苦悶式

本家「すこれー」を学校とするならばこの「苦悶式」はいわば予備校。
本家ともどもよろしくお願いします。

ultima ratio

2004年10月13日 | コラボレーション
遅ればせながら皆さんこんにちはこんばんはおはようございます。
今月もまたコラボの時間がやってまいりました。

えーっと、まず言い訳をさせてもらいます。
今回のコラボの締め切りは10月10日、旧体育の日でした。
で、今日の日付は10月の13日。

明らかに遅刻です。
しかしこの遅刻は私は前もって予告しておりました。
だって
一回目(題目:トイレ)は期限後に「男の視点からトイレを語れv」と言われ酔っ払いの頭で即行アップ。
二回目(題目:試験)はまぁいいとして三回目(題目:○○に100の質問)は飛び入り参加の(はずだった)私だけが定刻どおりアップして他の二人は遅刻。
とある方なんか日付変更と同時にアップを宣言しておきながらその時は夢の中だったんですよ。
誰とは言いませんけど。
えぇ、誰とは言いませんけど。(ちくちく)

てなわけで今回私はお二人のコラボを先に読ませていただいて、それから書く事にしました。
…………。
正直、見てからでよかったと思いました。

二人とも、何て含蓄あるコラボを書いてるんですか。



今回の題目「究極の○○○」を知らされたとき、私りぃなさんに


それは一文字じゃダメなんですか?
例えば「究極の夢」とか「究極の愛」とか「究極の味」とか「究極の体」とか「究極の男」とか「究極の女」とか「究極の(自主規制)」とか……



なんて質問しちゃってたんですよ。
しかも誰かさんがR指定なんて言うもんだから、てっきりソッチ系のお話が来ると万里早とちり☆。
アブナイアブナイ(お前そのものがな)。

前置きが長くなりましたが。
今回私もちょっとマジメにコラボレーション。
誰ですか「万里らしくねぇぞ!」とか思った人は。
たまには私もマジメなこと書くんですよ。
えぇ、本当にごく稀ですが。




難しい話をする前に。

例えばあなたが彼氏のいない美人OLだったとします。
あなたの周りにはそれはそれは素敵な男性がいて、あなたを狙っています。
その中にはセクハラまがいの目で見つめるカラダ目当ての上司もいますが、それぐらいあなたはいい女なのです。
もちろんあなたもそれを知ってはいるのですが過去に手ひどく男に振られた経験から、結婚を考えたまじめなお付き合いをしたいあなたはまだ迷っています。

そんなある日のこと。
あなたの親が突然倒れました。
お医者様の言うことにはどうやら長くはないとのこと。
病床に伏す親はあなたの手を握り「死ぬ前に結婚して幸せな姿を見せて欲しい」と涙ながらに訴えます。
苦労して育ててくれた親に何とか恩返しがしたいと、あなたは本気で男性とお付き合いをしようと思い始めました。もちろん、結婚が前提で。

しかし、事はそう上手く運んでくれるものではありません。
あなたの状況を知った上司が、突然「君は私と交際しなければならない」とみんなの前で宣言しました。
それはつまり、他の男には手を出すなという無言の圧力でもあります。
そんな中でそれでもあなたと付き合いたいと言ってくれる男性が三人ほどいました。
もちろんそれを上司が面白く思うはずがありません。
しつこいほどのデートのお誘いや、時にはホテルへ強引に連れ込まれかけても何とか逃げ続けていたあなたに上司がこう言い放ちます。

「明日までに私の女にならなければ、君を解雇する」

冗談じゃないとさすがのあなたも抗議しようとしますが、あなたをどうしても手に入れたい上司は信じられない策を弄してきました。
あなたが以前付き合ってた男を呼んで「お前と付き合ってるときは散々騙された。慰謝料を払え!」と訴えさせたのです。
何がなんだか解らないあなたに上司はこう言いました。
「自分の女になれば慰謝料も肩代わりしてやるし会社も辞めなくてすむ」と。
あなたは究極の決断を迫られる事になりました。
期限は一週間。
あなたはどうすればいいのでしょうか?




マジメな話といいつつ安っぽい昼メロドラマみたいになってしまいましたが、これと似たような事が経済界では実際に起こっているのです。

それが「ダイエー再建問題」。

上の物語では主人公のOLがダイエー、
上司が産業再生機構
昔の彼氏がUFJ銀行、
主人公を狙ういい男たちがウォルマートや丸紅など
に置き換えられます。

皆さんに馴染みがないのはやっぱり「産業再生機構」でしょう。名前くらいは聞いた事があるかもしれませんが、新聞をよく読んでる方でさえも意外にこの機構についてはよく知らない人が多いので説明しましょう。

「不良債権」という言葉は聞いたことありますよね?
回収の見込みが薄くなった債券、つまり返してくれなさそうな借金。
その債権は銀行が持ってます。それをいっぱい持ってると銀行は政府によってつぶされます(そう簡単にはつぶされませんが)。
銀行はその債券を処分したいからその債券を出した会社に「早く返せ! この泥棒が! ないなら目玉売れ内臓売れ!」と殴りこみにいきます(言いすぎです)。
それで借金を返せなかったら(もしくは返しても資産がなくなったら)会社は倒産になってしまいますので世間は混乱してしまいます。
そこで会社が駆け込む最後の場所として政府は産業再生機構(税金で作られたくせになぜか株式会社なんだけど)を作りました。
できて間もない会社(そして5年後には解体が決まっている)ですが資産だけは2兆円とものすごい額を持っています。
ここに会社が駆け込み立ち直る見込みがあると判断されたら、とある魔法(後で説明)で不良債権を優良債権に変えてくれるので、銀行は取立てをしなくても良くなります。

まぁ簡単に言えば不良の会社くんを立ち直らせるための更生施設みたいなもの。(企業では更生=倒産なんだけどこれは別の意味)

というわけで上の物語と実際を照らし合わせてみます。
その昔、ダイエーは激安の殿堂(今はドン○・ホーテだけど)として日本を支えてきました。
全国展開の店舗は立地条件などなど他の企業にとってもうらやむほどのものでした。
つまり引く手数多のOLさん状態だったわけです。
しかしいつの頃からかダイエーは銀行にとって「倒産の可能性のある不良債権」とみなされました。
これが親が倒れたところですね。
産業再生機構はそのダイエーを支援しようと企みました(実は機構はダイエーを再建させるために作られたとも言われる)。
企み、という言葉にはもちろん意味があります。
そもそも政府に「不良債権」とみなされなければ銀行が焦って債権を回収しようとしなくてもいい普通の企業でした。あえて言うなら昔は銀行が頭を下げて金を借りてくれとまで頼んでいました。
そして政府に不良債権とみなされた途端「金返せ」の一辺倒。
男に手ひどく振られたのと同じです。
しかし実際には黒字企業なので再生機構は手に入れてしまえば何をせずとも輝かしい業績を残す事になります。もちろん天下り先もいっぱい増えちゃいます。
ダイエーのカラダだけが欲しいわけです。
元彼のUFJも(東京三菱との合併を控えて)不良債権を処理したいわけですから産業再生機構に入って優良債権になれと脅します。
自分から付き合ってくれと頼んだくせに別れて金返せって騒ぐ男はよくいるけどなんて見苦しい。
産業再生機構は8日の金曜日、いきなり「12日までに来なければ支援はしない」と言い出しました。(ちなみにダイエーは一度も機構に支援を頼んだ事はありません)
セクハラの次は解雇(=倒産)のパワーハラスメントですか上司さん。
さて、先ほどの魔法の説明を三段論法で説明しよう(仮面ライ○ーのノリで)。
・優良債権か不良債権かは政府が決めた基準に則って決まる
・産業再生機構は政府が作った
∴産業再生機構に入ればその債券は自動的に優良債権とみなされる
政府の犬に成り下がったらえらいんだって。優良なんだって。
ほら、まるで魔法みたいでしょ。(微笑)
借金を肩代わりしてまで愛人契約を結ぼうとする上司みたいでしょ。(高笑い)



はたして美人OL(ダイエー)は
周りにいるいい男(=ウォルマート、丸紅など)を無事ゲットできるのか。
上司(=産業再生機構)に食われてしまうのか。
それとも退職(=会社更生法=倒産)の道を選んでしまうのか。

最後の審判が下されるのは10月18日。



注1:今回の記事は経済界の出来事を独自の視点で書いたものです。
登場する会社を中傷する気はありません。
またこれによる投資判断や、それにかかる不利益などが発生しても日下万里は一切責任を負いません。

注2:タイトルの意味は「最後の審判・究極の知性・最終手段」だそうです。