インド料理店を本当の意味で楽しむにはいくつかのコツとステップが必要です。
今回はそんなお話を少々。
<コツその1:ランチタイムはあえて避けよう>
インド料理店と言えば大抵は、ランチではお客さんでいっぱいの店でもディナーはガラガラというのが一般的です。
単に「食べやすくて美味しいカレーを安くで食べたい」だけであれば勿論ランチでも充分かもしれません。
しかしインド料理の本当のスゴさを知るにはランチは敢えて避けるべきかもしれません。
インド料理店のランチと言えば大抵は
・生野菜のサラダ
・チキンスープ
・タンドリーチキン
・ナン
・カレー
みたいな感じで、カレーのチョイスは
・キーマカレー
・バターチキン
・サグ(ホウレンソウのピュレで緑色の)
・日替わりの「チキンと**のカレー」
みたいな感じですかね。
もちろんこういったラインナップというのは、日本人なら誰もが抵抗なく楽しめる完成度の高い
非常に良く考えられ練り込まれたメニューだと思います。
たぶんほとんどの人はこういうものがインド料理なのだろうと思っているでしょう。
「インド料理って普通においしいじゃん!」みたいな感じで満足して通っている人はとても多いんじゃないかな。
でも、インド料理の凄さというのはそういう「普通に美味しいじゃん」というレベルで満足するにはあまりにもったいないのです。
イタリア料理で例えるなら、
ナポリタンやミートソースやカルボナーラや和風きのこスパゲッティにサラダとガーリックトーストとティラミスが付いたランチを食べて
「イタリアンって普通に美味しいじゃん!」と思って終わっていたらそれはとても勿体ないですよね。
インド料理店でランチセットしか食べないというのはつまりはそういうことなんです。
<コツその2:ちょこっと予習していざディナーへ!>
というわけで、インド料理を楽しむなら是非ディナータイムに訪問しましょう、といことになるのですが
夜行けばそれだけでいいかと言えば残念ながらそういうわけには行きません。
夜のメニューには大抵、昼のメニューよりはるかに膨大なカレーが書き連ねてあります。
そしてそれらは昼の感覚で比較すると非常に高額です。
昼700円程度でセットが食べられる店でも夜のカレーは単品で1000円近いのがあたりまえです。
膨大なメニューは説明書きが付いていればまだいい方ですが、その説明とは
「香辛料とタマネギをたくさん使った辛いカレー」とか「海老の入ったマイルドなカレー」とか
わかったようなわからないようなものばかりです。
サイドディッシュになるとさらに意味不明な単語の羅列と単語の意味はわかっても実体が想像つかないもののオンパレードです。
この混沌の中からあてずっぽうにオーダーしてみるというテもなくはないわけですが、
実はそこには大きな落とし穴があるのです。
大多数のインド料理店では数種類のベースとなるソースと、茹でるなどの下処理をした具を組み合わせてメニューを増やしています。
どういうことかと言うと例えば
A:タマネギとトマトをベースにしたベーシックなソース
B:Aにうらごしホウレンソウを混ぜた緑のソース
C:Aに生クリームとバターを混ぜたマイルドなソース
具1:ゆでた鶏肉
具2:ゆでたマトン
具3:炒めた挽肉
具3:海老
具4:野菜、チーズ、その他
この順列組み合わせだけでも最大15種類のメニューが作れます。
つまり闇雲にオーダーしてもそれは「ランチでいつも食べてるやつの具が変わっただけ」である可能性が
非常に高いわけです。
ランチと比べて明らかに割高なお金でそれではあんまり意味がないですね。
そういう残念な事態を避けるためには、インド料理に関してある程度の予習は必用ということになります。
幸い今はグーグル先生という素晴らしい方がおられますので、まずは行こうと思う店のメニューをググり
そしてそこに出てきたイミフなカタカナをググる、それだけでもそこそこのことは分かります。
あるいはインド料理に対して明確な主張を持った個人の方のサイトで腰を据えて一晩くらい勉強してみるのはもっといいですね。
たとえばおすすめはコチラ です。
そうやって「インド料理店のメニューの読み解き方」を少しわかった上で食べログ先生なども活用しつつ
いざゆかん、あの店へ!
<コツその4:店を見極めよう>
そこまでやっても更に落とし穴があります。
その行こうとしている店が全く本気を出さない(もしくは出せない)店である可能性もあるからです。
大多数のインド料理店は、それが良いことか悪いことかは別として、
「大多数の日本人が抵抗なく受け入れるインド料理(っぽいもの)を提供すること」を最大テーマにしています。
ここまで、ランチを避けろだ予習しろだ言っているのはつまり、そのテーマに対してあいつらが油断しているスキを突け
ということに他なりません。
その油断はどこに最も表れるかというと、「現地の人」を意識したところに表れるのです。
簡潔に言います。
できれば日本人じゃないお客さんがいる店を狙ってください。成功の確率はグンと上がります。
まあこれは通ってみないとわからない部分でもありますが
<コツその5:食べログ活用法>
食べログはまさに両刃の剣であります。
とりあえず TOKYO CITY に限って言えば食べログ評価を信じるのが最も手っ取り早いと言えますが
それ以外の都市ではまずあてにならないと思った方が良いと思われます。
典型的な書き込みの一例↓
胡麻ドレッシングがかかったサラダはシャキシャキと新鮮で、顔より大きいナンはパリパリのモチモチで甘味もあり、チキンカレーは良く煮込まれてお肉も柔らかくコクと深みのある味わいで、私は辛いのが好きなので3辛にしましたがちょうど良い辛さでした。インド人の方が作られてて本格的な味わいに大満足で星☆☆☆☆四つ!
いやきっと美味しいんでしょうその店は。
しかし、またイタリアンを引き合いに出してなんですが
マイルドなクリームソースがたっぷりかかったカルボナーラはクド過ぎず麺のゆで加減もアルデンテでちょうど良く、トッピングされた半熟たまごをくずして絡めて食べると最高でした~!絶対リピします星☆☆☆☆四つ!
その店にあなたは「感動的なイタリア料理」を求めて訪問しますか???というコトですよ!
<コツその6:通いつめて主導権を握れ>
これは上級テクになります。
ここまで読んでもらったらおわかりかもしれませんが、
インド料理店で単なるおいしいを超えた感動的なインド料理がオンメニューされていることは稀で、その理由とは
①日本人はそういうものを求めていないと頑なに信じ込んでそういうものを封印している
②そもそもそういうものを作るスキルがなくて、マニュアル的な日本人向けインド風料理しか作れない
のどちらかです。
つまりおいしいアマトリチャーナが作れるけど日本人はナポリタンしか好まないと信じてナポリタンしか作らないか、そもそも料理経験のないまま来日してナポリタンだけを教わったか、みたいな話です。
後者はそもそも話にならず、またそういうなんちゃってシェフが増えているという社会問題もあるのですがここではそれは一旦置いといて、
前者の本気を引き出すことができればもうこっちのものということです。
そのためには、まずはその店と仲良くなるということですね。
インド料理不毛の地とも言われる名古屋には凄いマニア集団がいて、
そういう実力がありそうな店を見極めると、店と直接交渉し、使用食材やメニューも指定し
場合によっては本国から食材を取り寄せさせた上で完全プロデュースの元にその店で食事会を開催
なんてことをやってのけてます。
まあそこまでやるのは並大抵ではないキアイが必要になってきますが、そういう方たちとオトモダチになって
その企画に乗っかるなんて方法もあります。ミクシィなんて覗いてみたら、意外と全国でこういう活動は行われています。
さてと、長々とここまで読んだ大方の人はおそらく
「めんどくせ~」
「そこまでやらなきゃいけないならもーいーわ」
とウンザリされている方が大半なのではないでしょうか。
正直なところ、僕はみなさんに先ずはウンザリしていただくためにここまで書いたと言っても過言ではありません。
そもそも僕が既にウンザリしています。
というわけで、次回後編では、とりあえずそういう地道な努力をすっとばして
極めて簡単にインド料理の真の実力の一端に触れるための最も手っ取り早い方法をお伝えします。