Q「バッハって何やってんですか?」
Q「コード感を出すってどういう意味ですか?」
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
おおらかに、悩み多き人生をエンジョイして下さい!
最近はリモートを使って海外の方ともレッスンをやっているのですが、合奏するのが困難なリモートは「How to practice」中心のレッスンになります。
ジャズ・インプロヴィゼーションの練習の大切な要素に「ハーモニー(和声)を利用して旋律を生み出す」という物があります。
バッハはどのようにして美しい旋律を生み出したのでしょうか?
本記事は以前に取り上げた記事をもとに加筆しております。
バッハっぽくコード・トーンやスケールの練習をする方法が記されております。
もちろんバッハはこんな単純な物ではなく、奥の深〜〜〜〜〜〜い音楽ですが、あくまでも入門編としまして。
私のおすすめ作品はこちら
その1
「7−3の法則」
アドリブに限らず、音楽の音の動きには文法があります。
美しく聞こえるメロディには必ず何らかの法則が潜んでいるのです。
とくに、クラシック音楽は「美しい音の動き」に文法を見いだしそれに乗っ取って、あるいはそれを敢えて破壊する事によって無数の名曲?を生んできました。
たった12音しか無いのにすごいですよね!?
Ex.1 まずコード進行を流しながら適当にメロディを思い浮かべて歌ってみてください。
ミケランジェロが大理石の中にダビデ像を見出したように、コード進行の中からいいメロディを産み出すことができたでしょうか?
次は今度はコード・トーンの3度の音だけ歌って見ましょう。どこかで聞いた事のあるメロディに聞こえませんか?
Ex.2コードを弾きながら3度を歌う(練習)
Ex.2の様にコードの3度の音はとても「歌いやすい音」とされていて、世の中の歌には3度がいっぱいです!
これを利用して必ずコードの最初の音に3度を持ってくる様にします。
7thコードには4つの音(1、3、5、7)がありますので
3が頭にくる音形は
(3、1、5、7)
(3、1、7、5)
(3、5、1、7)
(3、5、7、1)
(3、7、1、5)
(3、7、5、1)
と、6種類の音型ができます。
どのように並べてもいいのですが推奨する音型が2つあります
それは(3、1、5、7)(3、5、1、7)です。
コードからコードへ移動するとき7度が3度に移動します
「7度で終わって3度にいく」
私はこれを「7-3の法則」と呼んでレッスンで時折やっています。
ただ無心で3157.3157.3157…とコード進行を見ながら弾いて行くだけです。
(ただし4度進行の上で…後述)
コードが4度進行する場合、7度はかならず次の3度におりていく(解決する)様に動きます。要するに7−3はネイバートーンですね。
(音符上の数字はコードトーンの度数)小節の最後の音と次の音に注目してください。
Ex3)
一度ピアノでもなんでもいいですからゆっくり上の譜面を弾いてみてください。
コードがなくても進行が聞こえてくると思います。
どうですか?バッハに聞こえますか?
先生
ハイ
これだとみんなおんなじになってしまいませんか?
大丈夫です
7-3の法則は一つじゃない
上下を入れ替えればバリエーションは色々作れます。
7-3の法則バリエーション例
ここで重要ポイント!!!
7-3の法則は4度進行で機能する!
次のEx4はスタンダード・ナンバー「枯葉」ですが、全て4度進行です。
実際に「枯葉」エクササイズを作ってみましょう
Ex5)
注)7-3の法則は自動的にネイバートーンに行くのでそれ以外の音は上下自由に入れ替えても構いません。(その方がヴァリエーション豊かになります)
このように多数の曲で4度進行は使われますので殆どの曲でバッハ風アプローチが可能です。
4度進行の曲・・・
([All The Things You Are] [Autumn Leaves] [There Will Never Be Another You] [There Is No Greater Love] [Cherokee] [Satin Doll] [I’ll Close My Eyes] [I’ll Remember April] etc…
スタンダード進行に対して3517を当てはめていく(3157も要練習)
おまけ!
Ex5にリズミックヴァリエーションを加味しました。!
Ex6)
どうですか?アドリブっぽくなるでしょ?
All the things you are のコード進行に7-3の法則を当てはめてみました。
(コードネームの横の数字はコードトーンの順番。表記の無い部分は4度進行ではないので7−3が当てはまらない部分)
その2
「スケールのオクターブ・シフト練習」
スケール練習というのはどの楽器でも面白くない物です(知らんけど・・・)
そんな時は?これをちょっと試して下さい。スケールの配置を覚えるためにも有効です。
スケールをアップ・ダウンする際にオクターブ・シフト(切り返し)を行なってメロディを作る手法で、バッハの作品の中によく見られます。
例3)
例4)
例3,4は、
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド・・・・
ド、シ、ラ、ソ、ファ、ミ、レ、ド・・・・・
と延々スケールが上がったり下がってるだけなんですが、途中でオクターブ・シフト(アップorダウン)してメロディっぽくなっちゃてます。
是非自分の楽器で弾いてみて下さい。
例5)
例6)
通常弱拍(8分裏)でオクターブ移調することが多いので皆さんも参考にしてやってみてください。
例7)下記の譜例はバッハの無伴奏バイオリンソナタin Bmですが・・・
上の譜例が元です。
赤線で囲まれた部分はただのスケールの行ったり来たりなんですがオクターブ移調を施す事によって魅力的なメロディに変えています。
ハーモニックマイナースケールの練習をオクターブ・シフトしながらやるととってもバッハっぽくなります。
例8)C ハーモニックマイナーのオクターブ・シフト練習例