控訴審で和解
この度立ち退きを拒んで最後まで闘っていた荻家(福万)と野尻家の二軒が、控訴審での和解という形で決着し、一月末までに立ち退くことが決まりました。
本当は和解などしたくはなかったのです。。。
最終の最高裁まで裁判をやって、それでも駄目なら強制執行されるところまで闘うつもりでした。
しかし直面した現実は予想以上に厳しかったのです。とりわけ地裁判決の完全敗訴が応えました。
何しろ仮処分付きなのですから。控訴しても先行きの見通しは暗いと弁護士から助言されれば、気力、体力、経済力とも追い詰められた状態になって、現実的な解決策を選択せざるを得なかったのです。
不本意な結果しか報告できないことが誠に残念です。
立ち退き交渉が始まって三年余、裁判になって一年半、長いようで短い月日でした。大井町駅前での抗議のビラ配り、渋谷東急本社近くでのそれ、或いは地裁前でのそれ、更には東急株主総会会場前でもやりました。数えれば十数回にもなります。他には国土交通省への陳情が二回、マスコミ相手の記者会見も三度ほどやりました。総てが初めての経験で、なれない手探りでの抗議行動を粘り強く積み重ねて来ました。それもこれも周辺の多くの方々のご支援とお力添えがあったればこその頑張りでした。
ここに改めて深く感謝の意と御礼を申し上げます。
住みなれた場所から慣れない新しい場所への住み替えは、老いた者達にはそれ自体辛い試練となりますが、気持を新たに逆境に立ち向かっていく積りです。
最後に、ご声援有難うございました。 心から御礼申し上げます。
地裁判決
2012年8月16日、最後に残された福万食堂さんへの地裁判決が出ました。
残念ながら福万さんの敗訴です。
ただ仮執行が建物所有の大家さんについたものの福万食堂さんにはつかなかったのが不幸中の幸いです。そうでなければ一家6人住む家を追われ忽ち路頭に迷う事態になりかねませんでした。
事は居住権と言う基本的人権に関わる問題です。憲法違反の人権侵害行為なのです。にも関わらず地裁判事は憲法論議に触れようともしません。法律とは借地借家法しか知らないかの如くです。
憲法は勿論、国連の人権規約委員会、如何なる意味でも力づくの強制立ち退きは人権侵害行為と明確に規定しています。その勧告を日本政府は無条件で採択しているのです。
国際法が国内法の上位に位置することは常識です。にも関わらず裁判上でその辺のところが一顧だにされた形跡もありません。
今、福万さん一家は立ち退きによる明日をも知れない生活への不安と恐怖のうちに日々を過ごしています。
この平和な日本でそんな悲惨な状態に弱者を追い詰めて平然としている横暴尊大な東急電鉄という大企業をこのまま黙って見過ごしていいものでしょうか。