月刊こんた
長いこと休載中だった福本伸行先生の「賭博堕天録カイジ」が今日発売のヤンマガより再開されました。



いやー、再開をずっと待ってたのでホントに嬉しいです!



本当はコミックスが揃うまで待って一気読みするのが一番面白い読み方なんでしょうが、とてもそれまで待てるはずありません。



ということで朝も早よからコンビニで立ち読みしてきました。








再開第1話はカイジはもちろん、久しぶりに坂崎のおっちゃんや美心ちゃんにも会えたし・・・







満足・・・!圧倒的大満足・・・!!








・・・というわけで、今回の「和也編」はどんなギャンブルでどんな闘いになるのか。



今後の展開がすごく楽しみです。


月刊こんた
【第5試合】ウェルター級 5分3R
○冨樫 健一郎(JPN/パラエストラ広島)69.7kg
判定 2-0
×加藤 鉄史(JPN/トレンチ・テック)69.8kg
※[メイン]鈴木利治 29-28(1R 10-9/2R 9-10/3R 10-9)
 [サブ]菅野浩之 30-28(1R 10-9/2R 10-10/3R 10-9)
     横山忠志 29-29(1R 10-10/2R 9-10/3R 10-9)






全体的な流れを野球に例えると、中盤までわずかにリードしていた冨樫選手が終盤突き放して、勝利を確実なものにした・・・といった展開か(あまり例えになってないな/苦笑)。


冨樫選手は僅差の流れの中で3R目をしっかり取れるというのはさすがに強いといった感じ。

対戦相手の加藤選手も強豪だけにこういう試合をしっかりものにできるのは、前回の天突戦といい、地味ながら(笑)着実に地力を上げていっている感じがする。

地味伝承万歳!(笑)


加藤選手は最近の試合っぷりや動向は知らなかったので見るまで少々不安だったんだけど、動きも含め思った以上に悪くなかった。

ただやっぱり明確にポイントを取れる武器や戦術がないと上を目指すのは難しそう。

加藤選手が昔と比べてレベルダウンしているとは到底思えなかったけれど、今の総合全体のレベルの中では今のままではインパクトを残すのは難しいかなあ。






あとは試合内容とは別に感じたこと。


この試合に関しては、他が一本で決着がつく試合が多い中、判定決着だったこともあってか、格闘技専門サイトや他の方のブログ等を読む限り、試合内容に不満を持たれたファンもおられたようだ。


ただ僕としては、どれくらいのファンがこの試合に満足したかは別として、富樫選手の的確かつ高い技術でポイントゲームを制する闘い方はりっぱなプロの修斗と呼べるものであったと思し、こういう試合は「見る側の競技への理解度」を高めるといった面からも、修斗にとって意味のある試合、必要な試合だったように思う。
今大会が特別大きい舞台、多くのファンが観にくる舞台ということを考えれば、なおさらそういうふうに感じられる。


確かに一本決着は多くの観客を魅了するし、そういう試合が毎試合、毎興業続けば一時的に修斗人気は高まるかもしれない。
しかし、プロのレベルで真剣勝負の興業を続ける以上、マッチメイクで意図的に実力差のあるカードを組まない限りそうそう一本決着は続かない。
そうなった時、そういう一本決着のようなわかりやすい展開だけを求めてきたファンはいずれ離れていくことになるだろう。
結局はバランスが大事。
興業は一本決着ばかりが続けば良いというものではないと思う。
判定決着があるから一本決着も映えるわけだし、一本決着があるからこそ判定決着を楽しむこともできるわけだ。
実際、現状の修斗ファンにしたって、判定決着やポイントゲームを楽しんでいるファンもいるはずだ。
映画や漫画業界にしたって、全てのファンがハリウッド映画や少年ジャンプのようなわかりやすいものばかりを望んでいるというわけではないのと同じことだ。


やっぱり野球やボクシングでもそうだろうけど、プロとして長く競技人気を定着させるには一本であろうと判定であろうと修斗という「競技自体」を理解してくれる目の肥えたファンを増やすことがなにより大事だと思う。
そのためにはスタンド打撃や寝技で一発を持っている選手ばかりを集めるのではなく、いろんな個性の選手の組み合わせで、いろんなタイプの試合を観客に提供することのほうが大事なのではないだろうか。
そのためにもプロモーターの皆さんには選手の個性を理解してバランス良くマッチメイクしていく努力を続けていただきたい。
いろんなタイプの選手を観ることによって、ファンも「競技を見る眼」や「選手に対する多様な価値観」が育てられていくはずだから・・・


月刊こんた

【第2試合】フライ級 5分2R
○藤井 惠(JPN/AACC)52.0kg
TS 1R 0'52"
×チェ・ウンブン (韓国/ジョング・パイト・ジム)51.8kg
※V1アームロック






藤井選手の圧勝。

彼女に関しては以前このブログでも取り上げたけど 、相変わらずの強さだった。


今回のファーストコンタクトでの仕掛けなどもそうだけど、そのムーブは佐藤ルミナ以上に観客を惹きつける魅力を持っていると思う。
また派手な動きだけではなく、テイクダウンなど地味な動きの中にも見るものを唸らせる上手さ、正確さを持っている。
彼女に見合う対戦相手がいないのならいっそのこと男子との試合が見てみたい・・・と思わせるほど彼女はプロアスリートとして魅力的だと思う(もちろんそんなマッチメイクは許されないんだけど)。


こんなことを言うと語弊があるかもしれないが、今までの彼女がらみのマッチメイクを見ていると、時々修斗のプロモーターがビッグマッチ用に、いいように藤井選手を利用しているような印象を受けることがあって、あまり良い感じがしない。
なかなか大変なのはわかるけれど、なんとか修斗プロモーターの皆さんには頑張ってもらって、後楽園ホールで彼女の実力に相応の相手とのマッチメイクを実現してもらえないだろうか。
ノバウニオンとかには同階級女子の強豪選手はいないのだろうか。


僕が知ってる限り、彼女は修斗に対してもしっかりした考え方、また思い入れも持ってくれているシューターだと思う。
彼女ほどの実力者がそのポテンシャルを充分に発揮できる場が修斗にないままなのは、あまりにもかわいそうだ。

今回の試合を観てつくづくそう感じずにはいられなかった。

順不同で簡単に感想を。


【第4試合】ウェルター級 5分3R
○朴 光哲(JPN/KRAZY BEE)70.0kg
KO 1R 4'56"
×ウエタ ユウ(JPN/PUREBRED京都)69.9kg

※グラウンドパンチ




朴選手の左ジャブが効果的で、スタンドでの実力差がはっきり出た試合だったように思う。


ウエタ選手に対しては個人的にはフィジカルは強いがまだ荒削り、またスタンドでガードが下がりやすいといった印象があった。
もちろんそういったことも踏まえた上で、このクラスの次世代シューターの中では僕自身一番期待しているシューターではあるんだけど、ここからもっと上を目指すには基本技術の精度をまず第一に上げていかないとなかなか勝ち進むのは難しくなっていくのではないだろうか。

今回の試合はやや動きも固かったようにも感じたが、そういった点を抜きにしてもやや実力差を感じる試合だったように思う。
スタンド戦では独特のムーブを持っている選手だから、基本技術の精度を上げた上でうまく闘いの中にその動きを融合していくことができればスケールの大きなシューターになれるはずだ。

今回のKO負けを糧にして次戦以降のウエタ選手の巻き返しに期待したい。


朴選手はさすがに地力を見せつけた感じだ。

正直、現時点でのウエタ選手相手ならこれくらいの勝ち方は充分できる選手だと僕は彼のことを評価している(もちろんウエタ選手が弱いというわけではなく、それだけ朴選手の実力を買っているということ)。
これからも是非修斗のリングにも上がり続けてほしい。
キャリアとともに円熟味を増す朴選手と、中蔵選手や世界ランキング上位陣との対戦は是非見てみたいと思う。


余談だが、一昔前は新人王を取ったりクラスBを一気にかけ上がってきたりした選手が、クラスA中堅選手をも撃破して、さして壁にぶち当たることもなく勝ち上がっていくケースがちょくちょく見うけられたように感じていたが、最近はそういった傾向が以前ほどではないように感じられる。
これはあくまで個人的な印象なんだけど、その原因を考えた時、以前は最新技術を効率よく学びレベルの高いアマ修斗を勝ち上がってきた若手シューターが、若さや勢いまでも味方につけることによって中堅クラスAシューターさえも押しきってしまうといった面があったのではないかと思う。

それが最近は中堅選手も経験に裏打ちされた確かな技術を備え、そういった若手の進撃に対抗し得るだけの実力を身につけてきているために、勢いのある有望若手シューターでもクラスAの壁をそうやすやすと突破することができなくなってきているというのが一因ではないだろうか。
もしそうなら、それはつまり若手だけではなく中堅クラスも含めシューター全体のレベルが上がってきているということだと思う。


アマ修斗の充実から始まる底辺の底上げが中堅クラスの実力にまで波及してくれば、修斗全体にとってはもちろん喜ばしいことだ。

30歳過ぎたあたりからシューターとしてトータル的な成長が見うけられるような傾向になれば、修斗というスポーツはもっともっと魅力的になっていくんではないだろうか。
(もちろんこの試合に関して言えば、朴選手はウェルタートップグループの一人だと思っているので、負けたウエタ選手に対して「クラスAの壁」という言い方は不適当ではあるんだけど)


余談ついでにもう一つ、この試合の解説で宇野選手が「朴選手はテイクダウンを狙っていってもいいと思う、修斗なんだから」といった趣旨の発言があった。
これってめちゃくちゃ問題発言だと思ったのは僕だけだろうか(笑)
僕が谷川さんなら罰金もんだと思うんだけど・・・まあもうUFC行くんだから関係ないのかな(笑/それとも僕の見方がうがち過ぎ?)。

修斗20周年大会セレモニーでは懐かしい顔ぶれが勢ぞろい。
前回10周年記念大会の中井選手の挨拶のような良い意味でのウェット感はなかったけれど、50人近くの修斗経験者がリングに一堂に会する様は豪華で壮観だった。
個人的には久しぶりに見る星野育蒔さんや巽宇宙さん、修斗のリングに立つのは久しぶりの郷野三島選手等が印象的だった。


あと、なんと言っても伊藤裕二さん!
個人的にはその少しばかりサイズアップされた(笑)姿を見た時が修斗の20年という歳月を一番感じさせてくれた時だった(^^;)


昔、2階級は違うであろう佐山さんのデモンストレーションの相手をやらされて蹴りまくられていた時は「可哀想だなあ・・・」なんて思って見てたりもしたんだけど、今なら体格的には充分互角に渡り合えそうな気がした(失礼!)。いやあ、でもほんとに懐かしい・・・
確か10周年大会のときには来られてなかったはずなので、ほんと久しぶりに伊藤さんの姿が拝見できてオールドファンとしては嬉しい限りです。


まあ、あと以前にブログでも書いたけど関島康人さんの勇姿は見たかったなあ(来られないだろうとは思っていたけれど・・)。あと朝日選手もリングに上がらなかったなあ。どうしてだろ。面倒くさかったのかな?
あと個人的にはマルタイン・デ・ヨングエリック・パーソンペケーニョステファン・パーリングは呼んでもらいたかった!


あ、それから大会パンフにはビートたけしさんからも祝賀コメントを頂いたそうで
またその内容がイカしてる。さすが、ビートたけし!
ありがとう、たけしさん。
そしてたけしさんにコメントを依頼したサステイン、グッジョブ!!

スタンド戦であの五味隆典を後退りさせ、リング中央を支配する中蔵隆志。




その闘いっぷりは紛れもなく修斗の世界チャンピオンだった。




試合に負けた後、今後について語った彼のブログ を読んだ。




修斗ファンとして誇らしい気持ちになった。




「俺達の世界チャンピオンは俺達修斗ファンの誇りだ」と自慢したくなった。




「恥をかいてもう一度ベルトを巻く」その姿勢は、試合に勝つこと以上に紛れもなく修斗の世界チャンピオンとしての矜持を示すものだと思う。




ブログに綴られた彼の思いを読むと、「黄金のウェルター」と呼ばれながらもなぜか「呪われたベルト」と呼ばれ続けた修斗ウェルターの世界のベルトが、歴代チャンピオンを経て今中蔵のもとに流れ着いたことも必然であったように思われた。










修斗ファンなら誰でも、今後もベルトとともに成長する中蔵隆志を見続けられる幸運を感じていると思う。




大きなものを背負い、闘い、そして敗れてなお立ち上がる姿は、今回の試合内容も含め(妻の言葉を借りれば)「修斗世界ウェルター級王者は紛れもなく中蔵隆志」であると多くのファンが感じたはずだ。




この一戦に向けて万全のコンディションを作り上げ、修斗時代から磨き上げてきたボディーブローで見事に中蔵をリングに沈めた元世界王者五味隆典にあらためて敬意を表するとともに、今後の中蔵隆志の修斗王者としての闘いに期待したい。

百年をつなぐ』・・・囲碁の世界にはそういう言葉があるそうです。


年齢に関係なく対局できる囲碁や将棋の世界では、若い頃50歳年上の人と対局することもあり、またその人が50年後、50歳年下の人と対局すれば「百年をつなぐ」ことができるわけです。
もちろんこれはアマだけのことではなく、プロの世界でもそうやってベテラン棋士が若手棋士に勝敗を超えた真髄を伝えていき、そのつながりが囲碁や将棋界の歴史を作り競技の真髄を伝え続けてきているのだと思います。


さすがに修斗の世界では選手寿命の関係もあって50歳差の真剣勝負はありえないと思いますが、10歳、20歳差のベテランシューターと若手の対戦は充分あり得ます。


プロの世界でも、修斗の選手寿命は他のスポーツと比べても決して長い方ではないと思いますが(ボクシングなんかもそうでしょうが)、だからこそ現役を退いた選手にとっては、現役時代に磨いた技術やノウハウを誰かに伝えたい、引き継いでもらいたいという思いも強いのではないかと思います。
そういう思いから、現役引退後ジムで自分が培ったものを次の世代に教え、引き継いでいくことは結果的に修斗の世界に恩返しすることにもなりますし、現役引退後も選手にはぜひそういった形でも修斗と関わっていってもらいたいし、関わっていけるようになればいいなとも思います。(その前段としてそのための環境整備を協会が整えていかなければいけないのは当然ですが)


ただ、そういったものとは別に、実際お互い現役プロとしての対戦を通して伝えられるものは、ジムの練習を通して伝えられるものとはまた違ったものがあるように思えます。
世代は違っても一選手同士、対等の立場で死力を尽くして闘う事でしか伝えられないもの、そういったものを伝える役割をベテランシューターには担ってもらいたいし、若手シューターの方には勝ち負けだけではない部分で先輩シューターから「修斗」を感じ取ってもらい、また数年後自分がベテランという立場になった時に同じように若いシューターに「修斗」をつなぐ橋渡し役を果たしてもらいたいと思います。
そういったことを今回の「修斗伝承」シリーズに限らず続けていくことが「修斗の百年をつなぐ」ことになるはずです。


世代を超えた対決を通して後世まで修斗という競技の真髄を伝え続けることができれば、こんなに素晴らしいことはないでしょう。
修斗が百年後も、修斗にかかわってきた人達が誇りに思えるような競技として伝え続けられていることを切に願っています。







最後に話は変わりますが、5/10にはプロ修斗20周年興業があります。
ぶっちゃけ出場選手の中には、修斗にこだわりを持っているシューター、またそうではないシューター、他団体を主戦場にしながらも修斗にこだわりを持ち続けている選手、20周年という事で義理を通して今回のみ修斗に復帰した選手、いろいろな思いの選手がいるのではないかと思います。
別にそのことについては選手それぞれに思いがあって良いわけだし、だからそれをどうこう言うつもりもないし、また言うべきものでもないと思いますが、一修斗ファンとしては、特に修斗にこだわりを持ち続け修斗を続けているシューターの皆さんには、ぜひ「修斗を続けてきたことに」誇りを持ってリングに上がってもらいたい思っています。
佐山聡に始まり初代シューター、歴代シューターがいて、そしてあなた達が修斗を引き継ぎ、続けてきたことで修斗はつながることができているんだから・・・


20周年興業が選手、関係者の頑張りによって素晴らしい大会になることを期待しています。

チャンピオンを象徴するアイテムと言えばもちろんチャンピオンベルト。
以前から僕はもう一つチャンピオンを象徴する修斗独自のアイテムとして「チャンピオンジャージ」を作ってはどうかと思っていました。


というのは、例えば選手入場式で出場全選手がリングに並んだ時なんかに特に感じるんですが、世界チャンプが他の選手と同じジャージや市販の普通のウエアを着て並んでいるとなにかチャンピオンとしての特別感がないように思えるんです。
ぱっと見て他の選手と同列な感じになってしまっているような・・・(こんなこと気にしてるのは僕だけか/笑)


まあ僕としては、やっぱりチャンピオンは他の選手とは色んな意味で差別化され「特別な存在」として認識されるべきだと思うので、例えばチャンピオンだけが羽織れるジャージを身につけたりすることで、ちょっとしたシーン(それこそ選手入場式なんかで)で見た目から「チャンピオンは特別な存在なんだ」というイメージを作り上げていくことは結構大事なことなんじゃないかなと思うんです。


ちなみに僕の考えるジャージのイメージとしてはこんな感じです。



月刊こんた




そうです。
ハリーポッターです。
まあ、要はこの映画観た後でこのポスター見た時、かっこいいなあと思ったからこんなこと考える様になったというだけの話なんですが(苦笑)。


でも僕としてはこのポスターみたいな感じで背中に大きく数字を入れたジャージってかっこいいと思うのですがどうでしょう。


ちなみに背中に入れる数字は何代目の世界チャンピオンかを表示するようにすればいいと思います
BJ選手なら「2」、上田選手なら「5」ということになります。
また数字や文字の色はフェザーならグリーン、ウェルターならレッドというぐあいにチャンピオンベルトの文字色と合わせれば、数字は一緒でも各階級ごと色分けされるので同じジャージにはならず、そのチャンピオンのみに与えられる特別なジャージということになります。


まあコストパフォーマンスの問題もありますが、うまく定着してチャンピオンジャージを羽織ることが修斗のチャンピオンを目指す選手の一つの憧れにでもなれば、「修斗ワールドチャンピオン」としてのブランドイメージ、プレミアム感はより上がると思うのですが・・・。

久しぶりに見た竹内出選手が麻原彰晃に見えてしかたなかった3/20後楽園大会、二人のチャンピオンの見事な修斗を堪能することができた。


僕はBJ選手と上田選手は日本修斗界をしょって立つダブルエースだと思っている。
修斗ではどうしてもウェルターやライトなどの階級のほうが注目されがちな部分があると思うんだけど、強さだけでなくチャンピオンとしての実績等も考慮すると(もちろん中蔵選手やリオン選手もすばらしいことはわかりきっているけど)現状では僕はこの二人が文句無くエースだと言ってよいと思う。
その二人の王者が今回のチャンピオンシップで磐石の強さを見せつけた。


BJ選手はこれで3回目の防衛に成功。
うち2回が一本勝ち。

貪欲にチャンピオンとして常に高いレベルを目指そうとしている姿勢も常々感じられるし、試合以外の部分でもチャンピオンシップのたびにタイトル戦を盛り上げようとの意図が感じられる発言をしたり、いろんな部分で彼のチャンピオンとしての自覚の高さを垣間見ることが多い。

またなによりチャンピオンシップという大舞台において一本取りきる力を持っているBJ選手は、まさに「名チャンピオン」と呼ぶにふさわしい選手になりつつあると思う。
相変わらず入場式のリング上では落ち着きが無いが(笑)試合内容や実績(防衛回数)、実力などを考慮すると、他のどの階級のチャンピオンとダブルチャンピオンシップを組まれようと大会のメインを譲る必要はないように感じられる。
次回は指名試合前にぜひ外国人ランカーとのチャンピオンシップを見てみたい。


上田選手は・・・もう特にコメントの必要もないような気がする。
それくらい強い。
間違いなく一歩一歩シューティストへの階段を上っているように感じられる。


以前僕は総合格闘技の戦略が打撃全盛の時代「次にくるのは『総合の時代』だ」といった内容のことをエントリー に書いたことがある。
実はこのエントリーでは詳しく触れてないけれど、この「総合の時代」をもう少し具体的に言うと「ポジショニングを修斗の『戦術として』活かしていける選手が現れれば、ポジショニングの技術が再評価される時代がくる」という意味合いも込めて書いていた。


修斗ではポジショニングだけではポイントにはつながりにくいし、また相手にダメージを与えられるわけではない。
だけどポジショニングに長けることはスタンド打撃のそれにはないメリットがある。
それはポジショニングの攻防の特徴として攻撃側と防御側がある程度はっきり分かれるという部分に関係してくる・・・つまりお互いが攻め合うことのできるスタンド打撃の攻防と違って、ポジショニング技術を磨けば自分だけがある程度一方的に「攻撃権を維持し続けて」闘うことができるということである。
そこにしっかりしたパウンド戦術を組み合わせることができれば、ダメージを与えつつ、かつスタンドでの攻防以上に「安全・確実」にポイントを奪うことができる。
だからパウンドや極めの技術を駆使したグラウンドでのコンビネーション戦術のレベルさえ上がっていけば、またポジショニングを単なる技術としてではなく「修斗におけるグラウンド戦術の根幹」としてとらえ研究していけば、ポジショニング技術への評価はより見直されるはずだと思っていた。


当時と今では修斗の闘い方もまた変わってきたと思うし、修斗全体で見ると今は昔ほど打撃偏重ではなく個々の選手の個性に応じた闘い方が多く見られ、個人的にはそういった色んな個性のぶつかり合いを楽しむことができて嬉しく思っている。

そんな中で今回上田選手の試合を見て、昔のエントリーで書いたこと、考えていたことを思い出し、上田選手の試合はポジショニングの技術を「戦術として」最大限に活かしているなあと感じることができた。

彼がグラウンドにおいてバリエーション豊かな攻めを用い、ほぼ攻撃権を維持し続けて闘うことができるのは、その根幹に彼の安定したポジショニング技術があってこそだと思う。

そういう意味で「戦術として」のポジショニングの価値は今以上に重要なものとして評価され、今後もっと研究されていっていい分野だと感じる。


もちろん現実問題としてはスタンドから始まる修斗という競技においてポジショニング以前に確実にテイクダウンを「取りきる」技術が必要で、そのためにはやっぱり高度なタックル技術やスタンド打撃の攻防自体のレベルを上げていくことも必要となってくることは言うまでもない。
結局はポジショニングを戦術として活かすためにはトータル的に一定レベル以上の完成度が必要になってくるわけで、当時僕も自分の頭の中で一つの理想像としてそういう闘い方を描いていてはいても、現実的にタックルも含めそういったものをすべて高い次元で習得し、かつ試合で戦略、戦術的に使いこなすことは本当に困難だと思ったし、当時の総合界の打撃偏重の流れにおいてはそういう選手はなかなか現れないだろうとも思ってはいた。
でも結論から言えばこんなに早く自分の思い描く一つの理想像の闘いを具現化してくれる選手が、日本の修斗界から現れるとは思ってもみなかった。
そういう意味でも高い次元での修斗を日本のファンに見せてくれる上田選手には感謝したい気持ちになるし、まさにプロフェッショナルシューターだと感じずにはいられない。


若林さんが上田選手の事を「君の試合は、パラエストラの誇りです」とブログに書いていたけれど、僕はパラエストラの枠に限らず日本修斗界の至宝」と呼んでも過言ではないと思う。
ボクシング界の長谷川選手がそうであるように、今後も単に試合の勝敗といった部分を超えて「闘いの質」も含めたあらゆる部分で日本の修斗を引っ張っていってもらいたいと思う。