一部の府県において、長年にわたり不適正な経理処理による資金のねん出が行われていた事態が平成18年から19年にかけて明らかとなって、当時、公金を扱う地方公共団体の会計経理に関して社会的な関心が高まり、19年6月に参議院決算委員会が行った「平成17年度決算審査措置要求決議」において、地方自治体の裏金問題について、地方自治体の監査が十分に機能していないことなどが背景にあるとして、政府は、地方自治体の監査に対し、積極的に指導を行うなど適切な措置を講ずるべきであるとされた。
これらの不適正な経理処理による資金のねん出等の事態は、一義的には地方公共団体自身の経理の問題であるが、不適正な経理処理の対象となった公金の中に、国庫補助金(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第2条第1項に規定する「補助金等」。以下「補助金等」という。)が含まれていれば、会計検査院としてもその状況を確認して、必要に応じて是正させる必要がある。
前記の府県では自ら内部調査を行い不適正な経理処理があったことを明らかにしているが、会計検査院がそれらの府県を対象として19年次に不適正経理と補助金等との関連等について検査したところ、不適正な経理処理等により支払った需用費、賃金、旅費等の中に、主として、公共事業の補助金等に係る事務費が含まれているものなどがあったことから、その検査状況を平成18年度決算検査報告 に掲記した。
会計検査院は、19年次に行った検査の結果等を踏まえて、都道府県(全47都道府県)及び財政規模等が県等に匹敵する政令指定都市(全18政令指定都市(21年度末現在)。以下「政令市」という。)を対象として、これらの都道府県及び政令市(以下、これらを合わせて「都道府県市」という。)における国庫補助事業に係る事務費等の経理の状況について、20年次から22年次までの3か年にわたり、表1のとおり、会計実地検査を行った。その結果、すべての都道府県市において、不適正な経理処理により需用費が支払われた事態又は補助の対象とならない用途に需用費、賃金若しくは旅費が支払われた事態が見受けられた。ただし、不適正な経理処理は1市では認められず、特に不適正な「預け金」「一括払い」及び「差替え」は11府県市では認められず、業者との癒着が著しい「預け金」は37道府県市では認められなかった。
会計検査院は、前記3か年の検査において判明した不適正な経理処理等の事態に関して、すべての都道府県及び政令指定都市の状況、発生の背景、会計事務手続における問題点、再発防止策の状況、会計監査の状況等を取りまとめ、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告した。 このほか、会計検査院は、都道府県・政令指定都市以外の市町村についても同様の検査を行い、指摘を行っている。
一部の府県において、長年にわたり不適正な経理処理による資金のねん出が行われていた事態が、平成18年から19年にかけて明らかになり、公金を扱う地方公共団体における経理について社会的な関心が高まっている。そして、19年6月に参議院決算委員会が行った「平成17年度決算審査措置要求決議」においても、政府に対して、地方自治体の裏金に対する指導監督について適切な措置を講じるべきであるなどとされている。
このような事態は、一義的には地方公共団体自体の経理の問題であるが、不適正な経理処理の対象となった公金の中に、国庫補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号。以下「補助金適正化法」という。)第2条第1項に規定する「補助金等」のほか、国の事業を地方公共団体へ委託する場合に必要な経費、国が支出を委任している委嘱等事業の実施に要する経費を含む。以下同じ。)が含まれていれば、会計検査院としてもその状況を確認し、必要に応じて是正させる必要があるとして、その状況を確認し、検査状況を決算検査報告に記載した。
広島、兵庫両労働局で発覚した不正経理を踏まえて、平成16年11月に参議院厚生労働委員会の場で委員長から発言があり、全労働局について検査を行い、検査結果を検査報告に記載した。
会計検査院は、8、9両年度の決算検査報告において、国が都道府県に委嘱又は委託して実施している教育関係事業等について架空の名目により旅費、謝金等を不正に支出し、これを別途に経理し、同事業等の実施とは直接関係のない用途に使用するなどしていた事態を指摘した事項を掲記(4県、22府県)「架空の名目により旅費、謝金等を支出させ、これを別途に経理して目的外の用途に充てるなどしていたもの」(平成9年12月「平成8年度決算検査報告」)
「架空の名目により謝金、旅費等を支出させ、これを別途に経理して目的外の用途に使用するなどしていたもの」(平成10年12月「平成9年度決算検査報告」)- 自治体不正経理が発覚したことに伴う平成8年の会計検査院の調査
事務費のうちの旅費等の執行に関し、一部の都道府県において、架空の名目で旅費等を支出するなどの経理処理が行われていた問題が提起され、これを契機に当該都道府県による内部調査が行われるなど、旅費等の執行については、社会的関心が高いものとなっていた。
このような状況を踏まえ、会計検査院は、国庫補助事業に係る事務費の執行について、検査を実施した。「国庫補助事業に係る事務費の執行について」(平成8年12月「平成7年度決算検査報告」)- 村役場収入役が公金を詐取(平成13年発覚)
- 本省管理職が公金を詐取(平成13年発覚)
- 成業度評価(業績評価)レポートリンク集(平成16年まで)
- 基礎知識:区分経理、管理会計とキャッシュフロー
- 用語:「公会計」、「公共法人」
- 雑多な心覚え:企業会計の比較可能性2003、、財政制度等審議会の予算建議H16、東京都における複式簿記の導入
参考リンク
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