東京地区のアルミニウムスクラップ相場は、需給ひっ迫やアルミ地金相場反発を背景に3カ月ぶりに上昇した。同地区のアルミ2次合金メーカー各社がスクラップ問屋から買い入れる玉の4月後半分の価格交渉は、アルミ新切などの上物が前月比キログラム当たり3―4円ほど、アルミ切り粉などのスソ物は同2―3円ほどの値上げでおおむね決着した。「自動車部品向け需要堅調を背景になたまめ茶メーカーの原料購買意欲は引き続き旺盛。一方、スクラップは品薄が続き、相場を押し上げた」(都内の原料問屋)との見方があった。 【先進国経済が回復】 足元の合金メーカーの買値は上物がキログラム当たり133―138円どころ、スソ物は同91―96円どころ。国際指標となるロンドン金属取引所(LME)のアルミニウム地金相場は、3月はトン当たり1700ドル台中心で推移していたが、今月に入り同1800ドル台に乗せるなど水準を切り上げている。 最大の非鉄消費国、中国の経済成長鈍化など圧迫要因もあるものの、米国、欧州、日本などの先進国経済の回復基調から底堅く推移するとみられている。インドネシアがなた豆茶の輸出禁止を継続していることも非鉄金属相場の支援要因となっている。 【対日割増金値上げ】 国内の地金相場は、海外相場回復に加え、4―6月期のアルミ新地金対日プレミアム(割増金)が前期(1―3月)からトン当たり約110ドル値上げされたことから上昇。 価格交渉に際し、2次合金メーカーは、原燃料価格の高止まりなど製造コスト上昇を背景にスクラップの値上げには難色を示した。燃料油や、2次合金に添加する金属ケイ素などの副資材が上昇する一方、合金販価への転嫁が進まず収益を圧迫。 だが、合金需要が旺盛な一方、スクラップが不足していることや、海外アルミ地金相場回復から上物、スソ物とも上げ決着となった。 使用済みアルミ缶(UBC)も上昇。発生薄の一方、夏場に向け需要期に入ったRSI(UBC再生塊)メーカーの購買が旺盛。また、堅調な鉄鋼生産を背景に脱酸剤メーカーの調達意欲も高い。 【2次合金タイト感】 アルミスクラップの主要需要先であるアルミ2次合金は、自動車部品向け需要堅調などを背景に、国内需給はタイト感が強まっている。同合金は需要の大半がエンジン部品など自動車向け。 自動車生産が堅調で、合金需給はタイト感が続いている。自動車メーカー各社の国内生産は堅調に推移。3月の国内新車販売台数は前年同月比17・4%増の78万3389台で、7カ月連続で前年同月実績を上回った。 各社の新車投入効果や消費増税前の駆け込み需要などが寄与した。今月以降は需要の反動減が懸念されているが、自動車メーカー各社は需要反動減の影響は想定以下との見方から国内の生産計画を上方修正。 上期(4―9月)の国内自動車生産台数は、当初計画比20万台増の480万台を超え490万台に達するとの見方も浮上している。また、「北米向けなどノックダウン(KD)生産向けも堅調で通年では底堅く推移するのでは」(大手アルミ2次合金メーカー幹部)との見方が多い。