原子力についての政治決定とゴア前副大統領をはじめとするプロパガンダに対向するのは全く意味がなく、無駄である。



 この問題で一つ述べておく必要があるのは、地球についての我々の知識はまだ極めて不十分であるのに、IPCCのコンピュータを基礎とする気候学者はあまりにも自信過剰であり、科学者として傲慢ではないかということである。気候の自然変動を無視し、雲の科学さえまだ未知のことが多いのにコンピュータ・プログラムに頼って2100年の気温を予測できると言うのである。コンピュータはロボットと同様にプラグラムで教えられたことしかできない。プログラムが誤っていたり、不十分であれば、答えは当然誤っているか不十分である。これは学問の世界では当たり前のことであり、プログラムというものは批判されて改良されていく。それでこそ学問は進歩するのである。にもかかわらず、IPCCは反対する者を反逆者扱いし、この生まれて間もない学問を直接国際政策舞台に持ち込んだのは大きな誤りであった。IPCCの「もう学者としてできることは終わった。あとは政策者の仕事である。」というような発言は、とんでもないことである。



 もっとも米国が原子力産業を次の主製造産業と決定し、世界制覇を狙っても米国グループ(米国、日本、ロシア)とフランス・グループとは激しい競争になるであろう。(東芝は米国のウェスティングハウスの株を買ってしまった。)遠い将来には原子力の源になるウラニウムの争奪戦争になるであろう。



 オバマ政権は風力、太陽エネルギーなどを推進しようとしているが、米国の必要エネルギーの10%を供給できるであろうか。(オバマは20%を目標にせよと言っている。)いずれにせよ、80~90%の将来エネルギーを探さなければならない。日本が知っておくべきことは、米国の石炭はまだ数百年分のエネルギーに相当するとのことである。いざとなれば、十分エネルギーはあるということである。



 いずれにせよ、米国は原子力発電が電力を十分供給できるようになるまで(10~15年後)、石炭発電を削減することはできない。したがって、米国は国際的CO2削減については現在合意できないであろう。米国は中国とインドが合意しなければCO2削減の合意には意味がないとしているが、他方、米国は中国を米国の工場にしてきた。しかも、米国は中国に莫大な債務がある。したがって、中国の政治と経済が十分のエネルギーで順調でないと、米国は困るのである。中国は米国より「金持ち」であるにもかかわらず、自らを「後進国」とし、先進国がCO2を削減すべきであると発言している。したがって、米国と中国の上述の発言は無意味である。それは両国ともお互いに十分承知していることであろう。IPCCの委員長(インド出身)はCO2削減の上限(キャップ)に応じないと発言した。なぜ日本だけ真面目にこの問題を議論しているのであろうか。さらに、全世界は現在グローバル・キャピタリズムのため、米国の購買力(クレジットでも)に頼っているので、米国経済が順調でなければ困るのである。



 こんな明らかな事実を前にして、各国の首脳の参加している温暖化の世界会議に意味があるであろうか。過去何回も繰り返してきた会議で、何が決まったであろうか。もし地球温暖化による大災害、大異変が真実であるなら、地球温暖化問題の解決は各国首脳のもっとも厳粛な共同責任であるべきである(もっとも、グローバル・キャピタリズムによる環境破壊こそ大問題であるが、それは都合よく忘れられている)。しかし、何回会議を行っても、何も合意できないということは、首脳たちは日本を除いて、IPCCの予測である大災害、大異変を信用していないためではないか。しかし、彼らはIPCCを信ずるとしているので公にはそれを発言することはできない。人類の敵とみなされてしまうからである(ブッシュ前大統領のように)。IPCCがこの問題をそのようにしてしまった。現在までの会議は後進国は先進国からキャップ・アンド・トレードを口実に資金を得ようとし、先進国はそれを防いでいるだけである。今まで、会議で合意したことは次の発議の日時と場所を決めることだけであった。世界戦争より良く、それに比べて安上がりではあるが、こんな会議を何回続けても無意味である。地球温暖化の科学がもっと進歩するまで会議は延期すべきであろう。この問題は決して「待ったなし」の問題ではない。実際にCO2が急速に増加しているから、半世紀以上過ぎた今、まだ大災害、大異変は何も起きていない。世界中の報道が北極圏を訪ねるのは北極圏の気候変動をCO2による温暖化のためと誤報するためである。報じられた現象はどれもCO2に関係しているものとは考えられない。氷河の末端で氷が崩れ落ちるのが良い例である。



 日本では米国とオバマがついに炭酸ガス削減を真剣に考慮していると報じられているが、その背景を十分知るべきである。日本の報道の重大な欠点は調査報告というものがないので、常に「大本営発表」ばかりであることである。国民はそれを真に受けている。ここに書いてある程度のことは科学者を煩わせる必要がない。



 すでに述べたことからわかるように、IPCCは科学研究機関ではない。彼らは巧妙に2500人の「世界のトップレベルの気候学者」を動員し、IPCCに奉仕させた。そしてまた巧妙に「全員一致」の報告を提出したことになっている。2500人の大部分の研究は分厚い報告書として出版されたが、IPCCはこれをあたかも彼らの「政策者のための要約」を支持する書類かのように使った。IPCCの「要約」は必ずしも「全員一致の要約」ではない。すなわち、2500人の研究者はIPCCの目的のために単に奉仕させられたのである。例えば、IPCCは、地球温暖化は予測に反して20世紀後半急激に起きたとしている。しかし、温暖化は1800~1850年(すなわち、CO2が急速に増加し始めた100年前)から同じ上昇率(0.5℃/100年)で始まっていた。それは地球が経験した小氷河期からの回復(寒かった時からの回復は、温暖化)である。しかし、IPCCはホッケー・スティックとあだ名のついている図を使って小氷河期を無視してきた。小氷河期があったとすると温暖化はCO2の放出が急激になった100年前からすでに起きていたので、都合が悪いからである。2500名の研究者のうち、何人がホッケー・スティックの研究結果を信用しているであろうか。おそらく、その数は少ない。したがって「全員一致」のはずがない。



 2000年頃より、地球平均気温の上昇は止まっている。CO2は急激に増加しているにもかかわらず、である。これは観測された事実である。しかし、IPCCの研究者はいまだにその事実を無視し、一時的変動であろうと言っている。気候学では、10年間同じ傾向のある変化は気候変動とされている。これはCO2による気温上昇を打ち消す未知のものがあるからである。これは小氷河期の回復に乗った準周期変動による可能性が大きい。すなわち、IPCCはCO2の影響を強調したいあまり、いくつかの自然変動を無視してきた。そのため2100年までの予測をしたにもかかわらず、2000年の最初の10年でさえ予測が外れてしまった(週間天気予報は普通少なくとも最初の日は当たる)。これが世界会議を延期すべきもう一つの理由である。各国首脳は国際地球科学の機関に上昇が止まったことについて詳しく研究し、報告してほしいとすればよい。実際は地球温暖化の科学を政治、経済、報道からの介入を避けて純基礎学問に戻すべきである。それで初めて、この学問の順調な進歩が始まるであろう。そうして初めて、我々は地球温暖化の仮説を支持者と反論者として、どちらが多数派か、少数派かということに関係なく討論できる。政治と異なり、科学では少数派が正しいことはしばしばある。"


( SNS mixi の、「石油減耗時代」コミュでも議論しています。)

ピーク・エアポート

全国唯一の町立飛行場が廃止・・・弟子屈


" 国土交通省は10日、全国唯一の町立飛行場である弟子屈飛行場(弟子屈町)の供用廃止申請を許可した。

 同飛行場は1955年、遊覧飛行を目的に同町の場外離着陸場としてスタート。1970年に公共飛行場として供用を開始した。民間航空会社が夏季限定で、摩周湖や釧路湿原などの上空を軽飛行機で飛ぶ遊覧事業を実施。93年度には約1200人の利用者がいたが、2007年度には約170人にまで落ち込み事業を停止した。

 同省によると、空港や飛行場の廃止で、代替施設建設を伴わないケースは全国で初めて。

 同町観光商工課は、「観光客が減り、旅行形態も変化してきたため」として、07年度に休止届を提出し、廃止を検討していた。跡地の利用については未定。"



実質 " 1 " 減。それは町立飛行場からはじまった。

最後の新・空港の供用開始が 6 (静岡空港)、最初の供用廃止が 7月。


ピーク・エアポート ‥‥ ?

供給途絶

OPEC が臨時総会

OPEC:生産量据え置き決める さらなる価格上昇望む


" 実需の落ち込みを背景に油田の開発投資は激減しており、供給途絶への懸念が強まっている。"

" サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は「1バレル=75~80ドルが適当」とさらなる価格上昇を望む姿勢を示した。"

" 非OPEC諸国を中心に、開発投資が激減する見通しだ。このため、「景気回復後に原油が高騰し、供給が途絶する可能性が高まっている」"



「供給途絶」の懸念が、現実味を帯びてきているのですね。


ヌアイミ石油鉱物資源相はまた、「世界経済は1バレル=75-80ドルに対応できる体力がある」‥‥ とか。


生産者側は、80ドルをめざして、生産量は据え置きないしは追加減産の構えのよう。


( SNS mixi の、「石油減耗時代」コミュでも議論しています。)

2010年 12月までは、ゆっくりと減少

World Oil Production Forecast - Update May 2009

Dr. K  ピークオイル考

" 世界の石油生産は、2008 7月、日量 7,482万バレルでピークに達し、今やそれは 7,100万バレルに落ち込んでいる。石油生産は、non-OPEC が減少する間、OPEC の生産が増大することで、2010 12月までゆっくりと減少すると見込まれている。

2010年以降、non-OPEC の減少を、OPEC の生産が補完することができなくなり、生産減少は、年率 3.4% という結果になる ‥‥。"


予測は、いよいよ煮詰まってきました。



( SNS mixi の、「石油減耗時代」コミュでも議論しています。)

「確認」は氷山の一角

米国の感染拡大、3州にカンザスで患者2人確認

" AP通信によると、米中西部カンザス州の保健当局者は25日、州内の2人が豚インフルエンザに感染したことを確認したと発表した。

すでに患者が確認されているカリフォルニア、テキサス両州に次ぎ、米国内での感染が拡大した形だ。"

インフルエンザのサブタイプまで判定するのは、かなり特別なことなので、「確認」は氷山の一角に過ぎないと考えるべきでしょう。

WHO のフェーズ判定も、どうしても事態の追認とならざるを得ないことを、私たちは念頭においておいた方がいいでしょう。おっちょこちょいをしでかすと、WHO は自らの権威を傷つけるのでね。

SARS のときもそうでしたが、豚インフルエンザが拡大すれば、航空旅客は減少するでしょう。原油価格の下落で燃油サーチャージの重荷が解かれた矢先に、航空会社も災難なことで。

経済全般も大きく足を引っ張られ、誰にとってもひとごとではないのですがね。




( SNS ミクシィ「石油減耗時代」コミュでも議論しています。)

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