政治資金規正法違反容疑で、会計責任者が東京地検特捜部に逮捕された民主党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」。小沢氏側に準大手ゼネコン「西松建設」(東京)から、政治団体をダミーにして献金された総額は、2億円近くに上るとみられている。陸山会はこれまでに不動産の取得など不透明さが指摘されてきた。献金も今回が初めてではない。■建設利権
故田中角栄氏の“秘蔵っ子”と呼ばれ、自民党を出た後も、「建設族」の実力者として影響力を維持してきた小沢氏。
捜査関係者によると、陸山会は西松だけでなく、疑惑のゼネコンからの献金窓口として知られた存在だったという。汚職事件に発展した中堅ゼネコン「水谷建設」(三重)の脱税事件を契機に、陸山会が平成16年と水谷の役員ら2人から献金を受けてことが問題視された。
小沢氏が代表を務める民主党岩手県第4区総支部にも、水谷から15年と計350万円が寄付されていた。発注工事をめぐる担当者が略式起訴された中堅ゼネコン「鉄建建設」(東京)からも、16年に25万円が陸山会に献金されていたことが発覚している。5~6年に摘発されたゼネコン汚職を受け、当時は新生党の代表幹事だった小沢氏側に、ゼネコン最大手「鹿島」側から献金がわたって事実が表面化。
陸山会が献金の受け皿の一つとされ、他党からは小沢氏の証人喚問を要求する意見も出た。小沢氏が故金丸信元自民党副総裁から政界引退時に引き継いだものは、親密な関係だけではなかった。
故福田赳夫内閣で防衛庁長官を務め、「防衛族」の実力者として知られた金丸氏から、利権あさりの拠点とされたシンクタンク「日本戦略研究センター」も譲り受けるなど、防衛利権も継承した。19年には、守屋武昌被告=控訴中=による汚職事件で、元役員が贈賄容疑で逮捕された防衛専門商社「山田洋行」からも、7~11年の間、毎年50万円計250万円の献金が陸山会にわたっていたことが明るみに出ている。
特捜部は小沢事務所を捜索したが、同事務所に入る同県第4区総支部も、12年から18年までで合計350万円の献金を受けていた。
陸山会は、不動産を購入していたことが、政治資金収支報告書で発覚。
マンションを財団法人などに貸し出し、18年末までに計980万円の家賃を得ていたことも明らかになった。政治資金規正法は、運用を3項目に限定し、運用を禁じている。陸山会は、小沢氏の金権政治疑惑の中枢にある、まさにいわくつきの政治団体だった。