AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

空洞です

2024年04月14日 | まったり邦楽
今週、ゆらゆら帝国のベーシストであった亀川千代さんが亡くなったことがSNS上で知らされた時、かなりのショックを受けたのは、なにも私ばかりではなかった。

その日(4/9)、SNS上は想定以上に騒然となっていた。




90年代後半、突如メジャーに躍り出たゆらゆら帝国は爆発的人気を博していたが、同時代のTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやBLANKEY JET CITYのように、華やかな舞台とは無縁といってもよかった。
ロックフェスにわざわざ足を運ぶような人間でなければ、バンドの存在さえ知らない人も少なくないかと。
テレビなどの露出も少なく、十分集客見込めるのにも関わらず、大きくてZeppクラスの箱でしかライブを演らない(だからチケットなかなかとれない)。

ゆらゆら帝国は、14年前の2010年に解散しているが、今回の亀川氏の訃報を受け、SNSではまるで今回が本当のゆらゆら帝国の終わりであるかのような騒ぎであった。
ゆら帝のライブの思い出話や、各々の思い入れのある曲のMV、ライブ映像を貼り付けたりと。
「一度だけでもゆらゆら帝国のライブに行きたかった・・・」っていう、おそらく現役時代のゆら帝を知らない若い世代にもファンはけっこういると思われる。

ミッシェルやブランキーのような、酒、タバコ、タトゥーといった男気溢れるスタイリッシュなカッコよさとはまた違う、なにかしらヤバい麻薬のようなサイケでイビツ感溢れる異次元のカッコよさ・・・

亀川氏の、ベースプレイはもちろん、あのどこか他者を寄せつけない異様な存在感は、ゆらゆら帝国の突出した音楽性において、なくてはならない要素だったのは間違いない。



私が初めてゆらゆら帝国の音に触れたのは、確か社会人になって1年目の頃であったろうか。
それまで洋楽かぶれだった私は、SSTVで突如流れたこのMVを観て、脳天をぶっ飛ばされたような衝撃を受けることになる。
え!?日本でこんな音出すバンドがいたのか!!と。

今でもあのちゃんのラジオのオープニングで流れてるんだって。


もちろん坂本くんの足の動きも気になったが、ぐるんぐるんとうねりまくるベースラインを弾き出す亀川千代氏の存在感も目を見張るものがあった。
細身長身で黒づくめの衣装、そして前髪ぱっつんのサラサラロングヘアー(姫カット)。
私はしばらくの間、亀川氏のことをずっと女だと思い込んでいました。


ゆらゆら帝国の単独ライブは、なかなかチケットがとれず、私がようやく最初に観たライブは、1999年の大阪市立大学の学園祭“銀杏祭”でだった。




『太陽の白い粉』を発売した時だったかな。「すべるバー」とか演ってたっけ。
この時は端の方だったが、亀川氏のプレイを至近距離で拝むことができた。
最後、亀川氏がベースを思いっきりバゴーーンっ!!って鳴らさはったので、スピーカー付近にいた私は軽く音風に煽られたのはいい思い出です。





そして、坂本慎太郎くんのシンプルだけど、心に沁みる哀悼の言葉。



ゆらゆら帝国に亀川氏が加入した当時、坂本くんは「水木しげるの漫画のキャラクターに出てきそう」って、喜んでいたのだとか。


坂本くんの描いた亀川千代。



実はゆらゆら帝国解散後の亀川氏のその後の活動を全く知らなかった。
すみません・・・

冬苺、不失者、The Stars・・・etc.といったバンドでベースを弾いていたそうです。




ご冥福をお祈りします。



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臨時ニュースを申し上げます

2024年03月31日 | しねしねシネマ
恥ずかしながら、ご報告します!

アカデミー賞獲ってさらに盛り上がってる『ゴジラ-0.1』、劇場まで観に行ってまいりました!
(ほんと恥ずかしながら)


ゴジラ映画は、20年くらい前に、ゴジラ好きの友人に誘われ一度劇場まで観に行ったことあるんだが、映画のタイトルも内容も全くもって覚えていない。
米制作の初(?)のゴジラ映画『GODZZIRA』も昔映画チャンネルで観て、「ほとんどジュラシックパークやないけ!」と、もう論外のシロモノであった。
全世界で愛される日本のゴジラは誇りには思うんだけど、ウルトラマン怪獣が大好きだった幼少の頃まで遡ってみても、ゴジラというものを好きだった試しが本当にない。
近年では、庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』が、シン感覚のゴジラ映画として騒がれていたので地上波で観てみたが、「面倒くさいな」と思っただけだった。

私の所持しているゴジラ関連アイテムはせいぜいこれくらい。すいません。



前世紀から今世紀にかけて、ゴジラ映画ってのは日本ではもちろん何本も、ハリウッドでもちょくちょく作られてて、正直昨年『ゴジラ-0.1』が話題に昇ったときも、「また作ったん?」と全くもって興味が沸かなかった。

じゃあなんで観に行ったのかって?
それはやはり昨年からメディアがめちゃくちゃ騒いでて、YOUTUBEとかでも絶賛の嵐で、おまけに今年アカデミー賞で「視覚効果賞」?みたいなの獲っちゃって、まぁ徐々に感化されていって、今度こそ劇場で見応えあるかもってなったから。
今回は私のようにゴジラに興味ない人でも結構心動かされた人多かったんではないでしょうか?

このトレーラーもよくできてる。なんかスゴそうだもん。



で、劇場で観てどうだったかというと・・・

やっぱ私ってゴジラ萌えする感性がないのなってのがわかった。

まぁ観てる時はそれなりに楽しんでたと思う。
まず、第二次世界大戦末期~終戦後っていう時代背景がよかった。
いきなりゼロ戦が飛んでて、日本のある島の飛行場に不時着する時点でかなりワクワクした。
基本的にはゴジラが大暴れ、大破壊する映画であるが、人間ドラマにも尺が割かれてて、日本の終戦後ドラマ特有の湿っぽく暗い雰囲気の、でもどん底から這い上がり、団結して皆で知恵を絞ってゴジラに対抗するという、そういう展開は正統な流れではあるんだけど、ちょっとベタベタでクサかった。
つか、あの焼け野が原でなんで赤子抱えた女子が大勢の男に追いかけられてるの?赤ちゃん泥棒?
キャストもよく見る売れっ子の豪華顔ぶれであざといなと鼻についたものの、役柄は各々ハマっているなとは思った。

そして、今作の大スクリーンでのCGゴジラのアクションはどうだったかというと、まぁ想定内という感じだった。
いや、賞獲ってるし、凄い技術なんだろうけど、個人的にVFX不感症になってしまったもので。
こういったモンスターVFX映画の感動は、スピルバーグの『ジュラシックパーク』がピーク。
あれを30年前映画館で目撃した人たちがいまだに羨ましく勝ち組だと思ってる。
海でのあのチェイスシーンもテレビで何回も映ってたので、劇場であんま興奮できなかった。


もう一つ、『ゴジラ-0.1』を劇場まで観に行こうと思った決定的な動機がある。

それは、劇中で震電が飛ぶって聞いたから!

このことは、トレーラーでもメディアでも全然取り上げられてなかった気がする。

震電ってのは、大戦末期に、一般市民を虐殺しまくり日本を焦土と化したアメリカの爆撃機B-29を迎撃するために旧日本軍が開発した局地戦闘機。
開発試行途中で終戦を迎え、実戦には使われることのなかった幻の戦闘機である。




小学生の頃、軍事マニアの父の影響でガンプラから徐々に第二次大戦時のプロペラ戦闘機にハマり始めた私は、震電のフォルムを見て衝撃を受けた。

いや、後ろ前、逆やん!!

昔作った震電のプラモはすでにないが、設計図は残ってた。


ほかの日本軍の戦闘機は、正直あまり区別がつかなかったが、震電はもう独創的すぎて一目でそれとわかる。

劇中で倉庫に格納された震電が映し出された時はさすがに興奮した。
そして離陸して大空に飛び立ったときは、ほんとマジで感動した!
まぁそこはCGなので多少迫力には欠けたが、おそらく震電が映像化されたのは、映画史上今回が初めてだろう。

実戦で投入されずに破棄、解体されてしまった幻の戦闘機・・・
それが実は一機だけ極秘に破棄されずに残ってて、それをゴジラ撃退作戦の為に投入するという・・・
これは本当にロマン溢れる素晴らしいアイデアだ!

聞くところによると、この山崎貴監督、そうとうの軍事オタクみたいだ。
この撮影にあたって、レプリカの実物大の震電まで作ってしまったというのだから、相当の拘りである。
ひょっとして震電を飛ばしたいがために、この時代背景のゴジラ映画撮ったんやないかと勘ぐってしまう。
山崎監督はインタビューで、『シン・ゴジラ』の対抗策として、「真逆にした」と語っていたらしいが、それは震電の機体と掛けたんじゃねえかって。

このレプリカの震電、今現在福岡県筑前町にある大刀洗平和記念館にて展示されているらしい。
これはちょっと観に行きたい!




いやいや、自分のゴジラに対する思い入れが薄かったためにこのような感想になってしまったが(これがクトゥルー邪神なら絶対絶賛してる)、それは置いといて・・・

ゴジラという日本の誇るべき鉄板のコンテンツで、全世界から大絶賛される最高のエンタメ映画を見事に作り上げ、そこで「日本にはゼロ戦だけではなく、震電っていう独創的なマイナー戦闘機があったんだぞ!」っていうことを世界の人に知らしめてくれたことは、本当に快挙というほかない!

ありがとう!山崎監督!


Blue Oyster Cult: Godzilla
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ばいちゃ

2024年03月21日 | 二酸化マンガ
この度、鳥山明先生の突然の訃報に全日本、いや、全世界がびっくらこいた!

享年68歳、あまりにも早すぎる・・・・・


まぁマンガとかアニメにはとうの昔に興味は無くしているし、べつに鳥山明マンガを収集していたワケでもない。
ただ、80年代初期に放送開始された『ドクタースランプアラレちゃん』のアニメは、日本で大センセーショナルを巻き起こし、小学校低学年だった私の心をもう鷲掴んではなさなかった。



おこずかい配給になってから、もちろんコミック本も全巻揃えてワクワクしながら読んでた。




Dr.スランプ連載前に、鳥山明が集英社に投稿した初期短編作や、特別企画作品などが収録されている『鳥山明〇作劇場』っつーのもまだ所持しててこれも好き。
少年ジャンプ読者評価でダントツのドベを記録したといわれるデビュー作『ワンダー・アイランド』とか、今読むと全然悪くない。新人だから読者も冷たかったのだろう。
Dr.スランプの元となったといわれる『ギャル刑事トマト』も秀逸(ペンギン村のキャラたちもすでに出演)。



ところで、『Dr.スランプ』は、今読み返したら昭和のバカバカしい稚拙な子供向けのギャグマンガである。
なのに、なぜいまだに捨てずに魅力を感じ続けられるのだろうか。

鳥山マンガの魅力ってのは、それはズバリ!驚異的な絵の巧さにあるかと思われる。

『Dr.スランプ』第一話の扉絵。最初にしてこのクオリティ。



そりゃあの時代、絵の巧い漫画家なんていくらでもいた。
劇画リアル志向の巧さでいうと、武論尊、北条司、寺沢武一辺りがその代表格かと。
ただ、鳥山明の描くマンガには、リアル志向な描写の中に、実にマンガらしい唯一無二のキャッチーさとポップさが溢れているのである。
そう、キャラクターはもちろん、車、バイク、家、山、看板、全てのものが丸みを帯びており、それが魔法がかったかわらいらしさを生み出している。
あの時代の子供はみんな、ペンギン村に住むのが夢だったはず!




とくに『Dr.スランプ』は表紙、トビラ絵が秀逸だったよなぁ、今みても十二分に楽しい。
プラモデラーたる作者の性だったんだろう、とにかく車、バイク、戦闘機、戦車等のメカニカルなディティールが神がかってた。




ミリタリー趣味全開だったもんな(特に第二次大戦期)。無邪気というか。
リアルとデフォルメの見事なバランス感覚!
今の時代においてもこれだけの独特で完璧なポップアート感の出せる漫画家はいないかと思われる。

週刊少年ジャンプで巻頭カラーやった時のトビラ絵の切り抜き。



『Dr.スランプ』では、ウルトラマン、ゴジラ、ガメラ、ガンダム、スーパーマンなど、あの時代正にセンセーショナルだったアイテムを無邪気に(無許可で!)マンガに取り込みまくっちゃってるところなんかも読んでて楽しかった。
しかし、よく怒られなかったよなぁ~



鳥山先生、スターウォーズも大好きだったんだろうなぁ・・・・



週刊少年ジャンプでの『Dr.スランプ』の連載が終了し、間髪入れずに始まったのが、『ドラゴンボール』。
この作品も思えば私がまだ小学生の頃に連載されたんだよなぁ、それが幾世代に渡って人気を博し続くことになる長寿マンガとなった。
とにかく世界中に熱狂的ドラゴンボールファンがいて、鳥山明の名はMANGA界ではワールドワイドに知らぬ者はいないくらいまでとなった。
もちろん私も連載が始まった当初は、コミック本発売するたびに狂喜乱舞して本屋にかけつけ購読したもんだ。

週刊少年ジャンプの付録のポスターももちろん部屋に貼ってましたよ。



ただ、程なくして中学時代に突入した私がドラゴンボールに見切りをつけるのに、そう時間はかからなかった(メタルにハマりそっちに忙しくなったってのもある)。
まぁもうこんなマンガの世界でしか通用しない設定の荒唐無稽な冒険活劇モノを楽しめる感覚は薄れていたし、トーナメント戦を何回もやるようじゃ、少年ジャンプ特有のマンネリ化のスパイラルにハマってしまってんなと(死んでもどうせまたドラゴンボール集めて生き返るんでしょ)。
第一作者本人が全然のってないなっていうのが初期の段階でヒシヒシと感じとれた。
Dr.スランプ時代のあの神がかった絵のタッチも徐々に劣化しはじめてきていたし。
もうあのシャッシャッシャーッとした画のタッチがダメだった。
思うにもう忙しすぎてほとんどアシスタント任せだったんではないかと。
そんな私の冷めた思いとは裏腹に、ドラゴンボールは益々不動の人気マンガに発展していくわけなんですけど。


鳥山明先生の訃報を受けて、どの報道番組でもトップニュースで大々的に報じられていたけど、やっぱ絶対的マンガとしてドラゴンボールがフィーチャーされてたな。
全世界で2億6千万部売り上げたから、まぁしゃーないんやけど。
わしらの世代でもドラゴンボール派が圧倒的だしね。


近年、そんな共感者皆無なDr.スランプ派の私を、小学生の頃のようにワクワクさせてくれたのが、スズキのハスラーとそのCM。



もちろん、このハスラーをデザインしたのは鳥山明先生ではない。
でもこのデザインって、ほんとペンギン村から抜け出してきたかのような、ちょっと他に類を見ないかわいらしさですよねー
いやいや、この車デザインした人は、絶対Dr.スランプの影響入ってるって!
このCMのセンスも最高だし、Dr.スランプってなんだかんだよくリバイバルされてんだよね。

私もこの車出た当時、スゲーー憧れてて、次の車にと考えてたんですよ。
でもちょっとサイズ小さいってのと、人気ありすぎるので、妥協してちょっと似ているスペーシアギアに現在乗っております。

毎日うほほい気分で田舎道をドライブしてます。
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悪夢に棲む影

2024年02月05日 | ルルイエ異本
さて、前回クトゥルー神話における暗黒星ユゴス、および<ユゴスよりのもの>の実態について触れたので、ついでといってはなんですが、私が数年前に入手したユゴスにまつわるとっておきの文献をご紹介しようかと。


それは、上写真の丸尾末広氏描くアヴァンギャルドな表紙画の『アリエス』という、怪奇漫画アンソロジー本とでも言うのでしょうか。
本書は、青林工藝舎出版の月刊マンガ誌『アックス』、その初の増刊号(2001年発行)とのこと。


表紙めくると、こんな感じ。まぁサブカル本ですわな。



マンガを中心に、イラスト、コラム、小説なども掲載されている。



丸尾末広、大越孝太郎などのガロ系マンガ家による短編の他、官能小説家の睦月影郎先生まで文章を寄せていて、うそかまことか、青年時代、夢野久作の小説を読んで自慰行為に及んでいたことを告白するという変態性欲的なコラムは、なかなか私の理解の範疇を超えるものがあり大変興味深かった。


まぁ大部分が、女体、残虐、エロス、レトロ・・・な作風のマンガが占めており、こういう分野に関しては中途半端でウブな私が、なぜこの本格的変態アンソロジー本を購入したのかというと、やはり谷弘兒氏の短編が本書に掲載されており、それが読みたかったからに他ならない。


突如谷弘兒の画のことが気になりだし、まんだらけやネット上でとり憑かれたかのように彼の作品を漁りだしたのは、ちょうど5年前くらいのことであったか。

そんな最中、SNS上で発見し心騒がされたのが、下の【画C】であった。


それは、目玉をもつ菌類に似た形状の頭部を生やしたウミユリ状のグロテスクな寄生物が、人の体内から突き出てきているというおぞましく、ただ不思議と見ていてウットリするような芸術性をも持ち合わせた、世にも奇妙な画であった。


このSNSの投稿者は、谷弘兒先生によるクトゥルー画であるという事以外には、何も情報を書いておらず、この画がちょっとした挿絵なのか、またはクトゥルー神話短編の一場面なのか、全然わからなかった。
それでも、どこで情報を入手したのか忘れてしまったが(投稿者本人に直で聞いてはいない)、この画が谷弘兒先生の『悪夢に棲む影』という短編の一場面であることを突き止めるに至った。
ただ、どうやら谷先生の単行本、作品集には収録されてない短編で(谷先生の場合、そういうの多いだろうな)、その作品が青林工藝舎出版の月刊マンガ誌『アックス』の増刊号である『アリエス』に掲載されていることを突き止めるには、そう時間はかからなかった。


トビラ絵からしてこれ。もっサイコーー!




寝ても覚めても、男は奇妙な悪夢にうなされ続けていた。

【画A】



そこで男は、谷マンガではお馴染み、精神科医(心霊生理学者)キルケ博士に助けを求める。
(キルケ博士に関しては、『怪人・蠅男/妖夢の愛液』を参照)




【画B】



【画C】



突然刑事らが、イカサマ医療違法行為の現場を押さえたと乗り込んでくる。

だが、キルケ博士はこう警告する。

「ユゴス星の超知性体が人類に侵入し始めている」と!

「彼の心霊器官(?)に超知性体が侵入して、心霊レベルの狂気をひき起こしている」と!




この心霊的脳内映像の正体は、ホラー映画のビデオテープだった!?




2001年頃といえば、DVDがそろそろ出だしてきてはいたが、まだまだVHSが主流の時代であったかと。
ロジャー・シーマン監督というのは実在するのだろうかとネットで探ったが、出てこなかった。
気になるな。

キルケ博士はその後、2人の刑事によって乱暴に連行されるのであるが、その連行のされ方がエロ漫画的。


そして、悪夢にうなされてた男は、そのまま・・・・

【画D】



「こいつがユゴスのやり方~~♪」などとマッチのヒットナンバーに合わせて歌ってる場合ではない!

もうすでにユゴスよりのものの人類への侵略は、精神レベルで始まっているのかもしれないのだから・・・


とまぁ、わずか12ページの谷弘兒短編のために本書を購入したわけですが、全体的な装丁も豪華で素晴らしく、その値打は十二分にあったと思う。
やっぱり谷先生の画力は異次元レベルだね。

それにしても、ユゴスものも執筆なさっていたとは・・・さすが!


もっともっと、もっともっと谷弘兒クトゥルー神話が読みたい!
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星に願いを

2024年01月21日 | ルルイエ異本
久方ぶりに、ちょっと心が離れていたクトゥルー(クトゥルフ)神話作品を昨年末から読み出し、そして読了した。


作品は、朝松健著の『弧の増殖 夜刀浦鬼譚』。


千葉県の夜刀浦市にあるメガサーバー施設の、近隣の住民の健康をも損なわす超強力な電磁波で、暗黒星ユゴスにいる邪悪な存在<ィルェヰック>を召喚するといった話。




本作を刊行当初本屋に並んでいるのを見かけたのはずいぶん昔のことだと思ってたが、13年前と意外と最近であったのはちょっと驚きだった。
13年前といえば、ちょうどスマホが普及し出した頃で、本書ではすでにそのアイテムが取り入れられている。
朝松健氏の描くクトゥルー神話といえば、近代テクノロジーとの融合が実に巧みであるという特徴を持っていて、本作でもサーバーシステムが邪神を召喚する重要なアイテムとなっている。

邪悪さ漲る黒魔術的プロローグは心騒がされるものがあったが、終始不気味な着信音が鳴り響くといった、『着信アリ』などの、中田秀夫監督の『リング』が大ヒットして以降に横行した古臭い女子高生向け日本ホラー映画のような稚拙な心霊現象や、常に首のない男の子の幽霊が昼夜問わず徘徊するといった節操のない演出に読んでて辟易してしまった。
まぁでも主人公が女子高生向けの都市伝説を扱う情報サイト(『夜刀浦Watcher』)の管理経営者という設定なので、もともとティーンエイジ向けに書かれたクトゥルー神話だったのかもしれない。

で、後半はやっぱりホラーアクション作家たる朝松氏ならではの、触手のたくる阿鼻叫喚のグチャグチャ展開。
後半部分なんて、ゾンビ映画の展開にかなり近いものがあったな。

 
この物語には、民族学専攻の真嶋守衛教授という人物が出てくるのだが、彼が「相続した武家屋敷の書庫から発見したユゴスにまつわる暗黒の教義が内包された『Aの書』、それは書物ではなく、線条模様の刻まれた半円形の石器で、霊的アンテナを持った人間だけがそれを受信できるUSBメモリーのようなもの」であることを解明するところは、これぞクトゥルー神話だと、読んでて心騒がされた。

ちなみにこの真嶋守衛教授、実はなんと北海道の肝盗村の出身だということ。
朝松健氏が1976年頃?に執筆し、後に角川ホラー文庫から刊行された『肝盗村鬼譚』は、10年以上前に読んだ。
アーカムやブリチェスターのように浸透はしていないものの、かのものどもが巣くう因習めいた暗黒地を、この日本の各地に点在させるといった創作は、日本人として大変興味深くて楽しい。
“夜刀浦(やとううら)”とか、“肝盗村(きもとりむら)”といった不穏な語感を持つ響きも素晴らしい。
(残念ながら『クトゥルー神話大辞典』にも掲載されていないが)




ところで、本書を熟読しているとき、実はゾッとしたことが起こったのであるが。
昨年末、近場のドトールにてスマホでランダム再生で音楽聴きながら本書を読んでたのであるが、下の章を読んでる時にたまたま流れてたのがCoccoの「星に願いを」で、なにかしらゾッとする名状しがたい一種異様な戦慄を感じないではいられなかった。




Cocco「星に願いを」



ところで”ユゴス”(ユッグゴトフとも)っつーのは、クトゥルー神話に精通している者なら知っているとは思うが、冥王星のことで、かつては太陽系の最果ての星、第九惑星に数えられていたのだが、惑星と呼ぶには小さすぎるということで(月よりも小さいらしい)、2006年に準惑星に格下げされてしまった不憫な星である。




この冥王星には、<ユゴスよりのもの>と呼ばれる知的生物の居留地があり、無限宇宙の彼方から太陽系に飛来し、暗黒星ユゴスを本拠地とし、かつてヴァーモント州の山岳地帯で密かに地球でしか採れない貴重な鉱物の採集に従事していた。
その姿は薄桃色の蟹を思わせる外見で、甲殻類の胴体に膜状の翼、何対かの脚がついており、頭部には短いアンテナ状の多数の突起物のある渦巻状の楕円体がついているが、その実体は一種の菌類だという。
驚異的な外科医術的技倆を有しており、人間の脳髄を摘出して、金属の円筒容器に入れたまま生かし続けることもできる。

<ユゴスよりのもの>をテーマとしたクトゥルフ神話カードゲーム『ミ=ゴの脳みそハント!』




で、本書を読んだあと、またこの冥王星のことが気になりだし、ヨウツベで「冥王星の本当の姿」という高画質映像を鑑賞していたのだが、そこに思いもよらぬワードが出てきて、正気を失いかけた!

冥王星の赤道域には、幅約300km、長さ約3000kmにおよぶクジラ模様の暗い褐色の領域が見受けられる。
かつて原始惑星が冥王星に衝突したジャイアント・インパクト(巨大天体衝突)によりできた黄斑だということらしいが、その領域の名前がなんと、「クトゥルフ黄斑(領域)」というのだそうだ!
動画ではっきりとそう言うてはる。




確かに衛星から見たこの領域のヴィジュアル、ゾッとするような邪悪さが漲っている。
クジラというよりは、こちらをねめつける、深海に潜む蛸のようなぎらついた目・・・・
まるでクトゥルフじゃないか・・・・

ダゴン、あるいはディープワンズっぽい貌も浮かび上がってるよな・・・



まぁこの「クトゥルフ黄斑」というのは、2015年に暫定的に付けられた名称だそうで、クトゥルフファンの方々には、「何を今さら・・・・やれやれ・・・」と言われてるかもしれない。

そしてこの「クトゥルフ黄斑」って呼び名、どうやら昨年また変更されたとかいないとか・・・


準惑星に格下げされた時といい、また今夜、うちの庭がガヤガヤしそうである。


【実写】冥王星の本当の姿
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