チェリビダッケの小箱

音の出るパンケーキ

チェリビダッケの小箱(案内板)

2008-03-05 13:54:32 | Weblog
チェリビダッケの演奏を直に聴くことにできなかった人間が、録音を否定したチェリビダッケの録音を独断と偏見に基づいて紹介していくブログです。

各記事はレーベルごとにカテゴライズされていますが、この案内板では作曲者ごとに整理して記事へのリンクをつけることにします。

各記事の演奏データは基本的にCeLISTを参照にさせていただいております。


記事へのリンク(作曲家別)

Barber ●Bartok ●Beethoven ●Berlioz ●Berwald ●Brahms ●Bruckner ●Cherubini ●Debussy ●Dvorak ●Dukas ●Faure ●Haydn ●Mahler ●Mendelssohn ●Milhaud ●Mozart ●Mussorgsky(Ravel) ●Nielsen ●Prokofiev ●Ravel ●Respighi ●Rossini ●Roussel ●Schubert ●Schumann ●Shostakovich ●Strauss,J&JII ●Strauss,R ●Stravinsky ●Tchaikovsky ●Wagner

お薦め演奏
Beethoven:Symphony No.3 in Eb major, op.55, "Eroica" / Munich Phil/ 1987/ METEOR(MCD 041)
Beethoven:Piano Concerto No.4 in G major, op.58/Munich Phil/Perahia/1980's/AUDIOR(AUDSE 507)
Brahms:Symphony No.2 in D major, op.73/Munich Phil/1986/METEOR(MCD 019)
Bruckner:Symphony No.5 in Bb major/Munich Phil/1986.09.24/AUDIOR(AUD 7007/7008)
Bruckner:Symphony No.5 in Bb major/ Munich Phil/1986.10.22/ALTUS(ALT 138/139)
Bruckner:Symphony No.7 in E major/Munich Phil/1985/METEOR(MCD 039/040)
Bruckner:Symphony No.8 in C minor/Munich Phil/1994.04.23/AUDIOR(AUD 7001/7002)
Debussy:La Mer/Munich Phil/1991.09.27/METEOR(MCD 033)
Debussy:Prelude a l'apres-midi d'un faune/Munich Phil/1994/VON-Z(S 1 218)
Haydn:Symphony No.104 in D major, Hob I/104, "London" /Stuttgart RO/1980.11.25/AUDIOR(AUD 7013)
Haydn:Symphony No.92 in G major, Hob I/92, "Oxford"/Munich Phil/1993.02.28/EMI(CDC 5 56519 2)
Milhaud:Concerto for Marimba, Vibraphon and Orchestra,op.278/Munich Phil/1992.04.16-17/EMI(7243 5 57861 2)
Milhaud:Suite Francaise, op.248/Munich Phil/1991.09.30/EMI(7243 5 57861 2)
Mozart:Piano Concerto No.9 in Eb major, K 271/Munich Phil/Perahia/1996.01.16/AUDIOR(AUDSE 507)
Mussorgsky(Ravel):Pictures at an Exhibition / Munich Phil/1986.09.23/AUDIOR(AUD 7009/7010)
Ravel:Le Tombeau de Couperin/Munich Phil/1989.01?/METEOR(MCD 027)
Ravel:Rapsodie espagnole/Munich Phil/1980.10/METEOR(MCD 027)
Ravel:Piano Concerto in G major/London SO/1982.04.08/CONCERT CLUB : CC 11
Shostakovich:Symphony No.1 in F minor, op.10/Munich Phil/1994.06.02-03/EMI(7243 5 57855 2)
Strauss,R:Tod und Verklaerung, op.24/Munich Phil/1986.10.15/ALTUS(ALT 141/142)
Tchaikovsky:The Nutcracker, Ballet Suite, op.71a /Munich Phil/1991.02/AUDIOR(AUDSE 505)


Strauss Family

2008-03-05 13:52:03 | PASSION & CONCENTR
Strauss, JI:Radetzky, Marsch, op.228
Strauss, JII:An die schoenen blauen Donau, Waltz, op.314
Strauss, JII:Annen Polka, op.117
Strauss, JII:Egyptischer Marsch, op.335
Strauss, JII:Fledermaus; Overture
Strauss, JII:Kaiser Waltz, op.437
Strauss, JII:Tritsch-Tratsch Polka, op.214
Strauss, JII; Strauss, J:Pizzicato Polka

1984.01.04, 1984.03

レーベル:PASSION & CONCENTRATION(PACO 1026)

演奏評価
☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆


ミュンヘンとのシュトラウスファミリー名曲集。

まず、録音についてですが、膝上で全体的に劣悪です。

演奏自体はチェリビダッケらしく遅いテンポで細部まで丁寧に色付けされたものなのだと思いますが、この録音の質では演奏内容以前の問題ですね。

とはいえミュンヘン時代のシュトラウスは貴重なのも確か。
マニアな方が聴いてみるのも一興でしょう。

アンネンポルカの後半部で一度ゲネラルパウゼのようになる箇所でバイオリンが一人飛び出しています。
チェリビダッケの演奏としては珍しいですね。

あと、ラデツキーはしっかり拍手が入っています。
膝上録音で拍手付きだと最早どうにもなりません。

Debussy,Ravel

2008-03-04 23:08:48 | VON-Z
・Debussy:Prelude a l'apres-midi d'un faune
・Ravel:Alborada del gracioso
・Ravel:Rapsodie espagnole
・Ravel:Bolero

Munich Phil/1994

レーベル:VON-Z(S 1 218)

演奏評価
・Debussy
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・Alborada del gracioso
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Rapsodie espagnole
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Bolero
☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆☆☆☆☆☆


ミュンヘンとのドビュッシーとラヴェル。
いわゆる裏青ですが、これはDREAMLIFEのDVDと同一の演奏ですね。

1994.05.13、ケルンでの演奏です。
DVDには入っているドビュッシーのイベリアが採録されていないのは時間の関係でしょう。

ドビュッシーとラヴェルはチェリビダッケが非常に得意としたレパートリーで、METEORから出てるドビュッシーの海同じくMETEOR盤のラヴェルなどは大変な名演です。


そしてこのディスクもやはり素晴らしい。

その中でも特筆すべきは「牧神の午後への前奏曲」です。
フランスのオケのような艶っぽさとは異なりますが、チェリ/ミュンヘン特有の透明な美音で描き出される世界は、恐ろしいほど美しく妖しいまでに官能的。

シュトットガルトとの牧神も悪くないですし、ロンドン響とのものも良演です。
しかし、このミュンヘン盤はもはや次元が異なりますね。

フルートをはじめ各楽器のソロも上出来です。

あえて文句をつけるとすれば、フルートの低中音域が音が立ちすぎることでしょうか。
まぁしかしこれは好みの問題ですね。


「道化師の朝の歌」も素晴らしい演奏です。
遅いテンポながらピッチカートの一音一音にいたるまで表情豊かに色付けされているとことはさすがチェリビダッケ。
軽い乗りでやられがちな曲だと思いますが、チェリビダッケが演奏すると遅いテンポで細部まで鮮やかに聴こえるので、実に情報量が多い感じがします。


スペイン狂詩曲は同じミュンヘンとの演奏でもMETEOR盤よりさらに美しく妖しげになっています。
METEOR盤は1980年の演奏で、それから14年たっているわけですが、テンポ設定自体はほとんど変わらない、というよりは「市場」以外はむしろ早いくらいです。
しかし、音色や表現という点ではMETEOR盤がシュトットガルトに近いスタイルが感じられるのに対して、この演奏はまさにミュンヘンという感じがします。

最晩年のチェリビダッケはオケがお互いに音を聴き合えない強奏部でたまにアンサンブルが乱れるというか、オケをコントロールし切れていないように感じることがあります。

この演奏でも「市場」のクライマックスはDVDを見てもちょっと怪しい箇所がありますね。
その点ではMETEOR盤に軍配が上がります。


「ボレロ」も良演ですが、長い時間かけて盛り上げていって最後の最後でやや崩れるのがちょっと残念です。




Mussorgsky(Ravel)&Tchaikovsky

2008-03-04 21:24:14 | METEOR
・Mussorgsky(Ravel):Pictures at an Exhibition
Stuttgart RO/1976.06
・Tchaikovsky:Romeo and Juliet, Fantasy Ouverture
Stuttgart RO/1980's?


レーベル:METEOR(MCD 026)

演奏評価
・Mussorgsky(Ravel)
☆☆☆☆☆☆
・Tchaikovsky
☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆☆☆☆☆☆


シュットゥトガルトとの展覧会とロメジュリ。

展覧会はミュンヘン時代のスタイルとは一線を画した演奏。
ロンドン響よりもミュンヘンのスタイルから遠いですね。

良演だと思いますが、テンポの速い細かい曲の精度が木管・弦楽器共にいまいちです。
重厚さという点ではミュンヘンには勿論及ばないのは分かりきっているので、切れのよさやエネルギーの凝縮力、音の輝かしさという点をシュトットガルトには期待しているのですが、ちょっと残念です。
しかし、トランペットは出色の出来ですね。
EMI盤以外のミュンヘンとの演奏や、ロンドン響との演奏はトランペットがいまいちだったりするのに対し、このMETEOR盤はなかなかのものです。


ロメジュリは序奏は遅めの設定ですが、ミュンヘンとの同曲と違いアレグロから普通に速くなります。
ベルリンやトリノとの演奏と比べても速く感じますね。
ただ、アレグロになった瞬間にややテンポが不安定でオケが乗り切れていない気がしますね。
管打の変拍子気味の箇所の後でピッコロの音程が飛んでるのも気になります(全体的にピッコロの音程悪い)。
ロメオとジュリエットのテーマの前はテンポがかなり落ちます。
アングレのフレージングはちょっと面白いですね。

ただ、全体的にミュンヘンのように巨大で不気味なほど濃密な演奏ではなく、チェリの叫び声が頻繁に聞こえる熱演ではありますが、演奏の精度・キレがいまいちなのが残念です。


録音は両曲ともMETEORらしく美しく空間的な響きがしますが、やはりこれもMETEORらしくやや高音域に偏重していて響きが薄く聴こえます。
この辺は好みの問題でしょう。

Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, op.64

2008-02-22 22:27:15 | MYTHOS
・Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, op.64
Stuttgart RO/1980.02.23

レーベル:MYTHOS MUSIC LAB(NR 2032 G)


演奏評価
☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆☆☆☆☆☆☆


シュトゥットガルトとのチャイコフスキー交響曲第五番。
チェリビダッケはチャイコフスキーを真の交響作曲家として評価しており、特にミュンヘンフィルとの演奏は名演として知られます。

このシュトゥットガルトとの演奏ですが、やや中途半端な感が否めません。

演奏スタイルは晩年のミュンヘンのものに近いのですが、響きの重厚さやハーモニーの美しさ、弱音での表現が徹底されておらず、かといってデンマークとの演奏のような熱演でもありません。

フランスものやロシアもの、古典なんかはシュトゥットガルトでも良い演奏が多いですが、ブルックナーや合唱ものの様な響きの質が重視される作品はミュンヘンとの演奏がやはり抜けて素晴らしいと思います。


このチャイ5は演奏スタイルはミュンヘン的でありながら、そのスタイルが徹底されておらず、シュトゥットガルト的な贅肉を削ぎ落としエネルギーの凝縮した音楽にもなっていない点で物足りなさを感じてしましまいます。


録音も優秀ですし、悪い演奏ではないのですが。。。。

Bartok

2008-02-15 22:32:30 | Weblog
Concerto for Orchestra, Sz 116/London SO/1970's/AUDIOR(AUD 7004)

Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, op.64

2008-02-15 22:30:37 | MEMORIES
・Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, op.64
DR Radiosymfoniorkestret (Danish National SO)/1970.02.19

レーベル:MEMORIES(ME 1029/1030)

演奏評価
☆☆☆☆☆☆☆☆
録音評価
☆☆☆☆☆

デンマーク放響とのチャイ5。
チェリビダッケのチャイ5といえば、ミュンヘンとの途方もないスケールの演奏が有名ですが、こちらもなかなかです。

晩年の瞑想的で巨大な音響的構築物ではなく、よりエネルギッシュで爆発力とパッションが感じられる演奏。

一楽章はどこか晩年のスタイルを感じさせながらも、この時代のチェリのある種演技がかったパフォーマンスが楽しめます。
テンポも前に行くところではしっかり速くなったりと、コントラストが明瞭なところは晩年とは違って面白いですね。

ニ楽章に関しても、晩年の執拗なまでの弱音へのこだわりはこの頃には見られませんが、ロマンティックで艶やかな演奏になっています。
ホルンソロも瞠目。
派手ではありませんが、過度に感傷的にならない素朴な美しさが素敵です。

四楽章は再現部の前の爆発力が圧倒的。
熱気にやられたのか、一部観客が再現部前で拍手しちゃってます。

シュトゥットガルトとのチャイ5は晩年のスタイルに極めて近いながらも、過渡期的な演奏で中途半端感が拭えないのに対して、この演奏は晩年とは違った形で完成されている演奏を楽しむことができるので、お薦めですね。


録音はやや古さを感じさせ、強奏部では音が割れ気味ですが、十分楽しめるレヴェルです。

Bartok:Concerto for Orchestra etc

2008-02-15 10:20:04 | AUDIOR
・Bartok:Concerto for Orchestra, Sz 116
London SO/1970's
・Debussy:Prelude a l'apres-midi d'un faune
Stuttgart RO/1975

レーベル:AUDIOR(AUD 7004)

演奏評価
・Bartok
☆☆☆☆☆☆
・Debussy
☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
・Bartok
☆☆☆☆☆☆
・Debussy
☆☆☆☆☆☆☆



バルトークはCeLISTではロンドン響となっていますが、CDの表記はシュトゥットガルトになっています。
演奏を聴いてみてもいまいちよくわかりません。

それはさておき、演奏自体はどうかというと、ミュンヘンとの演奏のように巨大で濃密というわけでもなく、かといってエネルギッシュなヴィルティオーゾ的な演奏というわけでもなく、中途半端な気がします。
客席の咳がうるさいせいもありますが、序奏からやや緊張感に欠けますし、金管楽器も全体を通して響きに輝きが足りません。
録音自体もやや彫が浅く、平坦というか味付けが薄くメリハリがなく聴こえますね。


ドビュッシーの牧神はさすがにいい演奏です。
ミュンヘンとの演奏のように冒頭から深淵へ引きずり込まれるような演奏ではありませんが、透徹した美しさと色彩感覚はさすがといえるでしょう。

フルートも善戦していますが、個人的にシュトゥットガルトのフルート(及び木管)はあまり好きでないんですよね。



Tchaikovsky:Romeo and Juliet etc

2008-02-13 21:51:39 | EMI
・Tchaikovsky:Romeo and Juliet, Fantasy Ouverture
Munich Phil/1992.01
・Mussorgsky(Ravel):Pictures at an Exhibition
Munich Phil/1993.09

レーベル:EMI(CDC 5 56529 2)


演奏評価
・Tchaikovsky
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Mussorgsky(Ravel)
☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
・Tchaikovsky
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Mussorgsky(Ravel)
☆☆☆☆☆☆☆


まずチャイコのロメジュリは物凄く濃い演奏。
ある意味通俗的で、ともすれば底の浅い音楽と思われるこの曲を、恐ろしいまでに濃密に、ドラマティックに、そしてシンフォニックに描き出してくれます。
慣習的な演奏スタイルは全て忘却し、初めてこの曲を聴くつもりで聴いてみれば、この演奏の凄さがわかるでしょう。

序奏が遅いのは勿論、アレグロに入ってもテンポが極端に早くなることはありません。
燃え盛るような激情的な演奏ではありませんが、一つ一つの音が分厚く巨大に聴こえます。
ロメオとジュリエットの恋を描く主題も「甘美」といった表現とは異なる気がしますが、濃厚でシンフォニックに聴かせてくれます。

美しい木管楽器のコラールを経た最後のブルックナー並に重厚で神々しい響き、そしてロールから一閃するティンパニーも聴きものです。

ある意味、この曲が嫌いな人は一度聴いてみると良いかもしれませんね。



「展覧会の絵」も名演です。
この曲はチェリの十八番であり、他にもいくつもディスクが出ています。

他でも書いていますが、EMIの録音の特徴は各楽器の音が鮮やかに聴こえる反面、個々の音が響きとして一体化しないところにあると思います。

なので、ブルックナーに関しては私はEMI盤をお薦めしません。

展覧会の絵に関しては、録音が優秀で響きの巨大さと透明さを堪能できるALTUS盤、緊張感と凄まじい熱気を味わえるベルリンライブに対して、個々の音像が鮮やかで演奏上の瑕疵がないEMI盤、ということになるかと思います。

ベルリン・ライブでは「テュイルリーの庭」でフルートがいっぱいいっぱいだったりしますし、「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」のトランペットもEMI盤は完璧ですがベルリン・ライブではやや傷があります。
これはAltus盤も同様です。



ちなみに、EMI盤は「キエフの大門」の最後の鐘と銅鑼が物凄い音で入っています。ALTUS盤やベルリンライブ、またはロンドン響との演奏ではあまり聴こえないので、これはEMI盤の音が異常なんだと思います。

バランスをいじくっているのかもしれませんが、一聴の価値はありますね。

Berwald

2008-02-09 11:56:15 | Weblog
Symphony No.3 in C major, "Singuliere"/Swedish RO/1967.06.09/EMI(7243 5 62872 2)

Nielsen

2008-02-09 11:53:54 | Weblog
Maskarade; Overture/DR Radiosymfoniorkestret (Danish National SO)/1970.12.12/EMI(7243 5 62872 2)

Nielsen、Berwald、Mendelssohn&Tchaikovsky

2008-02-08 21:44:02 | EMI
・Nielsen:Maskarade; Overture
DR Radiosymfoniorkestret (Danish National SO)/1970.12.12
・Berwald:Symphony No.3 in C major, "Singuliere"
Swedish RO/1967.06.09
・Mendelssohn:Symphony No.4 in A major, op.90, "Italian"
Berlin Phil/1953.11.09
・Tchaikovsky:The Nutcracker, Ballet Suite, op.71a
London Phil/1948.12.28-29


レーベル:EMI(7243 5 62872 2)

演奏評価
・Nielsen
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Berwald
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Mendelssohn
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Tchaikovsky
☆☆☆☆☆☆

録音評価
・Nielsen
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Berwald
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Mendelssohn
☆☆☆☆☆
・Tchaikovsky
☆☆☆

二枚組みの「GREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENTURY」より一枚目

年代もオケも作曲家もてんでバラバラな組み合わせです。


まずニールセンの仮面舞踏会。
オケはデンマーク国立管で、チェリビダッケ云々というよりはお国の大作曲家の作品ですから、オケが弾き慣れているのを感じます。

華やかで爽快かつエネルギッシュな演奏。
この頃のチェリはこういう曲やらせたら実に上手いですね。

オーケストラの技術も高いです。
同じ「GREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENTURY」の二枚目にもデンマーク国立管とのシュトラウスが数曲入ってますが、そちらも中々のもの。

録音は極めて優秀で、響き豊かでクリアな音質です。


続いベルワルドの交響曲第三番。
オケはスウェーデン放響です。

曲というか作曲家もあまり知らないのですが、19世紀前半の作曲家でこの曲も聴きやすいロマンティックな作品ですね。
北欧の作曲家だけあって、響きはやはりシベリウスやニールセンに通じるものがあります。

演奏も録音も上々です。

作曲家がスウェーデンの人なので、スウェーデン放響にとっては弾き慣れた曲なのでしょう。

特に晩年のチェリビダッケは慣習的な演奏スタイルに囚われない独自の哲学を貫いたわけですが、この頃はこうくオケにとって血肉と化している曲はどういうスタイルだったんでしょうね。
オケの弾きたいように弾かせるということは恐らく有得ないとは思います。

「まったく、民族の各々の慢心ときたら!フランス人くらい、ドビュッシー、ラヴェルといったフランス物を演奏するのが下手なのはいません。ドイツ人くらい、モーツァルトの下手な国民はいない・・・・・・・・・(チャイコフスキーに関しては、ロシアでは)同国人たちが彼を毎晩、これでもかとばかりに殺しているのです」


メンデルスゾーンのイタリアはベルリンフィルとの演奏。
50年代前半のものとは思えないくらい音質はクリアです。

演奏も極めて優秀。
特にエネルギッシュな4楽章は聴きものです。

ベルリンとのイタリアは50年のものもありますが、この53年の演奏の方が出来は若干上といった感じでしょうか。

貴重な歴史的記録であると共に、ベルリンフィルの破格の実力が感じられます。
この時代にしてこれだけ上手いとは恐れ入りますね。



くるみ割り人形はロンドンフィルとの演奏。

元々は交響曲の5番とともにデッカから出版されたもので、録音を否定したチェリビダッケの若き日のスタジオ録音盤です。

「エンジニアがテンポをいじった」、というほど当人は気に喰わなかったらしく、ある意味録音嫌いの発端のようなディスクだったようです。

今回のディスクでは組曲からの抜粋になっています。
チェリビダッケ好きとしては興味深い演奏なのですが、演奏、録音の質ともそれ程感銘を受けるものではないと思います。





Stravinsky

2008-02-08 19:12:28 | Weblog
Jeu de Cartes, Ballet/Berlin Phil/1950.03.06/URANIA RECORDS(URN 22.132)

Haydn:Sym No.104、Debussy&Stravinsky

2008-02-08 19:07:19 | URANIA
・Haydn:Symphony No.104 in D major, Hob I/104, "London"
Berlin Phil/1950.02.20
・Debussy:Jeux
Berlin Phil/1948.03.20
・Stravinsky:Jeu de Cartes, Ballet
Berlin Phil/1950.03.06

レーベル:URANIA RECORDS(URN 22.132)


演奏評価
・Haydn
☆☆☆☆☆☆
・Debussy
☆☆☆☆☆☆
・Stravinsky
☆☆☆☆☆☆☆☆


録音評価
・Haydn
☆☆☆
・Debussy
☆☆☆☆
・Stravinsky
☆☆☆☆☆


ハイドンのロンドンとドビュッシーの遊戯、ストラヴィンスキーのカルタ遊びという一枚。

ベルリン時代の演奏です。

ハイドンは一楽章の冒頭からスケールの大きい音楽が展開されてます。
既に晩年のスタイルに通じるものを感じますね。
テンポ設定はシュトゥットゥガルトとの演奏より遅いくらいで、晩年よりもややロマンティックな感じがします。
ただ、下の二曲に較べて録音の質が悪いですね。
古いのでしょうがありませんが、いい演奏だけに残念です。

ドビュッシーとストラビンスキーも秀演。
さすがにこういう曲は上手いですね。

特にストラヴィンスキーは凄いです。

録音はモノラルながら非常にクリアで、緻密で鋭いリズム、爆発力とユーモアを兼ね備えた演奏は、シュトゥットガルトとのティルを思い出させますね。
ハイドンとドビュッシーはやはり歴史的価値・マニア向けの感がありますが、ストラビンスキーはチェリビダッケに興味のない人も一聴の価値があるでしょう。

ベルリンフィルとの演奏では、メンデルスゾーンのイタリアやプロコの古典と共にお薦めです。


それにしても、ベルリンフィルの実力には驚かされますね。
この時代において、この技術的水準の高さとアンブルの精緻さには脱帽です。

チェリビダッケはベルリンを去った後、イタリアやスウェーデン、デンマークやフランスなど色々なオーケストラを振ってますが、いつもオケの実力に満足がいかず、演奏や運営をめぐってオケ側と衝突を繰り返して転々とした人です。

大学で学生の室内楽や合唱を振ったことしかなかった人間が、突然ベルリンフィルの実質上の首席指揮者になったわけです。

初めてまともに振ったオケがベルリンフィルでは、余所にいって満足できるわけありません。

歴史にもしもはありませんが、もしカラヤンではなくてチェリビダッケがフルトベングラーの後継者になって、ベルリンフィルを50年にわたって振っていたら一体どうなっていたのでしょうね?

「私がベルリン・フィルハーモニー管弦楽団をその後さらに指揮しつづけたら、このオーケストラは別の道を歩んだことだろう。カラヤンはこのオーケストラをアメリカ流に艶っぽくて磨きぬかれたオーケストラに変えてしまった。わたしならそれをドイツ的なひびきをもつオーケストラに育て、その結果ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの伝統を受け継いだことだろう」

Mozart:Die Zauberfloete&Shostakovich:Sym No.1

2008-02-06 20:40:07 | VIBRATO
・Mozart:Die Zauberfloete Overture, K 620
DR Radiosymfoniorkestret (Danish National SO)/1970's
・Shostakovich:Symphony No.1 in F minor, op.10
DR Radiosymfoniorkestret (Danish National SO)/1970's

レーベル:VIBRATO(VLL 186)


演奏評価
・Mozart
☆☆☆☆
・Shostakovich
☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
・Mozart
☆☆☆
・Shostakovich
☆☆☆☆



デンマーク放響との魔笛とショスタコの一番。

魔笛は録音が劣悪で、演奏自体も大したことはありません。
響きの美しさもディーテイルの面白さも聞き取れませんし、アンサンブルの乱れも気になります。
珍しいレパートリーなので歴史的価値はあると思いますが、マニア向けでしょう。


ショスタコは魔笛よりは若干まともな音質で、なかなか面白い演奏です。

ミュンヘンとの一番のように理路整然としているわけではありませんが、70年代チェリのデフォルメされたユーモラスかつ血気盛んな演奏を楽しめます。

しかしながら音質は良くないですし、やはりマニアックなチェリファン向けのアイテムだといえるでしょう。