ライター海江田の 『 シラフでは書けません。 』
Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

沖縄便り

沖縄にきている。

東京ヴェルディのキャンプ取材だ。

1月29日から2月9日まで、那覇市近くの西原町民陸上競技場を拠点に、新シーズンに向けて準備を進めている。

 

日々、ホテルと練習場の往復。

ほかは食事で外に出る程度で、夜は本を読み、ラジオを聴きながら眠りに落ちる(radikoのエリアフリー、万歳!)。

じつに規則正しい生活を送り、東京に帰ってもこの調子でいけば真人間になれると思うのだが、三日もしないうちに元通りになるのが常だ。

今回も期待するだけ無駄だろう。

 

長期滞在ゆえ、ホテルは吟味に吟味を重ねた。

当初は見込み違いだったかとがっかりしたのだが、だんだん快適に過ごせるようになってきている。

ビジネスホテルでは、往々にしてコンセント不足に困る。

ところが、狭いシングルルームに差し込み口が7つ。

いかにも多すぎる。タップを持参する必要がなかった。

 

チームの宿舎が思いのほか近く、一度だけ練習場以外の取材があったときはラクをさせてもらえた。

ノートを片手に、レコーダーをポケットに突っ込み、カメラと引っ提げ、ひょいひょいと出入り。面白い気分を味わう。

新加入の李栄直(リ・ヨンジ)のインタビューだった。

今季、プレーヤーとしての期待値が高く、そのうえ人物として大変魅力的。

在日朝鮮人として生き、フットボーラーの道をゆく。

掲載媒体は次号の『アジアフットボール批評 issue06』(カンゼン)。

書店に並び次第、あらためてお知らせしたい。 

まだ一文字も書いていないが、たぶん面白く仕上がると思う。

 

2月22日、高円寺のKITEN!でイベントを開催する。

『SBGトークライブ vol.2 ~2018シーズン開幕、待ったなし!』

今回のゲストは、コラムニストのえのきどいちろうさん。

昨季、アルビレックス新潟のJ2降格が決まった時点で、お願いすることを決めていた。

チケットは、まだ余裕ありまくりだ。

もうちょいしないと予定が見えないなあという方は、頭の片隅に置いといてもらえるとありがたい。

 

●掲載情報
『カズに憧れたヤンチャ小僧の28年間。平本一樹、引退後は町田で次の夢へ。』(Number Web)
 ロティーナ体制以降の強化の仕事は価値のあるものだと思いますが、この件に関しては明確にノーですね。是々非々ってやつです。
物わかりのいい顔をしてさ、見たいものだけ見て、ごまかしや流行りの忖度ばかり上手になっていくうち、おかしなことにすっと反応する直感、素直さを人は失っていくのでしょう。

※以下、最近の『スタンド・バイ・グリーン』の無料記事。

【お知らせ】仕事始め(18.1.13)

 

【無料記事】【トピックス】写真ギャラリー『2018シーズン 新体制発表会見』(18.1.14)


【無料記事】【トピックス】2018シーズン 日テレ・ベレーザ新体制発表会見(18.1.25)

 

【お知らせ】2月の更新予定(18.1.28)

 

【無料記事】【トピックス】沖縄キャンプ2018 B級ニュース事件簿〈1〉(18.2.3)

 

 

 

 

 

仕事はじまる

お正月、実家に顔を出し、麻雀をしこたま打ち、気の向くまま映画や本の世界に入り浸り、一文字たりとも書くもんかと徹頭徹尾だらけていると、そろそろ働こうという気持ちになってくる。

といいのだが、いっかなその気が湧いてこない。

 

日がな一日、ソファーに寝そべり、たまに動いたと思ったらスーパーでやたらと値の張る食材を買い込み、腕によりをかけて平均値を超えない料理をこしらえる。

これが『うまるちゃん』(Amazonプライムで見た)ならひとつの世界観として見せようもあるが、当方おっさんである。

一切、成立しない。

昨日、正月気分を脱するのにちょうどいい集まりがあった。

『フットボール批評』(カンゼン)の番記者座談会で、メンバーは栃木SCの鈴木康浩とザスパクサツ群馬の伊藤寿学。

いまさら顔を合わせたところでケミストリーはビタイチ見込めないけれども、共有する部分の多さゆえに七面倒な説明を省け、いきなり核心に入れるのがいい。

好き放題に話し、あとは任せた、いかようにもしてくれとうっちゃり、「さあて、たっぷり遊んだし、ぼちぼち仕事やるかね」と言う僕を、「やらないでしょ」と伊藤が鼻で笑う。

「はん、あんたは今年のおれを知らねえな」とは、どの口が言ったのか。

今日もまた、へらへらしているうちに日が暮れた。

 

耳をすませば、新しいシーズンの鼓動。

身体がむずむずしだす頃合いだ。

 

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

 

●掲載情報

『20歳、40歳、元代表が必死に……。Jトライアウトは選手生命の瀬戸際。』(Number Web)

セカンドキャリアは教職の道と決めている塩沢勝吾。それが少しでも先になることを祈ります。

 

『川崎の小林、大島ら獲得に教訓あり。内田篤人に“フラれた”名スカウト。』(Number Web)

スカウトマンをめぐる人間模様はおもしろいですね。移籍した選手のフォロー、ユース出身選手の追跡など、どれくらい人を大切に扱っているかという部分も如実に表れます。
「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」とばかりに親をがっちり抱え込む、えぐい手を使ってくるクラブも。でも、最終的に強いのは鹿島や川崎のように正攻法で選手を獲得できるところです。

 

『「お金儲けが目的なら都心でやればいい」小林祐希が地域のサッカースクールに見出す価値』(フットボールチャンネル)

鳴子温泉、サイコーでしたね。

 

※以下、最近の『スタンド・バイ・グリーン』の無料記事。

【無料記事】【SBGニュース】平本一樹、高木純平が現役引退を表明(17.12.9)

 

【無料記事】【トピックス】写真ギャラリー『高円宮杯U‐18サッカーリーグ2017 プリンスリーグ関東最終節 東京ヴェルディユース vs ジェフユナイテッド市原・千葉U‐18』(17.12.12)

 

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第30回 終わりと始まり ~東京ヴェルディユース2017極月~(17.12.16)

 

【無料記事】【トピックス】検証ルポ『2017シーズン 緑の轍』序章(17.12.20)


【無料記事】【トピックス】TMFC主催 クリスマスチャリティーサッカー教室2017 in多摩市“REMEMBER 3.11”SENDAI(17.12.24)

 

【お知らせ】仕事納め(17.12.30)

 

 

 

 

 

ついに川崎フロンターレが頂点に

2017シーズンが終わった。

今季のJ2、東京ヴェルディは5位でフィニッシュし、初のJ1昇格プレーオフへ。

準決勝、アビスパ福岡に0‐1で敗れている。

 

熊本のえがお健康スタジアムで行われたこのゲーム。遠征の手配は完璧だったのだ。

昨年、天皇杯の四国遠征でわりと大きい出費を迫られ(直前のため航空券が高かった)、その経験を生かすべくJALのマイルを貯めておいた。

最終節終了後、家に帰ってすぐさまマイルを特典航空券にビシッと引き換え、飛行機の予約をドンッ、ホテルもバシッと押さえた。

チームも自分も怖いくらいキマッたぜ。

目論見どおりに事が運び、ひとりで悦に入った。

これでもうひとつ先に進めれば、さらに楽しみは広がったのだが。

クライマックスに入りかけたところで、物語は幕引きとなった。

 

そんで、シーズンの疲れがどっときて、今週末は家から出なかった。

2日、J1最終節。3日、J3最終節、J1昇格プレーオフ決勝。

ついでに『IPPONグランプリ』に『M‐1グランプリ』とお楽しみが目白押しだ。

全部余さず見てやろうと、準備万端整える。

生ハム、カマンベールチーズ、クラッカー、ピクルス、ジンジャーエール、甘ったるいお菓子類を盛大に買い込んだ。

カマンベールチーズを焼きのりに挟んで食べると、びっくりするほど美味しいんだよ。

気分はパーティ。僕はたったひとりのこういった催しを好む。

2017シーズンのおつかれさん会ということにした。

 

J1最終節は、ジュビロ磐田 vs 鹿島アントラーズ。三竿健斗のプレーが見たかった。

何度かミスはあったが、三竿のパフォーマンスは際立っており、なかでも守備の巧さは圧巻。

もともと持っていた強さと巧さ、それにインテリジェンスの共存していたプレーが、さらにレベルアップしている。

そりゃ代表に入るわ。

が、鹿島はドローに終わり、タイトルを逃がす。

他方、川崎フロンターレの中村憲剛が、逆転優勝の喜びに泣き崩れていた。

僕は十数年前、東京Vの地縁で川崎に導かれ、取材の機会は年々減っているが、いまも等々力競技場にはたまに足を運ぶ。

積年の思い、クラブのさまざまな取り組みが報われてよかったなあとしみじみ思う。

 

J3最終節、栃木SCが際どい勝負をなんとかものにし、2位でJ2昇格を決めた。

仕事仲間の鈴木康浩さんの、にんまりした顔が浮かぶ。苦労の甲斐あったねえ。

優勝はブラウブリッツ秋田。杉山弘一監督、おめでとうございます。

 

J1昇格プレーオフを制したのは名古屋グランパス。

青木亮太は今季一番の発見であり、最も強いインパクトを受けた選手だ。

相変わらず創造性豊かなプレーを連発し、ディフェンスでも貢献度を高めていた。

2018シーズンはプレーオフの仕組みが変わり、このうえJ1の16位と戦って勝たなければならない。

敗者復活戦、上がれたらラッキー枠。

いずれにせよ、目指していい場所ではなくなった。

 

 

●掲載情報

『J1昇格PO目指す東京V。幾度もの危機を経て。ロティーナ監督の功績と数年来の積み重ね』(フットボールチャンネル)

選手には受け入れがたいことだろうが、世代交代、循環がうまくいくとチームの厚みが増していきますね。

 

『ついにJ1昇格POに挑む東京V。14541人を集めた最終節、熱き激闘のその先に』(フットボールチャンネル)

最終節の味の素スタジアムの雰囲気はいまもリアルに思い出されます。

 

『ヴェルディ昇格へ内田達也が躍る。J2でも“今野レベル”のプレー基準を。』(Number Web)

さあ、どうする、どうなる内田達也。

 

『届かなかった10年ぶりのJ1…東京Vを待っていた落とし穴』(サッカーダイジェストWeb)

相手はサッカー。思い通りにはなってくれません。

 

『10年ぶりのJ1復帰は実現せずとも。ヴェルディとロティーナの上昇曲線。』(Number Web)

このように会見では白い歯を見せないロティーナ監督。だったら笑わせてやろうじゃないかと、チャレンジしたことがあります。
ホームの長崎戦、試合を決めた安西幸輝の一撃。「僕の知っている彼は左足であんなすばらしいシュートを打てる選手ではない。一体、非公開練習でどんなトレーニングを行っているのか」と。
監督はハハッと笑って、回答してくれました。シャレは通じるんです。

 

※以下、最近の『スタンド・バイ・グリーン』の無料記事。

【無料記事】【練習レポート】キャプテンは誰に?(17.11.17)

 

【無料記事】【トピックス】2017 J1昇格プレーオフ準決勝 前日ドキュメント(17.11.25)

 

【無料記事】【練習レポート】写真ギャラリー『TM 流通経済大戦』(17.11.29)

 

【無料記事】【練習レポート】写真ギャラリー特大号『2017シーズン、練習最終日』(17.11.30)

 

【お知らせ】シーズンオフの更新予定(17.12.2)

 
 

 

 

 

ぼちぼち動かします。

すっかりご無沙汰してしまいました。

2017シーズン、大詰め。東京ヴェルディがJ1昇格プレーオフ出場ににじり寄るいま、ぼちぼちブログを動かしていこうかと思っとります。

 

昨年1月、WEBマガジン『スタンド・バイグリーン』がスタートし、Facebookページの管理人になった都合(Twitterは管理人がいません。ご連絡いただいても返事できなくて申し訳ない)、そっちにブログでやっていた日常の雑記や告知機能などを移管しようと画策したのですが、2年弱やってみてどうも勝手が違いましてね。

やはり、間口の広さは誰でもアクセスできるブログのほうが秀でていること。

たいして面白くもない日常の報告を上げる気にならず、だんだんFacebookを開く機会が減り、主にメッセージ機能を重宝する現在です。

 

そんなわけで、たまに書いていきますので、ひまなときにのぞいてやってくださいませ。

 

戸川健太オフィシャルブログ「Tamo junto」Powered by Ameba

 

ヴェルディのOBである戸川健太さんがブログを始めることになり、当ブログの人気シリーズ『男と女』コンビが撮影とデザインをお手伝いしました。

今年、DAZNのリポーターや解説者として活躍する戸川さんに、「あのレベルまで到達したいと思う解説者は?」と訊ねたことがあります。

 

「そりゃ、戸田和幸さんですよ。あの人の解説はすばらしい」

 

なるほどね。その心意気は、練習場に足しげく通ってトレーニングの様子を観察し、選手と盛んにディスカッションするなど、仕事に対して真摯に取り組む姿勢に表れていると思います。

11月19日のJ2最終節、徳島ヴォルティス戦の解説は、戸川さんが担当するとのこと。

どんな語り口でゲームを読み解くか、こちらも楽しみです。

 

●掲載情報

『アジアフットボール批評05』(カンゼン) 9月24日発売

ブラウブリッツ秋田の杉山弘一監督のインタビューを寄稿。「そこにサッカーがあれば、どこでも生きていけまっせ」というバイタリティの強さにガツンとやられました。

 

『フットボール批評 issue18』(カンゼン) 11月6日発売

今号から村山伸編集長の舵取りですね。僕は井手口陽介の育成時代を取材しました。上野山信行さんと久しぶりにお会いし、アカデミーの指導者である梅津博徳さんにも話を聞いています。強いこだわりを持って仕事をしている人物は、大抵ひとくせあるもので。やりづらいところもあるんですが、そこに言葉のやり取りのコクがあってたまらんのですよ。

 

『持ち込んだのは規律だけじゃない。東京V・ロティーナ監督のJ1昇格計画。』(Number Web)

11月19日、2017シーズンJ2最終節。プレーオフ進出の懸かった直接対決が見られるのは味の素スタジアムだけ。舞台は整いました。

 

※以下、最近の『スタンド・バイ・グリーン』の無料記事。

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第27回 群馬の夜(17.10.19)

 

【無料記事】【新東京書簡】第二十八信『おれの声をかき消せ』海江田(17.10.25)

 

【お知らせ】11月の更新予定(17.11.2)

 

 

男と女 その三十三

大晦日だ。刻一刻と年が暮れようとしている。

 

先だって、男と女の週末の楽しみだった、NHK大河ドラマ『真田丸』が最終回を迎えた。

女は長野県上田市の生まれだ。

しかし、郷土のヒーローである真田幸村について、ほとんど知らなかった。知ろうとしてこなかった。

一方、男は映画や小説、漫画、ゲームなどを通じ、戦国時代に触れてきた。

標準的な男子というものを定義するなら、ごく当たり前に歩む道と言っていい。

男の知ることはせいぜい人並み程度とはいえ、基礎知識の厚みが女と違った。

 

床に就き、何をいまさら幸村に興味津々の女に、男は血なまぐさい寝物語を聞かせた。

知識を総動員し、創意工夫を凝らして話していたのだが、そのうち退屈を覚えるようになる。

そこらの小学生が知っているようなことでさえ、「そうなんだあ」と女は目を輝かせた。

その素直さは好ましかったが、どうも歯ごたえを欠く。

会話がラリーにならず、一方的にボールを打ち込む状況が男には面白くなかった。

どれ、ひとつ試してやろうか。いたずら心が頭をもたげた。

 

「日本で初めてスキーを競技として確立したのは豊臣なんだよ」

「へえ。竹でやったのかな」

「そう、竹を使った。京都には竹林がくさるほどある」

「だよね」

女は感心しきりだ。男を尊敬のまなざしで見つめている。
 

「豊臣は、年に一度、スキー大会を開催したんだ。秀頼杯」

「賞品は小判? いや、米俵かな」
「米俵という説もあるが、塩と砂糖だったらしい。昔の人には貴重品だから」

「盛り上がっただろうね」

「徳川の狙いはそこだった」

「まさか」
「スキー大会の日に大軍勢で攻め込んだ。これが慶長19年、大阪冬の陣だ」

 

女は言葉を失っている。そして、言った。

「汚すぎるよ、家康」

男は別の意味で言葉を失った。

 

女は闇のなかで、妖しく目を光らせている。

男は信じられない思いで話を続けた。

「慶長20年、大阪夏の陣。決戦の火ぶたが切られたその日は、夏祭りの真っ最中」

「今度はそこか」

「3日間、昼夜を通して行われる盆踊り大会のクライマックスを狙い打ちされた」

「ったく、豊臣も警戒しろよ」

「徳川は巧妙な手を使ったんだ。仲直りの証として贈った、盆踊りのやぐらのなかに兵を仕込んだ」

「そんな!」

「トロイの木馬みたいなものだな」

「家康め、断じて許さん。卑怯にもほどがある」


毛布の端っこを握り締め、キーッとなっている女。

男は笑いをかみ殺すのに必死だったが、徐々に心配になってきた。

おしゃべりの女は、他人にこれを話すのではないか。

過去、冗談が冗談で終わらず、惨事を招いたことが何度かあり、男はこの場でナシにしておいたほうが得策だと判断する。

 

「すまん。おれは、うそを吐いた」

「やっぱり!」

「何がやっぱりだ」

「どこからうそ? スキーは? 盆踊りも?」

 

一切合切、めんどくさくなった男は、女に背を向ける。

だが、わが家に巻き起こった空前の戦国ブームは使えると思った。

ただでさえ、近頃の女はスタジアムから足が遠のき、今年はヴェルディの成績がひどく芳しくなかったせいもあって、サッカーについて語り合うことがない。

ふたりの暮らしにおいて、共通の話題は大事だ。

 

「加藤清正を思わせる選手が出てきたよ」

「勇猛果敢。半蔵にブスッとやられた清正ね」

「鹿島の鈴木優磨。あれはぶっ飛んでいる。最高だ」

「清正は別に」

「ロティーナは、真田昌幸だったりして。守りを固め、知略を尽くして勝機を見出す」

「シブいわ」

「来年が楽しみだ。寝ろ」

 

そうして、男と女の2016年は幕を閉じる。

大過なく過ごせたことに感謝しつつ、ゆるゆると眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

坂本龍馬、再び

東京ヴェルディが天皇杯2回戦を突破し、3回戦の高知遠征が決まった翌日、ケータイに着信アリ。
ディスプレイには「坂本龍馬」。
おお、龍馬さん。
財団法人高知県観光コンベンション協会の人で、2013年1月、いろいろと地獄の高知キャンプでお世話になった。

坂本龍馬さん

ブログでクイズ大会をやって、優勝者にはお土産5000円分と龍馬さんの直筆サイン色紙が贈られた。
この色紙、いまとなっては呪いの言葉としか思えなくなっている。

「天皇杯を高知で開催したいという、サッカー協会への働きかけがついに実りまして。マリノスはこっちで1週間、ミニキャンプを張ってくれる予定になっています」
龍馬さんは喜々として語った。

うすうす感じてたよ。やはりあんたの仕業かと言いかけたが、うれしそうにしている龍馬さんに、めったなことは言えない。
こっちサイドでは、せっかくのクラシコなのに四国かよ、テレビの中継もナシか、過密日程が、旅費の工面が(このへんは僕)と皆ブーブー言っているが、あちらにはあちらの事情がある。

「子どもたちにトップレベルのサッカーを見せたい。高知のサッカー熱を高めたいんです」と、以前龍馬さんは熱っぽく話していた。
そのとき僕は、いいっすね、陰ながら応援しますよとお気楽に応じていたのだが、まさか回りまわって天皇杯で高知に引っ張られることになるとは。

土佐の地で、親から坂本龍馬と名付けられた人の、生きる上での負荷は想像もつかない。
翼と命名されたサッカー少年の受けるプレッシャーに近いものがあろう。
ゆえに並大抵の気丈夫ではなく、屈託のない笑顔の奥に芯の強さを感じさせる人だ。
とりあえず、伝統の横浜F・マリノス vs 東京ヴェルディのカードを実現させ、龍馬さんは引きの強さを見せた。
こうなったら試合内容でも、「ナイスゲーム。苦労した甲斐がありましたよ」と言わせたい。

●掲載情報 ※Facebookからの転載。
『フットボール批評』issue12(カンゼン) 7月6日発売
「レノファ山口 攻撃サッカーという名の冒険」を寄稿。
昇格してきたばかりで、あのサッカーは異質だよ。
『フットボール批評』は今号からページ増量(価格も上がった)。
後ろのほうの紙質がいいねえ。昔の雑誌みたいな、ざわつきが感じられて。

『フットボール批評』issue13(カンゼン) 9月6日発売
『【百年構想の光と闇】バンディオンセ加古川 Jリーグを目指す夢のあとさき』を寄稿。
今回の取材はカメラも自分でやってさ。技術がつたないものだから、とりあえず数だけは用意しようと、あちこち歩いて撮りまくった。
で、担当編集の鈴木さんには、たぶん使ってくれないだろうけど、おれこういうの好きなんだよ、原稿のテイストにも合うんじゃないかなと思ったのを含め、どさっと送った。
したら、ダメもとで送った一枚が扉の写真ですよ。
おおーっと思ったね。
気が合ってうれしい。

プロ入り直前で血栓症の診断受けた山本脩斗。「まさにお先真っ暗」。苦難経て抱いた感謝の念【The Turning Point】(フットボールチャンネル)
新しく始まったシリーズ企画。インタビュー(前・後編)+付録コラム、全3回の構成を予定しています。毎月、ひとりの選手に会うペースで進めたいですね。

※以下、『スタンド・バイ・グリーン』
【この人を見よ!】vol.9 完璧よりも前進~MF14 澤井直人~(2016/07/06)
澤井直人が活躍すると、チームの人がみんなうれしそうにしているんですね。
ふだんの積み重ねが報われてよかったな、というふうに。
こういうのもスポーツ選手の資質の一部なんだなと。

【マッチレポート】J2-22[H] ファジアーノ岡山戦『半呼吸の真髄』(2016/07/11)
ちょっとちょっと、二川孝広、やっぱり半端じゃないよ。
あんなプレーを見せてくれる選手を大事にしまっておくなんて、世界にとって損失以外の何ものでもない。

【無料記事】【監督・選手コメント】二川孝広の『おもろいやないけ』一言目(2016/07/12)
二川孝広の素朴で飾らない言葉は味わい深く。
「おもろいやないけ」のイントネーションは、ミナミあたりを闊歩するあんちゃんが眉根を寄せて言うイメージです。

【フットボール・ブレス・ユー】第9回 たぎる炎を胸に ~鈴鹿アンリミテッドFC 渋谷亮~(2016/07/13)
対戦相手のホームだったけど、思ったより東海社会人リーグが盛り上がっててびっくりした。
雰囲気がいいんだよ。お祭りみたいで。
渋谷亮はどこでも全力プレー。一生懸命の基準が高い。
その先に行きたいね。

【この人を見よ!】vol.10 これが田村だ ~DF23 田村直也~(2016/07/27)
これからハードな夏場の戦い。タフガイ、田村直也を頼りにする場面は増えそう。

【お知らせ】8月の更新予定(2016/07/29)
アウェーの監督会見の作法みたいなものってあるんですかね。
いまだに手探りですよ。

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第10回 潜熱
前々から言っていることですが、僕はトップの監督経験を育成組織にフィードバックしてほしいと願っています。
トップで本当に必要とされる選手とは。
ヴェルディのアカデミーに何が欠けているのか。
そこから指導者の階段をどう昇るのかが、冨樫さんの本チャンでしょうよ。

【無料記事】【マッチレポート】J2-29[H] 横浜FC戦『かくも1点は遠く』(2016/08/15)
本や映画もあまりにも丁寧に計算し尽くされた感じのは敬遠気味で。
そうは言っても、ウェルメイドなスタイルへの羨望はありますけどね。
自分の原稿はできれば両方使い分けたい。

【この人を見よ!】vol.11 先が見えないから楽しい ~GK31 鈴木椋大~(2016/08/18)
鈴木椋大は話上手ですよ。
言葉は楽天性を帯び、かなりの気ぃつかいでもある。
間違いなくいいところなんですが、そのへんを突き抜けると、バリバリっと殻を破ってなんか出てきそう。

【無料記事】【新東京書簡】第五信『崎陽軒のシウマイ弁当』海江田(2016/08/31)
遅くなってゴメンと後藤さんに原稿を送ったあと、どうも違和感があった。
崎陽軒のシュウマイ弁当……。なんかヘン。どっかおかしい。
あっと思って、崎陽軒のサイトに飛んだら、シウマイなんだね。
大変な事実が発覚しましたと後藤さんにメールし、全部直して原稿を再送。気づいてよかったあ。

【フットボール・ブレス・ユー】第11回 新しく生まれる ~ジェフユナイテッド千葉 菅嶋弘希~(2016/09/07) 
菅嶋弘希、もがいてもがいて何かをつかみつつある。
新しい環境で与えられる、新しい評価ってのは面白いね。
ライターもまた、一ヵ所にずっといると硬直しがちです。





『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

いかん。しばらく、ブログが放置状態に。
ごぶさたしております。

長丁場のリーグ戦、これまでずいぶんテキトーなことを言ってきたなあ、と身に沁みている。
中3日、中2日の連戦について、「タイトなスケジュールをこなすために、コンディショニングがうんたらかんたら」と、もっともらしく書いてましたよ。
WEBマガジンを始め、史上最高にヴェルディベタ付きとなった今季、僕のような外野であっても大変さを実感。
試合の日程が詰まると、ランド、ランド、原稿、移動、試合、原稿、ランド……、まったく余裕がない。
でもって、新しいこともやりたがるものだから、より手に負えない。
世には移動距離の長いACLを並行して戦っているチームがあるわけで、どうやってるんだろうと恐怖すら覚える。

そのうえ、6月はコパアメリカとユーロがあったでしょ。
気合いでどうにかなるだろうと、テレビの前に座っちゃうんだよ。
さすがに身がもたない。
連戦を抜けたあとは、ダメージが翌週まで残る。
今回のコパはあんまり観られなかった。

今日は、ちょっくら宮藤官九郎監督・脚本の『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』を観てきた。
これは劇場のスクリーン、音響で観るべき映画だね。
久しぶりに手の込んだバカ映画で、おおいに楽しめた。
真剣にバカをやるって、こういうことなんだよ。
尾野真千子の幸薄そうな顔。
皆川猿時、ブスだったなあ。
随所に小技と遊びが利いてて、脇腹あたりをこちょこちょ責めてくる。
葉加瀬太郎と篠山紀信、断らなかったのえらい。好きになった。
この映画には布袋寅泰が出ないかんよね。
ノーメイクでほぼ鬼だもん。
オファーしたのかしら。

さて、これからユーロ2016準々決勝、ウェールズ vs ベルギー。

●掲載情報
【この人を見よ!】vol.7 誰もが大輔を見る~FW18 高木大輔~(2016/05/26)
どの選手をいつピックアップするか。
ぼんやりした年間計画みたいなものが頭のなかにあって、高木大輔はクライマックスまで取っておいたほうがよさそうだなあとは思ったんですが。
おまえ、早まったなと言われるくらいの活躍を期待します。

【無料記事】【SBG探偵局】file1『息子の小学校入学』(2016/05/27)
今回の調査で、いつも南海(現福岡ソフトバンクホークス)の緑帽をかぶっていた小学校の同級生を思い出した。
小3か、小4だったかな。
当時、僕は柏市の隣の沼南町に住み、西武の青帽。
ほかは巨人やらヤクルトやらいろいろだったが、南海はその子だけだった。
なんでまた異常に地味で弱く、門田博光しかいないチームが好きなのか。
ちょっとかわいそうな気すらしていた。
いま思えば、なんて骨のある少年だったんだろう。孤高の南海ファン。
なかなか受け入れがたいけれども、よほど青赤家庭の英才教育を受けた子でなければ、ヴェルディは関心の外(特に低学年は)。
あとになって、あいつは一本筋の通ったヤツだったんだなあという印象を残すのかも。

【フットボール・ブレス・ユー】第7回 小林祐希とジャパンブルー ~2016年の君たちは~(2016/06/01)
新たな旅へのとば口、いかにも序章といったところですね。
お楽しみはこれから。

【直前インフォメーション】J2‐18[A] ジェフユナイテッド千葉戦のポイント with『犬の生活』(2016/06/12)
今回は『犬の生活』の西部謙司さんにお願いしました。

【無料記事】【練習レポート】チャンスをつかめ(2016/06/15)
こうしてユース出身の大学生が帰ってきて、ヴェルディのシャツを着てプレーする姿を見られるのはうれしいものです。
あとはマッチングがどうなのか。
ポジションの薄いところ、年齢的に次の備えが必要なところといった具合に、計画的に組み込み、バランスの取れたチームを構築できればいいのだけど、都合よく進められる状況にはない。
「あと2年はこの選手で計算できるはずだったのに」と、毎年の計画は修正に次ぐ修正。
それにもめげず、各ポジションに柱を育てていかなければいかんのですよ。

【この人を見よ!】vol.8 直観の人~MF20 井上潮音~(2016/06/16)
井上潮音については、まだわからないことだらけだなあ。
どうやって相手の動きを察知したのか、スペースのある左ではなく右に展開して最終的にバイタルの攻略につなげたのか。
謎に思うことが多々ある。
この先もじっくり見させてもらえれば。

【マッチレポート】J2-19[H] 京都サンガF.C.戦『逆境に打ち克つ』(2016/06/20)
京都戦の澤井直人はすごかったよ。
迷いが消え、思考がクリアに。
縦横無尽、動いて動いて、動き直しての連続。
まるで2列目の岡崎慎司みたいだった。
冨樫監督の言うように「ぽこぽこ点を取りだす」と助かるわあ。

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第8回 遠くから思っている(2016/06/23)
そっか、楠美圭史と早川史哉(アルビレックス新潟)はそんなつながりがあったのかと。
近しいからこその距離感ってやつがありますよね。

【無料記事】【練習レポート】ヴェルディへようこそ!(2016/06/30) 
さすが、二川孝広。
きれいに気配を消し、集団から見つけだすのにやや時間を要した。
あのパスを目の前で見られるのは、贅沢な気分だなあ。

【無料記事】【インタビュー】A Secret on the Pitch ピッチは知っている〈1〉 岩清水梓(日テレ・ベレーザ)前編(2016/07/01)
なでしこジャパンの栄光と挫折。
岩清水梓(日テレ・ベレーザ)は、その落差をとことんまで味わった選手のひとりだ。
シリーズタイトルの元ネタは、吉田修一の『森は知っている』(幻冬舎)。
A Secret in the Forest.
しゃれた和訳ですわねとメモっておいた。

高校野球の取材

最近、ライター仲間の伊藤寿学(ザスパクサツ群馬の番記者)が「一緒にやろうよ」と誘ってくれて、高校野球の取材をしている。
簡単にいえば、学校回りだね。
練習に行って、監督や選手の話を聞き、紹介ページをつくる。

最初に行ったのが、都立日野。
おお、ここが故・忌野清志郎、ライターの先輩である北尾トロさんの母校かと。
この土手を歩いたんだなあ、屋上で煙草を吸ってたんだなあ、などと思いつつ、どぎまぎしながらグラウンドに向かった。

次が都立小平西。
卒業生に、なでしこジャパンの岩渕真奈、ブリオベッカ浦安の10番、清水康也がいる。
そうかそうかと勝手に感慨にふけり、むだに校内を歩き回った。

で、一昨日行ったのが都立国立。
ここは東京屈指の進学校で、政治家や研究者、文化人を数多く輩出している。
ほかとは雰囲気がちょっと違ったね。制服がないし。
驚いたことに、野球部は1980年に都立初の夏の甲子園出場を果たしている。
当時は大フィーバーだったらしい。
校門をくぐったところに、記念碑がドーンと建っている。

選手に話を聞くと、「毎年、校長先生が学校集会で逸話を語り、『目指せ甲子園!』と話します。みんな、いつまでそんな大昔の話をしているんだよ、どうせムリだろ、という顔です。悔しい。見返してやりたい」。
僕ら緑者も昔の栄華を語られることが多々あり、シンパシーを覚えた。
こちらの身の上を明かす時間的余裕はなかったので、「わかりますよ、その気持ち」とだけ言ったら、ヘンな顔してたね。

●掲載情報
【無料記事】【マッチレポート】J2-12[H] 松本山雅FC戦『すべてにおける敗北』(2016/05/07)
こういうのは正々堂々、広く読んでもらったほうがいいだろう。
無料記事を要所で出せるのは、購読者が支えてくれているからだ。
ありがたいです。

『フットボール批評』issue11(カンゼン)
 5月6日発売
表紙、いいですね。
「シークレット・ガードマン 歴戦のサポーターと対峙してきたスタジアム警備員の生き様」を寄稿しています。
昨年だったかな。ガードマンの企画をやろうよと、潜入取材を試みたんだけど、ものの見事に失敗。
そりゃそうだよ。
Jリーグの広報部まで話が行っちゃったんだもん。
いいよ、やってみなって流れになるわけがない。
いまもガードマンとサポーターの交流がそこかしこであるんだろうと想像すると、なんか楽しいね。

【直前インフォメーション】J2‐13[A] ツエーゲン金沢戦のポイント
あとになって気づくことってあるよね。
あの守備組織ってすごかったんだなあ。
選手の能力がうまく噛み合ってたんだなあ、と。

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第6回 大人は判ってくれることもある~東京ヴェルディユース~(2016/05/18)
今年はトップとユースの試合がかぶることが多く、なかなか観に行けない。
夏のクラブユース、うまいことスケジュールが合えばいいんですけど。

【お知らせ】今後の更新予定(2016/05/19)
近年、サッカーメディアが衰退の一途を辿っているのは、僕のなかでわりとはっきり答えが出ている。

監督や選手、クラブの顔色ばかりを見て、全然読者のほうに向いていない。
表向きは読者のためという顔をしているけど、ポーズなのがありありとわかる。
そんなのが、おもろいわけがない。
いつの間にかクラブも不都合なものはデリートできると勘違いするようになってしまった。
原理原則から外れた業界が発展するわけがないでしょ。

だから、SBGをやることになったとき、100%読者に向いてやると決めたんですね。
が、こういう事態になると、考えちゃうところはある。
昔の新聞や雑誌は、日常的にサッカーを多く扱っていて、情報の入手には事欠かなかったが、いまは出どころが限られるのは事実ですからね。
最終的には、お互いプロの仕事をしましょう、というところでわかり合えるとは思います。


カメラ機材が届いた

カメラ

2ヵ月かかるはずだったレンズの納期が大幅に短縮され、届いた。
カメラのキタムラ、ありがとう。
オリンパス「OM-D E-M5 Mark II」に、パナソニック「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3」を組み合わせた。
で、今秋発売が噂される「E-M1 Mark II」(動体に強くなるらしい)をいずれは導入し、このボディをサブ機に回してシステム完成かなあ。

35mm換算で、200‐800mmだかんね。
ピッチ全体が射程距離。
「すごい。いっちゃん遠くのセンターバックやキーパーが撮れる」と、うれしくなって井林章や平智広に向けてやたらとシャッターを切った。
彼らは別にどうでもいいだろうが、こちらが勝手に「いままでちっこくしか載せられなくてすまんかったのう」という気になっているのである。

本格的な写真の研究はこれから。
いまのレベルがレベルだから、これからどんどん巧くなるよ。

●掲載情報
【フットボール・ブレス・ユー】第5回 響く天の声 ~ブリオベッカ浦安~2016/04/27)
浦安には可能性を感じるね。首都圏で上のカテゴリーを目指すのは大変だが(主にハード面で)、こういうクラブが成長していけるようだと面白い。

【無料記事】【直前インフォメーション】J2‐10[A] ザスパクサツ群馬戦のポイント(2016/04/29)

たまにはこういう泣き言も。言い合える相手って限られるからさ。

【マッチレポート】J2-10[A] ザスパクサツ群馬戦『手にするはずだった勝利』(2016/04/30)
「こんなに攻める時間があったゲームは今季初めて」って、伊藤さん(群馬番記者)に言われちゃったよ…。

【マッチレポート】J2-11[H] モンテディオ山形戦『ひとつずつ積み重ねる』(2016/05/03)
僕が批評、レビューの鉄則にしているのは、「そこにあるものだけを見て、書く」ということ。
それが唯一の礼節みたいなもので、「あれが足りない。これが不十分」なんてのは批評でもなんでもなく、ただのいちゃもんでしょ。
だって、不足をあげつらうだけだったら、どんなふうにも言えるもん。
極端な話、「このチームにはメッシがいなかった」で話が済んじゃう。
「起こらなかった現実も歴史の一部に違いない」という考えや、先々に目を届かせるために、多少はそういう要素が必要だとしてもね。

その点、映画は成熟した文化なんだなあと思う。
たとえば、娯楽大作の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に対し、「男女の感情の機微が描かれていない」といったプロの映画評に出合うことはまずない。
でさ、とすると、現実をガン見するわけじゃん。せっせと書くじゃん。
つらくなるわね、ときどき。

【無料記事】【新東京書簡】第二信『しばらくぶりです(弐)』後藤(2016/05/04)
ふたりともまだ落ち着かない感じですけど、そのうち勘が戻るでしょう。

【無料記事】【練習レポート】写真ギャラリー(2016/05/05)
いかんな、澤井直人のことはちょっとひいきしちゃう。
なんか、面白くって。僕にとっては、とてもフォトジェニック。





カメラ熱の高まり

困ったことになってきたよ。
写真がおもしろくなってきちゃって。

ライターの何がいいかって、ろくすっぽ初期投資をせず、看板を掲げられるところだ。
僕がこの仕事を始めた頃は、せいぜいワープロと携帯があればよかった。
短い原稿は、手書きで書いていたくらいだ。
その点、カメラマンは大変だなあと見ていた。
撮影対象にもよるが、投資額は何十万、何百万だよ。

完全に他人事だったのに、今年から始動した『スタンド・バイ・グリーン』で必要に迫られてカメラを扱うことになった。
もともと写真は好きなんだ。
小学生の頃、誕生日にハーフサイズのおもちゃみたいなカメラを買ってもらったのが始まり。
銀塩のコンパクトカメラは何台も持っている。

今回、どうせ腕がないしと投資額を抑え(予算10万に決めた)、防滴・防塵のカメラを買わなかったのが間違い。
バカだなあ。どう考えても防滴・防塵はいるじゃん。
屋外での撮影がほとんどなんだから。
雨の日、なんとかなるだろうとカメラに市販の防水カバーをかぶせてやってみたら、全然ダメだった。
レンズが曇ってきちゃって、こらあかん、おしゃかにしちゃうと途中で撮影中止。
晴れた日しか撮れませんなんて致命的。お話にならない。

あと望遠レンズね。
もっと対象に寄りたいし、縦位置でも撮りたいのに、距離がありすぎてもどかしいったらありゃしない。
こないだなんて、練習場でカメラを構え、もっと大きく、もっと選手の表情をとにじり寄ってたら、いつの間にかタッチラインを越えてた。
どこにいるのさ。ピッチに入っちゃうカメラマンが。
見つからなかったからよかったようなものの、温厚な冨樫監督だってさすがに怒るでしょ。

結局、モチベーションの問題。
明確な目的があり、写真を見てくれる人がいるというのは本当に大きい。
誰もビタイチほめてくれないよ。
だけど、もっといいのを撮りたい欲が勝手に湧き上がる。

そんで、あれこれ調べ、追加投資30万ですよ、あーた。
以前の僕だったら、絶対こんなお金出さない。
自分の凝り性なところを過小評価してたなあ。
レンズの納期は2ヵ月後。早く届けとわくわくしている。
マイクロフォーサーズのカメラだから、まだマシなんだ。
フルサイズでシステムを組もうとしたら、何倍もの金額になる。
これで済めばまだいいが、さらなる欲求の高まりを抑えられるか、はなはだ自信がない。


●掲載情報
【フットボール・ブレス・ユー】第3回 藍より青く ~FC町田ゼルビア 畠中槙之輔~(2016/03/30)
外の世界に飛び込んでみるものだねえ。
畠中槙之輔、たくましくなってました。
町田の広報さんがご親切に「使っていいよ」と試合写真を送ってくれた。
やはり見栄えしますなあ。ついでに原稿のチェックもなし。
WEBマガジンの蛸つぼ化を回避するには、こちらから外に出て、コミュニケーションを取っていくしかない。
読者によってはとことんヴェルディでいいのかもしれないけど、僕がいやなんだよ。
ヴェルディっていまどこにいるの? というのは常に意識したいし、ルーティンをこなすだけになると必ずパワーダウンするから。

【無料記事】【この人を見よ!】vol.4 ゴー、ケンジ。ゴー! ~FW29 北脇健慈~(2016/04/06)
見ている人に、どれほど自分の像を残すか。
それもアスリートの才能のひとつ。
その点、北脇健慈は抜群です。


【無料記事】【新東京書簡】第一信『しばらくぶりです』海江田(2016/04/12)
近頃、J1の試合に行ったり代表戦を観るのも、いまいち気が入らなくて。
書く場があれば、モチベーションは格段に上がるのよ。

【フットボール・ブレス・ユー】第4回 ベレーザの命脈(2016/04/13) 
なんでかわからんのですけど、僕は仕事となればどんな人とも平気で話せるのに、女子サッカー選手だけは別。妙にぎくしゃくしちゃう。
有吉佐織さんくらいかなあ。
以前、京王稲田堤のバス停で会い、「ランドまで一緒に行きましょう」と自然に言えたもんね。
これ、大丈夫? 失礼に聞こえない?
たぶん中学か高校のクラスにいたんだと思う。
ああいう、凛々しくてさばけた感じの女の人が。

【この人を見よ!】vol.5 味方を生かす才人 ~MF30 高木純平~
柔和な雰囲気を漂わせつつ、太い芯が通っているところが魅力です。
まだ先だろうけど、指導者としての引き合いは多いでしょうねえ。





1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>