新・名も無い馬ですが・・・・・

2013年11月3日に旅立ったマイネルスティング。
その想い出と一緒に、これからも名も無い馬たちの応援をしていきます。

オキテとセブンのサマーディ

2018-08-01 | 日記
暑いです!とにかく暑いです!
誰かれなく顔を合わせると「暑いネぇ!!」それが合言葉のようになっています。
東京暮らしで夏の暑さは慣れている筈なのですが、あちらではエアコン必需品で、暑くなったらポチッとリモコンオン。
でも北海道では、公共の場以外ではエアコンの入っているところは少なく、私の職場も公共の施設にも関わらず、山中と言う事でか(?)エアコンは無し。
ひたすら扇風機にすがるのみ。
今までここまでの暑さや湿気は、道民の殆どが経験してないのじゃないかと思います。
やっぱり自然が怒っているとしか思えないほどの気候です(この暑さで私も怒ってます)。
救いはお盆を過ぎれば、いつもならですが、途端に朝晩涼しくなるのでそれまでの辛抱。
さすが北海道、残暑というものがほとんどありません、いつもならですが
いつもの北海道に戻って欲しいと切望しているエドリンです、こんにちは。

   
雨が強く降ったり収まったりの繰り返しの中、浦河から静内ヘと移動し、今日の宿泊ホテルへと向かいました。
いつも泊まるホテルが一杯で、名前が変わってからは初めて泊まるホテルです。
その時は知らなかったのですが、翌日セリが行われるのであちこちのホテルが一杯だったようです。
私もギリギリの予約だったようで、いつものホテルは満杯、で、何とか見つけたこのホテルも「シングルユースでなら」ということで予約が取れた状態でした。
ところがこれが何と超ラッキーで、普段なら3人以上で利用できる2間続きの和室で、洗面台、バストイレ別々の、まるで一般のお家の様なお部屋にお一人様だったのですよ!!
一緒に行った彼女はツアーパックだったので、普通のシングルルーム。
ただ、朝食は付いているのですが夕食は無し。
夕方遅くなったこともあり、外に食べに行くのも面倒だし、彼女はベジタリアンなのでいろいろ制限があると云う事もあって、マーケットに寄って食べ物、飲み物(これが一番大事、笑)をゲットして、どちらかの部屋で食べようと決めていました。
まさか、こんな広いお部屋に入れるとは予想外だったので「今日は宴会だね!!」と2人で大喜び。
翌日、お部屋の清掃に入ったスタッフさん、一体何人でビール飲んだんだろうと驚いたかも(空き缶もゴミもきちんと仕分けして袋に入れてきましたよ~)。
それと、朝、食堂に行ってドビックリ~~!!
2017年度のホテル朝食第1位に輝いたという朝食ヴァイキング、何と80種類。
朝からこんなに食べられるの?という心配が全く嘘のようにあれもこれもと目一杯食べてしまったのですよ。
こんな朝食は初めてでした。
静内に行くならお勧めでっす。(その名はホテル エクリプスです)

    
心配していた雨は翌朝には止んでいて、7月にしては肌寒いけどまあまあ良い天気になりました。
お馬達は今日はお外に出られます。

ニンジン入りバケツを持って放牧地に向かいましたが、ここで問題発生!!
雨続きで刈る事が出来ない青草が目一杯伸びていて、その草に雨のしずくがたっぷり含まれていて、一歩歩くたびに靴の中に水がビシャッ!と入り、靴の中がジャボンジャボンで歩くのがやっと。
お馬達にニンジンをあげるどころかそこに行くのも大変で、途中でギブアップ。
“あとはご飯の時にもらってねぇ”とか言ってようやく引きあげてきました。

そんなわけで(どんなわけ?)写真も近くでは撮れず、スマホの望遠で撮りました。


    
 「ゴールドさん、ゴロンゴロンしましたね。 泥だらけですよ、笑」


    
「水たまり大好き! ゴロゴロ大好き!」 byビッグゴールド


   
  すっかり仲良し、モッヒーとロド君
「ニンジンくれないで行っちまったよ。なんてこった!!」

   
オキテとセブンの所でもこの2頭、ニンジンを同時にあげないとけんかおっぱじめる恐れがあるので早々に引き揚げ、離れた所からその後の2頭を撮ってみました。


  
 「あれ、もう行っちゃったぜ」byオキテ
 「ここにニンジンの切れっぱ落ちてたぁ!」byセブン


  
  「そんなもん拾ってんじゃないよ!」byオキテ
  「いいじゃないか、勝手だろ!」byセブン


  
  「なんだよー!」byオキテ
  「なんだよーってなんだよー」byセブン

 
  
  「にゃろ~~!」byオキテ
「やめろよ!破ったらまた怒られるよ~~!」byセブン


  
  「つまんね、あっち行って草食べよ~っと」byオキテ


  
  「待てよ~、僕も行くよ~~!!」byセブン


セリフは私の勝手な推測で~す。

これから私たちは濡れた靴のまま、戻りがてらノーザンホースパークに寄りま~す。
 

   TO BE CONTINUED

ミサイルへお別れを言いに・・・

2018-07-26 | 日記
先日ウイルスに感染してしまいました。スマホが・・・
突然画面に「ウイルスに感染しました!」と出て来て、その上にもう一つ小さめの「警告」と書かれたウインドウが。
それを消そうと画面上の×を押すとブルブルッという振動とビーッという音が。
それでちょっとビビってしまって、ウイルスを消す方法とか云う場所をクリックしてしまったですよ。
で、消すためにはインストゥールせよというので言われるままにしてしまったら、それが画面上にショートカットされて何か気持ちの悪い動きをしていて、画面の外に出そうとしても出ていかない。
その時点になってやっとこやつがウイルスなんじゃないかと気づいたわけですよ。
どうしたものか思い悩んで、職場のIT関係に詳しい後輩に相談しました。
いろいろやってみてくれて「やっぱりこれウイルスです。何をするのかわからないから、すぐ電源切ってショップに持って行った方が良いです」と言われ、行って来ましたです。
ショップでは「ここでは手に負えないので本社に送らなくては」と言われ、面倒になってこの際とっかえちゃえ!と機種変しちゃいました。
詐欺とかには引っ掛からないつもりでいましたが、いざ自分に降りかかって来るとわからないものですね。
特にこういう電子関係にはチョウ弱いアナログ世代ド真ん中の私としては、一つ物知りになりましたです。

あの警告音はヤバイです、エドリンです、こんばんは。



      
7月の初め、オキテの里親さんの1人でミサイルのFPでもあった馬友さんが、ミサイルにお別れしたいので急きょこちらに来ると云う連絡が入り、うまく私も連休が取れたので一緒に行く事になりました。
天気が心配だったのですが、やはり日高に近付くにつれて雨が酷くなってきました。
前もって牧場さんに連絡した時に“この雨で、お墓のところの地盤がかなり弛んでいて崩れる可能性もあるので、お墓参りは無理かもしれない”と言われていたので、雨が降ったらミサイルの馬房でお参りしようと彼女とは話していました。
案の定、雨が酷くて、馬達も馬房に閉じ込められていました。
まず、ミサイルのお部屋に御花を置いて、そこでしばらくミサイルの最後の様子の話をお聞きした後、あちこちから聞こえてくるお馬達が人参を催促する「カツカツ」と言うマエガキの音に、人参の入ったバケツを抱えて2人、あっちこっちと駆けずり回るいつものパターンになりました(これがなかなか大変なんです、笑)。

運命を素直に受け入れる事は、人よりも動物達の方が得意なのかも知れません。
それはきっと、余分な欲を持たず、今を生きる事だけを見つめているからなのでしょうか。
馬達の世界は、主のいない馬房以外、いつもと同じ時間が流れていました。
ただ降りかかる運命を静かに受け入れる馬達の強さや潔さに、改めて見習うべきものを感じました。
「今日を大事に生きる事、それが明日へと繋がって行く」そんな風にミサイルが教えてくれたような気がします。
ミサイル亡きあとも今を一生懸命に生きている仲間達。
きっとミサイルもお空の上から「うん、うん、これでいいんだ」と安心しているでしょう。

そして、最後の最後まで強い愛情を注ぎ、ミサイルの為に眠る時間も満足にとらず看護して下さった牧場のはるみお母さん。
それでも「これで十分だったのだろうか?」と自分を責めている姿に、なんと言葉をかけていいのかわかりませんでした。
だけど、ここまで愛されて旅立っていけたミサイルは幸せ以外の何物でもないと私は確信します。
そして、どの仔に対しても見送る度に毎回毎回、こうやってありったけの愛をそそぐはるみさんに「凄い人だな」と頭が下がる思いでした。

    
     
 桶の中をのぞいてもニンジンがない!と不満げのナイスネイチャです。


    
 ナイスのお向かいさんは春風ヒューマ。待ちきれなくて「いいもん、自分のご飯食べるから、プンプン」 


   
 マザートウショウさんは、人参が有っても無くてもマイペースで品良く召し上がってらっしゃいます。


  
  そして何と懐かしい顔めっけ!! 群馬のアリサ乗馬クラブ(キョウエイボーガンが暮らすクラブさんです)にいたキゼンラックじゃないですか! お帰り~ラック。


  
  相変わらずイケメンさんです、キャプテンベガ。


  
  ますますパパに似てきたセイントネイチャー。 今回は新技“お手”を見せてくれました。撮りそこなったのが残念!! 


  
   セイントの良き(? 笑)相棒。 ヒカル。やっぱりテイオー似でイケメンです。


もっともっと沢山撮りたかったのですが、ニンジン配達がチョウチョウ忙しくて、スマホよりニンジンバケツを持つ時間の方が長かった・・・(笑)

ミサイルとのお別れとみんなにニンジン配りを済ませて、夕方近く私たちは静内に戻りました。
静内で一泊し翌日、オキテとセブンのご機嫌伺いに行きます。

・・・to be continued・・・
   

誰からも愛されたやんちゃ坊主・・・セントミサイルの28年

2018-07-11 | 日記
このたびの集中豪雨で被害に遭われた方達に心からお見舞い申し上げます。
1日も早くいつもの生活が戻りますようにお祈りいたします。

本来なら前回の続きを書く所ですが(実際、書きだしていました)、セントミサイル号の訃報に際してこちらを優先させていただきたく思います。
私のフォスターホースであるナイスネイチャの良き相棒としていつも側にいたミサイル。
その思い出は年数分だけたくさんあります。
目を閉じると浮かんでくる、幾つになってもヤンチャ坊主のようだったミサイル。
いつかは来る別れと頭では分かっていても、それが現実となると心がついていきません。
どうにか気持ちに区切りがついた今、元気だったころのミサイルを偲んでみたいと思います。



ミサイルと初めて会ったのは今から10年以上も前の事です。
引退馬に関心を持ち、引退馬協会を知り、初めてフォスターペアレント(以後FPと略)になったのがナイスネイチャ。
シンボリルドルフから始まった馬愛(?)がトウカイテイオーへと繋がり、その同期生と云う理由でナイスのFPへと。
至ってミーハーのスタートでした。
そして一度行ってみたいと、当時高校生で、卒業後は馬関係の仕事がしたいと言っていた親友の甥っ子で私の若き馬友だった、今は亡き翼と一緒に、厚かましくも渡辺牧場さんにお伺いしちゃったのが2004年。
ナイスはまだまだ血気盛んで、集牧するのも場長さんでないとできないくらいの元気者でした。
そのナイスの隣の放牧地にいたのがセントミサイル。

セントミサイル・・・1990年3月3日生れ。 父セントシーザー、母ケイウンファスト(母父トウショウルチェー)
競走馬時代は、短距離の逃げ馬として1998年に引退するまでに中央、地方合わせ82戦17勝をあげ、1993年度のクリスタルC(G3)では父セントシーザーと親仔2代短距離重賞制覇という偉業を成し遂げたのでした。
引退後は産まれた牧場、渡辺牧場に戻りのんびり暮らしていました。
2001年に種牡馬を引退したナイスネイチャが戻ってきて、それからというもの常に側にいたミサイル、遂には一緒の放牧地で暮らす事になったのでした。
一時期、様々な事情で先行きが危うくなった事がありましたが、その頃設立された引退馬協会のフォスターホースとなる事で未来が繋がりました。

ミサイルは一言で云うと、幾つになっても無邪気な少年。
例えば人参。
これはどの仔も性格が変わるほど大好物ですが、ミサイルはもう人参を持った人の所へズンズンと押し寄せてくるのです。
ある時、いつものように人参を求めてズンズン前に乗り出してきて、私たちは放牧地の端っこの方まで押されそうになったのですが、突然、ミサイルがクルット後ろを向いて何やらグエッグエッとやり始めたではありませんか。
「ミサイル、どうしたの?」とミサイルの顔側に行ってみると、どうやら人参がのどに詰まったようなのです。
ややしばらくグエグエやっていましたが、やっとすっきりしたらしく再び人参を食べ始めました。
ただ、今までとは違って、静かにそぉっと口に入れます。
以来、人参突進はなくなりました(笑)。
「懲りたのね」と私たちは笑ったものです。

また、ミサイルは脱走の名人だったそうです。
私は実際にはその現場を見た事はありませんが、まだお姑さんが生きてらした頃ふと家の中から外を見ると馬が走ってる・・それをお姑さんの言葉によると「ありゃ、ミサイルが走っとる、ありゃ嫁さんも走っとる〔説明しますと、ミサイルが脱走して走っている後を、お嫁さん、つまりはるみさんが追いかけて走っていると云う事です)」と云う状況だったとか。
そして、何度か「ミサイルがまた脱走したんですよ」とはるみさんから聞いた事もありました。
やっぱり、短距離の逃げ馬だったミサイルらしくその逃げ足は速かったのでしょうね(爆)。

3頭で放牧される様になると、今度はミサイルの馬着破り遊びが始まりました。
主に、物静かなナイスの馬着を齧って引っ張って壊してしまうのです。
お馬さん達には楽しいお遊びなのでしょうが、それを直す人間の方は大変です。
人的見方をすればこの2頭とももうかなり中年のおっさんなのですが、ミサイルには「そんなの関係ねぇ!(フルッ!)」なのでしょう。


ナイスがどちらかと云うとどっしり構えて慎重に動くタイプだとしたら、ミサイルは陽気なアメリカンボーイタイプなのかも知れません。
だから実際に会うと、いつまでも若々しく、少年っぽい愛らしさを持った彼に魅了される人が多かったのでしょう。
現に、私の馬友さん達、かなりの数でミサイルラブです(苦笑)。
大人っぽいナイスと悪戯っ子のようなミサイル、その間に入った弟気質のメテオシャワー。
このトリオの醸し出す暖かく楽しい空気に、会いに行った人達の殆どがきっと、馬と云う生き物の本来の優しさを感じ、癒されたのではないでしょうか。
これからもうそのトリオが見られない事は、本当に、埋めても埋め尽くせない程の大きな穴がポッカリ空いたようです。
生き物と関わると必ず付いて回る永遠の別れ。
頭では分かっていても、心の痛みはどうやっても防ぐ事はできません。
それでも、ありとあらゆる手を尽くして貰って、たくさんの人々の祈りに包まれ、親代わりの様な牧場の方達に見守られながら28年と云う馬生の幕引きができたミサイルは幸運なお馬だと思います。
やんちゃ坊主を生き通したミサイル。
その表情や仕草は、姿が見えないだけでたくさんの人の胸の中に生きていると思います、いえ、生きています。

ミサイル君、たぁくさんの想い出をありがとう。
そちらには、ミユキママやコーセイおばさん、他にも渡辺ファミリーが一杯いるから寂しくないよね。
これからはみんなと一緒に、牧場のお父さんやお母さん、相棒のナイスやメテ、渡辺牧場の地上班を見守ってね。
いつまでもいつまでも忘れないよ。
お疲れ様、そしてありがとう。



     
 2004年、こんな泥パックでイケメンに磨きをかけていました(ホント?)


   
 2010年、もう人参突撃は止めていました(笑)。
  

  
  「お母さん、早くアブやっつけてよ」 大嫌いなアブ退治はお母さんの役目です。


  
  「さあ、そろそろ齧るかなぁ」(友情出演、ナイスのお尻、笑)


  
  今年4月のミサイルです。 これがミサイルとの永遠の別れとなってしまいました。


  
  


  
  残されたナイスネイチャは元気です。 メテと一緒にまだまだ長生きしてくれるでしょう。



  さよなら、セントミサイル。 


  
  主の居なくなったミサイルのお部屋です。   

待ちわびた春を楽しむ馬達 PART2

2018-06-05 | 日記
 ちょっと気を抜いている間にダービーも終わり、本州では梅雨の季節。
そろそろ初夏という6月に入ったのにまだ4月の話題ってどういうこっちゃ?
“ 続きま~す ”とか言っといて間空きすぎじゃありませ~~ん?
もう一人の私がこうやって怒っています(シュン)。

いいんだもん。これが私のペースだもん。(おばさんはすぐ開き直っちゃう)
時間の感覚がずれまくっているエドリンです、すみませ~ん。


  
今時の日高地方ではこんな情景があちこちで見られます。
産まれたばかりの仔ッコ馬とやっと体が軽くなった母馬。
仔ッコは見る物全てが初めてで、何もかもが珍しく楽しく面白く、飛んだり跳ねたり叫んだり。
そんな仔ッコの姿を優しい眼差しで見つめる母馬。
馬達の生涯できっと一番幸せに満ちた時期だと思うと、心がホッコリしながらも涙ぐみそうになってしまうのです。
彼らのこれからに幸あれと、いつもいつも強く願ってしまいます。
    
ナイスや春風に別れを告げて、私たちは浦河から静内ヘと戻りました。
その日は静内で一泊して、翌日オキテやセブンに会いに行きます。
久々のお泊まりツアーです。

翌日は北海道らしい青空と、初夏の様な日差しで笑っちゃうくらい良いお天気。
ただ、風が冷たいのがやっぱりまだ4月なんだと思いださせます。
それでも、青草の絨毯が広がり始め、日差しもだんだんと強さを増してきて、日一日と夏が近づいてきている気配を感じます。

今まで一緒にいてくれたゴーちゃんがトネッコ・ムーミンのお守役になってから1頭で放牧されていたオキテでしたが、つい最近になって、何とセブンが相棒にになりました。
年齢も近いし、センとはいえ牡馬だったわけですから喧嘩にならないか心配でした。
牧場の方達もそれを気遣って、じっくり様子を見ていて下さっていました。
最初ちょっと小競り合いのような事があったようですが、その内にそれぞれが好きな場所で青草を食み始めたようです。
時々、オキテがセブンに遊びをしかけて、怒られたりしているとか。
実年齢は2才オキテが年上なのですが、セブンの方が落ち着いているそうです。
オキテ、しっかりせんとね。

オキテの巣立った後1年ぶりに産まれた牡馬、それがセブンでした。
再びスティング爺やの出番となり、育成センターへ出発するまでしっかり育てて、そして倒れたスティング。
病院や獣医さんが大の大の苦手だったスティングは、初めてくぐった病院で静かに旅立って行きました。
ただし、引退馬協会の代表や、スティング会の発起人さん、会員さんを病院に呼び寄せて、みんなに見守られながらのスティングらしい旅立ちでした。
その日、それぞれの個別の用事で静内に来ていた方達、まさかスティングが倒れるなどとは思いもしていなかったに違いありません。
それが本当に偶然だったのか、スティングの持って生まれた何かがそうさせたのかはわかりません。
ただ彼には、そう云う事があっても不思議ではない何かがあったのは間違いありません。
そういう不思議な事は、彼が旅立った後にもありました。
名古屋競馬でデビューしてすぐに屈腱炎で長期休養になったあげく、その後全く精彩を欠いてしまい「引退」という結果になりそうだったオキテが、スティングの旅立ちの5日後のレースで初勝利。
それから計4勝をあげ、掲示板を外す事は数えるほどの堅実な走りを見せてくれた事。
そしてオキテが引退後、後を追うようにセブンも引退となり、殆ど同時期に北海道に戻ってきた事。
まだ4歳と若いセブンをもう一度走らせてみようと再び競馬場に戻すも、オキテが諸事情で譲渡先から牧場に戻ってきた、そのすぐ後にセブンもレース拒否という形で(笑)牧場に帰ってきた事。
ただの偶然だよと割り切るには不思議な連鎖が続きました。
それを私たちスティング派は「スティングのストラテジー」と思っています。
そんな2頭が今、目の前の放牧地に一緒にいるのです。
なにか心にこみ上げるものがありました。
そんな感動的な思いでいたのですが、そんな甘い気持ちを、この2頭はぶち壊してくれちゃったのです(爆)。

放牧地の奥の方で青草を食んでいた2頭。
まずオキテが私たちに気付きやってきました。
いつものようにニンジンのバケツ食いです。
そしてセブンも気づいてやってきました。
最初は後輩らしくオキテの横の方でニンジンを貰っていました。
が、少しずつ、知らず知らずにオキテの近くに寄って来てしまいました。
それを眼の端にしたオキテが「離れろ!!」とでも云うように威嚇したのです。
威嚇されたセブンは負けじとオキテを齧ろうと向かってきました。
気の弱いオキテは、驚いて反対側の端っこへと逃げました。
それからはセブンが真ん中にデンと立って、悠々とニンジンを食べています。
追いやられた形のオキテは時々セブンをにらみながらも、端っこでニンジンをチマチマ食べていたのでした。
私たちはこれ以上2頭の仲が悪くならないようにと、早々に引き揚げました。
帰り道に振り返ってみると、2頭はそれぞれ好きな場所に戻って、何事もなかったかのように草を食んでいました。
ニンジンが絡まなければ仲良しなのでしょう。
後から聞いたところ、先に1頭を放牧しようとすると1頭が騒ぐので、2人係で一緒に放牧するようにしているのだとか。
時折オキテが先輩の貫録を見せようと、セブンに威嚇しているようですが、あの現場を見た私たちは、きっと無駄な努力に終わるだろうと笑っています。
どうもオキテはちょっと弱っチイ兄ちゃんで、セブンの方が喧嘩に強い弟と云う様な感じがします。
セブンは競馬以外では頑張る仔なんでしょうか(苦笑)。
そんなこんなで、春風に引き続きニンジン騒動があった今回の日高巡りでした。
どの仔もニンジンが絡むと人格(馬格?笑)が変わります。
あの穏やかなウラカワミユキママでさえそうでしたから。
これから牧場巡りを考えていらっしゃる方は、どうぞその事を覚えていて下さいませ(笑)。


  
最初はいつものこの場所でした。

  
セブンはこの位置。
このあとバトルが起きました(笑)

  
そして端っこに逃げてきたオキテ。

  
「くっそ!!セブンの奴め!!!」 by オキテ


「しゃーない、今日はここで食べてやる」 by 悔しさ一杯のオキテ。

 
「あ~あ、全く相手にならないなぁ。」 by セブン 

 
たそがれるオキテ(笑)


オキテとセブン、兄弟の様な間柄です。
けんかしながらも、相手がいないと寂しがって騒ぎます。
きっと空からスティングが苦笑いしながら見ている事でしょう。


  
「オキテ兄ちゃん、がんばれ~~~~!!」 by テン香(オキテの妹です)


 
「あたちテン香でちゅ。 オキテ兄ちゃんの妹でちゅ。 よろちくでちゅ。」



続きま~す(なるべく早目に続けようと思っていますので・・・

待ちわびた春を楽しむ馬達 part 1

2018-05-10 | 日記

毎年のことながら嵐の様なゴールデンウィークがやっと終わりました。
疲れもマックスに溜まった朝、顔を洗いに洗面所へ。
歯を磨くためにハブラシに歯磨き粉チューブをいつものよう絞る・・・ン、何だか妙に白い、いつもと違う。
手元を見たら、絞っていたのは洗顔クリームでした。
危ないところでした。
口に入れなくて良かった。
ホッとすると同時に思わず笑っちゃいました。

寝ぼけていただけですから、はい!
老化ではないですから、たぶん。

朝からハッピーなエドリンです、こんばんは。

    
ゴールデンウィークに入る前の4月の第3週、4週の月曜火曜、連続で日高ツアーやっちゃいました。
いつものごとくノロノロですが順次アップしていきま~す。
まずは4月16、17日から。

この日はお馴染みのNさんご夫妻といっしょです。
たいがいはNさんのご主人の運転で日帰りなのですが、今回は、ナイスネイチャの30歳の誕生日と云う事もあって、浦河まで足を延ばそうと一泊泊まりの計画をたてていました。
なので車は一路浦河まで。
この日は青空が広がって、春らしい良い天気。
それでも前日のメールで「お天気は良いですが、風が冷たく寒いので冬の格好でいらして下さい」との連絡があったので一応用心はしていきました。
絵笛の風の冷たさは毎度味わっているので私的にはかなり頑張ったのですが、それでも寒さは半端なく、ガッチリ用心してらしたNさんのジャケットを借りるはめになってしまいました。
恐るべし絵笛の寒さ!!

今日はナイスの誕生日なのでまずは真っ直ぐにナイスネイチャの所へ。

   
「ナイス、お誕生日おめでとう。沢山食べてね」


   
 「では遠慮なく」 by ナイスネイチャ


   
30才になったナイスはまるで悟りを開いた高僧のような表情をしていました。


  
 「僕のこともお忘れなく」 by セントミサイル 


彼らの向かいの放牧地には息子セイントネイチャーとヒカルのお笑いコンビがいます。


  
だんだんナイス、そしてウラカワミユキに似てきている気がします。ただ、まだまだヤンチャ坊主ですが(笑)。


  
 その良き相棒、永遠のわんぱく坊主、ヒカルです。

  

それから次はNさんのサポートホース春風君のところへと。
ここでビックリしたハプニングがあったのです。

奥の方で青草を食んでいた春風君、私たちの呼ぶ声が聞こえて顔をあげたら手に持っているニンジンの入ったバケツが見えて、
「こりゃ大変!」といそいそ近寄ってきました。
それからはバケツ独占状態であっという間にバケツが空っぽ。
その様子を隣の柵でじっと見ていたゲッケイジュやキララ達。
「きっと次は私たちの番だわ」と、ソワソワしながら待っていました。
空のバケツを持って、私たちも“次はお隣さん”と歩き出しました。
その時です。
春風がいきなり走りだし勢いよくジャンピングキ~~ック!!
そして再び走って2度目のジャンピングキ~~ック!!!
後ろを歩いていた私たちに降りかかる土の塊!
みんな一瞬アゼンとして固まりました。
ハッと我に返って放牧地の外に出ようとみんなで急ぎ足になった時3度目のジャンピングキ~~ック。

こういうやんちゃな春風を見たのは、牧場のはるみ奥さんも含めて全員初めてでした。
私達と一緒に柵の向こうからついてきていたゲッケイジュやキララ達も驚いたように立ち止まっています。
私たちが放牧地の外に出てしまうと、春風は何事も無かったかのようにまた青草を食みに奥の方へ行ってしまいました。
みんなビックリしながらも何だか可笑しくて笑い出してしまいました。
はるみ奥さんによると、こういう行動は「この人達は俺のとこに来たんだ。ニンジンも俺のためだ。そばに来るな!あっちに行け!!」と隣の仔達に威嚇したものだろうと云う事でした。


  
 「春風、久しぶり~。い~っぱい食べてね」



  
  「これ、みぃんな僕ちゃんのニンジンだぜ」 by 春風


  
  「ん・・何見てるん?」 by 春風

  
  「早くこっちに来ないかなぁ」 by ゲッケイジュ


事件はこのすぐ後に起こったのでした(笑)。

                      

  
「何かあったん?  さ、草食べに行こうっと」 by 春風  
    


    

確かに馬達は自分の所に来た人の事は分かっている気がします。
以前、スティングが生きていた頃いつものように会いに行ったのですが、たまたま一番そばの放牧地にビッグゴールドさんがいたので、私たちは特に何の意味も無くゴーちゃんの所でちょっと遊んでからスティングのいる放牧地へと向かいました。
スティングは奥の方で草を食んでいたので大声で呼びました。
が、スティングは聞こえないのか知らん顔。
その場に居た人達みんなで何分間か、代わる代わる名前を呼びニンジンの入ったバケツを見せたりしてやっとスティングがこちらに向かってノロノロと歩き出しました。
そして、私たちのいる柵の1メートルほど手前で止まり、また草を食みだしたのです。
「スティング~~!ニンジンだよ~~~~!!」
直ぐそばにいるのですからしっかり聞こえている筈なのに、我関せず的態度で草を食んでいるスティング。
「これはスティング、拗ねているんだわ」
牧場の奥様がハッとしたように言いました。

スティングは私たちが来た時から気付いていたようです。
そして、すぐに来てくれると思ったらなかなか来ない。
それどころかゴーちゃんの所からワァワァ騒ぐ声が聞こえてくる。
「何なんだよ~!おいらのとこに来たんやないんか?」
なかなか来ない・・まだ向こうで騒いでいる・・・その内だんだん腹が立ってきたスティング君。
で、ああいう態度になったのではないか、と後々みんなで推測したのです。
かなりしばらく呼び続けてからやっと、スティングは私たちのそばに来ました。
それでも、すっきりした気分ではなかったようで、ニンジンを食べながら何と牧柵を曲げてしまったのです。
金属の柵なのでかなり大きな音がして、それでスティングも我に返ったようで、私たちがみんなで曲がったところを少しでも伸ばそうと力を合わせて引っ張っているのを申し訳なさそうな表情で見ていた姿を懐かしく想い出します。
たまたまその日は宿泊したので、翌日は真っ直ぐにスティングの所へ行くと、いつものスティングで、すぐに寄ってきてニンジンのバケツ食いをしてくれてホッとしたものでした。

話がそれましたが、私たちは春風がここに来てすぐの頃から会っているのですが、こんな風に自分を出す彼を見た事がなかったのです。
来たばかりの頃は、騎馬隊での厳しい訓練が残っていて、走る事もせず、常に一歩引いていたおとなしくお行儀の良い春風でした。
それが何年か経った今、まとっていた殻が少しずつ少しずつ割れ落ちて本来の彼自身が出てきたような気がします。
“ここは自分のテリトリーなんだ。堂々としていても良いんだ”
やっと、この場所が自分の終の棲家だと信じられるようになったのかも。
驚かされはしましたが、春風の本当の姿を見せて貰ったようで嬉しい気持ちでした。
後でそう言うとNさんも同じ思いだったと聞き、何故か2人でまた笑いあったのでした。

「春風君、これからは馬らしく(?)生きて行って良いんだよ。
ただ、脚が良くないんだからあんまり暴れないでね。」

        

ニンジン騒動はもう一つありました。
なのでまだまだ続いちゃいま~す。