第十話 麻雀プロ
成田という客がいた。きけば麻雀プロだという。
プロ業界のことは何も知らなかった。興味があったわけでもない。
ただ、「こいつがプロっていうのなら・・・」
ちょっとした対抗心。それが麻雀プロを受験する初めの動機。
もし、仮にだ。長いこと雀荘勤めを続けるとしたら――
「麻雀プロ」なんだかライセンスっぽくていいかな?これが後付けの動機。
後は中身を見てから考えればいい。
試験は筆記と実技。
筆記はまずまず。問題は実技。
2日間、半荘8回。成績上位順に合格だ。
不合格でも1年間の研修期間を経てプロになる道もある。
しかしそこまで時間を割くほど、麻雀プロに対するモチベーションは高くない。
実はどんな結果だったかはあんまり覚えてない。
確かなことは合格してしまったということ。
素直に嬉しかった。
「麻雀プロか・・・楽しいとこだったらいいな」
いろんな意味で期待した。今から約十年前の出来事だった。