まず強く思ったのは、この子たちはなんて壮絶な世界に運命を定め(られ)てしまったのだろうという事。震災を通して自分たちの持つ力を知り、「誰かのために」という想いを決して放り投げられなくなってしまった事は本当に彼女たちにとってプラスだったのだろうかと思い悩む程に舞台裏が壮絶だった。そして感受性の栓を全開にしておかないと輝けない、アイドルという職業の畏ろしさ。AKBの上位に身を置くメンバーたちはいつも目一杯バルブを開いている印象を受けた。それは個性だとかオーラだとか表情を圧倒的に輝かせ人を惹きつける一方で、何かを受け止めた時に心が負う傷も増大させる諸刃の剣。傷つく覚悟を持って生きる彼女たちは少女でありながら大人よりも大人だと思った。
(乱暴に書き並べますが)震災に総選挙にコンサートに日々の出来事、全てにおいて何かしら傷つきもがく彼女たちを見ていて正直辛かったけれど、唯一の光はやはり隣に仲間がいる事。被災地で涙を滲ませる岩田さんも、総選挙後に堪えようとしていた大島さんも、SBDで今にも倒れそうなあっちゃんも、不安だらけで帰ってきた大場さんも、葛藤を抱えて立ちつくす島田も、必ず誰かが隣にいて抱きしめる。腕をとる。支え合う。それだけが光。長い光。おちゃらけて映ったりのりえだってそう。PVに映らなくても撮影がヒマでももう泣かない。二人でいれば何でも楽しい。ともすればドハマりして堕ちていってしまいそうなネガティ部二人がそんな境地に達したのでなんかもうあんまり心配してない。辛い事がたくさんあっても大人のやり方が汚くてもそれだけは光であり盾であり真実。私が一番見たいものでもあるかもしれないそれがこの映画にはしっかりいくつも映っていた。うん、見て良かった。
その他個人個人に思った事。大島さん。今までの大島さんの印象は不運なスーパースター。だけどこの映画を見て、大島さんもカメラの前で堪え切れない時があるのだと知って改めて普段のプロ意識に畏れを抱いた。余計怖いわ。
りえちゃん。この映画で休息の役割を担ったりえちゃん。しょーもないこと考えて一人で盛り上がってるりえちゃんで正直だいぶ気が休まった。でもその一方でSBDのりえちゃんがアップで映った瞬間は思わず息を飲んだ。この振り幅と存在感、やっぱり北原さんはスクリーンで生きていく人だね。
まゆゆ。感情のままに叫ぶことをやめて内に秘める術を身に付けたまゆゆが心に燃やし目に宿す炎は赤い炎から青い炎へ。炎の温度は確実に上がっている。
島田。毎度この子のリアリティは一体。整理のつかない本心を包み隠さずボロボロ泣きながら。すごいなぁ。信頼ってこういう事なんだなぁ。あダメだあまりのリアルさに思い出し泣きしそうになる。
萌乃ちゃん。全く期待してなかったけどなんか映りまくってた。超嬉しい。総選挙前のナーバスなあっちゃんとも会話出来ちゃう。カコいい。以上。