とんとん・にっき

とんとん・にっき」にお立ち寄りいただき、ありがとうございます。




*写真の上でクリックすると、より大きな画像をご覧になれます。


*コメントはいつでも受け付けています。




1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

ファン・ボルムの「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」を読んだ!

 

ファン・ボルムの「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」(集英社:2023年9月30日第1刷発行、2024年2月7日第4刷発行)を読みました。

 

本屋のない町は、町ではない。

町だと名乗ることはできるだろうが

魂まで欺くことができないことを、

自身も知っているはずだ。

――ニール・ゲイマン(小説家)

 

「この小説にはわたしの好きなものが詰まっています。本、町の本屋さん、本で読んだ良いフレーズ、思考、省察、思いやりと親切。お互いの距離感を保てる人同士のゆるやかな連帯、成長、率直で深みのある対話、そっして、いい人たち」――著者

 

目次

書店はどんな姿であるべきか?

もう泣かなくてもいい

今日のコーヒーはどんな味ですか?

去ってきた人たちの物語

良い本を推薦できるだろうか?

沈黙する時間、対話する時間

書店主みずから司会を務めるトークイベント

コーヒーとヤギ

ボタンはあるのに穴がない

常連客たち

たわしイベントは無事に

ごくたまにはいい人

和音あるいは不協和音

あなたの文章はあなた自身とどれくらい似てますか?

下手な文章が良い声を隠す

心満たされる日曜日を過ごした夜には

なんでそんな顔してんの?

仕事に対するわたしたちの姿勢

書店が根を下ろすということ

きっぱり断りたかったけれど

受け入れられる感覚

怒りを鎮める能力が必要

ライティング講座スタート

あなたを応援します

オンマたちの読書クラブ

書店を開いて食べていけるだろうか?

今日はバリスタのいる月曜日

わたしが添削しましょう

率直に、心を込めて

コーヒーを淹れるときはコーヒーのことだけを考える

ヨンジュを訪ねてきた男性は誰なのか?

過去を解き放つ

なんどもないように

ただお互いに好きでいようということ

いい人が周りにたくさんいる人生

気持ちを確認するテスト

自分をもっといい人間にする空間

ベルリンで会いましょう

何が書店を存続させるのか?

 作者のことば

 訳者あとがき

 

ファン・ボルム:

小説家、エッセイスト。大学でコンピューター工学を専攻し、LG電子にソフトウェア開発者として勤務した。転職を繰り返しながら、「毎日読み、書く人間」としてのアイデンティティーを保っている。

著書に「毎日読みます」「生まれて初めてのキックボクシング」「このくらいの距離がちょうどいい」がある(いずれもエッセイ、未邦訳)。本書が初の長編小説となる。

 

牧野美加:

1968年、大阪生まれ。釜慶大学言語教育院で韓国語を学んだ後、新聞記事や広報誌の翻訳に携わる。

第1回「日本語で読みたい韓国の本翻訳コンクール」最優秀賞受賞。

チェ・ウニョン「ショウコの微笑」(共訳、クオン)、チャン・リュジン「仕事の喜びと哀しみ」(クオン)、ジェヨン「書籍修繕という仕事:刻まれた記憶、思い出、物語の守り手として生きる」(原書房)など訳書多数。

 

朝日新聞:2024年4月17日

 

朝日新聞:2024年4月20日

 

土門拳「祈りの風景――土門拳自選作品集より」写大ギャラリー・コレクション

「土門拳展」チラシ
 

「写大ギャラリー・エントランス」

 

土門拳展「祈りの風景〜土門拳自選作品集より」

〜写大ギャラリー・コレクション〜土門 拳

 

本展は、写大ギャラリーに収蔵されている1200点を超える土門拳コレクションの中から、『土門拳自選作品集』(世界文化社、1977年)に掲載された作品のうち、風景写真に焦点を当て、仏像や自然の作品を展示いたします。

 

 『土門拳自選作品集』の「構成−レイアウト・造本」(*1)は、亀倉雄策の手によるものです。亀倉は、日本を代表するグラフィックデザイナーで、東京オリンピック(1964年)や大阪万博(1970年)のポスター、ニコンやNTTのロゴマーク等を手掛けています。土門とは10代で出会い、義兄弟と呼ばれるほど深い信頼関係を築き、多くの仕事を共にしています。

 

この作品集のデザインを依頼された亀倉は、3分冊に仕立てられた1巻目をカラーの風景写真でスタートさせ、日本の伝統や仏像等が続きます。2巻目は初期の作品や「筑豊のこどもたち」、「ヒロシマ」等の写真でまとめ、3巻目は「風貌」や「文楽」等の名作の後、巻末はモノクロの仏像、風景で締めくくられています。

 

このように、土門の自信作の最初と最後はカラーとモノクロの風景写真で飾られています。亀倉は自著(*2)の中で、土門の写真について「彼の写真は強い。そして彼の写真は涙もろい」、「私は昔から彼の風景が好きだった」と評し、「風景写真をほめると、ひどくてれた」と土門本人のことにも言及しています。そうしたことから、亀倉は作品集の構成を考えたのでしょうか。ところが同じ著書の中で、土門は「全部自分の神経で目を通して納得するまでしつように食い下がる。それはテーマに対する態度もそうだが、造本にもそうだ。特にレイアウトは自分の意志通りでないと承知しない」とも述べており、土門の強い要望のもと構成された可能性も考えられます。ますます、土門拳の風景写真への興味が高まるのではないでしょうか。

 

今回の展覧会は、作品集の構成が誰の手によるものなのかを検証することが目的ではなく、日本を代表するデザイナーが認め、本人も「てれた」という土門拳の風景への眼差しをあらためて見てみようというものです。

なお、本展覧会は、毎日新聞社が主催する土門拳賞との連携企画として、同賞の発表にあわせて開催しています。

*1『土門拳自選作品集』の表記より

*2 『デザイン随想 離陸着陸』(美術出版社、1972年)

 

企画構成 菅沼比呂志

土門拳展「祈りの風景〜土門拳自選作品集より」

 〜写大ギャラリー・コレクション〜

 会 期:2024年4月15日(月)~2024年6月1日(土)10:00 ~ 19:00

 休館日:木曜日、日曜日、祝日

 入場料:無料

会 場:東京工芸大学 写大ギャラリー

〒164-8678 中野区本町2-4-7 5号館(芸術情報館)2F

TEL 03-3372-1321(代)

地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分

 

東京工芸大学の写大ギャラリーでは、1200点を超える土門拳コレクションを収蔵しています。本展ではその中から、『土門拳自選作品集』(1977年) に掲載された作品のうち風景写真に焦点を当て、仏像や自然の作品を展示します。

 

『土門拳自選作品集』の構成−レイアウト・造本は、日本を代表するグラフィックデザイナー・亀倉雄策 (1915年〜1997年) の手によるもの。東京オリンピック (1964年) や大阪万博 (1970年) のポスター、ニコンやNTTのロゴマークなどを手がけた亀倉は、土門とも多くの仕事を共にしました。

 

昔から土門が撮る風景が好きだったという亀倉は、土門について「彼の写真は強い。そして彼の写真は涙もろい」「風景写真をほめると、ひどくてれた」と述べています。日本を代表するグラフィックデザイナーが認め、本人も「てれた」という土門拳の風景への眼差しを、あらためて見てみようというのが本展の趣旨です。毎日新聞社が主催する土門拳賞との連携企画として開催されます。

 

展示作品の一部(順不同)

 

「北山杉」1965年

 

「雪中石仏」1966年

 

「那智の滝」1963年

 

「紀三井寺の桜」1965年

 

「キリギリス」1959年

 

「浄瑠璃寺金堂吉祥天立像面相」1965年

 

「広隆寺弥勒菩薩半跏像」1939年

 

「室生寺金堂木像立像(末神)珊底羅大将頭部」
1942~43年

 

「石庭」1961年

 

「神護寺金堂薬師如来立像頭部」1964年

 

「延段」1966年

 

「羊歯」1967年

 

「藁ぼっち」1963年

 

「山里の秋」1965年

 

土門拳: 

1909年、山形県酒田市生まれ。中学時代より画家を志すが、家の事情で断念。1933年に営業写真館である宮内幸太郎写真場の内弟子となるが、報道写真家を目指し、1935年、ドイツから帰国した名取洋之助が設立した日本工房に入社。戦後は絶対非演出の「リアリズム写真」をカメラ雑誌などで提唱し、写真界に大きな影響を与えた。1958年に写真集『ヒロシマ』を刊行、国内外で高い評価を得る。筑豊炭鉱地帯の窮状を取材した1960年刊行の写真集『筑豊のこどもたち』は10万部を超えるベストセラーとなる。ライフワークとなった「古寺巡礼」シリーズでは、仏像や寺院の撮影を約40年にわたって続けるなど、一貫して日本を撮り続けた。1990年没。

 

過去の関連記事:

 

江國香織の「物語のなかとそと」を読んだ!

 

江國香織の「物語のなかとそと」(朝日新聞出版:2021年3月30日第1刷発行)を読みました。

 

田中みな実さん推薦

読み終えて確信する。私は作品にとどまらず、

江國さんという人物を丸ごと愛しているのだと。

 

書くこと、読むこと、その周辺。

豊かな物語を届ける著者の最新刊

 

読むことと、書くことにあけくれて暮らす著者の日常は、現実を生きている時間より、物語のなかにいる時間のほうがはるかにながい。散歩も、旅も、お風呂も、その延長のなかにある。創作と生活の「秘密」がひもとかれるスリリングな散文集。<解説・町屋良平>

 

すばらしい本を一冊読んだとき、いま自分のいる世界まで読む前とは違ってしまうあの力、架空の世界から現実にはみだしてくる、あの途方もない力。それについて、つまり私はこの散文集のなかで、言いたかったのだと思います。

(あとがきより)

 

目次

Ⅰ 書くこと

  無題

  秘密

  「飛ぶ教室」のこと

  パンのこと

Ⅱ 読むこと

  読書ノート

  模索と判断――私の人生を変えたこの小説

  自由

  マーガレット・ワイズ・ブラウンのこと

  奇妙な場所

  川上さんへの手紙

Ⅲ その周辺

  散歩がついてくる

  上海の雨

  外で遊ぶ

  所有する街

あとがき

解説 町屋良平

 

江國香織:

1964年東京都生まれ。87年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、89年「409ラドクリフ」でフェミナ賞、92年「きらきらひかる」で紫式部文学賞、2002年「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」で山本周五郎賞、04年「号泣する準備はできていた」で直木賞、07年「がらくた」で島清恋愛文学賞、10年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。著書に「抱擁、あるいはライスに塩を」「なかなか暮れない夏の夕暮れ」「彼女たちの場合は」「去年の雪」など。

 

過去の関連記事:

江國香織の「とるにたらないもの」を読んだ!

江國香織の「川のある街」を読んだ!

江國香織の「シェニール織とか黄肉のメロンとか」を読んだ!

江國香織の「ちょうちんそで」を読んだ!

江國香織の「犬とハモニカ」を読んだ!

江國香織の「抱擁、あるいはライスには塩を」を読んだ!

江國香織の「真昼なのに昏い部屋」を読んだ!

江國香織の「スイートリトルライズ」を読んだ!

江國香織の「日のあたる白い壁」を読む!

江國香織の「がらくた」を読んだ!

江國香織の「間宮兄弟」を読んだ!
江國香織の「ぬるい眠り」を読んだ!

江國香織の「きらきらひかる」読了。

「東京タワー」、あるいは江國香織について・1

「東京タワー」、あるいは江國香織について・2

 

宮島未奈の「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ!

 

宮島未奈の「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社:2023年3月15日発行、2024年2月5日11刷)を読みました。

 

2024年本屋大賞受賞作!
成瀬の天下取り!
【坪田譲治文学賞】
【「静岡書店大賞」小説部門 第1位】
【ダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR 2023」小説部門第1位】
【「読書メーター OF THE TEAR 2023-2024」第1位】
【「中高生におすすめする司書のイチオシ本 2023年版」第1位】
【第17回「神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞)」受賞】
【「キノベス!2024」第1位】
など続々受賞。

2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!

 

成瀬あかり

滋賀県大津市生まれ、同市在住。島崎曰く一人でなんでもできてしまうがゆえ、他人の目を気にすることなくマイペースに生きている。いつもスケールの大きなことを言うが、日頃から口に出して種をまいておくのが大事だという考えを持っており、たとえ目標に届かなくても落ち込まない。もちろん目標達成することも多数で、かつては天才シャボン玉少女としてローカル番組で名を馳せたことも。将来の夢は、二百歳まで生きること。

 

島崎みゆき

自称成瀬と同じマンションに生まれついた凡人。成瀬家とは家族ぐるみの付き合いがある。私立あけび幼稚園に通う頃から、成瀬あかり史の大部分を間近で見てきたという自負があり、成瀬を見守るのが己の務めだと考えている。コミュニケーション能力が高く、友人も多い。両親は県外出身。

 

目次

ありがとう西武大津店

膳所から来ました

階段は走らない

線がつながる

レッツゴーミシガン

ときめき江州音頭

 

宮島未奈:

1983年静岡県富士市生まれ。滋賀県大津市在住。京都大学文学部卒。

2018年「二位の君」で第196回コバルト短編小説新人賞を受賞(宮島ムー名義)。2021年「ありがとう西武大津店」で第20回「女による女のためのR-18文学賞」大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。同作を含む本書がデビュー作。

 

朝日新聞:2024年4月13日

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観た!その2

「月岡芳年 月百姿」チラシ
 

「太田記念美術館」案内板

 

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観てきました。

 

月岡芳年の月百姿は、今までも何回か観ていました。

月岡芳年「月百姿」その1

月岡芳年「月百姿」その2

月岡芳年「月百姿」その3

月岡芳年「月百姿」その4

太田記念美術館で「芳年―『風俗三十二相』と『月百姿』―」展を観た

専修大学生田・図書館本館で「月岡芳年展」を観た!

 

以下、展示順に画像を載せます。

月岡芳年の代表作、「月百姿」全100点を紹介

月岡芳年(つきおかよしとし 1839~92)は、幕末から明治時代前半にかけて活躍した浮世絵師です。月岡芳年の武者絵は迫力ある大胆な構図が特色で、現在の私たちをも惹きつけるカッコいい魅力にあふれています。太田記念美術館では月岡芳年をしばしば取り上げていますが、今回の展覧会では芳年晩年の代表作となる「月百姿(つきひゃくし)」100点を前期と後期に分けて全点紹介いたします。

「月百姿」の世界をさまざまな切り口で紹介

「月百姿」は、月にちなんだ物語を題材としていますが、平安時代や戦国時代の武将たちや絶世の美女たち、あるいは幽霊や妖怪などの不可思議な存在まで、さまざまなテーマが登場します。本展では、音曲や和歌、謡曲、人々の暮らしなど、描かれている題材を切り口に、「月百姿」の世界を紹介いたします。

 

ここでは前期を、その1とその2に分けて紹介します。

 

  

「月百姿 弓取の数に入るさの身となれば
おしまざりけり夏夜月 明石儀太夫」

 

「つき百姿 やすらはで寝なましものを
小夜ふけてかたぶく迄の月を見しかな」

 

「月百姿 月輝如晴雪 梅花似照星
可憐金鏡転 庭上玉房馨 菅原道真」

 

「つきの百姿 花山寺の月」

 

「月百姿 吉野山夜半月 伊賀局」

 

「つき百姿 垣間見の月 かほよ」

 

「月百姿 むさしのの月」

 

「月百姿 孝子の月 小野篁」

 

「つきの百姿 月宮迎 竹とり」

 

「月百姿 玉兎 孫悟空」

 

「月百姿 史家村月夜 九紋竜」

 

「月百姿 つきのかつら 呉剛」

 

「月百姿 破窓月」

 

「月百姿 悟道の月」

 

「月百姿 月明林下美人来」

 

「月岡芳年 月百姿」

発行日:2017年8月21日初版

     2023年10月10日第4刷

著者:日野原健司(太田記念美術館主席学芸員)

監修:公益財団法人太田記念美術館

発行所:青幻舎

 

「太田記念美術館」ホームページ

太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (ukiyoe-ota-muse.jp)

 

過去の関連記事:

太田記念美術館で「深掘り!浮世絵の見方」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」(前期)を観た!

太田記念美術館で「葛飾応為『吉原格子先之図』―肉筆画の魅力」を観た!

太田記念美術館で「歌川広重 山と海を旅する」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!(前期)

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」(後期)を観た!

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」を観た!(前期)

太田記念美術館で「広重おじさん」(後期)を観た!

太田記念美術館で「広重おじさん図譜」(前期)を観た!

太田美術館で「浮世絵と中国」を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」(後期)を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」を観た!

太田記念美術館で「はこぶ浮世絵 クルマ・船・鉄道」を観た!

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(後期)を観た。

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(前期)を観た!

太田記念美術館で「赤―色が語る浮世絵の歴史」を観た!

太田記念美術館で「信じるココロ 信仰・迷信・噂話」を観た!

大田記念美術館で「江戸の恋」を観た。

太田美術館で「歌川国芳」(後期)を観た!

太田記念美術館で「歌川国芳」(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(後期)を観た!

太田記念美術館で「青のある暮らし―着物・器・雑貨」を観た!

太田記念美術館で「ハンブルク浮世絵コレクション展」(後期)を観た!

太田記念美術館で特別展「江戸園芸 花尽し」(前期)を観た!
太田記念美術館で「芳年―『風俗三十二相』と『月百姿』―」展を観た
「ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展」を観る!

 

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観た!その1

「月岡芳年 月百姿」チラシ
 

「太田記念美術館」案内板

 

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観てきました。

 

月岡芳年の月百姿は、今までも何回か観ていました。

月岡芳年「月百姿」その1

月岡芳年「月百姿」その2

月岡芳年「月百姿」その3

月岡芳年「月百姿」その4

太田記念美術館で「芳年―『風俗三十二相』と『月百姿』―」展を観た

専修大学生田・図書館本館で「月岡芳年展」を観た!

 

以下、展示順に画像を載せます。

月岡芳年の代表作、「月百姿」全100点を紹介

月岡芳年(つきおかよしとし 1839~92)は、幕末から明治時代前半にかけて活躍した浮世絵師です。月岡芳年の武者絵は迫力ある大胆な構図が特色で、現在の私たちをも惹きつけるカッコいい魅力にあふれています。太田記念美術館では月岡芳年をしばしば取り上げていますが、今回の展覧会では芳年晩年の代表作となる「月百姿(つきひゃくし)」100点を前期と後期に分けて全点紹介いたします。

「月百姿」の世界をさまざまな切り口で紹介

「月百姿」は、月にちなんだ物語を題材としていますが、平安時代や戦国時代の武将たちや絶世の美女たち、あるいは幽霊や妖怪などの不可思議な存在まで、さまざまなテーマが登場します。本展では、音曲や和歌、謡曲、人々の暮らしなど、描かれている題材を切り口に、「月百姿」の世界を紹介いたします。

 

ここでは前期を、その1とその2に分けて紹介します。

 

「月百姿 神事斬月 旧山王祭」

 

「月百姿 廓の月」

 

「つきの百姿 たのしみは夕顔だなのゆふ
涼男はててら女はふたのして」

 

「月百姿 猿楽月」

 

「月百姿 朱雀門の月 博雅三位」

 

「月百姿 五節の命婦」

 

「つき百姿 宮路山の月 師長」

 

「月百姿 きぬたの月 夕霧」

 

「月百姿 源氏夕顔巻」

 

「月百姿 賊巣の月 小碓皇子」

 

「月百姿 稲むらか崎の明ぼのの月」

 

「月百姿 きよみがた空にも関の
あるならば月をとどめて三保の松原」

 

「月百姿 鳶巣山暁月 戸田半平重之」

 

「月百姿 つきの発明 宝蔵院」

 

「つきの百姿 常にこそ曇もいとへ
今宵ぞとおもふは月の光なりけり 玄以」

 

「月岡芳年 月百姿」

発行日:2017年8月21日初版

     2023年10月10日第4刷

著者:日野原健司(太田記念美術館主席学芸員)

監修:公益財団法人太田記念美術館

発行所:青幻舎

 

「太田記念美術館」ホームページ

太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (ukiyoe-ota-muse.jp)

 

過去の関連記事:

太田記念美術館で「深掘り!浮世絵の見方」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」(前期)を観た!

太田記念美術館で「葛飾応為『吉原格子先之図』―肉筆画の魅力」を観た!

太田記念美術館で「歌川広重 山と海を旅する」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!(前期)

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」(後期)を観た!

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」を観た!(前期)

太田記念美術館で「広重おじさん」(後期)を観た!

太田記念美術館で「広重おじさん図譜」(前期)を観た!

太田美術館で「浮世絵と中国」を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」(後期)を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」を観た!

太田記念美術館で「はこぶ浮世絵 クルマ・船・鉄道」を観た!

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(後期)を観た。

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(前期)を観た!

太田記念美術館で「赤―色が語る浮世絵の歴史」を観た!

太田記念美術館で「信じるココロ 信仰・迷信・噂話」を観た!

大田記念美術館で「江戸の恋」を観た。

太田美術館で「歌川国芳」(後期)を観た!

太田記念美術館で「歌川国芳」(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(後期)を観た!

太田記念美術館で「青のある暮らし―着物・器・雑貨」を観た!

太田記念美術館で「ハンブルク浮世絵コレクション展」(後期)を観た!

太田記念美術館で特別展「江戸園芸 花尽し」(前期)を観た!
太田記念美術館で「芳年―『風俗三十二相』と『月百姿』―」展を観た
「ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展」を観る!

 

高橋源一郎の「DJヒロヒト」を読んだ!

 

高橋源一郎の「DJヒロヒト」(新潮社:2024年2月25日発行)を読みました。

 

645ページもある、昭和史と文学史をリミックスした長編小説。

 

DJヒロヒト 目次

プロローグ 6・1と8・6

第一章 ヒロヒトの学校

第二章 震災と女たち

第三章 ぼくらは戦場に行った

第四章 戦争ミュージカル「南太平洋」

エピローグ DJ

 

ラジオから届く、あの時代のヴォイス
JRAK、こちらパラオ放送局……。中島敦、大久保康雄らが接点をもった熱帯生物研究所。そこに流れてくるラジオ番組は「オールナイト・パラオ!」。謎のDJのトークが昭和史と文学史と奇想を巧みにリミックスし、ヒロヒトと南方熊楠、森鷗外ら戦前・戦中期の文化人たちとの密かな絆を謳いあげる。6年ぶりの大長篇小説。

 

ヒロヒトは1901年に生まれ、

さまざまな人間と昭和を生きた。

 

この小説に登場するのは・・・

井上毅、井上靖、大岡昇平、小笠原長生、小田実、折口信夫、金子文子、狩野亨吉、北杜夫、古関裕而、小林勇、志賀直哉、アルベルト・ジャコメッティ、武田泰淳、立川賢、ウォルト・ディズニー、マレーネ・ディートリヒ、寺田寅彦、東郷平八郎、朝永振一郎、永井荷風、中島敦、中村眞一郎、夏目漱石、仁科芳雄、乃木希典、服部広太郎、林芙美子、福永武彦、ロベール・ブレッソン、古山高麗雄、堀田善衛、アンドレ・マルロー、南方熊楠、森鴎外、山形有朋、山川健次郎、湯川秀樹、ジャック・ラカン・・・。

 

高橋源一郎:

1951年生まれ。作家。明治学院大学名誉教授。横浜国立大学経済学部中退。88年「優雅で感傷的な日本野球」で三島由紀夫賞、2012年「さよならクリストファー・ロビン」で谷崎潤一郎賞受賞。著書に「ぼくらの民主主義なんだぜ」「ゆっくりおやすみ、樹の下で」「たのしい知識 ぼくらの天皇(憲法)・汝の隣人・コロナの時代」「ぼくらの戦争なんだぜ」ほか多数。

 

「日本文学盛衰史」

2001年5月31日第1刷発行

著者:高橋源一郎

発行所:講談社

手持ちの本で、過去の読んだことがある。

「DJヒロヒは、著者の以前の作品、

「日本文学盛衰史」を踏襲している、という。

 

過去の関連記事:

高橋源一郎の「一億三千万人ための『歎異抄』」を読んだ!

高橋源一郎の「これは、アレだな」を読んだ!

「高橋源一郎の飛ぶ教室 はじまりのことば」を読んだ!

NHKのラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」!

高橋源一郎の「ぼくらの戦争なんだぜ」を読んだ!

高橋源一郎編「読んじゃいなよ!」を読んだ!

高橋源一郎の「失われたTOKIOを求めて」を読んだ!

高橋源一郎×斎藤美奈子の「この30年の小説、ぜんぶ」を読んだ!

「100分deパンデミック論」を観た! | とんとん・にっき (ameblo.jp)

高橋源一郎の「非常時のことば 震災の後で」を読んだ!

高橋源一郎の「威張るな!」について

高橋源一郎の「ぼくらの民主主義なんだぜ」を読んだ!

高橋源一郎の「悪と戦う」を読んだ!

高橋源一郎の「ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ」を読んだ!

高橋源一郎の「性交と恋愛にまつわるいくつかの物語」を読んだ!
二度結婚し、二度離婚した。

(ブログを始める前にはもっと読んでた)

江國香織の「旅ドロップ」を読んだ!

 

江國香織の「旅ドロップ」(小学館文庫:2022年10月11日初版第1刷発行)を読みました。

 

エッセイ37篇のほか巻頭に死を三篇収録

 

旅をした場所と空気、食べ物、

そして出会った人々や動物たち――

このエッセイ集は、小さな物語のようだ。

時も場所も超えて、懐かしい思い出に、

はるかな世界に連れ出してくれる。

いきあたりばったりの旅こそ、

私たちの憧れだった。

 

「考えてみれば贅沢で無謀な旅だった。帰る日も決めず(お金の続く限りいようと思っていた)、泊まる場所も決めず(いきあたりばったりの旅こそ私たちの憧れだった)、言葉もできず、でもともかく可能な限りいろいろな乗り物に乗り、可能な限り遠まわりをして、アフリカ大陸に行こうとしていた。(・・・)アフリカ大陸には飛行機ではなく船で渡らないといけない、と、私たちは信じていた。」

忘れられない海外への旅と国内の旅。でも、一冊の本の中にも、初めて入ったデパートの食品売場にだって、旅はある。懐かしい思い出が詰まった極上の一冊。

 

私とその友人は、十三歳のときに女子校で出会った。

どちらも本好きで外国に憧れていて、

ドラマティックのことが好きでおいしいものが好きで、

すぐに意気投合した。

トーマス・クックの時刻表は、私たちの宝物だった。

ひろげて部屋の壁に貼り、

「壁のその部分だけ外国みたいだ」と思っていた。

(本文より)

 

目次

旅ドロップ プロローグ 詩三篇

旅ドロップ1 心が強くなる歌

旅ドロップ2 大分の緑とバードマン

旅ドロップ3 地理の勉強のこと

旅ドロップ4 パリの地下鉄と真理ちゃんの声

旅ドロップ5 バターパンのこと

旅ドロップ6 かわいそうなつばめ

旅ドロップ7 日帰り旅行の距離と時間

旅ドロップ8 最初に行く店のこと

旅ドロップ9 思い出の富士山

旅ドロップ10 平安時代の旅

旅ドロップ11 はみだす空気

旅ドロップ12 逆転現象のこと

旅ドロップ13 死者の家

旅ドロップ14 コーヒータイム

旅ドロップ15 旅先の雨

旅ドロップ16 長崎の夜

旅ドロップ17 決意している

旅ドロップ18 かれいひのこと

旅ドロップ19 スドクのこと

旅ドロップ20 ローマのケニア

旅ドロップ21 みたいなもの

旅ドロップ22 乗り継ぎのこと、あるいはフランクフルトの空港の思い出

旅ドロップ23 ナッシュヴィルのアイスクリーム

旅ドロップ24 三十分間の旅

旅ドロップ25 年中眺めていたかった版画のこと

旅ドロップ26 ポケットから出現するもの

旅ドロップ27 動物たち

旅ドロップ28 がんばれ永明

旅ドロップ29 ロシアの紅茶

旅ドロップ30 ロシアの書道

旅ドロップ31 斜めのコップ

旅ドロップ32 九州@東京

旅ドロップ33 脱臭剤の思い出

旅ドロップ34 F氏からの手紙

旅ドロップ35 にこやか問題

旅ドロップ36 帰る場所のこと

     *

旅ドロップ 番外編 トーマス・クックとドモドッソラ

 

江國香織:

1964年東京生まれ。主な小説作品に、「きらきらひかる」(紫式部文学賞)、「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」(山本周五郎賞)、「号泣する準備はできていた」(直木賞)、「真昼なのに昏い部屋」(中央公論文芸賞)、「犬とハモニカ」(川端康成文学賞)、「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」(谷崎潤一郎賞)などがあり、エッセイ・童話・詩・翻訳などのジャンルでも多くの著書がある。

 

過去の関連記事:

江國香織の「とるにたらないもの」を読んだ!

江國香織の「川のある街」を読んだ!

江國香織の「シェニール織とか黄肉のメロンとか」を読んだ!

江國香織の「ちょうちんそで」を読んだ!

江國香織の「犬とハモニカ」を読んだ!

江國香織の「抱擁、あるいはライスには塩を」を読んだ!

江國香織の「真昼なのに昏い部屋」を読んだ!

江國香織の「スイートリトルライズ」を読んだ!

江國香織の「日のあたる白い壁」を読む!

江國香織の「がらくた」を読んだ!

江國香織の「間宮兄弟」を読んだ!
江國香織の「ぬるい眠り」を読んだ!

江國香織の「きらきらひかる」読了。

「東京タワー」、あるいは江國香織について・1

「東京タワー」、あるいは江國香織について・2

山本理顕の「権力の空間/空間の権力」を読んだ!(再掲)

建築のノーベル賞といわれるプリッカー賞の今年の受賞者に、建築家の山本理顕さん(78)が決まったことは、過去に記事で載せました。

「山本理顕さん プリッカー賞(建築のノーベル賞)」!

 

そう言えば、山本理顕の著書・「権力の空間/空間の権力」を読んだことを思い出しました。ということで、以下に過去に書いた記事を再掲します。

山本理顕の「権力の空間/空間の権力 個人と国家の<あいだ>を設計せよ」を読んだ!

 

riken


山本理顕の「権力の空間/空間の権力 個人と国家の<あいだ>を設計せよ」(講談社選書メチエ:2015年4月10日第1刷発行)を読みました。帯には「アレントとともに挌闘する建築家の提言」とあります。

 

山本理顕は1945年、中国北京の生まれ。日本大学、東京芸大大学院を出て、東京大学生産技術研究所の原広司研究室の研究生となり、海外集落調査に同行しています。東京大学生産技術研究所・原研究室が行った世界各地の集落調査を全5冊にまとめ、「SD 別冊」として出版しています。いま、手元にないので、何年も続いた調査なので、山本がすべてに参加したのかどうか、はっきりしませんが、僕の古い友人も幾つかの調査に参加していました。この本は全5冊、どこかにあると思います。原広司の集落調査については、以下に書いたことがあります。
原広司の最新プロジェクトと「集落の教え100」など!

 

その1. 地中海地域の領域論的考察
その2. 中南米地域の領域論的考察
その3. 東欧・中欧地域の形態論的考察
その4. インド・ネパール集落の構造論的考察
その5. 西アフリカ地域集落の構造論的考察

 

山本の実家は薬局でした。表通りに面して店があり、奥に生活の場があります。いつでも来客に対応できるように、コンパクトで多目的な居室になっていたという。「LDK+n」という戦後住宅の標準的なプランニングとは相いれないこの生活体験が、山本の住宅感を後々まで支配します。1986年「GAZEBO」、1987年「ROTUNDA」、1988年「HAMLET」と立て続けに住宅を発表します。そして1987年には 「雑居ビルの上の住居」で 第39回、2002年には 「公立はこだて未来大学」 第54回日本建築学会賞を受賞します。2007年に完成した「横須賀美術館」は、よく知られています。

 

山本理顕の「権力の空間/空間の権力 個人と国家の<あいだ>を設計せよ」を読んで、正直言ってブログに書くのは僕には無理と思いました。気にはなっていましたが、しばらく迷っていると、ちょうど朝日新聞の書評欄に、原武史(明治学院大学教授・政治思想史)の書評が載りました。

 

そこで原は、「建築家の山本理顕は、思想家のハンナ・アレントが著した『人間の条件』を、これまでの政治思想史研究とは全く異なる資格から読み解いた」として、「政治思想史の研究者の多くは、思想家が残したテキストを丹念に読み込み、政治概念を抽出することには努めても、政治が住居や都市のような空間とどれほど深く関係してきたかを考えようとはしなかった」といい、山本理顕の著書を「著者の読みはきわめて斬新であり、建築家がアレントを精読するとこうなるのかという新鮮な発見に満ちている」と述べています。

 

「著者によれば、アレントほど空間のもつ権力性に敏感な思想家はいなかった。そのアレントが古代ギリシャで注目したのが、公的領域(ポリス)と私的領域(オイコス)の間にある『無人地帯』、つまり『閾(しきい)』だというのだ。・・・確かに『人間の条件』には、それに相当する文章がある。しかし、政治思想史の分野で、ここまで『閾』に注目した研究は見たことがない」。そして「もし本書の問いかけに、政治思想史の側から何の応答もなされないのであれば、あまりにも空しい」とまで、述べています。

 

「邑楽町庁舎コンペ」や「小田原市民ホールコンペ」については、以前から聞いてはいました。山本の主張が間違っていないことは理解できますが、「そうは言っても」ということもあります。「官僚化」についても、「労働と仕事」についても、今まで言い尽くされてきた事柄です。モダニズムの建築を批判することも同様です。そして、アレントの思想に、あまりにも多く寄りかかっていることです。ところによっては、牽強付会ともいえるような引用の仕方です。

 

山本は、「1住宅=1家族」はコミュニティをつくらない、という。自分の育った薬局での体験でどのような住み方の提案が出てくるのか、期待しましたが、経済行為と一体になった住宅は、奈良県橿原市今井町の町家や、六角橋中通り商店街、そしてパリ2区のパサアージュだけでした。山本の理想とするのは、「立体的な商店街のような『地域社会圏』」のようですが…。いやはや、それにしても僕にはあまりにも荷が重い。

 

ハンナ・アレントについては、映画「ハンナ・アーレント」と、矢野久美子の「ハンナ・アーレント」を読みました。

岩波ホールで「ハンナ・アーレント」を観た!

矢野久美子の「ハンナ・アーレント」を読んだ!

講談社のホームページには、以下のようにあります。


ハンナ・アレントは『人間の条件』の中で、古代ギリシアの都市に触れて「私的なるものと公的なるものとの間にある一種の無人地帯」という奇妙な表現を使っている。ここで言われる「無人地帯」とは「ノー・マンズ・ランド(no man’s land)」の訳語である。そして、このノー・マンズ・ランドこそ、都市に暮らす人間にとっては決定的に重要だ、とアレントは言う。
本書は、この表現に注目した世界的建築家が、アレントの主著を読み解きながら、現代の都市と人々の生活が抱える問題をあぶり出し、われわれが未来を生き抜くために必要な都市の姿を提示する書である。
ノー・マンズ・ランドとは、日本家屋で喩えるなら、空間的な広がりをもった「敷居」のようなものだと著者は言う。古代の都市では、異なる機能をもつ複数の部屋を隔てたり、家の内と外を隔てたり、私的な領域と公的な領域を隔てたりする「閾」そのものが場所として成立していた。しかし、そのような場所は現代の都市からは完全に失われている。
それこそが人々の閉塞感を生み、人と人のつながりを破壊した原因であることに気づいた著者は、敢然と異議を唱える。その打開策として打ち出されるのが、インフラのレベルから構築される「地域社会圏」というヴィジョンである。そこでは、国家の官僚制的支配から自由になった人々が、それぞれの能力と条件に応じて協同し、住民の転入・転出があっても確固として存在し続ける都市が実現される。
誰も有効な処方箋を書けずにいる困難な日本で、幾多の都市にまなざしを向けてきた建築家が回答を示す必読の書。

目次
はじめに
第一章 「閾(しきい)」という空間概念
 1 "no man's land"とは何か?
 2 ポリスの空間構造、そして「閾」という空間概念
 3 集落調査I──外面の現れ(appearance)
 4 集落調査II──「閾」のある家
第二章 労働者住宅
 1 アルバート館
 2 労働者住宅の実験──親密なるもの
 3 隔離される住宅
 4 共同体的居住システム
 5 "物化"という概念
第三章 「世界」という空間を餌食にする「社会」という空間
 1 労働は労苦なのか生きがいなのか
 2 仕事の世界性
 3 世界から社会へ
 4 鳥のように自由な労働者
 5 社会はどのように管理されるのか
第四章 標準化=官僚制的管理空間
 1 一円入札
 2 権力は下から来る
 3 官僚制的統治は空間的統治である
 4 標準的空間
 5 標準化という美学
 6 「1住宅=1家族」システム
 7 搾取されているのは労働力ではない
第五章 「選挙専制主義」に対する「地域ごとの権力」
 1 「性現象」のための住宅
 2 模範農場で卵を産む鶏
 3 世界を共有しているという感覚
 4 住民参加による建築の設計、そして反対派
 5 コミュニティという政治空間
 6 選挙専制主義に対する評議会という権力
 7 「地域社会圏」という考え方
あとがき

山本理顕:
1945年生まれ。建築家。1971年、東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修了。1973年、株式会社山本理顕設計工場設立。横浜国立大学大学院教授などを歴任。主な建築作品に、熊本県営保田窪第一団地、横須賀美術館ほか。主な著書に、『新編 住居論』(平凡社ライブラリー、2004年)、『建築の可能性、山本理顕的想像力』(王国社、2006年)、『地域社会圏主義』(共著、増補改訂版、LIXIL出版、2013年)ほか。

朝日新聞:2015年6月21日

hara

 

多和田葉子の「溶ける街 透ける路」を読んだ!

 

多和田葉子の「溶ける街 透ける路」(講談社文芸文庫:2021年7月9日第1刷発行)を読みました。

 

わたしの旅は言葉の旅でもある。

多言語の中を通過しながら、日本語の中を旅する――

”エッセイの元祖”モンテーニュ縁のサンテミリオン、神田神保町を彷彿させる”本の町”ヴュンスドルフ、腕利きのすりが集まるバーゼル。世界四十八の町を巡り、"旅する作家"が見て、食べて、出逢って、話して、考えた。心と身体を静かに揺さぶる、五十一の断章。

 

今振り返ってみると、80年代の私はほとんどハンブルグにいて、滅多に旅をすることなどなかった。連戦が終わって東ヨーロッパへ行きやすくなり、ユーロが導入され、安いフライトが増えるにつれて移動は急速に増え、パンデミックの始まる2020年春まで旅の続く生活を送った。(文庫本版あとがきより)

 

目次

一月

  ブタペスト

  シュトットガルト

  ケルン

  フランクフルト

二月

  グラーツ

  クックスハーフェン

  トゥール

  ロイカーバート

三月

  カネット

  トゥーソン

  シアトル

  ベルリンⅠ

四月

  デュイスブルグ

  イエテボリ

  ハンブルグ

  デュッセルドルフ

  チューリッヒ

五月

  ボルドーⅠ

  チュービンゲン

  ヴュンスドルフ

六月

  パリ

  トゥールーズ

  ペサック

  ナント

七月

  サン・マロ

  ベルリンⅡ

  サンテミリオン

  ボルドーⅡ

  ボルドーⅢ

八月

  イサカ

  ハノーファー

  リュウネブルグ

  メットマン

九月

  バーゼル

  ベルン

  バーデンバーデン

  マンハイム

  アウシュヴィッツ

十月

  クラクフ

  ワルシャワ

  トロムセ

  ダルムシュタット

十一月

  ヴォルフスブルグ

  リガ

  タルトゥ

  タリン

十二月

  モントリオール

  ニューヨーク

  アマスト

  ボストン

  アンマン

単行本あとがき

作者から文庫読者のみなさんへ

解説 鴻巣友季子

年譜 谷口幸代

著書目録 谷口幸代

 

多和田葉子(1960・3・23~):

小説家、詩人。東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、ハンブルグ大学修士課程修了。1982年よりドイツに住み、日本語・ドイツ語両言語で小説を書く。91年、「かかとを失くして」で群像新人文学賞受賞。93年、「犬婿入り」で芥川賞受賞。96年、ドイツ語での文学活動に対しシャミッソー文学賞を授与される。2000年、「ヒナギクのお茶の場合」で泉鏡花文学賞を受賞。同年、ドイツの永住権を取得、チューリッヒ大学で博士号取得。02年、「球形時間」でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。03年、「容疑者の夜行列車」で伊藤整文学賞及び谷崎潤一郎賞を受賞。05年、ゲーテ・メダル受賞。09年、早稲田大学坪内逍遥大賞受賞。11年、「尼僧とキューピッドの弓」で紫式部文学賞、「雪の練習生」で野間文芸賞を受賞。12年、「雲をつかむ話」で読売文学賞及び芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。16年、クライスト賞受賞。18年、国際交流基金賞、「献灯使」(英語版)で全米図書賞を受賞。20年、朝日賞受賞。

 

過去の関連記事:

多和田葉子の「エクソフォニー 母語の外へ出る旅」を読んだ!

多和田葉子の「ゴットハルト鉄道」を読んだ!

多和田葉子の「パウル・ツェランと中国の天使」を読んだ!

多和田葉子の「太陽諸島」を読んだ!

多和田葉子の「容疑者の夜行列車」を読んだ!

多和田葉子の「穴あきエフの初恋祭り」を読んだ!

紫綬褒章を受章した作家の多和田葉子のコメント!

多和田葉子の「星に仄めかされて」を読んだ!

多和田葉子の「地球にちりばめられて」を読んだ!

多和田葉子の「雪の練習生」を読んだ!

多和田葉子の「飛魂」を読んだ!

多和田葉子の「百年の散歩」を読んだ!

多和田葉子の「犬婿入り」を読んだ!

多和田葉子の「献灯史」を読んだ!

多和田葉子の「言葉で歩く日記」を読んだ

 

 

 

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>