幼少の頃、年の境目になにかしら記念を求めた。
大晦日の空気をフィルムケースに密封したり、
0時ちょうどにジャンプしたり。
いったい何が記念なのか、今となっては動機すら理解しがたい。
年を越すと、今度はやることなすことに“初”をつける。
初息吸い、初トイレ、初ヤクルト…。
“初叩き”などと称して弟にちょっかいを出し、
年明け早々の小競り合いも。
低学年までは、元日の夜明け前に見るものを初夢と思っていたが、
正しくは元日の夜から2日の明け方にかけて見るものと知る。
元日の未明は、何事もまだ本当の始まりでない気がした。
陽が昇って、そこでようやく1年が動き出すのかと。
ここ数年、初日の出はとんとご無沙汰。
曇天の元旦が多かったせいもあるが、
眠くて寒い中、外に出るのが億劫で。
しかし今年は違う。
すでに早起きが板についている。
天気予報も上々。
ならば、いざ行かん。
3時過ぎに就寝したにもかかわらず、6時前に起床。
露地の駐車場には、霜で真っ白になった車。
吐く息も大きく白く。
我が家から3km東にある丘へ、足早に向かう。
元日の朝は車も少なく、清く閑寂。
じんわりと汗をかいた頃、丘に到着。
東の木々の彼方から、紅い陽が昇った。
紅はやがて金色に。
力強い光を浴びる。
お天道さんの恵みに感謝して、
今年も隆盛でありますように。