「シリアスゲーム(メディアテクノロジーシリーズ)」を出版しました

私が編著者として執筆した「シリアスゲーム(メディアテクノロジーシリーズ)」が先日、コロナ社より出版されました。しばらくぶりの更新となりだいぶ間が空いていましたが、当ブログでも皆さんにお知らせします。

印刷された著者見本が先日手元に届いて、先行して出版社ウェブサイトで販売開始しています。来週辺りからオンライン書店や一般書店にも並ぶとのことです。

藤本徹(編著), 池尻良平, 福山佑樹, 古市昌一, 松隈浩之, 小野憲史(著)(2024)シリアスゲーム(メディアテクノロジーシリーズ5). コロナ社.
https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339013757/

2007年に出版した拙著「シリアスゲーム: 教育・社会に役立つデジタルゲーム」以降のシリアスゲーム研究の動向を検討して、これまでのシリアスゲーム研究の節目となる著作となりました。各テーマでシリアスゲーム研究に取り組んでこられた先生方との共著で、その後の研究活動の蓄積や広がりが理解できる著作となりました。

2017年に出版した拙編著「ゲームと教育・学習(教育工学選書)」でゲーム学習が教育工学分野の一つの研究領域として位置付けられたことに続いて、今回はメディアテクノロジーシリーズの中でメディア学分野でシリアスゲームが一つの研究領域として位置付けられる成果となりました。

本作をシリアスゲームを学ぶ入門書として大学の授業などで長く使っていただけるように、引き続き関連研究の情報や研究成果を発信しつつ、この分野の活動をさらに盛り上げていければと考えています。

また、本書の内容をもとにして、先日開催された日本デジタルゲーム学会の年次大会で、これまでのシリアスゲームの成果と課題について発表しました。

藤本徹(2024)シリアスゲームの成果と今後の課題. 日本デジタルゲーム学会第14回年次大会予稿集. 126-129. 2024年2月25日

ここまで研究を進めてこれたのは、日本デジタルゲーム学会や日本教育工学会でご一緒している研究者の先生方との連携があってのことです。皆様に改めて感謝申し上げます。

最初の著作を出した頃は30代前半でしたが、気がつけば50代になっており、研究者としてのキャリアの捉え方も変わってきました。残りのキャリアで何ができるか模索しつつ、さらに良い研究活動を続けられるように励みたいと思います。

来年度のプロジェクト立ち上げ準備中

12月は寄付月間とのことで、東京大学基金で寄付募集のキャンペーンを行っています。
藤本研究室で新たに「プレイフル社会の理論構築と社会実装プロジェクト」を立ち上げます。
ゲーム学習研究に取り組む若手研究者の育成や、社会貢献の取り組みを応援してくださる皆さまのご支援をいただけましたら幸いです。

プレイフル社会の理論構築と社会実装プロジェクト

プロジェクトの目的:

ゲーミフィケーションなどの遊びと学びに関する理論を応用して社会に実装し、プレイフル社会、すなわち「遊ぶように働く・学ぶ」ことを可能にする社会の実現、個人の多様性に応じた成長支援のための理論研究や実践研究を行います。皆さまからのご支援を活用させていただき、シリアスゲーム/ゲーミフィケーション研究や、プレイフルな学びが豊かな社会を支える知識の創造、普及に取り組みます。

プロジェクトの研究テーマ例:

  • ゲームの遊びの経験を成長に繋げる活動支援に関する理論研究:学習科学や認知科学などの関連領域との接続
  • シリアスゲーム/ゲーミフィケーションのデザイン方法論体系化:研究知見の可視化
  • シリアスゲーム/ゲーミフィケーションデザイン教育プログラムの開発:ゲーミフィケーションを社会に実装できる人材の育成

プレイフル社会の理論構築と社会実装プロジェクトページ(東大基金)
https://utf.u-tokyo.ac.jp/project/pjt173

「教育システムデザイン論・オンラインセミナー」開催のお知らせ

新学期の授業が始まりました。先日お知らせしました大学院授業「教育システムデザイン論」も開講しました。この授業の一環として企画したゲストセッションに、情報経営イノベーション専門職大学(iU)学長の中村伊知哉先生と、慶應義塾大学教授で超教育協会理事長の石戸奈々子先生に揃ってご登壇いただけるという貴重な機会となりましたので、オンラインセミナーとしてどなたでも参加できる形で開催いたします。これからの教育のあり方に関心のある方はどうぞご参加ください。

—–

「教育システムデザイン論オンラインセミナー」

開催趣旨:
東京大学 大学院情報学環の藤本研究室は、先進的な教育システムの研究と新しい教育システムデザインに取り組む人財の教育を行っています。
この度、今年度新規開講した大学院授業「教育システムデザイン論」のスピンオフ企画として、この分野の最前線で活躍されている方々を特別ゲストにお招きしてオンラインセミナーを開催します。

今回は、情報経営イノベーション専門職大学(iU:あいゆー)学長の中村伊知哉先生と、慶應義塾大学教授で超教育協会理事長の石戸奈々子先生に、iUのコンセプトデザインと超教育の取り組みについてご講演いただきます。貴重な機会ですので是非ご参加ください。

開催日時:2022年4月20日(水)16:50〜18:35
開催方法:Zoomによるオンライン開催
参加費:無料

内容:
ゲストセッション「iUのコンセプトデザインと超教育の取り組み」
ゲスト講師:
中村伊知哉氏(iU 学長)
石戸奈々子氏(慶應義塾大学教授/CANVAS代表、超教育協会理事長)

モデレータ:
藤本 徹(東京大学 准教授)

参加申込:
下記のWeb フォームからご登録ください(ご登録いただいた方へZoomURLをお送りします)。
https://forms.gle/ijj6UyfT9eQoQ9PF6

本セミナーに関する問い合わせ先:
東京大学 藤本徹研究室
ludix-contact@ludixlab.net

備考:
・ 本セミナーは、主催者の教育活動、広報活動のために撮影、録画を行いますので、同意の上でご参加ください。
・ 本セミナーの録画・録音はご遠慮ください(動画アーカイブや紹介記事を後日公開予定です)。
・ 録画には、Zoom参加者の名前などが含まれうることをご了承ください(公開されても問題ない表記にご変更ください)。

登壇者プロフィール:

中村 伊知哉(なかむら いちや)
iU 学長
1961年生まれ。京都大学経済学部卒、大阪大学博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。
1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。MITメディアラボ客員教授、スタンフォード日本センター研究所長、慶應義塾大学教授を経て、2020年4月よりiU(情報経営イノベーション専門職大学)学長。 
CiP協議会理事長、吉本興業HD社外取締役、京都大学特任教授、慶應義塾大学特別招聘教授、国際公共経済学会会長、日本eスポーツ連合特別顧問、理化学研究所コーディネーターなどを兼務。内閣官房、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省などの参与・委員を歴任。著書に『新版 超ヒマ社会をつくるーアフターコロナはネコの時代―』(ヨシモトブックス)、『コンテンツと国家戦略』(角川EPUB選書)など多数。
http://www.ichiya.org/

石戸奈々子(いしど ななこ)
慶應義塾大学教授/CANVAS代表
超教育協会理事長

東京大学工学部卒業後、マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員研究員を経て、NPO法人CANVAS、株式会社デジタルえほん、
一般社団法人超教育協会等を設立、代表に就任。慶應義塾大学教授。
総務省情報通信審議会委員など省庁の委員やNHK中央放送番組審議会委員を歴任。デジタルサイネージコンソーシアム理事等を兼任。政策・メディア博士。
著書には「子どもの創造力スイッチ!」、「賢い子はスマホで何をしているのか」、「日本のオンライン教育最前線──アフターコロナの学びを考える」、「プログラミング教育ってなに?親が知りたい45のギモン」、「デジタル教育宣言」をはじめ、監修としても「マンガでなるほど!親子で学ぶ プログラミング教育」など多数。
これまでに開催したワークショップは3000回、約50万人の子どもたちが参加。実行委員長をつとめる子ども創作活動の博覧会「ワークショップコレクション」は、2日間で10万人を動員する。デジタルえほん作家&一児の母としても奮闘中。
https://creativekids.jp/

藤本 徹(ふじもと とおる)
東京大学大学院情報学環 准教授。専門はゲーム学習論、教育工学。慶應義塾大学環境情報学部卒。ペンシルバニア州立大学大学院博士課程修了。著書に「シリアスゲーム」(東京電機大学出版局)、「ゲームと教育・学習」(共編著、ミネルヴァ書房)訳書に「テレビゲーム教育論」、「デジタルゲーム学習」(東京電機大学出版局)、 「幸せな未来は「ゲーム」が創る」(早川書房)など。

大学院授業「教育システムデザイン論」を新規開講します

個人ブログの方を更新するのはしばらくぶりになりました。早くも新年度ですね。
今年に入ってから、学内の諸業務や兼務先の仕事の引き継ぎに追われましたが、ようやくメドが立ってきて、大学業務の慢性過多状態が幾分解消できました。

その分、教育に少しエフォートを割いてもやっていけそうな見込みが立ってきましたので、今年度から新規に大学院の授業を1科目立ち上げました。以前から暖めていたコンセプトで、先進的な教育モデルを調査して、新たな教育システムデザインの構想に取り組む授業です。

今年度は、この授業の趣旨にご賛同くださった4名の先生方に、とても豪華なゲストセッションをお願いすることができました。まず、中村伊知哉先生(情報経営イノベーション専門職大学(iU)学長)と 石戸奈々子先生(慶應義塾大学教授/CANVAS代表、超教育協会理事長)に新設の情報経営イノベーション専門職大学(iU)と超教育の取り組みについてお話いただきます。

次に、この授業の指定文献の著者である吉見俊哉先生に大学論をテーマにお話しいただき、さらに情報学環・学際情報学府の設立時のコンセプトデザインについて(この4月から関西大学に移られた)水越伸先生にお話しいただきます。

主に教室での学びのデザインを扱うインストラクショナルデザイン(instructional systems design)の対象領域よりも広範な、学校レベル、社会レベルでの教育システムのデザイン(educational systems design)の導入となる授業として位置付けています。この授業を起点として、何年かかけて数科目開発していくと、面白いカリキュラムができそうで楽しみです。

「文化・人間情報学特論X:教育システムデザイン論」シラバス

文化・人間情報学特論X/Special Seminars in Cultural and Human Information Studies X
講義名:教育システムデザイン論/Educational Systems Design
開講所属/Course Offered by学際情報学府
曜限/水曜5限(16時50分~18時35分)
開講区分/S1S2
単位数/2.0
学年/M1/M2/D1/D2/D3/D4
他学部履修/可
主担当教員/藤本 徹
教室/福武ホール B2階・福武ラーニングスタジオ2

授業の概要:
「あなたがもし、今の東京大学が存在しない世界線に飛ばされたとしたら、その世界であなたは、どんな教育システムを創造するか?」これがこの授業の基本的な問いである。
どんな教育が求められる世界が待っているかは、飛ばされてみないとわからない。それに、数年前の私たちからすれば、伝染病や戦争で世界秩序が大きく揺るがされる状況に直面する今日は、あたかも別の世界線にいるような状況にも見える。その世界であなたは、自分の子どもの世代のための最良の教育システムの根本的なあり方を模索するかもしれないし、東大の代わりに世界ランキング上位を目指す大学を作ろうとするかもしれない。次世代の教育を担う立場になることが避けられない状況が来るとしたら、今からできる準備は何だろうか・・・。
この授業では、大学を中心とする日本の教育システムを取り巻く問題状況について学び、新たな教育のあり方を追求する先進的な事例を調査する。そして各自で設定した社会課題に対応した教育システムの代替案を構想することが、この授業の目標である。

キーワード:
大学教育/高等教育、教育システムデザイン、教授システムデザイン、ゲーム学習、教育方法、オンライン教育、組織デザイン
Higher education, educational systems design, instructional systems design, game-based learning, instructional methods, online education, organizational design

授業日程:
1 (4/6)
オリエンテーション、システムとしての大学
2 (4/13)
教育を取り巻く社会課題のマッピング
3 (4/20)
ゲストセッション:「iUのコンセプトデザインと超教育の取り組み(仮)」
中村伊知哉先生(情報経営イノベーション専門職大学(iU)学長)& 石戸奈々子先生(慶應義塾大学教授/CANVAS代表、超教育協会理事長)によるゲスト講義、Q&A
4 (4/27)
グループプロジェクト活動(1)イシュー検討ワーク(1)
5 (5/11)
ゲストセッション:大学とは何か、そして何処へ向かうのか(仮)吉見俊哉先生(東京大学教授)によるゲスト講義、Q&A
6 (5/18)
ゲストセッション:情報学環・学際情報学府のコンセプトデザインと実装(仮)
水越伸先生(関西大学教授)によるゲスト講義、Q&A
7 (5/25)
グループプロジェクト活動(2)イシュー検討ワーク(2)
8 (6/1)
グループプロジェクト活動(3):テーマ決定、イシュー検討ワーク(3)
9 (6/8)
文献調査発表(1)各グループの発表、Q&A
10 (6/15)
文献調査発表(2)各グループの発表、Q&A
11 (6/22)
グループプロジェクト:リデザイン、プロジェクト進捗共有ワーク
12 (6/29)
事例調査発表(1)各グループの発表、Q&A
13 (7/6)
事例調査発表(2)各グループの発表、Q&A
14 (7/13)
グループプロジェクト活動(4)教育システム検討ワーク
15 (7/27)
グループプロジェクト最終発表、ラップアップ
(※文献調査・事例調査は、グループで選択した文献・事例で設定。ゲストセッションの開催日程、受講者数、授業進度により授業日程を調整。)

授業方法:
各回の授業は、論点理解のための講義とグループワークを組み合わせて進行する。文献調査発表、事例調査発表、構想プロジェクト発表とクラスディスカッションを行う。
授業中の活動内容やグループワークの体制の詳細は、受講者数に応じて調整する。
・ 文献調査:グループで指定図書の中から選択して、要点と論点を整理してクラス発表
・ 事例調査:グループで事例候補または任意選択した事例を選択して、当事者への取材を含む調査を行い、要点と論点を整理してクラス発表
・ プロジェクト:グループで任意に設定した社会課題に対応した教育システムの構想の要点と概要を準備してクラス発表

事例調査先候補例(設定テーマによりグループで選定):
・ Quest to Learn
・ Life is Tech ! (ライフイズテック)
・ N高等学校・S高等学校
・ ミネルバ大学
・ Coursera
・ 42 / 42Tokyo

評価方法:
各回のリアクションペーパー:50%
文献調査発表:10%
事例調査発表:15%
プロジェクト成果発表:25%

教科書、参考書、そのほかのリーディングリスト:
教科書:
吉見俊哉 (2021). 大学は何処へ 未来への設計 (岩波新書)

参考書:
吉見俊哉 (2011). 大学とは何か (岩波新書)
青木栄一 (2021). 文部科学省-揺らぐ日本の教育と学術 (中公新書)
苫野一徳 (2019). 「学校」をつくり直す (河出新書)
ピーター・センゲ (2014). 学習する学校. 英治出版
Schank, R. C. (2015). Make school meaningful–and fun! Bloomington, IN: Solution Tree Press.
Salen, K. T., Torres, R., Wolozin, L., Rufo-Tepper, R., & Shapiro, A. (2011). Quest to Learn: Developing the school for digital kids. Cambridge, MA: MIT Press. (open access)
https://www.researchgate.net/publication/273947121_Quest_to_Learn_Developing_the_School_for_Digital_Kids
他、テーマに応じて授業時に提示

履修のための条件(要求する事前準備):
前提条件はなく、大学を中心とする日本の教育システムの現状について、自分なりの問題意識をもって受講すること。
留学生や日本以外の教育システムの方が馴染みのある学生は、考えやすい国や地域の教育システムを軸にして、日本の教育システムに関連付けて考えても良い。

藤本研究室説明会(11/1)のお知らせ

藤本研究室が所属する東京大学 大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース(文人コース)の冬季入試説明会が10月30日(土)13時からオンラインで開催されます。

この説明会に連動して、藤本研究室を希望する方を対象とした説明会を以下の通りオンラインで開催します。

日時:
2021年11月1日(月)17:00-19:00

17時00分〜17時30分:藤本研究室の説明、Q&A(全体)
17時30分〜19時00分:(希望者のみ)藤本准教授との個別面談   
(希望者のみ)研究室所属の大学院生や特任研究員との面談

どのような活動をしているか、どのような研究で指導を受けられるかを説明します。 
参加希望の方は、事前に下記の参加申込フォームに必要事項を記入してお申し込みください。折り返し、Zoom会議室のURLをメールでお送りします。
https://forms.gle/yn1QcfhfJih2TbUs9

大学院に入学して藤本研究室で活動したい方は、どうぞご参加ください。
これまでの研究室の活動の様子については、下記の研究室ブログを参照してください。

https://ludixlab.net/?p=617

近々の発表予定

仕込みや締切に対応しているうちに、8月も気がつけば過ぎて9月になっていました。重い仕事も数々ありましたが、いずれも大過なく完了できてよかったです。こうして研究時間を削ぎ落としながら帳尻を合わせるうちに、研究者としてのキャリアの蝋燭がだいぶ短くなってきたことが時々ふと頭をよぎりつつ、うっすらとした疲れの抜けない日々を送っています。

秋になると学会の大会での発表や講演など、露出の機会も多くなりますので、直近の発表予定をリストアップしました。

最も直近は、9月4日(土)、熊本大学教授システム学研究センターの研究会にお招きいただいて講演します。昨今の社会的ニーズに対応して、学習テクノロジー関連の教育を拡充されるそうで、ゲーミフィケーション関連の技術周りの話題でお話いたします。

https://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/announcements/202108_seminar/

その次は、9月12日(日)、日本デジタルゲーム学会の夏季研究発表大会が開催されます。福岡大学の先生方にホストをお引き受けいただきまして、現地参加できる形で準備していましたが、緊急事態宣言下では出張も叶わず、現地の皆さんの方々はオフラインで、一般参加者はほぼオンラインでの開催となりました。藤本研究室から3件の発表を予定しています。私はソロで「ファーミングシミュレーター」の研究の可能性についての話題で、インタラクティブセッションの発表を行います。大会ページでプログラムも公開されましたのでご参照ください。

少し先の10月16-17日に開催されます日本教育工学会2021年秋季全国大会では、藤本研究室から4件の発表を予定しています。私は今年度基盤Bで採択された科研費プロジェクト「オンライン学習における学びたさを高めるエンゲージメント要因の相互作用モデルの研究」の研究進捗の発表を行います。

https://www.jset.gr.jp/taikai39/

発表リストを下記にまとめましたが、今年度から研究室所属の大学院生が一緒に参加できるようになったのは嬉しいことです。藤本ゼミでの活動状況や夏休みの活動報告など研究室ブログに書いてくれてますので、どうぞご覧ください。

https://ludixlab.net/

藤本徹 (2021) ゲーミフィケーションとデジタルテクノロジー. 熊本大学RCiS 第1回 教授システム学研究センター研究会. 2021年9月4日

藤本徹 (2021) 農業シミュレーションゲーム「ファーミングシミュレーター」を軸とした多方面のデジタルゲーム研究の展開. 日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会. 2021年9月12日

財津康輔, 藤本徹 (2021) ゲームにおける創造性の評価手法の提案―mini-cに着目して. 日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会. 2021年9月12日

石田好一, 藤本徹 (2021) オンライン環境におけるボードゲーム実践によるまちづくり学習の可能性. 日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会. 2021年9月12日

藤本 徹, 坂井 裕紀, 坂本 一憲 (2021) オンライン学習環境における学びのエンゲージメント向上のためのゲーミフィケーションデザイン手法の検討. 2021年秋季全国大会. 2021年10月17日

升井 友貴, 藤本 徹 (2021) 授業動画への教師アバター導入の影響に関する調査. 日本教育工学会 2021年秋季全国大会. 2021年10月16日

石田好一, 藤本徹 (2021) ゲーム教材を活用した高齢化社会のまちづくりへの住民参加を促す学習手法の検討. 日本教育工学会 2021年秋季全国大会. 2021年10月17日

張 昱彤, 藤本 徹 (2021) 日本語教育における“母語話者の聖域”問題を改善する学習ゲームの開発と評価 -中級者の高度な語彙習得:日本語オノマトペの学習を例として. 日本教育工学会. 2021年秋季全国大会. 2021年10月17日

誕生日の近況2021

今日は誕生日でした。メッセージをくださった皆さまありがとうございます。
この半年ほどの間でその傾向が強くなったのですが、任される仕事が手に余る状況が常態化しており、依頼を受けたこともさっぱり忘れてしまって、リマインドがあってようやくまともに回るような状態で仕事が進む日々が続いています。

私も以前はそれなりにきちんとした社会人として生きていた方だったと思うのですが、最近は手を抜いているのでも、わざとすっぽかすような悪意でも全くなく、単に忘れていて自分も驚くようなことで周りに迷惑を掛けることが起きるようになりました。事故を未然に防ぐ仕組みでカバーしないとダメな感じです。仕事柄、集合時間や締め切りを守れない大学教員は日常的に見かけますが、その人の特性だけでなく、環境に育てられてそのような人物になっていく側面もあるのかと身を持って感じています。

脳の防御反応のような、レジリエンス的な力が働いて、どんな嫌なことがあっても寝ればだいたい回復できるのはよいのですが、嫌なことと一緒に大事なことも一緒に忘れているような感じも増してきました。今日もとても良いアイデアを思いついた気がしたのですが、パソコンを立ち上げている間に何だったか思い出せなくなり、思い出せないくらいなら大したアイデアでもなかったろうと、諦めながら前に進む48歳の初日です。

体力的なピークはとうに過ぎて、若い頃のような馬力に頼ったパフォーマンスは出せないなかで、残りの研究者人生の歩みをどう進めていくか、本来のエフォートの割合を超えて圧迫してくる管理職的な業務に追われつつ、研究者としての成果を出す仕事をどこまでやれるのか、まだしばらく模索が続きそうです。休み休み続ければそれなりにやれそうな感じはするので、無理して踏み外さずにやっていこうかと思います。どうぞあまり期待せずほどほどに、これからもお付き合いくだされば幸いです。

藤本研究室説明会開催のお知らせ

来年度入学に向けた入試説明会のお知らせです。

東京大学 大学院学際情報学府の入試説明会が5月16日(日)にオンライン開催されます。学際情報学府に入学して藤本研究室で研究指導を受けたい方は、どうぞご参加ください。
詳細は決まり次第以下のサイトに告知されますのでご参照ください。
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/event/0422exam

藤本研究室を希望する方を対象とした説明会を、5月17日(月)17時からオンラインで開催します。

日時:
2021年5月17日(月)17:00-19:00

17時00分〜17時30分:藤本研究室の説明、Q&A(全体)
17時30分〜19時00分:(希望者のみ)藤本との個別面談
           (希望者のみ)研究室所属の大学院生やスタッフとの面談

研究室での活動や、どのような研究で指導を受けられるかを説明します。
参加希望の方は、事前に下記の参加申込フォームに必要事項を記入してお申し込みください。折り返し、Zoom会議室のURLをメールでお送りします。
https://forms.gle/EkVsos3xsD8kWij66

共同研究開始のプレスリリースを出しました

イオンファンタジーさんと東京大学藤本研究室との共同研究開始のプレスリリースを出しました。まずはこの共同研究の基軸となる成果をしっかり出して、プロジェクトを展開していきますのでご支援のほどよろしくお願いいたします。

新年度のご報告

もう明日から新年度ですね。学会の活動や、新旧プロジェクトの対応をしているうちに早くも3月が過ぎてしまいました。この3月末で兼務先の担当事業のスタッフが多く入れ替わるので、退職するスタッフを見送りつつ、新年度の段取りを組んで対応しているうちに、新規の仕込みも進まぬうちに新年度を迎えてしまいました。

明日からの新年度の流れに追われて発信する元気が無くなる前に、いくつかご報告いたします(これまでお世話になった方々に個別にご報告するつもりで全く至らず、先にこちらでご報告する形になってしまい申し訳ないです)。

まず、この4月1日付で東京大学大学院情報学環・学際情報学府 准教授に昇任します。ここまで部局の先生方に励ましていただきながら、何とかやってこれました。既に学内の運営業務は手に余っていますが、これからさらに増えてなかなかしびれる状況です。お世話になっている先生方のためにも、何とか持ち場を守っていきたいと思います。

以前からの大学総合教育研究センターの兼務は継続で、MOOC、OCW、東大TVなどの関連事業を再編したオープンエデュケーションユニットを統括することになり、残念ながら兼務先も仕事が増えました。こちらも以前からいろいろあって、組織の立て直しに何年もかかりましたが、やれることはやり切った感はあります。難しい状況下でも持ち場を守って良く働いてくれるスタッフのためにも、良い職場で活動してもらえるようにできる限りのことをしたいと思います。

研究面では、嬉しいことに今年度よりゲーム学習に関する共同研究プロジェクトに着手します。ゲーム学習分野で研究者の雇用の受け皿となる研究拠点を創ることを目標にこれまでやってきて、まだようやく常勤スタッフを2名雇える程度の小所帯ですが、10年ほどかかってやっと入口に立てた感じです。もうすぐリリースを出しますが、こちらもチャレンジングな課題を設定したのでなかなかしびれる状況です。良い成果を出すべく持てる力を全投入して取り組みしたいと思います。

教育面では、藤本研究室で2名の修士学生を新たに受け入れて、新年度は4名の学生を研究室で指導します。みんなチャレンジングな課題に取り組んでいますが、プレイフルに乗り切ってもらえるように試行錯誤してゼミ活動を組み立てています。この分野を志してきてくれた学生たちに良い成果を出してもらえるように、力を込めて指導したいと思います。

最近は私がどうするかというよりは、次の世代によりよい環境をどれだけ整備してつなげるかという観点で、自分のキャリアを考えることが増えました。ここまで大学の内外の状況が厳しくなると、私が現役の間に現状から大きく改善できる感じはあまりしないのですが、私自身が調子を崩さずプレイフルに仕事をしつつ、次の世代が良くなる種を残せるように、大事な課題に丁寧に取り組んでいきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。