本を持って街に出よう

本を持って街に出よう

本が好きです。街が好きです。
「一箱古本市のあるきかた」に刺激され、何かを発信したい。
本の話や書評、日常のことなどなど、さて何が飛び出すやら。

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ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上/スティーグ・ラーソン
¥1,700
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全世界で2100万部を売り上げた、大ベストセラー。さらに、本国スウェーデンで発売前に作者が急死という悲劇の作品でもあります。2009年の話題を独占した感もありますね。

日本でも週刊文春ミステリーベスト10第1位をはじめ、各賞受賞。

遅ればせながら、読みました。なるほど、これは面白い。ベストセラーは信じていない私も、これははまりました。


月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。だが、名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることになる。そんな彼の身元を大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが密かに調べていた。背中にドラゴンのタトゥーを入れ、特異な風貌をした女性調査員リスベットの働きで、ヘンリックはミカエルが信頼に足る人物だと確信し、兄の孫娘ハリエットがおよそ40年前に失踪した事件の調査を彼に依頼する。ハリエットはヘンリックの一族が住む孤島で忽然と姿を消していた。ヘンリックは一族の誰かが殺したものと考えており、事件を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させる証拠資料を渡すという。ミカエルは依頼を受諾し、困難な調査を開始する。【ハヤカワHPより】


最初は、ヴァンゲル一族の多さに戸惑いました。何といってもそれが翻訳ものだとなかなか覚えられないという、悪循環かと思いましたが、天才リサーチャー、リスベットの出現で、がぜんスピード感というか、物語に引き込まれました。


このリスベット、鼻と眉にピアスをし、身体のあちこちにタトゥーを刻んでいるという、風変りな容貌。何といっても背中にドラゴンのタトゥーを入れているのが、すごい一番。リスベット自身、その過去は決して、幸せなものではなく今も自由なものではないことが明らかになってきます。そして、このタトゥーもちゃんと意味がありそうです。

そんな彼女は、天才ハッカーというのも凄い。


さて、ミカエルなんですが、裁判に負けミレニアム社から身を隠し、奇妙な依頼に身を投じます。

最初は乗る気ではなかったのですが。ミレニアム社のために、重要な秘密を持っているというヘンリック・ヴァンゲルを疎遠にできない。

徐々にその依頼にのめり込んでいきます。ヴァンゲル一族の暮らす島で調査を始めるんですが、その一族の女性とも関係もったこともその一つなんでしょうね。そこはお国の違いか。随所にいい友だちだからということが出てきますが、日本での意味合いとは違いますね。


謎のちりばめ方も秀逸で、どんどん引き込まれていきます。惜しむらくは上巻では、ミカエルとリスベットの接点ががなかったこと。


リスベットの秘密はまだまだありそうですね。

なんだかんだと言って、あっという間に読んでしまいました。最終的な感想は、下巻に残しておきます。

RUN!RUN!RUN!/桂 望実
¥1,500
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面白かったです、これ。

と、いうより中盤から、一転、重い内容になっていくところが、秀逸。決して絵空事ではない、あり得る話だから、怖いとともに、主人公の苦悩と立ち直りと姿勢に結構はまってしまいました。


長距離ランナーとしての天賦の才を持って生まれた岡崎優。高い能力と努力を重ねて、スポーツで有名な大学に入学する。しかし、まったく自分のことのみしか考えられない。仲間もできず、先輩からは疎んじられていると言う状態。目指すは自分の名声のための箱根駅伝出場。しかし、家族の事件から状況は一変する。


この主人公、岡崎優がなんともいけすかない奴で、どうもなじめないんですよね。

周りに溶け込もうとせず、自分ひとり生きてきた。決して、同調しないという自らの殻を壊せない、壊そうともしない奴で、腹立たしいんです。

親と言えば、父親は箱根駅伝で棄権したという過去で、二男の優に、スプリンターの道しかないという英才教育家。結構な資産家で、BMWなんかで練習に送ってくれるという、なんだかな~と言う感じなんです。


ついでに母親のことも書きますが、こちらは長男溺愛。甘美な容貌、頭脳明晰。

医者を目指し、勉学に励んでいるというせていが、前半書かれます。

あらすじにも書きましたが、あることから(これは書けません)、家族の状況が一変し、崩壊。

そして、ある事実に気づき、挫折を味わんですね。

それもちょっとやそっとの挫折ではなく、自分の存在意義さえも考えてしまうという。


そこからスプリンターの道をあきらめ、箱根駅伝では唯一の友人岩ちゃんのサポートに回るんですね。

そこからが、見せ所でしょうね。二人三脚で練習に取り組む姿勢と育まれる友情。そして、本番。

もちろん、緊迫感と臨場感もあり、スポーツ小説としても秀逸だと私は思う。


この作者、特定の職業をモデルにした小説が実にうまい。「県庁の星」「Lady,Go」など。

その作風から、この作品で変わった気がしますね。

新作も結構だされているので、読んでみたい気がする。いつか、「県庁の星」に続く大ヒットの予感がします。

ともかく、この異色スポーツ青春小説を読んでみてください。一気読み、必至の作品です。

ジョーカー・ゲーム/柳 広司
¥1,575
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2008年週刊文春ミステリーベスト10「第3位」。このミステリーがすごい!2009年版「第2位」。本屋大賞ノミネート。吉川英治文学新人賞など、数々の賞に輝いた、著者のブレイク作品です。

時代は大日本帝国が列強国から植民地を解放するという名目で仕掛けた、太平洋戦争。結城中佐の訓練のもと設置されたスパイ養成学校D機関。徹底的に鍛えられ上げた訓練生たちは、世界の都市で諜報というもう一つの戦争を戦いぬいていく。


いやー、面白い。一気読み必至の作品ですね。何よりスパイ養成学校D機関を立ち上げた、魔王と呼ばれる結城中佐の存在感が全話に盛り込まれています。かって、スパイとして暗躍。しかし、敵国にスパイ容疑で拘束され、拷問により捻じ曲げられ手、足も負傷し杖をついて歩いているという結城。その彼が、陸軍の中では反対されつつ、スパイ養成を始めるという表題作が何といっても冒頭から引き込まれる理由でしょうね。この表題作は陸軍とD機関の仲介となった佐久間という男が主人公。D機関を嫌悪しているが、いつしか陸軍からも裏切られている事実を知ることに。そして、結城中佐の秘密も明かされていきます。もはや、誰も信じられない境地なんですね。ですが、結局陸軍も出し抜く結果になるんですが、これが爽快。以降陸軍も援助せざるをえなくなるんです。


第二話以降は、D機関を巣立ったスパイたちが国内で、イギリスで、上海で暗躍するする姿が書かれています。どの話も面白い。その展開が二転三転。まさに裏の裏は表。敵と思ったら味方。味方は敵になり、さまざまな駆け引きがドキドキしますね。結末がいい具合に落としていただけるので、これまた爽快なんです。大戦中の話なので、なかなか読めない気分だったのですが、早く読めば良かったですねー。


「殺人及び自死は最悪の選択肢」と叩きこむ結城。その教えが、スパイたちに伝わっていきます。見えない存在になることがスパイ。いやー、実際にこうした諜報活動ってあるんでしょうね。そんな厳しい世界を描きつつ、極上のエンターテインメントに仕上がっています。

これは第二作「ダブル・ジョーカー」も読まなくては。未読な方はぜひぜひ。面白いですよ。

BILLY BAT 1 (モーニングKC)/浦沢 直樹
¥630
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1949年、漫画家の日系人ケヴィン・ヤマガタは大ヒットしている「ビリー・バット」が日本のマンガのコピーと言われ、単身日本へ行くことに。それが、運命の始まりだった。巨大な陰謀に巻き込まれて行きます。
未読の方が多いのでネタバレを踏まえて、このくらいで。

すごいと思うのは、ちゃんと史実を踏まえているところです。そして、それだけでは終わらない。この話が行く先は、古代、現代、未来一体どこなのか。まったく予測不可能な浦沢ワールド全開です。
史実に基づき。有名な人物も出てきて、嬉しいですね。
ゾクゾクする展開です。さまざまな伏線を配し、話は続いていきます。うまいよなー、本当に。

「白か黒か」、それが問題だ。さらに…、作中作。これ、ミステリの手法でしょ。マンガはミステリを超える。

浦沢直樹「日本の黒い霧」に挑んだ。
これで、だいぶネタバレになったと思う(笑)

信長の棺〈下〉 (文春文庫)/加藤 廣
¥570
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桶狭間でなぜ信長は勝つことができたのか?信長の遺骸は?秀吉の「中国大返し」はなぜ可能だったのか。

真相を探るため、謎の女、多志に導かれ、太田牛一は阿弥陀寺、本能寺、丹波を結ぶ闇へと足を踏み入れる。歴史ミステリーいよいよクライマックスへ。【BOOKデータベースより引用】


さて、下巻です。前半の謎の提示が良すぎて、後半の謎の解明は少し、トーンダウンかな。

全ての謎が、解けていきますが、信長の遺骸以外は、ありかな。というより、いろんなところで、そういう説もありと聞いているので。

信長の遺骸は、これはこれしかないと思うんですね。まあ、本能寺ににあれだけ少ない人数での護衛だったのかというのも謎ですけど。ただ、織田家の家系も絡める所が、この作者の独自性かな。


多志とともに、丹波を訪ね、真相が分かるくだりから、また一気読みでした。

全て、秀吉の陰謀説が占めていますね。

分からないでもない。


一番の驚きは、安土城の天守閣ですね。暦と関連付けているのが、斬新で。信長なら、そこまで考えていたかも知れないな。これは、目にウロコでした。

いろんな謎が一気にとは、いかないまでもある程度、解けていきます。

その解ける過程が、この作品の一番のキモかもしれません。

ただ、作者の言いたいことは十分伝わってきました。


ラストで、織田の目印、木瓜が無残に抜き取られているのと、「権力者の嘘まじりの手柄話を書くのは、もうこりごりだ」と牛一はいいます。

まさしく、作者の書きたい本当の意味があると思いました。

が、なかなか、読ませる秀作とおもいました、わたし。

この手の読み物に興味がある方、ぜひぜひ。

信長の棺〈上〉 (文春文庫)/加藤 廣
¥530
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あの小泉純一郎元首相が在任中に感銘を受けた本として、一躍有名になった作品です。

なんと内容は歴史小説と思いきや、歴史ミステリーでした。

本能寺に倒れる直前、後に「信長公記」を記した家臣太田牛一に、信長は5つの棺を託す。安土城下を抜け、西に向うも佐久間に囚われてしまう。その後、秀吉に、信長の伝記を執筆することを条件に牛一は助け出される。 なぜ、中国で苦戦していた秀吉が自分を助けることになるのか。頼ろうとした柴田は?そして、明智は?囚われの身のなっていた牛一は理由がつかめない。そして、最大の謎、信長の遺骸はどうなったのか。

そして、信長の伝記を描き続けた今、秀吉も死地に向かおうとしている。


いやいや、いろんな謎が一気に提示されます。

まず、5つの棺は何か。信長の遺骸はどこに?光秀はなぜ、暗殺をほのめかすような連歌を作ったのか。桶狭間の合戦で信長はなぜ勝つことができたのか?などなど。ちょっとてんこ盛りすぎるのではと、感じてしまいますね。

上巻は牛一が信長の家臣となって、託された棺、本能寺の変から秀吉の醍醐の大花見会に招待されるまでを描いています。信長の伝記を作るという使命により、各地を調査に回るという探偵役なんですね。

いわば、太田を探偵役としつつ、作者自身が探偵となっている手法です。


合戦シーンや極めつけの印象に残るやり取りは、ないんです。

ただ、信長の謎を冒頭からちりばめて、上巻はその謎の提示ながら一気読みしてしまいました。

牛一は言います。「奇跡とは必ず裏があるもの。歴史とは強者の作り話に過ぎない」

そうした、牛一の言葉がこの作品の全体を作っているのですよね。


謎は解明されず、下巻に向かいますが、さてさてどうなるのでしょうか。

早く読めば良かったな~、これ。なるほど、おもしろい。

第142回直木賞が昨日14日、発表がありました。

な、なんとダブル受賞とは(笑)

葉室さんだとばかり思っていたもので、これはビックリ。


最も両氏とも実力派。佐々木さんは各賞受賞後の、ビッグな賞ですね。

おめでとうございます。お二方の作品、いずれ読ませていただきます。

芥川賞は受賞作なしだそうです。舞城さんに期待したんだけどなー。


廃墟に乞う/佐々木 譲

¥1,680

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ほかならぬ人へ/白石一文

¥1,680

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ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上 ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)警官の血 上巻 忍びの国


図書館本その2です。

翻訳ミステリーが読みたくて、昨年話題をさらった「ミレニアム」を上下巻。

さらにSFミステリー「ユダヤ警官同盟」上下巻。

そして、和モノとしては「警官の血」上巻。

そして、時代もの「忍びの国」。こちらは、和田竜さんの2作目ですね。

重厚すぎる、本を借り過ぎてしまいました。

今は2冊目「ミレニアム」に挑戦中です。まだ面白さがわからない。選択ミス??。

信長の棺〈上〉 (文春文庫) RUN!RUN!RUN! 三人姉妹 プラチナタウン 誘拐


今年、初購入本と、初図書館本です。

購入本は「信長の棺」上・下の文庫。

図書館本は、結局、10冊借りてしまいました。2週間で読み切れるはずもなく…。


購入本は「信長の棺」文庫判の上下巻。この本と作者はずっと注目していたんですが、どうでしょうかね。

「RUN!RUN!RUN!」「三人姉妹」は北上次郎さんおススメだったので。

スポーツ小説が無性に読みたくなってきたので。

「プラチナタウン」と「誘拐」はなんとなくです。

さてどれから読もうかな。

それにしても、借り過ぎた(笑)


「一箱古本市in広島」が2月20日(土)に開催されます。

今回は「2010年 広島ブックフェスティバル」(旧 お好み本ひろしま)のプレイベントとなるそうです。


詳細はこちら→「一箱古本市in広島


場所は「カフェパコ」(広島市役所電停下車すぐ、目の前は広島中央郵便局)

2010年2月20日(土)
 10時~17時 ・・・一箱古本市開店時間
 

昨年は参加できなかったので、今回から参加できればと思っていますが…。

受験のピークだった(泣)


とはいえ、万障繰り合わせて参加したいです。

出店は無理なので参加か、お手伝いできたらいいな~。