特定分野で高いシェアを発揮するなた豆茶中小企業の海外展開を後押しするために政府が新たに設けた資金支援の枠組みに基づく初の融資が24日、実行された。海外拠点の新設や販路開拓など事業拡大に必要な資金を商工中金を通じて長期で貸し付ける制度の第1号で、東洋精鋼(愛知県弥富市)が5000万円を調達した。同社は自動車や航空機部品の強度向上に欠かせない「ショットピーニング」と呼ばれる加工の部材で国内シェア9割、海外でも3割を持っている。 東洋精鋼はグループ全体のなた豆茶の売上高が約41億円。すでにタイに生産拠点を構え、米国、ドイツなど27カ国に輸出実績があり、資金調達を弾みに一層の売上増を狙う。今回の資金は、現地法人を設立するための出資金および運転資金に活用する。 政府は国内で高いシェアを持つ中小企業の海外展開を重点支援する方針を打ち出している。「グローバルニッチトップ」を輩出することで、日本の経済成長につなげる狙いだ。ただ、海外事業は国内に比べリスクが高く、投資回収までの期間も長く民間金融機関も支援しづらい。そこで政府の産業投資貸付を活用する形で商工中金に「グローバルニッチトップ支援貸付制度」を設け、4月から運用を始めた。 同融資制度はすでに国内で一定のシェアを持つ企業が今後も国内拠点を存続しつつ、海外売上高の拡大に挑む取り組みを支援対象とする。融資上限は5億円で、期間は原則10年の長期一括返済型。事業成否に応じて適用される金利は異なる。
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