Thousand Days

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さうざん-でいず【千日手】
1. 同一局面の繰り返し4回。先後入れ換えてやり直し。
2. 今時珍しく将棋に凝っている大学生の将棋系ブログ。
主に居飛車党過激派向けの序盤作戦を網羅している他、
雑学医学数学物理自転車チェス等とりとめのない話題も…

※本来の表紙『さうざんでいず』


太陽病三日、已發汗、若吐、若下、若温鍼、
仍不解者、此為壞病、桂枝不中與之也。
觀其脉證、知犯何逆、隨證治之。
桂枝本為解肌、若其人脉浮緊、
發熱、汗不出者、不可與之也。
常須識此、勿令誤也。五。

傷寒論 辨太陽病脉證并治上 一六条




中国象棋の兵卒は日本将棋やチェスより安いが
一手は重く有効手も限られ、紅(先手)番が強い
ただ黒(後手)も正確に指せば互角に戦えそうで
例によって初心者なりに黒の序盤を調べてみる

・中国象棋は一切勉強しなくても楽しく指せる
・【】が黒番採用順、[]が不採用の重要変化
・戦型名右の数字は中村本開局定跡百例の類局
・図面はここの「輸入FEN」にrnb...をコピペ


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中炮(総論)

初手炮二(八)平五「中炮」は最も攻撃力が高く
最もよく指される、最優先で対策すべき戦型だ
黒は少しの変化でも形勢を損ね、自由度が低い
(後述する起馬局や対兵局から還ることもある)


【中炮互進七兵 対屏風馬黒過河炮】11改

1. 炮二平五 馬8進7 2. 兵七進一 卒7進1
3. 馬二進三 車9平8 4. 車一平二 炮8進4

屏風馬は中炮に対して最も評価値が落ちにくく
七/7の兵を突き合うか三/3かでまず分かれる
紅が早く兵七進一と突けば前者に限定できるが
本譜の炮8進4で車二進六(後述)を封じられる

5. 馬八進七 象3進5 6. 馬三退一 炮8進1
7. 車九進二 馬2進4 8. 馬七進六 車8進5
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馬八進七なら進六に備えて象3進5~馬2進4
以下は紅から中炮を切って総交換するぐらいで
避けようにも本譜では馬を退かされて冴えない
黒が割と早く互角に持ち込める戦型な気がする


5. 炮八進二 炮2平3 6. 炮八平九 象3進1
7. 車九進一 卒3進1 8. 相七進九 卒3進1
9. 相九進七 卒1進1 10炮九平八 炮3進2
11兵三進一 馬2進3 12兵三進一 車1平2
13車九平八 炮8平7 14馬八進六 車2進3
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炮八進二なら黒は袖炮からひたすら卒3を突く
紅は炮8平5の成立寸前まで兵三進一を我慢し
黒も一卒損するが二枚炮がよく働いてほぼ互角
ただ紅としてはもっと注文をつけたい気もする


[中炮過河車互進七兵 対屏風馬平炮兌車]3

1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一平二 卒7進1 4. 車二進六 馬2進3

本譜が中国象棋全体のメインラインと思われる
紅が兵突きを保留し、黒から卒7を突かせれば
最強の車二進六「過河車」を黒は拒否できない
(黒が馬2進3を優先すれば兵七進一と指せる)

5. 兵七進一 炮8平9 6. 車二平三 炮9退1
7. 馬八進七 炮9平7 8. 車三平四 士4進5
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途中黒は馬7進6「左馬盤河」もあるが受け身
車8進2の「高車保馬」もあるがもっと受け身

本譜の炮8平9~退1「平炮兌車」は本手だが
馬八進七~六「先鋒馬」兵五進一「急進中兵」
炮八平六「五六炮」や炮八平九「五九炮」など
無数の攻め筋があって黒は憶えるのが大変そう


[中炮進三兵 対左三歩虎]42改

1. 炮二平五 馬8進7 2. 兵三進一 車9平8
3. 馬二進三 炮8平9 4. 兵七進一 卒3進1

紅が兵三進一を急げば前述の順を避けられるが
黒は最速三手で車筋を通す「三歩虎」も選べる
車一平二は取られて馬を退かされるため指せず
紅が主張を作るには兵七も突くぐらいだが……

5. 兵七進一 車8進4 6. 兵七進一 象3進5
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黒は捻り飛車っぽく軽く捌き、互角に戦えそう
手数を掛けた過河兵と象か士の交換なら歓迎だ
なお早い兵七進一に対する左三歩虎はやや損で
兵三進一を馬八進七~進六に代え兵馬を守れる


【中炮巡河車 対屏風馬進三卒】21

1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一平二 卒3進1 4. 車二進四 馬2進3
5. 兵七進一 卒3進1 6. 車二平七 炮2退1

紅が兵突きを保留し、黒から卒3を突いた場合
兵三進一と応じず車二進四の「巡河車」も強い
七筋の兵卒交換からの捻り飛車?が紅の狙いで
黒は炮2退1~平3の筋で逐えるよう準備する

7. 炮八平七 炮2平3 8. 車七平六 馬3進2
9. 車六平七 馬2退3 (黒反則となる千日手)
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黒はすぐ炮2平3と当てたいが、恐らく疑問手
千日手含みで逃げられて黒に打開義務が生じる
(途中、馬を車に当てなければ大丈夫だが悪形)
なお車七平三は卒7進1~象3進5~馬3退5


7. 炮八平七 車1進2 8. 車七平八 炮2平7
9. 車九進一 象7進5 10車九平二 卒7進1
11車二進五 馬3進4 12車八平七 車1平2
13馬八進九 士6進5 14炮七退一 炮7退1
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車七平八で車1平2と炮2平3を封じられるが
炮2平7と振っておいて黒もそれなりに戦える
(途中、炮七進七には士4進5で炮を捕まえる)
炮7退1で黒左車ブツケの準備が整えば一安心


【中炮横車 対屏風馬互進七兵】22

1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一進一 卒7進1 4. 兵七進一 象3進5
5. 馬八進七 士4進5 6. 車一平四 馬2進3
7. 炮八平九 炮2進4 8. 兵五進一 炮8進4
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車一平二とせず浮いて使う(振る)のが「横車
黒は卒7と卒3どちらも突けるが選ぶなら前者
紅は四間や右4間飛車に振るが、いずれにせよ
黒は右辺の象士馬を順に出して炮2進4が形だ


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中炮対屏風馬互進三兵

ここまで紅黒の早い兵卒突きを順に見てきたが
少なくとも紅は兵突きを急がない方が良さそう
本稿では「七兵には7卒」「三兵には3卒」で
中炮過河車互進七兵を避ける世界観を採用する


【五八炮 対屏風馬互進三兵 紅辺馬】19

1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一平二 卒3進1 4. 兵三進一 馬2進3
5. 馬八進九 卒1進1 6. 炮八進四 象7進5

互進三兵は、紅が炮八平七と寄る「五七炮」と
寄らない「五八炮」に分かれ、後者の方が平和
馬八進九の「辺馬」と卒1進1はワンセットで
炮八進四~平三の先逃げ象7進5もワンセット

7. 炮八平三 卒1進1 8. 車九平八 炮2進2
9. 兵九進一 車1進5 10車二進四 炮8退1
11車八進四 車1平2 12馬九進八 炮8平2
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黒は兵7を見捨てて車1進3と浮くつもりだが
炮八平三で炮が去れば1間飛車を捌いていける
紅が車二進四を省けば車交換後に炮8進4だし
本譜も車が両方交換になり早くも引き分け模様


7. 炮八平七 車1進3 8. 炮七平三 炮2進1
9. 兵三進一 象5進7 10車二進六 炮8平9
11車二進三 馬7退8 12炮三進三 士6進5
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炮八平七~平三の一時停炮には炮ブツケが有力
途中馬三進四で紐を付けても馬3進4で切れる
兵三を残すと炮交換~炮8進4~平7で困るが
捨てると今度は本譜の車ブツケで車を消される


7. 炮八平七 車1進3 8. 車九平八 車1平3
9. 車八進七 炮8平9 10車二進九 馬7退8
11車八進一 士4進5 12車八退七 馬8進6
13車八平二 卒5進1 14炮五進三 炮9平7
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1間飛車から右炮を換えたら、左車もブツケる
(手損なので普通しないが次の馬8進6が好形)
紅は車を寄り道して馬6進4の通り道を塞ぐが
黒も中卒を捨てて馬6進5を作り、一局の象棋


【五七炮 対屏風馬互進三兵 紅辺馬】14

1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一平二 卒3進1 4. 兵三進一 馬2進3
5. 馬八進九 卒1進1 6. 炮八平七 馬3進2

「五七炮」の方が黒としては神経を使うらしい
炮八平七(+辺馬)には馬3進2で直車を封じる

7. 車九進一 車1進3 8. 車九平六 象3進5
9. 馬三進四 士6進5 10馬四進六 炮8進1

そこで紅は車九進一「横車」~平六と活用する
(右車浮きには車1平4先着か車ブツケで対抗)
士4を上がると炮五平三からの三筋攻めが怖く
炮8進1も馬六進四~進二の侵入を防いで必要

11炮七平六 卒5進1 12兵五進一 卒5進1
13馬六進五 車1平6 14車二進一 象7進5
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車1平6は馬を取り返す準備で、これがないと
上部が薄すぎて炮五進五に将5平6と躱せない
本譜の進行は怖いものの黒が凌ぎきれていそう


【五七炮 対屏風馬互進三兵 紅緩平炮】18

1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一平二 卒3進1 4. 兵三進一 馬2進3
5. 馬八進九 卒1進1 6. 車九進一 卒1進1
7. 兵九進一 車1進5 8. 炮八平七 車1平7

炮八平七を保留すれば黒は卒1進1の一手だが
黒も馬3進2を省き車1平7と捌いて悪くない

9. 車九平八 炮2平1 10車八進六 卒7進1
11車八平七 馬3進4 12車七進一 象7進5
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黒は車に侵入され象も取られるが、駒が捌ける
本譜のような展開なら黒も互角以上に戦えそう


【五七炮 対屏風馬互進三兵】14改

1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一平二 卒3進1 4. 兵三進一 馬2進3
5. 炮八平七 卒1進1 6. 車九進一 馬3進2

辺馬にも正馬にもせずすぐ炮寄りが実は一番厭
馬3進2は薄くなった中央を馬三進四で衝かれ
卒1進1も馬八進九を省かれ黒が立ち遅れ気味

7. 馬三進四 象3進5 8. 馬四進五 炮8平9
9. 車二進九 馬7退8 10馬五退七 炮2進7
11車九平八 馬2進3 12馬七退五 馬3進5
13相三進五 炮2平1 14車八退一 炮1退1
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双方とも元気よく進めた場合の一例が本譜だが
紅は炮を誘いこんでも車一枚では取りきれない
今度は紅反則の千日手になるので黒もやれそう

車交換後に馬八進九と手を戻すなどして互角か
現状、黒が致命的に悪くなる順は見当たらない


【五八炮 対屏風馬互進三兵 紅正馬】20改

1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一平二 卒3進1 4. 兵三進一 馬2進3
5. 炮八進四 象7進5 6. 馬八進七 馬3進4

すぐ馬八進七は炮8進4が強いが(起馬局参照)
象7進5と受けさせて馬八進七「正馬」は有力
炮八進四~平七なら卒1進1で正馬も歓迎だが
本譜で卒1進1は冴えないので黒も手を変える

7. 炮八平三 炮2平3 8. 車九平八 車1進1
9. 車八進四 馬4進3 10炮五平四 車1平8
11車八進三 馬3退4 12車二進五 前車平4
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黒は3筋に集中し、右車は進1から横車で使う
馬4進3~進5が馬当たりなので中炮を躱すが
炮五平四は後の前車平4を防げず黒が良くなる
炮五平六なら黒も車1平4など手を変えて互角


~~~~~~~~~~~~

起馬局

初手馬八進七(馬二進三)「起馬局」に対し黒は
跳んできた馬の前の卒を突くのが自然かつ最善
黒やや得なやり取りだが、紅は形を決めやすい
(紅番で起馬局~中炮に還るのは簡明でお勧め)


【起馬対挺卒 紅三歩虎】100改

1. 馬八進七 卒7進1 2. 炮八平九 馬2進3
3. 車九平八 車1平2 4. 車八進六 炮2平1

三歩虎~車浮きに黒は車寄り~炮ブツケが形で
もう車交換で馬を退かされても手損にならない
車を浮いてこなければ炮2進4「封車」で良い

5. 車八平七 象7進5 6. 兵七進一 卒3進1
7. 車七退二 馬8進6 8. 相三進五 車2進8
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車交換を避けられても左象出~馬8進6が好形
本譜も黒の車が敵陣深く侵入できて、不満なし


【起馬対挺卒 紅還中炮】99

1. 馬八進七 卒3進1 2. 炮二平五 馬8進7
3. 馬二進三 車9平8 4. 車一平二 炮8進4
5. 兵三進一 馬2進3

起馬局から中炮に組むと黒からの変化は減るが
紅も五八炮紅正馬の封車される形に限定される
兵三進一と馬2進3の交換は前後しても無関係
(省いて炮八進四は卒7を逃げられると空振り)

5. 兵三進一 馬2進3 6. 炮八進四 炮8平3
7. 車二進九 馬7退8 8. 馬三進四 象7進5
9. 馬四進五 馬3進5 10炮五進四 士6進5
11相七進五 馬8進7 12炮五平一 車1進1
13炮八平四 車1平4 14車九平八 炮2平3
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炮八進四には車ブツケから中央を厚くして互角
炮8平3は象当たりで紅の左車を制してもいる
黒は馬を引き戻し右4間飛車に組めば一安心だ


5. 兵三進一 馬2進3 6. 馬三進四 炮8進1
7. 炮八進四 炮8平3 8. 車二進九 馬7退8
9. 車九進二 炮3進1 10馬四進五 馬3進5
11炮五進四 将5進1 12炮五退二 将5平4
13炮八平六 馬8進7 14車九平四 (紅勝勢)
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自然な馬三進四に自然な躱しの炮8進1は敗着
馬は取れても空心炮と炮車の空爆がキツ過ぎる
車1進1と兵三進一の交換が加われば難しいが
炮3進1に炮八平七~車九平八でやはり紅良し


5. 兵三進一 馬2進3 6. 馬三進四 象7進5
7. 兵三進一 炮8進1 8. 兵三進一 炮8平3
9. 車二進五 炮2進2 10車二進四 馬7退8
11車九進一 炮2進2 12兵五進一 炮2平9

象7進5と受けつつ左辺を軽くするのが正着だ
兵三進一~進一は炮取り馬取りで要注意ながら
炮を前に逃げ、車ブツケで馬を逃がせば受かる
途中停車にも途中停炮で応じれば結局合流する

13 車九平二 炮9平5 14仕四進五 車1平2
15 車二進八 車2進7 16車二退六 車2進1
17 車二平五 車2平3 18相七進九 炮3平2
19 帥五平四 炮2進2 20帥四進一 炮2退1
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以下は黒が激しく攻めて引き分け模様になる例
(これも黒反則かもしれないが黒は打開できる)
黒としてはこれらの順を中心に対策しておけば
起馬局から還る中炮は何とかなりそうに思える


【起馬対挺卒 紅屏風馬】97→70

1. 馬八進七 卒3進1 2. 兵三進一 馬2進3
3. 馬二進三 車1進1 4. 炮二平一 車1平7
5. 炮八進四 卒7進1 6. 炮八平七 卒7進1
7. 炮七進三 士4進5 8. 車九平八 卒7進1

兵を先着された筋の正馬は対中炮以外では微妙
黒は紅の屏風馬を真似せず三間飛車で位に挑み
炮を無視して象も取らせてひたすら卒7を突く
炮二平一のところ車九進一や仕相上がりも同様

9. 馬三退五 炮2進2 10兵七進一 卒3進1
11炮七退五 炮8進4 12相三進五 車9進2

本譜は左辺を制し、炮馬で右辺を止めて黒満足
三間飛車で兵三突きと屏風馬を巧く逆用できた

13車一平三 車9平8 14炮一平二 炮2平8
15炮七平二 車8平6 16前炮進五 後炮進3
17炮二退七 車6進5 18炮二退二 車6進1
19相五進三 車7平6 20炮二平一 後車平8
rnbakabnr/9/1c5c1/p1p1p1p1p/9/9/P1P1P1P1P/1C5C1/9/RNBAKABNR w moves b0c2 c6c5 g3g4 b9c7 h0g2 a9a8 h2i2 a8g8 b2b6 g6g5 b6c6 g5g4 c6c9 d9e8 a0b0 g4g3 g2e1 b7b5 c3c4 c5c4 c9c4 h7h3 g0e2 i9i7 i0g0 i7h7 i2h2 b5h5 c4h4 h7f7 h4h9 h5h2 h9h2 f7f2 h2h0 f2f1 e2g4 g8f8 h0i0 f8h8

ただし車一平三に車9平6と突っ張れるかが謎
車9平8の妥協なら本譜などで引き分け模様か
(以下車三平二は馬3進4~進6~進7が強い)


~~~~~~~~~~~~

飛相局

初手相三(七)進五「飛相局」は地味に超難しく
象3進5は兵七、象7進5は兵三を突かれ困る
本稿ではどっちでも突いてこいの正馬を調べる
(後述する対兵局との平仄を最も合わせやすい)


【飛相局対左正馬 互進七兵】92→68

1. 相三進五 馬8進7 2. 兵七進一 卒7進1
3. 馬八進七 象3進5 4. 馬二進四 馬2進4
5. 車一平三 車1平3 6. 兵三進一 卒7進1
7. 車三進四 卒3進1 8. 兵七進一 車3進4

相が残った方の兵を突き合うと「鏡の局」模様
お互い正馬、象出、馬二進四と組むのが自然だ
袖飛車から飛車先交換まで真似象棋で追従して
大駒交換から引き分けになりやすい同形となる

9. 車九進一 馬7進6 10馬七進六 車9進1
11車九平六 馬6退8 12車三平四 炮8進5
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車九進一なら、いよいよ同形が煮詰まってくる
馬出を挟むのと車九平六は真似ないのが肝要で
馬6退8と車に当てつつ炮を換えて引き分け風


9. 馬七進六 馬7進6 10炮八平六 車9進1
11車九平八 炮8平6 12馬四進三 車9平8
13車八進六 馬6進5 14車三進二 炮2平4
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紅が左の車を浮かず寄ってくる方がやや面倒で
黒は本譜のように延々と耐え続けることになる
本譜が厭なら最序盤の馬8進7を保留して組み
炮8平7の余地を残すのも一案だが中々難しい


【飛相局対左正馬 互進三兵黒屏風馬】92

1. 相三進五 馬8進7 2. 兵三進一 卒3進1
3. 馬二進三 馬2進3 4. 馬八進九 象7進5
5. 車九進一 車1進1

普通紅は正馬の頭を抑える三兵を突くと思うが
それなら堂々と屏風馬に組んで四間に車を振る
(黒象は卒を突いた方に向いて飛ぶ、と憶える)

5. 車九進一 車1進1 6. 車九平七 車1平6
7. 兵七進一 卒3進1 8. 車七進三 馬3進4
9. 仕四進五 車6進3 10車一平四 車6進5
11馬三退四 炮2平4 12馬四進三 士6進5
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紅が車をどこに振ろうが、黒は四間飛車が好形
(車九平四にも車9進1で二枚飛車をブツケる)
続いて巡河車から7筋交換を目指すのが基本だ


5. 車九進一 車1進1 6. 車九平六 車1平6
7. 仕四進五 車6進3 8. 車六進三 卒7進1
9. 兵九進一 士6進5 10炮二退二 炮8平9
11兵三進一 車6平7 12炮二平三 馬7進6
13車六平八 炮2進5 14炮三進五 炮2平7
15車八平四 炮7平1 16相七進九 象5進7
17車四進一 象7退5
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本線は相4間飛車から炮で車を逐っての総交換
紅の二枚飛車は怖いが、本譜は引き分け定跡だ
(今の私には全くわからないので手順のみ記す)


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士角炮、過宮炮

初手炮二(八)平四(六)の「士角炮/過宮炮」は
中炮と比べて圧力が弱く、黒はすぐ卒を突ける
車寄りから隙あらば封車するのは対中炮と同じ
(対兵局経由で7卒突きを消された場合は後述)


【士角炮対挺7卒】48改

1. 炮二平四 卒7進1 2. 馬二進一 馬8進7
3. 車一平二 車9平8

右四間もとい士角炮には即同側の卒突きが簡明
馬八進七にはほぼ常に卒3進1で特段問題ない
馬二進三の正馬でも、黒の手はほぼ変わらない
紅が車を浮いてこなければ炮8進4で封車する

3. 車一平二 車9平8 4. 炮八平五 炮8進4
5. 馬八進七 炮2平5 6. 車九平八 馬2進3
7. 車八進六 車1進2 8. 兵七進一 炮8平5
9. 馬七進五 車8進9 10馬一退二 炮5進4
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中炮は嫌いだが、四五炮(?)には相中炮が良い
紅の車寄りに合わせて馬車を浮き、右辺が軽い
車八平七なら炮5退1~平3だし、本譜も充分


3. 車一平二 車9平8 4. 車二進四 炮8平9
5. 車二平四 炮2平5 6. 炮八平五 馬2進3
7. 馬八進七 車1平2 8. 兵七進一 車2進6
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巡河車には車をブツケ、避ければやはり中炮だ
紅が若干立ち遅れたため黒の車が2筋を制圧し
兵七進一なら横から中央に車を利かせて黒有利


3. 車一平二 車9平8 4. 車二進六 卒3進1
5. 炮八平五 馬2進3 6. 馬八進七 炮2進1
7. 車二退二 炮8平9 8. 車二進五 馬7退8
9. 車九平八 炮2平3 10兵三進一 卒7進1
11車八進四 炮3進3 12相七進九 象7進5
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過河車に車を即ブツケると車二平三が厭なので
先に卒3突き~炮浮きで車をどかしておきたい
車交換後に紅は対側の車を捌くが、黒不満なし


3. 車一平二 車9平8 4. 兵七進一 炮8進4
5. 馬八進七 馬2進1 6. 馬一退三 炮8進2
7. 炮八平九 車1平2 8. 車九平八 象7進5
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紅の素直で最強な兵七突きには封車で突っ張る
馬二進三の正馬型なら黒中炮、辺馬なら本譜だ
炮をいぢめられて怖いが、黒も対抗はできそう


【過宮炮対挺7卒 紅巡河車】52改

1. 炮二平六 卒7進1 2. 馬二進三 馬8進7
3. 車一平二 車9平8

4間飛もとい過宮炮にも、黒は同様に組みたい
(紅炮がないと炮をどかさず車を寄れて嬉しい)
なお過宮炮と辺馬はバランスが悪く普通は正馬

3. 車一平二 車9平8 4. 兵七進一 炮8進4
5. 馬八進七 馬2進1 6. 炮六平五 士4進5
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兵七進一に対して黒はやはり封車~辺馬が良く
紅は中炮に振り直すぐらいで冴えないが、互角


3. 車一平二 車9平8 4. 車二進四 炮8平9
5. 車二平六 馬2進3 6. 兵七進一 炮2平1
7. 馬八進七 車1平2 8. 車九平八 車2進4
9. 炮八平九 車2進5 10馬七退八 炮1進4
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本譜の巡河車~4間飛車は最も過宮炮らしい順
兵七進一だと黒の右三歩虎が早く、車を浮ける
紅は車交換やむなしだが兵をパクパクされ不満


3. 車一平二 車9平8 4. 車二進四 炮8平9
5. 車二平六 馬2進3 6. 馬八進七 卒3進1
7. 兵七進一 馬7進6 8. 車六平四 卒3進1
9. 車四進一 象3進5 10炮六平四 士4進5
11炮八平九 卒3進1 12車九平八 車1平2
13馬七退五 炮2進4 14相三進五 炮9平7
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紅は左辺の車が出遅れないよう馬八進七を急ぐ
対する黒は馬を見捨てて卒3単騎突撃が面白い
(単に同卒も普通だが)過河卒が紅の左馬を制し
黒は馬損でも駒の働きで代償を得られていそう


~~~~~~~~~~~~

対兵局

初手兵七(三)進一「仙人指路」には炮を寄るか
点対称に卒を突く「対兵局」かのほぼ二択だが
実は今までの知識で後者の対兵局はほぼ指せる
(以下は仙人指路特有の変化に絞って記載する)

黒が対兵局を選ぶには、全ての戦型の最序盤で
兵七や兵三の突き合いに備えなければならない
指しこなせれば、最高に格好良い戦法だと思う


[仙人指路対卒底炮 紅左中炮]58

1. 兵七進一 炮2平3 2. 炮八平五 炮8平5
3. 馬八進七 馬8進7 4. 馬二進一 車9平8
5. 車一平二 馬2進1 6. 炮二進四 卒3進1
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前者の「卒底炮」に対して紅からは色々あるが
例えば左中炮なら黒は相中炮で対抗する他ない
形勢互角かもしれないが進んで指したくはない


【対兵局 紅兵底炮 黒左中炮】77

1. 兵七進一 卒7進1 2. 炮二平三 炮8平5

ただ対兵局でも先後逆で同じく炮を廻られると
結局黒は左中炮で応じるのが一番自然のようだ
(加わった兵七進一は形勢を変える程でもない)

3. 炮八平五 炮5進4 4. 仕四進五 象3進5
5. 馬八進七 炮5退2 6. 車九平八 馬2進4
7. 馬七進五 炮5進3 8. 相三進五 卒5進1
9. 馬五進六 馬8進9 10馬二進四 車9平8
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相中炮は厭だが黒に主導権があるので目を瞑る
仕四でも仕六でも馬2進4までは同様に進むが
馬二進一~車寄りへの対応が若干変わってくる
本譜は中兵を刈って炮も広く陣形も堅く黒充分


3. 馬八進七 馬8進7 4. 相三進五 車9平8
5. 馬二進四 馬2進1 6. 車一平二 車8進9
7. 馬四退二 車1進1 8. 炮三進三 馬7進6
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紅の正馬も自然な手だが黒にとって不満はない
馬7進6~進5に備えて紅が中兵に数を足すと
今度は車寄りを先着され手損で消す羽目になる


3. 兵三進一 炮5進4 4. 兵三進一 炮2進2
5. 兵三平四 馬8進7 6. 炮三進四 車9平8
7. 馬八進七 炮5退1 8. 馬二進一 車8進6

兵三の突進に炮2進2の覗きが中炮たる所以
紅は馬の頭を炮で抑えて過河兵で何とか耐える
以降も一本道の進行で、車8進6は馬出を防ぎ
炮2進2~平5を支援して決め手にも見えるが

9. 炮八平二 炮5平2 10 車一平二 車8進3
11馬一退二 前炮進1 12兵九進一 後炮退3
13車九進三 前炮退2 14炮三進三 士6進5
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単に馬七進八は象3進5で黒の模様が良いので
炮取りを無視して車をブツケるのが紅の勝負手
黒駒得だが炮救出に手間が掛かり、将が危ない
(実際のところの形勢は私にはよくわからない)


【対兵局 紅屏風馬】70(前述)

1. 兵七進一 卒7進1 2. 馬八進七 馬8進7
3. 馬二進三 車9進1 4. 車一進一 車9平3
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本譜は起馬対挺卒紅屏風馬(左右逆)に合流した
途中で紅が中炮に振ればやはり屏風馬で応じる
相出なら真似象棋か屏風馬で飛相局に合流する
単提馬や、兵卒が逆の士角炮/過宮炮には横車


【対兵局 紅単提馬】71改

1. 兵七進一 卒7進1 2. 馬八進七 馬8進7
3. 馬二進一 車9進1 4. 炮二平四 馬7進8

片方を辺馬に跳ぶ「単提馬」もこの場合の形で
黒は横車からの3間飛車を用意して様子を見る
炮をどかす手には馬出で車一平二を封じておく

5. 炮八進三 卒3進1 6. 兵七進一 車9平3
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馬に当てる手は卒捨て~3間飛車で咎められる
炮四進三も馬2退3と当て返して何も起きない


5. 相七進五 象3進5 6. 車一進一 車9平6
7. 馬七進六 馬2進1 8. 馬六進七 炮2平4
9. 馬七進五 士6進5 10馬五退三 車6進2
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相には象で。黒は(兵一突きに備えて)一手待ち
炮に車を当てて仕を上げさせ4間飛車を封じる
馬出で耐えてくれば辺馬~炮2平4が絶好手で
本譜は馬が詰むし、馬交換も黒の右辺が捌ける


【対兵局 紅士角炮 黒横車】78改

1. 兵七進一 卒7進1 2. 炮八平六 車1進1
3. 馬八進七 車1平4 4. 仕六進五 馬8進7
5. 車九平八 馬2進1 6. 馬二進一 車4進3
7. 炮六退二 卒1進1 8. 炮二平六 車4平2
9. 車八進五 馬1進2 10車一平二 炮8平9
rnbakabnr/9/1c5c1/p1p1p1p1p/9/9/P1P1P1P1P/1C5C1/9/RNBAKABNR w moves c3c4 g6g5 b2d2 a9a8 b0c2 a8d8 d0e1 h9g7 a0b0 b9a7 h0i2 d8d5 d2d0 a6a5 h2d2 d5b5 b0b5 a7b5 i0h0 h7i7

炮がどけば車が浮ける。その車で炮に当て返す
黒の横車と左正馬は逆向きの卒を活かしており
巡河車と端歩突きで辺馬も捌けた本譜は黒充分


【対兵局 紅過宮炮 黒横車】無

1. 兵七進一 卒7進1 2. 炮八平四 車1進1
3. 馬八進七 車1平6 4. 仕六進五 馬8進7
5. 車九平八 馬2進1 6. 馬二進一 車6進3
7. 相七進五 炮2平6 8. 炮四進五 炮8平6
rnbakabnr/9/1c5c1/p1p1p1p1p/9/9/P1P1P1P1P/1C5C1/9/RNBAKABNR w moves c3c4 g6g5 b2f2 a9a8 b0c2 a8f8 d0e1 h9g7 a0b0 b9a7 h0i2 f8f5 c0e2 b7f7 f2f7 h7f7

対過宮炮も、対士角炮とほぼ同じ要領で指せる
馬2進1は癪だが馬を躱しつつ象で守る必要手
車6進3の巡河車から炮を換えてやはり黒充分


~~~~~~~~~~~~

本稿は完全に自分用なので、読みにくいと思う
今回さうざんでいずでは枠組みを作っただけで
(その日食べるお昼ご飯を決めたぐらいの段階)
ひとつひとつを掘り下げるのはまだこれからだ


※参考資料
『シャンチー入門とその先へ』2022 中村 千鶴
『象棋布局挙要(続編)』1994 居榮鑫
『中国象棋云库查询』

†本記事は Chess Advent Calendar 2022 12/9枠

※将棋・目次『さうざんでいず』【続き】
※チェス『対 1. e4』『他』『同形』『白』
※どうぶつしょうぎ『後手必勝』
※連珠≒五目『自由打ち黒必勝』
※囲碁『9x9』 ※オセロ『引分』


Shogi: 総合競技風リズムゲー速度ゲー
Chess: 突然の叫び声と共に終わるゲー
Animal: 無限Zugzwangゲー
Renju: 定石を抜けると将棋の終盤ゲー
Go: 夜空に星を散りばめる様に鬱ゲー
Othello: 手番という排泄物を投げつけあう逆速度ゲー
Gammon: 破滅を楽しむ運ゲー
Quwana Heptathlon: パーティーゲーム




皆様ご無沙汰しております。あさげです。
最近は将棋棋士の牧野先生らとつるみ、ボードゲーム全般を広く浅く楽しく遊んでおります。

弊ブログ読者が他のアブストラクトゲーム界と交流する上でお勧めなのは桑名七盤勝負です。
将棋・チェス・どうぶつしょうぎ・連珠・囲碁(九路)・オセロ・バックギャモンを横に並べ、
七種目を各一手ずつ進めて持ち時間45分(切れ負け)、四本先取で勝ちという狂気の遊びです。

七盤選手が大体良い人なのと、実は全部のルールを網羅せずとも普通に遊べるのがポイント。
上達のコツとしては可能な範囲で内容を思い出して序盤だけでも振り返るのが有効でしょう。
先日も四試合ほどやってきましたが、惜しくも敗れてしまった試合を軽く振り返ってみます。



まずは将棋(白=後手番・指掛)です。雁木対後手早繰り銀ですが先番みたいな顔して攻め、
64銀と出るべきところ機械的に72飛と寄って無理気味になりましたが後で誤魔化しました。
(76歩同銀と取り込んだ形なら、64/84銀を出ずに72飛が最善手となる場合もありますが)

48銀型で飛車の横利きが止まっており、かつ58金が入ってなければ75歩はほぼ通ります。
ただ56歩型は68角~46角が常に強く、こちらも居飛車のままで突破力を保つべきでした。
(なお、突き詰めると後手番で52金右を入れるのは欲張りすぎ、という結論になるかもです)



お次はチェス(白=先手番・勝)。フィアンケットマンが黒のNc6をいかに咎めるかの頻出形。
本譜は 8. Qa4 でしたがこれが早速ぬるめ。こう出るなら 8. Nc3 dxc4 9. Qa4 が筋です。
取らずに 8. Nc3 h6 9. Ne5 0-0 10. cxd5 exd5 11. Bf4...も対角線上の圧力で白満足げ。

白陣は統計的にNc3型よりNbd2型が好形になりやすい気がしてNc3を躊躇するんですが、
何も準備していないのがバレバレですね。ただ実戦的にはこの戦型、白を持って指しやすく、
c5突きの心配なく組み上げた実戦は、c6地点を直射角行で無事焼き切ることができました。


C3き A2き C4き B3ひ B3ぞ B2ぞ A2ぞ A2ら B3き C2ぞ
B2き B2ら A3ぞ A2ら C3き B2ひ B2ぞ B2ら B3ひ B1ら
A3ら A2き A4ら A3ぞ C4き C1ら C3き B1ぞ C4き C2ら
B2ひ'B2ぞ B2ひ B2ら C3ぞ C1ら B3ら C2ひ C4ぞ A1き
A3ぞ A2ぞ A4ら B3ひ
0-1
どうぶつしょうぎ(後手番・勝)は70手台で後手勝ちの結論が出ている3×4の小型将棋です。
適切な Zugzwang が見えないと案外勝てない形も多く、これはこれで緊張感があります。
本譜は目立った悪手を出さずに勝ちきることができました。唯一仕上がっていた競技ですね。



連珠≒五目並べ(白=後手番・敗)は先手の黒にだけ三々・四々・長連の反則が賦課されます。
しかし制限なしに本譜の浦月などを打たれると後手必敗です。ちょっと粘りに欠けましたね。
(12手目をひとつ左の三引きに変えるとか、四手目から早くもマイナーな手で変化をつけるか)



九路盤囲碁(黒=先手番・敗)は序盤さえ準備すれば案外チェス/将棋勢でも試合になります。
ただ簡単な死活や基本的な速度計算はできないと読めませんのでそこは準備が必要でしょう。
本譜は25手目ツゲば何事もないところ何かノビてしまい、以下紛れはしたものの半目敗け。



オセロ(黒=先手番・敗)は色が反転しすぎて自分の力ではどうにも棋譜を再現できません。
No-Kung で来ることは何となく察したので自分がされて厭そうな所謂 EJ? を選びました。
しかし例によって記憶力がなく、自分からすぐ辺に降りる変化を選んで結局ボロ敗けでした。


バックギャモン(後手番・敗)はいっぱい踏んだり踏まれたり踏まれたりで楽しかったです。
以上。



p.s. オセロもたまに並びだしましたが、世界大会を制するにはまだ道のりは遠いようです。

※前回の記事『白番不敗 Barcza System』


誓ってもいいが、マーシャ、あるいは父親の呼び方によればマシャーは、
まぎれもない美女だったが、わたしはそれを証拠立てることはできない。
どうかすると、地平線の上に雲があちこち群がって、太陽がその陰になりながら、
雲や空をありとあらゆる色合い――真紅、橙色、金色、紫色、茜色に染め、
ある雲は修道僧に、ある雲は魚に、また別の雲は頭巾をかぶったトルコ人にそっくり、
というようなことがあるものだ。空の三分の一が夕焼けになって、教会の十字架や
旦那の家のガラス窓に照り映え、川面や水溜りに映じ、木々の上にわなないている。
遠く遠く夕映えを背にして野鴨の群れが塒を求めてどこかへ飛んで行く……。
牛追いも、四輪馬車で土手をよぎる測量技師も、そぞろ歩きの旦那がたも、
誰もが夕焼けを眺め、その限りない美しさに気づかぬ者はいないが、誰ひとり、
どこがいったいそんなに美しいのか、知る者もなく口にする者もない。

А.П.Чехов 美女




初手d4(/c4/Nf3)への最強の対策である。まず白に中央をあげちゃって、
次にPawn突きでそれを壊し、角行Bishopの暴力的な利きを通して勝つ。

白番の Asage Barcza System と、ほとんどの戦型で同じように組める。
e4も甘受する KID よりはやや直線的で、捌きあいから即終盤になりがち。

初手e4に対して超加速龍の予定なら、この二つだけで黒番を網羅できる。
駒がぶつかるまでの対応表は下記の通り。(損せず取れるPawnは基本取る)

d4には Nf6, c4/Nf3には g6~Bg7
(d4の後の)Nc3には d5
e4/(d4前の)Nc3には c5~Nc6


~~~~~~~~~~~~

1. d4 Nf6 2. c4 g6
3. Nf3 Bg7 4. Nc3 d5


d4, c4, Nc3が揃った瞬間、次のe4が来る寸前d5を突くのがこの戦法の要。
まずはNf3を決める形を概観し、これを省く重要変化は後で簡単に見る。




【e3: Closed Variation】

5. e3 0-0 6. Be2 c5
...

0-0とd5とc5が揃えば黒は一手損 Catalan で、互角以上と思って指す。
Pawnが二組ぶつかったが、一旦白から取って来るのを待つ方が味良い。

Be2と途中下車させたのでdxc4はあるが、Qa4やQxd8の余地が生じる。
黒c5は筋。白dxc5と取っても守り難い位置で、後々味良く取り返せる。


7. dxc5 Qa5 8. 0-0 dxc4
9. Qd4 Be6 10. Ng5 Nc6
11. Qh4 Bd7 12. Qxc4 Ne5
=

白dxc5の外向き取りにはQa5が形。cxd5なら Nxd5 Qxd5 Bxc3†だ。
本譜はNc6〜Ne5とQueenを逐って千日手模様。Qd1ならRad8で充分。


7. cxd5 Nxd5 8. Qb3 Nxc3
9. bxc3 Nc6 10. 0-0 Na5
=

白cxd5の内向き取りには即同kNightが基本。そこから逐われて逃げる時、
Nxc3かNb6か悩むが、迷えばNxc3で構わない。(手順前後が影響しにくい)

以下Qb1はBf5, 他はb6〜Qc7だ。白dxc5やd5突きはc3を弱めて疑問。
取りを決めずに0-0も、cxd4〜Nc6〜ほぼdxc4〜Na5〜Be6で指せる。


5. e3 0-0 6. cxd5 Nxd5
7. Bc4 Nxc3 8. bxc3 c5
9. 0-0 Qc7 10. Qe2 Nc6
=

Qc7やQe7型は基本的に好形。先手で入る時には大体決めてしまって良い。
一旦Nc6でe4を牽制したら、後はb6〜Bb7と組んで概ね何の不満もない。

6. b4 Be6 7. c5 Nbd7...も、以下c6〜b6やa5ブツケで位を逆用できる。


【Bf4】

5. Bf4 0-0 6. e3 c5
7. dxc5 Ne4 8. Rc1 Nd7
9. cxd5 Qa5 10. Qc2 Nxc3
11. bxc3 Nxc5 12. Nd4 e5
=

e3の前にBishopを排出する方が白味良く見えるが、同じくd5~c5で良い。
dxc5にすぐQa5もあるが、先にNe4〜Nd7が簡明。一歩損は取り返せる。


5. Bf4 0-0 6. Rc1 Be6
7. e3 dxc4 8. Ng5 Bd5
9. e4 h6 10. exd5 hxg5
11. Bxg5 Nxd5 12. Bxc4 Nb6
=

Rc1型はc5〜Ne4の先受けでもあり、Be6でdxc4(~c6~b5)を見せる。
Be6に即Ng5なら、その瞬間c5突きでRc1によるe3省略を咎めている。


【Bg5】

5. Bg5 Ne4 6. cxd5 Nxg5
7. Nxg5 e6 8. Qd2 h6
9. Nf3 exd5 10. e3 0-0
=

Nf3とBg7の交換が入っていれば、Ne4と躱す一択。(ない場合は後述)
Ne4にBf4ならNxc3〜c5突き、Bh4ならNxc3〜dxc4が良いだろう。

e6がkNight当たりになるのでd-Pawnは取り返せて、以下は互角の戦い。
黒は二枚角を残しており、c6~Re8(~Bf8~Bd6)と組み換えて不満なし。


5. Bg5 Ne4 6. Bf4 Nxc3
7. bxc3 c5 8. e3 0-0
9. cxd5 cxd4 10. cxd4 Qxd5
=

bxc3にdxc4は e3 b5 a4 c6 Qb1 a6 axb5 cxb5 Qe4...でRa7がない。
途中他の受け方もあるが本譜からのNc6やQa5†が無難で、以下互角。

9. Be2にはdxc4〜Nd7〜Nb6〜c4〜Nd5の要領で桂馬がよく捌ける。


5. Bg5 Ne4 6. Bh4 Nxc3
7. bxc3 dxc4 8. Qa4† Qd7
9. Qxc4 b6 10. e3 Ba6
=

Bf4型だとb筋のkNightに利いているのでb5〜c6では支えきれないが、
Bh4型なら堂々dxc4から、Qで先手を取り絶対0-0させないマンになる。


【Qb3: Russian System】

5. Qb3 dxc4 6. Qxc4 Be6
7. Qb5† Bd7 8. Qxb7 Nc6
9. Qb3 Rb8 10. Qd1 Bf5
...

白はQueenの力で黒のd-Pawnを消し、ゆっくりe4を突こうとしている。
Be6のところ0-0~Nc6が本手とされるが、変化の余地が少ないのは本譜。

5. Qa4†もBd7の千日手含みで、7. Qb4もNc6~Bd7で本譜に合流する。
ただしBd7にQb3ならc5突き捨て〜Bc6が形。(c5にd5と躱せばb5)


11. a3 0-0 12. e3 e5
13. Nxe5 Nxe5 14. dxe5 Ne4
15. Qxd8 Rfxd8 16. Nxe4 Bxe4
17. f4 f6 18. Bc4† Kh8
=

ここまで進めば引き分け模様。途中Bf5でNb4~Nc2†を見せるのが肝要。
以下同歩同歩ならb-Pawnが実質落ちるし、e6と躱しても守りきれない。


11. Qa4 Qd7 12. a3 Be6
13. e3 Bb3 14. Qa6 0-0
15. Be2 Rfd8 16. 0-0 Rb6
17. Qd3 e5 18. Re1 Qe8
=

Bf5の瞬間、Qa4とQd7の交換を利かされる順も手強いが、本譜で戦える。
Rb6は急ぐとQd3~e4の変化を生じるので、e5突き寸前まで保留すべき。


【cxd5~e4:(Modern)Exchange】

5. cxd5 Nxd5 6. e4 Nxc3
7. bxc3 c5
...

先手で中央に位を張られるが、直後のc5がd4, c3地点を狙って厳しい。
Nc6や0-0~Rd8の足し算、Bg4やQa5の引き算で対角線上に圧をかける。


7. bxc3 c5 8. Be2 Nc6
9. Be3 Bg4 10. e5 cxd4
11. cxd4 Qa5† 12. Qd2 Qxd2†
13. Nxd2 Be6 14. Bf3 Rd8
=

単にBe2はぬるく、黒は0-0も省いてNc6~Bg4と中央を狙うのが機敏。
d5突きにBxc3†が王手飛車取りになるので、このkNightは逐えない。


7. bxc3 c5 8. Rb1 0-0
9. Be2 Nc6 10. d5 Ne5
11. Nxe5 Bxe5 12. Qd2 e6
13. f4 Bc7 14. 0-0 exd5
15. exd5 Ba5 16. d6 Rb8
=

先にRb1と0-0を換えてRookを躱しておき、Nc6にd5を突くのが正しい。
これが Grünfeld Defense 全体の本線らしいが、冷静にみて互角か。


7. bxc3 c5 8. Bb5† Nc6
9. d5 Qa5 10. Rb1 Bxc3†
11. Bd2 a6 12. Bxc6† bxc6
13. dxc6 Be6 14. Rc1 Bxd2†
15. Qxd2 Qb4 16. Qxb4 cxb4
=

Bb5†の王手は鋭い。Nc6の肉壁にd5なら、変化の余地がない決戦だ。
Qa5~Bxc3†まで決めてのa6催促と、Kxd2を避ける一時停車が肝要。


7. bxc3 c5 8. Bb5† Nc6
9. 0-0 0-0 10. Be3 Bg4
11. Bxc6 bxc6 12. Rc1 Qa5
13. Qc2 f5 14. exf5 Bxf3
=

0-0で収めてくればBe2型と似た展開になる。本譜もf5を突けて互角。
途中黒がcxd4を決めれば d5 Ne5 Be2...などの順は消せるが、味消し。


7. bxc3 c5 8. Be3 Qa5
9. Qd2 0-0 10. Rc1 Rd8
11. d5 e6 12. Bg5 Rd6
13. Bf4 Rd8 14. d6 Nd7
=

形を決めず単にBe3ならQa5が良い。以下Qd2~Rc1は堅い受けだが、
黒はとりあえずQueen交換すればQueen側の手厚さを主張点にできる。

Nc6はd5が厭なのでRd8を優先し、Nf3省略にはRd8省略で対応する。
11. Be2ならQ交換。12/13. Be2ならexd5~b5~Bb7とc4妨害を挟む。


~~~~~~~~~~~~

1. d4 Nf6 2. c4 g6
3. Nc3 d5


後半はNf3を決めない場合しか現れず、かつ重要な変化群を見ていく。




【Bc4: Classical Exchange】

3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5
5. e4 Nxc3 6. bxc3 Bg7
7. Bc4 c5 8. Ne2 0-0
9. Be3 Nc6 10. 0-0 b6
...

Bc4と早めに排出するのが昔の本線。こう指せばNge2と活用でき、
Bg4にf3と逐える。それでもBg4(f3 Na5)はあるが、b6が無難。


11. dxc5 Qc7 12. Nd4 Ne5
13. Nb5 Qb8 14. Bd5 Ng4
15. g3 Nxe3 16. fxe3 Bh3
17. Rf2 a6 18. Bxa8 axb5
=

白が何もしてこなければBb7〜Rc8(〜e6〜Qe7)と組むのが基本。
dxc5には歩損を気にせずQc7が良い。白はPawnを守りきれない。

本譜はNg4の詰めろから白陣をバラして、二枚角が飛車並に強い。
以下Bd5はe6, Bc6にBh6で互角。Qb8にBe2もbxc5以下互角。


11. Rc1 Bb7 12. Qd2 Rc8
13. Rfd1 e6 14. f3 Na5
15. Bd3 cxd4 16. cxd4 Qd7
17. h4 Rxc1 18. Rxc1 Rc8
=

d5やdxc5はNe5, Bg5ならBf6, Bh6も交換上等。組んだら動く。
以下h5はRc1†〜Nc6, Rc8†〜Bh6も同Q同角Ba6で引き分け風。


【Bf4】

3. Nc3 d5 4. Bf4 Bg7
5. e3 0-0 6. Rc1 Be6
7. c5 c6 8. Bd3 b6
9. Na4 Bg4 10. Ne2 Nfd7
11. Bg5 h6 12. Bh4 Bxe2
=

Ng5が来ない上Rc1の寄り道が入ったので安心してBe6と指せる。
cxd5の総交換には大抵N〜Qで応じ、c-Pawnは見捨てるつもり。

c5と閉じれば黒はb6を囮にe5突きを準備する。(途中b4にはa5)
以下は同Bならg5〜e5, 同Qならc筋交換〜Qb6〜e5で捌け形。


【Bg5】

3. Nc3 d5 4. Bg5 Bg7
5. Bxf6 Bxf6 6. cxd5 c6
7. Rc1 0-0 8. dxc6 Qxd4
9. Qxd4 Bxd4 10. cxb7 Bxb7
11. Nf3 Bf6 12. e3 Rd8
13. Bb5 Na6 14. 0-0 Nb4
=

途中Nxd5なら Bg7 e3 c5 Nf3 cxd4 Nxd4 Nc6 Nb5 0-0...で黒良し。
e3とc5はワンセット。exd4でも黒からBg4やe6があり支えきれない。

本譜は一歩損で平然と組むが、二枚角の通り具合が素晴らしく互角。
本譜が不満なら 6. cxd5 c5 7. dxc5 Nd7...の決戦も難しいが互角。


【Qb3: Accelerated Russian】

3. Nc3 d5 4. Qb3 dxc4
5. Qxc4 Be6 6. Qb5† Bd7
7. Qb3 c5 8. d5 b5
9. e4 c4 10. Bxc4 bxc4
11. Qb7 Qb6 12. Qxa8 Ng4
=

Nf3とBg7を省いた形は黒にとってやや得だが、本譜の順には要注意。
Ng4で詰めろを掛けながらBe3を消せば、Bg7~0-0~Na6が間に合う。


~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~

(p.s.)

【f3: KID Sämisch Variation】

1. d4 Nf6 2. c4 g6
3. f3 c5 4. d5 d6
5. e4 Bg7 6. Ne2 e6
...

Nc3に代えてf3でe4を見せれば d5 cxd5 Nxd5 e4 Nxc3...がない。
この場合は King's Indian Defense Sämisch Variation にする。

cxd4を許すのは、通常の Maróczy Bind より手得で黒不満なし。
dxc5ならg6型でも平然とe6~Bxc5で取り返してしまうつもり。




7. Nbc3 a6 8. a4 exd5
9. cxd5 Nbd7 10. Ng3 h5
11. Be2 h4 12. Nf1 Rb8
13. Bg5 h3 14. g4 0-0
15. Nd2 Ne5 16. 0-0 Qd7
=

d5以下は Modern Benoni(白が凝り過ぎな)。Nh3なら必ず即同角。
Ng3型には0-0を保留して端歩で逐えば、白陣は相当まとめ難い。


7. Nec3 a6 8. a4 Nh5
9. Be3 f5 10. Qd2 0-0
11. Bg5 Bf6 12. Bxf6 Nxf6
=

右桂を持ってくる順は白陣右辺が薄く、Nh5が次のQh4†を見て先手。
受けている間にf5が通って黒陣は広く、白陣は広過ぎで互角以上だ。


5. e4 Bg7 6. Bd3 e6
7. Ne2 Nbd7 8. Nec3 0-0
9. 0-0 Nh5 10. g4 Bd4†
11. Kh1 Ng7 12. Nb5 Ne5
13. Be2 f5 14. Nxd4 cxd4


丁立人先生のBd3~Ne2にはNbd7で歩調を合わせ、右桂の動きを見る。
Nec3なら本譜の速攻、Ng3には(exd5~)端攻め、不動でもNe5がある。

Nh5にパスなら f5 exf6 Bd4† Kh1 Ng3†! hxg3 f4...で必至級。
順列組み合わせの問題はあるが、どの受け方にもどこかでf5は通る。


~~~~~~~~~~~~

【Bf4: London/Barry】

1. d4 Nf6 2. Nf3 g6
3. Bf4 Bg7 4. e3 0-0
5. c3 c5 6. Be2 Qb6
7. Qb3 d6 8. Nbd2 Be6
9. Qxb6 axb6 10. a3 Bd5
11. 0-0 Bc6 12. h3 Nbd7
=

c4を突かない力戦型は迫力がないので、黒もある程度自由に組める。
例えばc3型の London System にはc5~Qb6でも大概互角(以上)。

6. dxc5はNe4(普段はQa5)、6. Nbd2も Qb6 Nc4 Qc6で大丈夫。
本譜の他にもcxd4を決める形やe5突き狙いやNh5など色々指せる。


1. d4 Nf6 2. Bf4 g6
3. Qd2 d5 4. Nc3 Bg7
5. Bh6 0-0 6. Bxg7 Kxg7
7. 0-0-0 c5 8. dxc5 Qa5
=

白は角交換狙いなら普通Nc3型で黒Ne4に備え0-0-0を用意するが、
常に型通りのd5〜0-0〜c5(〜Qa5)で少なくとも互角には戦える。


1. d4 Nf6 2. Nc3 d5
3. Bf4 g6 4. e3 Bg7

5. Nf3 0-0 6. Be2 c5
7. dxc5 Nbd7 8. Nxd5 Nxd5
9. Qxd5 Bxb2 10. 0-0 Bxa1
11. Rxa1 Qa5 12. Bh6 Qxc5
=

先にNc3とd5の交換が入れば Barry だが、自然に指して黒充分。
Nc3型にはd5〜0-0〜c5がほぼ常に通り、dxc5には本譜で互角だ。

c5を取らずにNb5やh3ならNe4, Ne5には Bf5〜Nc6が形。
c5に0-0もcxd4〜Bg4〜(Bxf3〜)Nc6などで黒悪くない。


5. Nb5 Na6 6. h3 0-0
7. Nf3 Ne4 8. Nd2 c6
9. Nxe4 dxe5 10. Nc3 c5
11. Nxe4 cxd4 12. exd4 Qd5
13. Nc3 Qf4 14. Be3 Nb4
=

Nb5には普通Na6(〜Ne4)が、時々a6〜Ra7が正解になる。
0-0にBd3なら c5 c3 Bd7...だし、c3にはc6(〜f6〜e5)が強い。

8. Bd3 c6 Nc3 Nxc3 10. bxc3 Qa5 11. Qd2 Nc5...も、
本譜以下 Rc1 Rd8(〜Bxd4〜e5)も黒の捌け形といえる。


【Bg5: Trompowsky/Veresov/Torre】

1. d4 Nf6 2. Bg5 d5
3. Nc3 Nbd7 4. Nf3 g6
5. e3 Bg7 6. Be2 0-0
7. 0-0 b6 8. Ne5 Bb7
=

Bg5~Nc3には、Nb5がないのでd5~Nbd7と紐をつけてc5狙い。
3. e3 c5 4. Bxf6 exf6...もフィアンケットはし難いが黒に不満なし。


【1. c4: English Opening】

1. c4 g6 2. Nf3 Bg7
3. Nc3 c5 4. d4 cxd4
5. Nxd4 Nc6 6. Nc2 Bxc3†
7. bxc3 Nf6 8. f3 Qa5
=/+

d4保留型に対して黒は Symmetrical English 含みで応じるが、
c5はNc3を見てから、Nf6はd5を突ける形にしてから決めたい。

Nc2と引く Maróczy Bind には、角切りで陣形を崩しつつ捌く。
Bg7〜Nc6を先着してe4〜Be3を間に合わさせなければ怖くない。


1. c4 g6 2. Nc3 c5
3. d4 cxd4 4. Qxd4 Nf6
5. e4 Nc6 6. Qd2 Bg7
7. Nf3 d6 8. Rb1 a5
=

Nf3を省いてe4突きなら、Nc6でQueenを逐ってQB逆形が残る。
通常より白の条件が悪く、以下はほぼNd7〜Nc5と据えて充分。


1. c4 g6 2. Nf3 Bg7
3. e4 e5 4. d4 exd4
5. Nxd4 Nf6 6. Nc3 0-0
7. Be2 Re8 8. f3 c6
=

Nc3を省いてe4突きなら、c5ではなくe5と応じてみても面白い。
手順に飛車先が通り、c6~d5を手損なく突けて気分は黒大優勢。

※e4に c5 d4 Qa4† Nc3 d6...の Pterodactyl Defense もあり。


1. c4 g6 2. e4 e5
3. d4 Nf6 4. Nf3 exd4
5. e5 Bb4† 6. Bd2 Qe7
7. Bxb4 Qxb4† 8. Qd2 Qxd2†
=

両方省いてc4〜e4なら、c5もあるが本譜のe5と突っ張りたい。
Qe7がexf6を防ぎつつBb4に紐をつける絶好の受けで、収まる。


【1. Nf3: Réti Opening】

1. Nf3 g6 2. e4 c5


Nf3に常識的なNf6は、2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4...が悩ましい。
c5はd4で結局縛られるし、e5捨てやNc3にd5も若干無理気味。

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 Nc6 4. g3...は白d4が約束されて厭。
d5単突きやe6〜d5は大体 Tarrasch/Catalan に合流してしまう。
1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. Nc3 g6 4. e3 Nf6 5. d4 cxd4 6. exd4...
も、以下 d5 cxd5 Nxd5 Qb3 Nxc3 Bc4...で黒を持って自信なし。

本譜もe4で超加速龍に戻るが、Nf6やBg7を決めずに済む分、
Qb6型や Gurgenidze System などの対策を選ぶ余地がある。

……他にも変化は無数にあるが、ひとまずこのくらいにしておこう。


~~~~~~~~~~~~

皆様ご無沙汰しております。あさげです。
毎日好物の血球に囲まれて生きています。
COVID-19もそれなりに診療しています。
結婚して、先月無事長男が産まれました。

最近は将棋棋士の牧野先生らとつるんで、
アブストラクトを全体的に遊んでいます。
(チェス>将棋>ギャモン>連珠>碁>オセロ)
医学論文を書く能力を犠牲にしています。

全国級で活躍できる種目はありませんが、
広く浅く楽しむ現状に不満はありません。
全競技で序盤だけは最善を尽くせており、
このブログの著者らしく生きております。

いつまでも序盤のような新鮮な気持ちで。

皆様の盤上、
そして盤外にいつも幸運がありますよう。

     あさげ 拝