ご挨拶の最後を締めるのは、もちろん、我らがジャン・バルジャン、吉原光夫さんです。
ジャベール/伊礼彼方さんのコールで、
「ありがとうございます」
とお客さまの拍手に応えながら一歩前に出ます。
「そうですね、すごく…複雑な『レ・ミゼラブル』…2021年だったな、というのが…あの…もちろんあの、千穐楽を迎えられて、大千穐楽を迎えられて嬉しい気持ちはあるんですけど…何かこう…複雑な想いが残ってるなっていうのが正直な感想です。
暗くなっちゃいけないなと思うんですけど、この舞台に立てなかった同役の福井さんの気持ちを考えるとすごく…ふざけんなよ!!って想い…コロナウィルスが憎いな、と思います。あ!でも!福井さん全然元気なんで。必死に頑張って、リハビリをしてここに立とうと思ってたんですが、大事をとってということで。…すごく…悔しかった、と…思います」
「大阪を迎えられなかったとか、さっき伊礼が言ったみたいに博多が途中で終わったっていうことがあるんで、決して、本当に大千穐楽、ここで終わったつもりはなく、必ずもう一度その土地にも、そして、ここ長野の、ちゃんと蕎麦を食べながら公演出来るように、したいですね。ね!(お客さまかr拍手)」
この後、自分ごとなんですけど、と、ご自身の "大切な奴" が現在、ガンと闘っておられることに触れ、
「そいつを見てると、最後は "金" じゃねぇんだな、最後は "名誉" でもねぇんだな、最後 "仕事" でもねぇんだな、最後は何か、"記憶" なんだなって思うんですよね」
「自分の大切な人たちに、自分がどう記憶に残るか。どう、これから記憶を作っていくか。すごくそれだけなんですよね。だから何か(その人が)すげぇ聖人に見えるんですよね。シンプルに、シンプルになっていく人間を見てると、ジャン・バルジャンって多分、言葉悪いんですけど、1回司教に "殺される" んだと思うんですよね。そしてまた、"新しい命を受ける" と思うんですね。その瞬間こう、身体の中がこう、誰かの…ために、誰かの記憶のために、誰かのために自分が生きようとする。だからこのジャン・バルジャンって、シンプルな人間なんだなろうなっと思いますね。
だからこう、世の中にどうかこう…いろんな問題がいつもありますし、いろんな、ね…その、感染症もありますけど、僕らはどうか左右されずに、ただひたすら、毎回同じこと言ってるような気がするんですけど、側にいる大切な人を、ただその人だけを見つめて、その人の記憶に、"良い" 記憶に残るように、悪いことをしないように(ニヤッと笑い、客席もクスクス)して、生きていきたいと思います。
本当に、この素晴らしい舞台に立てて、そしてこのメンバーで…あの、でも、ウィルスのおかげで、このメンバーと一緒に、たくさん繋がれたと思ってます。僕、勝手に。みんなは思ってないかもしれないですけど(笑)。本日は、本当にありがとうございました!」
そして、特別カーテンコールの最後は、民衆の歌、です。
吉原さんが、
「いろんなもんぶっとばすために、みんなで「民衆の歌」を歌いたいと思います。皆さんも歌いたいと思うんですけど、ここはぐっと我慢して、心ん中で、そしてあの、手拍子バッチンバッチン打ってください(場内笑)。打ちながら一緒に最後を締めくくりましょう!」
と高らかに告げると、指揮者の若林さんとオーケストラの皆さんで演奏が始まります。
場内が震えるようなお客さまからの力強い手拍子の中、大千穐楽出演キャストは、バックウォールに映し出された舞台上にいない2021年キャストの映像と共に、思いの丈を込めて「民衆の歌」を歌い上げました。
その後、オーケストラの曲と共に再びキャスト全員が舞台上に居並んだ際には、バックウォールに今期キャストの役名と名前を表示し、2021年の「レ・ミゼラブル」公演を、"全員" で締めくくったのでした。
お客さまに深々と一礼
幕の向こうからの割れんばかりの拍手を聞きながら、最後のカーテン
コールの出を待つキャストたち
最後に、手を振りながらお客さまとお別れ
終演後は幕中で、キャストに指揮者・オーケストラの皆さんも加わっての手締め。
まずは松本公演主催、続いて弊社役員のご挨拶があり、最後は三本締めで、2021年『レ・ミゼラブル』、終幕、となりました。
ご挨拶に聞き入るキャストたち
同上
大千穐楽を客席から見守ってくれていたキャストたち
終演後、楽屋口に挨拶に立ち寄ってくれた方のみですが、写真撮らせて
もらいました
左からコンブフェール/古川隼大さん、フイイ/杉浦奎介さん、
レーグル/深堀景介さん、深堀さん前から左にコゼット/敷村珠夕
さん、若い娼婦/井上花菜さん、病気の娼婦/菊池愛さん、マダム/
松岡美桔さん、かつら屋/桑原麻希さん、宿屋の女房/中村萌子さん、
あばずれ/篠崎未伶雅さん、買入屋/廣野有紀さん
「レ・ミゼラブル」2021年、本当に、レミ史上、かつてない困難に直面した公演でした。
キャストもオーケストラもスタッフも、みんながそれぞれの立場で、それぞれの想いで、悩み苦しんだ日々がありました。
それでも、松本初日にも書きましたが、こうして大千穐楽を迎えることが出来たのは、「レ・ミゼラブル」を大切に思って下さるすべての皆さまの "愛" のおかげです。
心より、本当に心より、御礼申し上げます。
ありがとうございました。
が、今回、出し切れてない舞台裏の写真やオケさん取材記事などがありますので、ムラタのブログは、もう少しだけ続きます。よろしければもう少々、お付き合いいただけると嬉しいです。
今日の最後は、「終わった〜!!!」な一枚です。
前列左からファクトリーガール/宇山玲加、フイイ/岩橋大、コンブフェール/鈴木たけゆき、ジャベール/伊礼彼方、ガブローシュ/小松葵生、リトル・コゼット/宇佐見有紗、バルジャン/吉原光夫、リトル・エポニーヌ/三浦あかり、工場長/石飛幸治、マダム/關さや香、レーグル/藤岡義樹
中列左からテナルディエ/駒田一、ファンテーヌ/和音美桜、あばずれ/小林風花、買入屋/般若愛実、病気の娼婦/石丸椎菜、司教/増原英也、バベ/町田慎之介、コゼット/加藤梨里香、マリウス/内藤大希、アンジョルラス/相葉裕樹、エポニーヌ/唯月ふうか、プルベール/藤田宏樹、鳩/大泰司桃子
後列左(和音後方)からクールフェラック/持木悠、マダム・テナルディエ/森公美子、バマタボア/武藤寛、グランテール/丹宗立峰、クラクスー/土倉有貴、モンパルナス/田川景一、ブリジョン/長尾哲平、ジョリ/新井海人、若い娼婦/笠行眞綺、かつら屋/三上莉衣菜、宿屋の女房/横山友香、カフェオーナーの妻/五十嵐志保美
(以上、敬称略)