島田 洋七
佐賀のがばいばあちゃん

テレビで売れすじ本ランキングをみていたら、

リリーフランキーさんの、『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~ 』が

いまだにランキング1位でびっくりした。

半年以上前に発売されているのに、すごい。


あの自伝的小説を読んで、泣かない男性はいないだろう。

もちろん、女の私も号泣である。


昨日は、この本に劣らない素晴らしい本を見つけた。

佐賀のがばいばあちゃん 』である。

漫才コンビB&Bの島田洋七さんが数年前に書いた本。

聞くと、既に600万部突破しているという。

文庫版なので、薄くて、しかも行と行の余白が長い。

なんだか、楽にすーっと読めちゃう本だと思い、

出張先の福岡空港にて購入。

羽田に着く前に、読み終えてました。

それは、決して楽な本だからというのではなく、

惹きこまれてしまってたからだ。

久々に暖かい本に出会った。


洋七さんは小さい頃にお父さんを亡くし、お母さんと二人暮らしだった。

暮らしが貧しく、小学生だったある日、佐賀に住んでいる

おばあちゃんの家へ預けられた。

その日から、中学を卒業をするまでのおばあちゃんと暮らした日々を綴ったのが、

この本だ。

おばあちゃんの家も決して裕福ではなかったが、とにかく明るい貧乏だった!

ベタだけど、人は一人で生きてるわけでなく、

本当に色々な人とつながって生きているんだなあと思えた。


おばあちゃんの面白い名言をちょっとだけご紹介。

洋七さんが、

「英語が苦手で」というと、

「『僕は日本人です』って書いとけ」と。

「漢字も苦手で・・・」と言うと、

「『僕はひらがなとカタカナで生きていきます』と書いとけ」。

そして、極めつけは「歴史も苦手で」に対して、

「『過去にはこだわりません!』と書いとけ」と答えたとか。

洋七さんが、もちろん先生に怒られたことは言うまでもない。


このほかにも、おばあちゃんの生きる知恵?というか

とにかく楽しいエピソードがいっぱい。

そして、家族って本当にいいと思える作品。


★★★★

東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~ 』で、

感動した人にオススメ。




先週、目黒シネマへ「SAW2」を観にいってきました。
7~8年ぶりに目黒シネマへ足を踏み入れましたが、
ちょっとキレイになってたような、変わらないような・・・

そんなことは、さておき結論から書きますと、観なきゃ良かった・・・

とにかく、グロイ、グロすぎる。
あまりの痛い映像に、

耳を手でふさぎ、

目をコートでふさいでいたので 、

(映画を観る姿勢では全くないですかね(笑))
もう途中から謎を追っかける余裕がなくなってましたが・・・

終わったあとはグッタリです。

『SAW』がかなり面白かったので、
評判があまり芳しくない『SAW2』も、

一応機会があったら見ようと思ってましたが
ビデオとかにすればよかったです。

前ほど、きちんと話も組み立ってないし、終わり方も強引。
かなりがっかりでした。

あー、思い出すだけでも鳥肌がたちます。

スプラッタなど恐いもの、グロいものOKの方にのみ、
オススメします。




先日、ブログに書きました『容疑者Xの献身 』。

恐らく、絶対に映画化されると思われます。


というところで、

“映画化した場合、誰をキャスティングするか??”

という話題で盛り上がってます。


ちなみに、私の配役はこんな感じです。


物理学者 湯川 → 唐澤寿明

数学教師 石神 → 岸谷吾郎 

花岡靖子     → 寺島しのぶ もしくは 余貴美子 

刑事 草薙俊平 → 上川隆也 もしくは 宮迫博之


という感じがするのですが、

ちょっと若くなりすぎちゃうんだけど、石神には大森南朋とかも

いい気がする!!と勝手に盛り上がってます。 


皆様どうでしょう??


雫井 脩介
クローズド・ノート

久しぶりに誰かに伝えたい本に出会いました。


ここ数週間、ミステリーばかり読んでいたので

ちょっと違うジャンルが読みたいなあと思って書店をぶらついていた時に、

暖かい黄色の表紙のこの本が飛び込んできました。


初めの4、5ページで、恐らく結末は予想できると思います。

それでも、最後のページを読み終えたときに、

涙がこみあげてくるのを止めるとこはできないでしょう。


物語は、大学生の香恵が一冊のノートに出会うことによって始まります。

一人暮らしをするマンションの押入れで発見した、所有者不明のノート。

小学校の先生をする“伊吹さん”が書いた日記でした。

そこには、初めて担任をもった4年2組の子供たちへの愛情と

ある一人の男性への恋焦がれる気持ちがいっぱい詰まっていました。

日記を読み進めるうちに、香恵の毎日は新しく変わっていくのです。


私は時には微笑んだり、時には一緒にドキドキしたりしながら

一気に読み終えてしまいました。

はっきりいって、ストレートすぎる物語です。

特に奇をてらった仕掛けなどは何もないです。

それにも関わらず、いつのまにか没頭して読み進められる、切なさがあり、心暖まる本です。

それはこの日記にある言葉が、本当に生きているからでしょう。

その理由はあとがきを読むと実感しますが、ここではあえて触れないでおきます。

(できれば物語を読み終えてから読んで欲しいかな。)


毎日、毎日が、普通に過ぎ去ってしまっている人に、

この本はきっと、心地よさを運んでくれることでしょう。


★★★★☆


東野 圭吾
容疑者Xの献身

久々のアップです。

先週の出張でようやく読みました、『容疑者Xの献身 』。

羽田から福岡までのたったの1時間半で、

いっきに読んでしまいました。

話が進むにつれて、読むスピードが自然と早くなる、

久々にドキドキしながら読めた本でした。


天才物理学者と天才数学者の闘い。

犯人は最初からわかっているものの、それでもここまで読み手を

ワクワクさせるのは、二人の天才の対決が魅力的だからでしょう。

昔から、ホームズにしても、明智小五郎にしても、

向かう犯人が好敵手であればあるほどワクワクしたものです。

二人の人物描写がもう少し深かったら、高村薫級の濃厚なミステリー

になったと思うけど、そこは東野圭吾。割とサラッと読めます。

それでも、今までの同シリーズとは一線を画したものとなってること間違いナシです。


ちなみに、漫画でたとえると『DEATH NOTE』に近い気がします。


これは、多分映画化されると思います。


★★★★★

桐野 夏生
柔らかな頬〈上〉    柔らかな頬〈下〉

主婦のグループが夫を殺す『OUT』の後に出版され、

直木賞を受賞した作品。


高校を卒業してすぐ、家出をしたカスミ。

二度と故郷には戻らないと決めたはずであったが、

再び北海道に足を踏み入れることになる。

そこで、事件は起きた。

娘、有香が朝の散歩の途中で突然いなくなってしまったのだ。

不倫相手である石山から、家族ぐるみで招待された別荘で・・・



本格ミステリーを期待するのなら、読まない方がいい。

結末は、好き嫌いがはっきりと別れると思う。

『柔らかな頬』は謎解きが主軸になってる小説ではなく、

ミステリーという要素を用いながらも、

自由を求め、自由に縛られ、大切なものを失ってしまった

一人の女性の内面を描いた物語なのだ。

自由を求めすぎるということは、利己的になるこなのかもしれない。

求めれば、求めるほど周りを傷つける可能性が高まる。

自由を求めて家出して、自由を求めて不倫をしたカスミは、

結局自分を責め続け、娘を探すことを目的にしか生きられなくなってしまう。

物語は娘の消息を追っかけながらも、いつのまにか

因果応報という言葉をあらためて考えてしまう小説だった。


ここまで書くと「なんか、小難しい話だなあ・・・」

と思ってしまうかもしれない。が、そこはさすが桐野夏生。

犯人を探しながら読み進めるうちに、いつのまにか色々考えされられている。

登場人物の心境を各々きっちりと書き分けていて、運びがうまい。

続きが気になって仕方なく、いつのまにか読み進めてしまうのだ。

私はすっかり作者のペースに乗せられ、全部読み終えてから、

“えっ??”と思うほど、ずっと犯人を捜してた、持ってかれる小説である。


★★★☆


天野 ミチヒロ
放送禁止映像大全

表紙から、なんとも怪しい本だ。

本屋で見かけたときから、気になって仕方なかった。

ついに拝見。


現在dvd化されてないドラマ、アニメ、映画などを

集め、何故放送禁止なのかを1タイトルにつき見開き2Pで解説。

今見られないと分かれば、分かるほど、みたくなってくる。


割りと古い作品が多いため、ドラマは全然知らなかったものばかり

だったが、アニメの箇所は私にも十分楽しめた。


今、どんどん昔のアニメがBOXなどで発売される中、

かの有名な『キャンディ キャンディ』がDVD化されない理由は??


大人たちから教育上よくないと叩かれた、『クレヨンしんちゃん』の

スタッフが、親へ逆襲するため(?)に作ったエピソードがあったとは!!

(これは必読!)


『オバケのQ太郎』に黒人差別があると言われたエピソードがあるって?!



超オタクの人には、見開き2Pくらいしか情報がないので

ちょっと物足りないかもしれないけど、

雑学程度にはちょうどいい本。

でも、

“傑作なのにいまだビデオ化されない!”という作品ばかりで、

欲求不満になってしまうかも!!


★★★







大場 つぐみ, 小畑 健
DEATH NOTE (9)

今日久しぶりに、会社の副社長とランチをしたら、

何故か悩んでいる副社長。

そしてひと言、

「うちのかみさん、アニオタかもしれない・・・」


爆笑!!


そしてさらに、

「でもかみさんが、『ヨン様ファンよりいいでしょ』って

言うんだよ~。そうなのかな・・・??」

さらに大爆笑。


果たして、アニオタの妻とヨン様オタクの妻、どちらが良いでしょう??



そんなことは置いておいて、『デスノート』の9巻が出てた。

9巻でライトはついに大事なものを失ってしまう。

でも、それによってライトの支配力はさらに強くなる。

その強さは正義からくる強さではなく、

強欲のための強さになってしまう。


少年漫画で唯一ともいえるほど、予測不可能な漫画。

毎回、次の展開が全く分からない。

初めは一緒に推理してみたり、

どうやったら、このサスペンスが通じるかなんて、

浅はかなことを考えて読んでたが、今ではそんな余裕全くなしだ。


今回も満足のいく展開。

明智小五郎もびっくりのはずだ。


果たして、ライトVSニアはどうなるのか???

早く続きが読みたい・・・


★★★★★









石田 衣良
4TEEN

『池袋ウェストゲートパーク』の石田衣良が直木賞を受賞した作品。
月島に住む4人の少年たちの、青春物語。


月島の平均的なサラリーマン家庭に育つ、主人公テツロー。

ちょっといやみっぽいが頭の良いメガネ小僧、ジュン。

家は金持ちで恵まれてはいるが、早老症のナオト。

アル中の父親を持つ、体がでかいダイ。

性格も環境もバラバラだが、何故だか気が合う仲間たち。

学校や、彼らの周りで起きるちょっとした非日常。



登校拒否の女の子へ、学校のプリントを届けることを命じられたり、

クラスで浮いている子につきまとわれたり、

新宿のホームレスと一緒にテントを張って度胸を試したり。



一つ一つは、大人になった私には、今となってはありきたりの事件

とも思えるが、ありきたりに過ぎていく毎日を

一生懸命生きてたぁと思い出させてくれる本である。

映画化もされた、スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』を

彷彿させる作品。(ちょっと言いすぎかもだけど・・・)

ここに出てくる4人は中学生だけど、少々大人びている。

自分が中学生だったときを思い返すと、どのエピソードにおいても

実際の中学生がこの少年たちのように振舞えるとはとても思えない。

でも、この子たちのようなステキな対応のできる中学男子がいると

イジメとか少なくなるんじゃないかなあ。

読んでて気持ちのいい、さわやかさが残る作品でした。



★★★☆








荻原 浩
コールドゲーム

『神様からのひと言』の作者。

渋谷のパルコbookセンターの週刊文庫ランキングの

第3位に入っていたので、早速買って読んでみた。



中学の同級生の周りで、次々と起こる嫌がらせ。

ついに嫌がらせはエスカレートし、遂に死人が出てしまう。

中学生の時にいじめていたトロ吉が犯人なのでは?と

少年たちは、次なるターゲットを守りながら、

行方の分からないトロ吉を探し始めた。



読んでまず思い出したの『ぼくらの七日間戦争』。

昔、宮沢りえが主演で映画化されたヤツだ。

でも、この作品は『七日間戦争』とは全然ちがう。

『七日間戦争』は正義や自由のために子供たちが団結するが、

この作品は、イジメられっこの報復から逃れるために

旧友たちが集まる。



全体的には、荻原節がきいていて、すいすい進むサスペンス。

だが、なんだか私の心に留まるものはない。

多分、イジメというものをテーマにするには、

イジメを真正面から切ってない。

表面だけを捉えて、サスペンスの動機にしているような感じ。

誰の心も深く掘り下げていないので、

いまいち感情移入しにくい感じも受けてしまう。

決して、面白くないわけではないのだが、

読み終わった後に、残るものが何もないのだ。



私の評価は低いけど、読んで激怒したり後悔する本ではなし。

高校生の冒険に感情移入できる人が読めば、

きっと面白いと感じるはず!?


★★