2024年5月9日木曜日

怪鳥会の春遠征(5)和泉葛城山

 

 石山寺詣ののちはJR線、環状線、南海線を乗り継いで岸和田へ行った。年始から里帰りしているメンバーと夕食。

 宿泊したホテルからは西方に大阪湾、淡路島、六甲山など懐かしい風景をのぞむことができた。


 翌日は和泉葛城山に登った。大和葛城山と区別するため、和泉を冠する。


 登山者の無事を祈るためか、一丁(一町、109メートル)ごとにお地蔵さんが並んでいる。このお地蔵さんは右に十丁と表記されている。


 植林がつづく。手入れされた美林である。


 登山道は林道と交錯しながら登っていく。ガスガスである。


 クモの巣が多い。昆虫も多いということだ。ということは花も多い。


 タチツボスミレか。スミレは仲間が多いのでシロウトにはむずかしい。


 ノイチゴの花にマルハナバチ。マルハナバチは『失われた時を求めて』にでてくる。 


 ツチグリ。キノコだが、名前のとおり栗のようだ。


 山頂部がちかづくと落葉樹の新緑が美しい。


 葛城神社。大阪側と和歌山側にふたつの祠がある。府県境はこの祠の左奥隅。石の角が削られている。和歌山側には高野山や大峰の山々がのぞめるはずだが、この日は見えない。


 山頂部には、ブナの森がひろがる。ブナは落葉樹で北部の樹であるから、こんな南部で森がひろがっているのは珍しい。 


 ブナの美林のなかを進む。足もとはミヤコザサ(クマザサではないらしい)。


 山頂では、母校の数学の先生であったかたと奇跡の出会いがあった。いろいろな肩書きをおもちだが、この日は環境省の自然公園指導員として野鳥の調査・保護活動をおこなっておられた。これはクロツグミ。


 キビタキ。去年も確認された個体で、この1年で南方へ渡り、そこから戻ってきたらしい。こんな小さな体でそんな長旅をしてきたかと思うとビックリ。


 和泉葛城山の登山口付近はややこしいが牛滝山と呼ばれる。


 大威徳寺(本堂)。役行者の開創と伝わる山岳寺院。葛城修験の道場。


 多宝塔(十分)。


 青モミジが美しい。

2024年5月8日水曜日

怪鳥会の春遠征(4)光る君誕生の地・石山寺へ

 


 怪鳥会春遠征の中日は雨予報だった。われわれは山行を観光にきりかえた。近江舞子から琵琶湖を時計まわりに一周して観音めぐりをするプラン(『星と祭』井上靖著)を推した。しかしこの日の夕方、岸和田でさる用事があったので時間が足りない。

 やむなくいま話題の「光る君へ」にちなんで石山寺詣をすることにした。番組ではちょうど吉高由里子が寺を訪れたばかりだった。

 近江舞子からJRで大津まで戻り、京阪に乗り換えた。ラッピングはもちろん「光る君へ」仕様だ。このアングルだと吉高は藤原紀香に似ている。


 京阪石山寺から雨のなか、瀬田川ぞいに南へあるいた。10分ほどで東大門。東大門でありながら、どこぞのように狭き門ではない。懐をひろげるようなデザインが石山寺の偉容と寛容を表現している。左右で仁王さんがにらみをきかせているが。


 境内に入ると、光る新緑が美しい。まさに浄土への道である。


 燈籠には、兼家・道兼の策謀で退位させられ、西国三十三所めぐりを創始された花山法王の名前が。「光る君へ」気分をいやがおうにも盛り上げる。


 石山寺は、文字どおり石山のうえに築かれた寺。石山は硅灰石の岩塊。国の天然記念物である。石さえも白く光る。


 本堂(国宝)。本尊は如意輪観世音菩薩。像は硅灰石の上に安置されている。

 石山寺は西国三十三所めぐりの観音霊場の第十三番札所である。平安時代の観音信仰の隆盛のとき、奈良の長谷、京都の清水とともに三観音として厚い崇敬を集めた。


 本堂・相の間には、紫式部が参籠したという「紫式部源氏の間」がある。いまも式部が筆をとっている。 


 月見亭。石山寺は平安時代から伝わる月見の名所。東側が瀬田川沿いに開けているためである。


 月見亭からは瀬田川・瀬田の唐橋だけでなく、琵琶湖ものぞめる。紫式部は琵琶湖に映る月影をみて、源氏物語の須磨・明石の段の着想を得たという。湖面に映る月影をみるにはやや距離がある。


 とまれ、「光る君へ」を離れても、新緑が美しく光る。


 藤も光る。普段見るものより、紫が濃い。


 ツツジはいまからだったが、その美しさを彷彿とさせた。センダンは若葉より・・もとい、ツツジは若葉より芳し。

2024年4月26日金曜日

怪鳥会の春遠征(3)武奈ヶ岳(2)

 

 武奈ヶ岳をくだる。まずは登ってきた御殿山方面が見えている。


 すぐの分岐を南へ。コヤマノ岳、比叡山方面が見えている。
 登りは武奈ヶ岳の背後(西)から登ってきた。帰りは琵琶湖方面(東)へくだる。


 いまの季節、コブシが咲いている。写真ではまったく伝わらないが、街路樹のように登山道沿いに林立していた。ぜいたく。



 武奈ヶ岳というだけあって、ブナ林がひろがる。なかにはこんな樹も。妖怪なのか怪獣なのか。樹に姿を変えられたというかんじ。


 ここかしこで琵琶湖がみえる。残念ながら霞んでいる。だが、きょう宿泊する予定の近江舞子の内湖は見えている。



 イワウチワ。葉がウチワのようであるから。かれん。花言葉は春の使者。


 オオカメノキ。葉がカメの甲羅のようだから。別名ムシカリ。葉が虫の大好物だから。


 クロモジ。和菓子に添えられている楊子でおなじみ。


 コブシもそうだったが、クロモジも群生がすごい。花に酔いそうだ。 


 とか思っていたら、アセビ。馬酔木と書く。馬がこれを食べると酔うから。人が花に酔うなら、馬も花に酔うのか。


 八雲ヶ原の池ではアカハライモリがたくさん。恋の季節。カップルや2匹で彼女を奪い合っている連中もいた。この子はひとり孤独をかこっている。


 シャクナゲ。色が濃い。そういえば登山口の明王院でも咲いていた。ようやくおなじ標高までくだってきたということだ。


 さらにくだるとミツバツツジ。名前どおり葉が三つ。


 登山口ふきんまでくだると、ヤマザクラ。ことしのサクラの見納めだろうか。やはり春山はいい。

2024年4月24日水曜日

怪鳥会の春遠征(2)武奈ヶ岳

 







 武奈ヶ岳。標高1214.4、滋賀県大津市にある二百名山。冬期に2度登ったことがあるけれども、春期ははじめて。

坊村の明王院を出発して、山頂をめざす。前山として御殿山があり、御殿山コースと呼ばれる。明王院で登山の無事と平和を祈願する。そして御殿山尾根の急登にとりつく。

もう終わりかもう終わりかと思いながら急登がつづく。急登のあいだ、針葉樹の植林がつづき、森もくらい。

稜線部にいたると、落葉樹に植生が変化した。中高木はいまだ葉をおとしたままだ。しかし林床ではイワカガミやスミレ、ショウジョウバカマなど可愛い花々がむかえてくれた。やはり春山はいい。ようやく山頂がみえてきた。