特殊清掃「戦う男たち」

自殺・孤独死・事故死・殺人・焼死・溺死・ 飛び込み・・・遺体処置から特殊清掃・撤去・遺品処理・整理まで施行する男たち

金がない

2024-05-07 06:16:26 | 特殊清掃
特殊清掃は原則として前金制でやらせてもらっている。

こういう現場に絡んだ人達は「訳あり」の人が多く、その昔は代金を回収できないままトンズラされたことが何度かあったからだ。
こんな仕事をやらせておいてお金も払わずバックレルなんて、当時を思い出すと泣けてくる。

「人を騙すより騙される方がいい」

とよく耳にするが、そんなのきれい事だ。



世の中には、騙してもいいような輩があちこちにいると思う(騙された私もそんな輩の一人だったのかも?)。


そんな現在の私でも情がないわけではない。
お金がないから後払い・分割払いを依頼してくる相手(依頼者)はよく観察してよく話す。
長年、こんな仕事をやっているせいか、人間観察には少々の自信がある。
その結果、現状で言うと断ることの方が多い。しかし、受けることもある。


アパートで独り暮らしをしていた20代の娘が腐乱死体で発見された。
自殺ではなく自然死だったらしいが、例によって現場はヒドイ状況だった。

両親は、同じ県内に住んでおり、最初の一度、遺体発見の時だけ現場に行ったっきりで、「もう二度と行きたくない」とのこと。
かなりのショックを受けたらしく(当然か)、母親は寝込んでしまっているような状況だった。

特殊清掃の依頼は父親からの電話。
とりあえず、鍵は不動産屋から借りて現場へ。
見積書をFAXしてから、再び電話でやりとり。
プライベートなことまで突っ込んで話を聞き、偽装ファミリーではなさそうであることは確認。

でも、肝心の「お金がない」と言う。
「娘の生命保険金が入ったら、必ず払うから先に清掃をやって下さい」と懇願された。

大家や不動産屋から「早くきれいにしろ!」とクレームをつけられているらしく、父親は困りきっていた。
生命保険となると一ヶ月以上は後になる。
過去に、この類の同情を引く手口で騙されたことも思い出しながら苦慮した。

結果、電話でしか話していない父親を信じて受けることにした。
父親の懐具合はどうあれ、若い娘を突然失って弱っている人を見捨てるわけにもいかなかったので(カッコいい?)、最悪は、代金が回収できないことも覚悟しておいた。若者の死は、それだけの思いを起させる何かがあるのだろうか。

結局、最初から最後まで依頼者と直接顔を合わせることがない、珍しいケースであった。



肝心の代金がどうなったか?
それは以降のブログに載せるかもしれないので、お楽しみに。


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リサイクルの陰に

2024-05-06 05:18:28 | 遺品整理
当社は、遺体関係で色々なサービスや物品販売を手掛けている会社である。

私が担当する仕事のほとんどは特殊清掃だが、ただの遺品処理・遺品回収の仕事もたまにはある。

そこでよく遭遇するのが、リサイクル可能な電気製品・家具類の買い取りである。

当社も厳正に品定めをして、買い取れる物は買い取るが、私の買い取り基準はかなり辛い!一般のリサイクル業者なら安易に安値で買い取っていきそうなものでも、私は買わない。

その理由は色々あるが、まずは遺族が考えている程の価値がないものが圧倒的に多いこと、そして次はそれが「遺品である」ということである。妙ないわくがついた品である可能性が否定できないのである。

しかも、特殊清掃の現場で、遺族がリサイクル業者と電話で打ち合わせしている現場にも何度か遭遇したことがある。

そんな時は「これを売るつもりか?」と思う。

確かに、死体の腐敗液が直接付着している訳でもなく、ウジやハエは拭けばとれるもだが、これをリサイクル業者へ売ろうとするとは、良心の呵責はないのだろうか。

もちろん、品物は私きれいにしたうえで、遺族が別のところへ運んでからリサイクル業者へ引き渡すか、特殊清掃の完了後にリサイクル業者を呼んで見積りをさせるか、である。

百歩譲って、ただの遺品をリサイクルの回すのはよしとしても、腐乱現場にあった品物をリサイクル店に売るのは、好ましいとは思わない。



世の中には「知らぬが仏」ということがたくさんあり、それで世の中がうまく回っていることも承知しているが、リサイクル品を買うときは、くれぐれもご注意を。
その傍で、死体が腐っていたかもしれないからね。


トラックバック 2006/06/05 投稿分より

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アンビリーバボー!!!

2024-05-05 04:57:43 | 特殊清掃
特殊清掃の最初の仕事は現場確認と費用見積である。
そこで初めて依頼者と会い、現場を見ることになる。
どんな現場でも、最初は使い捨てのビニール手袋(ディスポーサブルラテックスグローブ)を必ず着ける。
私はドアノブさえも素手では触らない。
そんな私を見て、自分はさんざん素手で触ってきた依頼者は不安そうな表情をする。

そして、ドアを開けて、すぐには中に入らずに、玄関からしばらく中を観察。
いきなり入ると、予測がつかない被害を被ることがあるからだ。
例えば、血液やウジが上から落ちてきたり、腐敗脂で滑って転んだり・・・。

中に入ると、まずは汚染個所の状況を確認する。それから間取りや家財道具の量・種類をみながら臭いをチェック(細かいことは企業秘密)。

問題は、汚染個所のチェックの際に起こった。手袋を着けているため、汚染されたものでも平気で触る。布団やカーペットをめくり上げたり、腐敗液のついた物品を動かしたり。

汚染部分のチェックは仕事の要なので、慎重かつ集中して行う。
汚染部分のチェックが終わると汚れた手袋を外すわけだが、そこでアンビリーバボー!な状況に気づいた。

なんと、手袋が破れていたのである!!!


手袋を外してみると・・・
案の上、手には腐敗液がシッカリ着いていた(ざんね~んっ!)。

速攻で見積りを中断して、手を洗って消毒。

それでも、臭いがなかなかとれない。

こんな仕事を長年やってながらも、腐敗液が身体の直接付着してしまうのはかなりのイレギュラーなケースで、普段からそこはかなり注意している。

それなのに、本作業じゃない見積段階で腐敗液を着けてしまうとは、我ながら情けなく悲しかった。

とりあえず、見積りは無事に済んで現場は退散。
嗅ぎたくないのについつい何度も手の臭いを嗅いでしまい、溜息をつきながらブルーなき分で帰路についた私であった。


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コタツぽかぽか

2024-05-04 06:48:07 | 遺体処置
冬場の話である。年配の女性がコタツに入ったまま亡くなった。もちろん、コタツのスイッチはONのまましばらく放置されていた。

遺体の上半身(コタツからでている部分)はパンパンに膨れあがり、顔も生前の面影は全くなし。体表には無数の水泡(火傷した時の水ぶくれに空気を入れたみたいなもの)。水泡の中は腐敗ガスと深緑色の腐敗体液が溜まっていた。
下半身は?というと、コタツに入っていたせいで、上半身とは逆に干乾びて茶黒黒色のミイラ状態になっていた。冬は気温も低く空気も乾燥しているため、そのような状態になったと思われるが、勉強になった。
腐敗液はコタツ敷を越えて、その下の畳にまで染み込んでいた。
季節柄か、私の天敵であるウジ・ハエの姿はなかった。彼等は結構寒がりなのかもしれない。
故人の首を見ると、何かが首回り一周に渡って食い込んでいる。紐か何かが巻きついている?自殺か?と思っていたが、そんなのは警察が調査済みなので、私は詮索することではない。
でも、何が巻きついているのか気になったので、膨れ上がった首の肉を寄せて奥を見てみた。すると、その正体はネックレスだった。生前は胸元に垂れるくらいの長さだったはずのネックレスが首に食い込むくらいに首回りが腐敗膨張したのである。
遺体が腐っていく段階で、身体がどれだけ膨れ上がるものか、この話で具体的にお分かりいただけると思う。
ちなみに、ネックレスで首を締められているようで、なんだか気の毒な感じがして、そのネックレスは外してあげた。
それから、その部屋を特殊清掃したことは言うまでもないが、世の中にはコタツが火事の原因になることだってあるらしい。この現場は、火事にならなかっただけでも不幸中の幸いかもしれない。


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嫌な見積予約

2024-05-03 16:10:31 | その他
当社は、24時間365日、電話受付をしている。仕事の問い合わせ・依頼がほとんどで、あとはどうでもいい営業電話だったりする。そんな中で、たまに自殺志願者が電話をしてくることがある。
ある日の夜遅い時間に、年齢不詳・女性からの電話が鳴った。「飛び降り自殺の現場の清掃はいくらくらいかかりますか?」
話の内容から、てっきり特殊清掃の「見積依頼だな」と思った・・・が、違っていた。
「現場によって作業内容や費用は異なるので、実際に現場を見させていただかないと金額はだせないんですよ。」と、いつもの応え。
現場の場所や状況を質問したところから話が変わってきた。
「実は、これから飛ぶところなんです。」とその女性。「えッ?」」と絶句する私。
本音を言うと「嫌な電話にでてしまったなぁ」と後悔した。
無責任に「自殺はやめた方がいい」と言うのは簡単だが、本人にしても、死体業を長くやっている私にとっても自殺を考えることはそんな単純なものではない。決してきれい事や上っ面の同情心、ましてや自殺志願者を救済したなどという美談なんかじゃ片付かない複雑で深刻な問題なのである。特に、本人にとっては。
でも、関わってしまった以上は、自殺はしてほしくないと思った。
同時に、「彼女の人生に無責任に立ち入ることが正しいことか?」という疑問も持った。
でも、ことは急がなければならない。
きれい事は抜きにして、「とりあえず、飛び降り自殺や電車への飛込みはやめた方がいい」「その死に方は現場も悲惨だし、残された遺族や他人様に多大な迷惑をかけることになる」とアドバイスになっているようななっていないような話をした。
もちろん、机上論ではなく、そんな現場の後片付けをしてきた自分の経験を踏まえて話したから、少しは説得力はあったと思う。
その後も色々な話をしたが、社会には私の仕事を蔑んでいる人も多いけど、それに耐えながらも開き直って生きている自分の話をしたりして、何とかその場は思い留まらせた。
その後、彼女がどうなったかは知らない。知りたいような知りたくないような心持ちである。
少なくとも、生きていてほしい。それは彼女のためじゃなく、そんな相談を受けざるを得なかった私のために。


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だいぶダイブ

2024-05-02 08:27:33 | 自殺 事故 片づけ
死体がらみのダイブと聞いて一番に思いつくのは、やはり飛び降り自殺だろう。飛び降りる高さや落下した場所によって、遺体の状態や現場の状況は千差万別。
やはり、高ければ高いほど遺体の損傷は激しいし、落下現場の汚染度も激しい。
人体の部位で最も重いのは頭らしく、ある程度の高さから落下すると、モロに頭から落ちるらしい。
汚染度の激しい現場の清掃は、手間がかかって仕方がない。なにせ、血液や肉片はあちらこちら広範囲に飛び散って、それを掃除するのが大変だからである。
激しい現場だと、地面に落ちた遺体の血液・肉片が三階まで飛び散って付着していたケースもある。しかも、血液や肉片は一度乾いてしまうとなかなかきれいにならない。
一応企業秘密なので、使用する機材や薬剤は明記しないが、手間がかかることには間違いない。
でも、一番災難なのは、普通に暮らしていて、いきなり自殺体の血液や肉片が自宅の壁に着いてしまった住人だろう。気持ち悪くて仕方がないはずだ。気に毒である。
ある、青年が飛び降りたケースでは、比較的低いところから飛んだみたいで、頭部の損傷と腕の骨折だけで済んでいた。
その代わりと言ってはなんだが、顔面が面白いほど真っ平らになっていて、頭頂部が割れて中身がでていた。顔面が見事に平らになっていたので、妙に感心してしまった(全く不謹慎だが)。
その青年の遺体と母親が初対面する場に居合わせたのだが、母親は死んだ息子の顔を見るなり卒倒して気絶してしまった。私はそっちの方にビックリしてオロオロしてしまったのであった。


トラックバック 2006/06/01投稿分より

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アンアンアン♪とっても大好き~どざえーもん~♪

2024-05-01 05:00:52 | 遺体処置
  • 特殊清掃現場の話ではないが、ある種似たような作業なので、紹介しておく。

昨今、あちこちで水死体が上がることも珍しくない。バンバンに膨れ上がった遺体はヘビー級の重さになったうえ、どこをどう持てばいいのか弱りまくる。持つところ持つところ、肉が崩れていって、遺体を持ち上げようがないのだ。

警察や葬祭業界には「納体袋」という便利?なものがある。厚手の特殊ビニール製で、調度人間がスッポリ収まるくらいの大きさに作られていて、ジッパーを閉めればほぼ完全に腐乱死体を閉じ込めることができる。
大きめの寝袋みたいな感じだと思っていただければいいだろう。

ただ、腐乱死体をこの袋に入れる作業がポイントなのだ。私の経験だと、水死体はだいたい深緑色の変色して腐っている。しかも、身体の細部に渡って腐敗ガスを含んで膨らんでいる。

ちなみに、水死体のことを「どざえもん」と俗称するのは、江戸時代に活躍した相撲の力士「どざえもん」の体つきに由来していると聞いたことがある(後世のこととは言え、当の「どざえもん関」はいい迷惑だろう)。

何度もしつこく書いて恐縮だが、これまたおそろしく臭い!しかも、ビジュアル的にもかなり気色悪い。深緑に膨れ上がった死体の表面の皮はズルズルの剥け、体表にはガスと腐敗液の水疱ができ、緑黒い筋がいくつもに浮き上がっている・・・文字ではリアルにお伝えできないのが残念だ。
何はともあれ。皆さんも、水の事故には気をつけよう。


ちなみに、海で上がった死体には、全身にシャコがくっついていることが多いらしい。そんな話を聞いたら、寿司屋でシャコを食べたくなくなるでしょ。


トラックバック 2006/05/31 投稿分より



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あっしの足が・・・。

2024-04-30 06:20:41 | 遺体処置
中年男性が電車事故で死んだ。自殺ではなく、事故らしい。

検死も済んで遺体は自宅に戻ってきていて、出血がひどくて特殊清掃の依頼が入った。遺体はまだ部屋に安置されていたのだが、汚れた部屋に安置しておくのは遺族も偲びなかったのだろう。

遺体の取扱いは一応手馴れているので、作業ついでに葬儀社が用意した柩に故人を納めてあげることにした。

「ヨイショ!」と持ち上げてみたら以外と軽い。身体を柩に納めたら、遺族から

「あのぉ・・・足が・・・」と。

故人が安置されていた場所を見ると、片脚が敷布団の上に残っている。「ゲッ!片脚がとれてたのかよ!」「先に言っといてくれよ!」と内心動揺。場が場なだけに、笑ってごまかす訳にもいかず、平静を装って、再び残った片足だけうやうやしく手にとって、柩へ納めた。特殊清掃で部屋をきれいにするのが仕事の私が、余計に部屋を汚してしまった。まったく気まずかったし、格好つかなかった。

でも、その時、「所詮は人間でも動物なんだな。見た目には人肉も人骨もビーフやチキンと変わりないじゃないか。」と思った。しかも、当日は焼肉が食べたくなってしまった(さすがにこの神経はおかしい?)

そんなことがありながらも、相変わらず私は肉を好んで食べている。思い出しても気持ち悪くない。
死体を取り扱う仕事は、それだけ神経太くないと務まらないと勝手に自負している。


社会的にも認知されず、誰も誉めてくれないので、自画自賛するしかない。


トラックバック 2006/05/30 投稿分より


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香りのソムリエ 

2024-04-29 09:59:12 | 腐乱死体
  • マンションの大家さん依頼があって現場へ出掛けた。間取りは2DKで最上階の角部屋。

腐乱死体が発見・処理されたのは約一年前で、あとはそのままの状態で一年間も放置され
ていた現場だった。
一年間も手を入れずに放置しておくなんて、かなり珍しいケースである。隣近所はもちろん、大家さんもそんな物件を抱えたままで気持ち悪くなかったのだろうか、と不思議に思った。
同時に「一年経過した腐乱臭は、どんな臭いになっているだろう」と興味を覚えた。

「腐敗臭の中でも、めったに嗅げない匂いに違いない」といそいそと出掛けた自分に苦笑い。

誰もが忌み嫌う腐乱死体の発見現場に喜んで出かけて行く訳だから、我ながら、つくづく神経が麻痺してきていると思う。
現場に到着して、玄関を入ってみたら、全く期待外れ?で、いつもの腐敗臭と変わりはなかった。一年間熟成された腐敗臭がどんな臭いか期待していたのに・・・残念(バカな自分)。
逆に、一年経っても、悪臭度が全く低下しない腐乱死体のスゴさを感じた。


ただ、時間経過を思わせたのは、腐敗液を吸ったフローリング床がめくれ上がっていたことと、原因不明の木グズのような粉が床にたくさんあったことくらい。
腐敗当時はウジも大量に発生したはずだが、みんなハエになって飛んで行ったのだろう、ウジ・ハエは一匹もいなかった。どこかに飛んで行ったハエは、またどこかの死体に卵を産んで、子孫を増やしていることだろう。そして、その子孫達と私はまたどこかの現場で再会するかもしれない。

「ハエさん、お手柔らかに頼むよ。」

亀や鮭が故郷に戻ってきて再会するのとは次元が違い過ぎて、自分でも可笑しい。


トラックバック 2006/05/29投稿分より


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瀬戸際の釘

2024-04-28 13:31:10 | 自殺 腐乱
  • 古いマンションの一室。事業に失敗した風の中年代男性が首を吊った。部屋の様相から、一時は羽振りのいい生活をしたことが想像できた。

私が参上した時は、首にかけた紐も外れて遺体は座りこんでうな垂れているような格好になっていた。もちろん、腐った状態で。皮膚の色は青黒く、かなりの悪臭を放ちながら腐敗液が遺体の周りに染みていた。ちょうど腐ったバナナを人間に見立てた状態に近い。

依頼者はそのマンションの管理会社とオーナー。死体そのものは警察が持って行ったので、私の仕事は腐敗液を吸った畳の処分と腐敗液の付着した部分の清掃。こんなのは、いつもの仕事として淡々とこなした。

一番嫌だったのは、首を吊る紐をかけるために故人本人が柱に打ったネジ釘を抜く作業だった。自分が首を吊ったとき、その体重で抜け落ちないようにするためだろう(確実に死ねるように)、10本位のネジ釘が一箇所にまとまるようにねじ込まれていた。
それを、一本一本ドライバーで回し抜いていく作業が、何とも言えない気持ち悪さを覚えた。全部の釘を抜くのに10分くらい要しただろうか、逆算すると、打つときもそのくらいの時間を要したと思われる。
「死んだ故人は、一体何を考えながら、このネジ釘を一本一本打っていったのだろうか」と、考えたくなくても頭に浮かんでしまった。

自殺には色んな方法がある。ビルからの飛び降りや電車への飛び込みは、一気に事が運べるが、首吊りのように下準備が必要な方法の場合、本人はどういう心境で準備をすすめていくのだろうかと複雑な思いがする。

そんな私も、「何でこんな仕事やってるのか神経が理解できない」「よくそんな仕事ができるな」と思われている方々も少なくないと思う(苦笑)。

決して陽の当たる仕事ではないが、これでも少しは他人様・世の中の役に立っていると思っている今日この頃である。


トラックバック 2006/05/28 投稿分より


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家庭内別居

2024-04-27 16:07:01 | 腐乱死体
閑静な住宅街の大きな家。豪邸といってもいいくらい。腐乱死体は離れの小部屋にあった。


依頼者は故人の夫。広い敷地内の大きな家で、家庭内別居でもしていたのだろうか、妻が腐乱死体で発見されるまで異変に気づかなかったなんて。

依頼者はとにかく近隣への世間体を気にしていた。私が行ったときは、まだ妻の死を近所には知らせていないようだった。とにかく「近隣へ悪臭が漏れないように。」「清掃業者が入って作業していることを気づかれないように。」ということを重々念押しされて作業。
したがって、いつも使っている業務用車輌ではなく自家用車風の車で、機材の持ち運びも回りの目を気にしながらコソコソと。ユニフォームもスーツにネクタイ姿での作業になった。非常にやりにくかったし、自前のスーツに腐敗臭と腐敗液が付着するなんて我慢ならなかった。それでも、依頼者のたっての願いだから仕方がない。

更には、悪臭が外に漏れるのを防ぐために、戸や窓も締め切ったまま。
鼻が壊れそうになりながら、密室で清掃作業をすすめた。身体はもちろん、自前のスーツもタップリ腐敗臭が付着して、悲しかった。
決して高いブランドスーツではないけど、量販店で数万円するスーツだ。まさか、
この特殊清掃作業で着ることになるとは・・・

料金にスーツ代もプラスすればよかった。


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どうすりゃいいんだよぉ

2024-04-26 09:38:56 | 腐乱死体
小規模の賃貸マンション。依頼者はマンションオーナー。いつもの調子で現場検証・見積りへ出掛けた。


玄関ドアを開けるといつもの悪臭。豊富な現場経験を自負していた私は、いつものノリで室内へ。「マスクとかしなくて大丈夫ですか?」とオーナーは気遣ってくれたが、「現場見積でいちいちマスクしててもきりがないんで・・」と余裕をかましていた。

故人はトイレで亡くなっていたと聞いていたので、トイレのドアを開けてみた。
そこで仰天!ユニットトイレだから、腐敗液が床に染み込んだり隙間から漏れたりしていないものだから、人間の容積がそのまま液体になったくらいの量の腐敗液が便器と床に溜まっていたのである。これにはさすかに驚いた!正直「どうすりゃいいんだよぉ」と思った。いつものように、作業手順が即座に組み立てられなかったのである。
私は、吐きそうになる現場は少ないのだが、ここではいきなり「オエッ」ときた。

この現場は、トイレユニットごと入れ替え必要があったが、まずは、その腐敗液を何とかしなければならなかった。
通常は、吸収剤+拭き取りで処理できるのだが、ここはそうはいかなかった。そんなレベルではなく、汲み出す必要があった。この汲み出し作業が辛かった!小さい容器を使ってトイレ床の腐敗液を少しずつ汲み出していくのだが、汲んでも汲んでもなかなか終わらなず、気持ち悪くて気持ち悪くて仕方がない。なにせ、液体人間を汲み出してる訳だから。腐敗液の中に落ちていたメガネが人間的なものを感じさせ、余計に不気味さを増長させた。

これが腐敗液だと思うと、直ちに「オエッ!」とくるので、何も考えないように、心を無にしてやるのがこの仕事のコツである。


この仕事は、死体の腐乱臭が身体や衣服をはじめ、鼻にもばっちりついてしまうのは言うまでもない。もちろん、そのまま家にも帰れないし、どこかの店に立ち寄るのもはばかられる。そんな仕事なのである。


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助けて!クラシア~ン!

2024-04-25 20:34:16 | 特殊清掃
  • 古い小さな一戸建て。故人はトイレでなくなって腐乱していた。用を足していた最中なのか、その前なのか、その後なのか・・・考えても仕方がないことだが、考えてしまった。

床は腐敗液でベトベト・ヌルヌル、大量のウジが這い回っていた。
床の汚染はある程度拭き取って、クロスを剥がして完了(簡単なようで難しい)。
そして、問題が便器。便器自体の汚染も根気強く拭けば何とかなったが、一番往生したのがその詰まり。

腐敗が進み液化した人肉・脂肪等が便器内にタップリ溜まっていたと思われ、今度は、更に時間が経過したため、それが乾燥して凝固し、トイレが完全に詰まっていたのである。
糞尿で詰まることはあっても、人間そのものだったもので詰まるなんて・・・。
素人の方にも分かりやすく表現すると、茶色で固めのとてもクサーイ!粘土が、便器の奥から半分位までギュウギュウに詰められているような状態である。
まず、その塊を少しずつ除去。
機材の届く奥まで除去できたので「ヨッシャ!これで流れるぞ!」と勢い込んで水洗レバーを引いた。それが失敗だった。
トイレの詰まりは解消されてなく、流れでた水洗タンクの水は便器からオーバーフロー。

しかも!その水ときたら、黒緑色の腐った水(当然、臭い!)で、たくさんのウジも一緒にでてきた。タンク内の水を事前に確認する基本的なことを忘れてしまっていた。
タンクの水がなくなるまで汚水は流れ続け、私はなす術もなく呆然と見ているしかなかった。思わず、心の中で「助けて!クラシア~ン。」と呼んだ。
ただの詰まりとは違うけど、トイレの詰まりには違いないから、クラシアンなら「トイレのトラブル8000円」でやるのだろうか(やるはずないか)。

その後の作業をどうしたかは、この場では省略。ユニフォームを汚しながらも、頑張って綺麗にして遺族も喜んでくれた。もちろん、トイレの詰まりも解消。


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ゴミ山の亡骸

2024-04-24 05:55:33 | ゴミ部屋 ゴミ屋敷
ある公営団地の一室。私を呼んだのは中年男性。「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」(古い?)ではないが、玄関を開けてビックリ!いきなり真っ暗、よくよく見るとゴミの山。


亡くなったのはその中年男性の父親らしく、亡骸はまだ部屋の中にあるとのこと。
土足で中に入ったところ、ゴミ山の中に一畳弱のくぼみがあり、汚れた布団らしきものが見えた。
恐る恐る掛け布団をめくってみると、冷たくなった老人が横たわっていた。
部屋の様子に反して遺体は若干の汚れはあったものの通常だったので、とりあえず安堵。特に腐敗が進んでいる様子もなく、警察の検死も済んでいるらしかった。
故人は、4年前、奥さん(中年男性の母親)が亡くなった時のまま、家の中の物には一切手を触れさせなかったとのこと。心配した身内が頻繁に出入りしていたにも関わらず、誰にも掃除もさせず汚れた洗濯物と食物ゴミが蓄積されていって、このゴミ屋敷が完成したらしい。

故人は、奥さんと二人で暮らした部屋をその当時のままにしておきたかったのだ知り、臭くて汚い部屋にいながらも、ちょっとした感動を覚えた。
それから、遺体処置からゴミ屋敷の特殊清掃撤去へと作業は進んでいくことになるのだが、いつもの現場と違って汚いゴミもそんなに汚く感じない仕事だった。

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いい湯だな~

2024-04-23 08:19:35 | 浴室腐乱
浴室で発見される腐乱死体も珍しくない。いい気分で湯に浸かってそのままあの世に行くのも本人にとっては悪くない話かもしれない。
ただ、残された者のとっては災難だ。
持家ならまだマシなのだが、賃貸物件ともなると近隣や大家に対する社会的責任を追求されたり、水回り工事に莫大は費用負担を強いられるからだ。
では、我々業者はどうか。これがまた難しい。
湯(水)の色は濃いコーヒー色に染まり、脂や皮が浮いている。もちろん、強烈は悪臭はどの現場も共通。水は濁っていて浴槽の中がどうなっているか分からない。下手に栓を抜いて配管を詰まらせでもしたら、もっと大変なことになる。
不安と憶測が渦巻く中、水の中に何かないかをまさぐる。何が出てくるか分からないところを探るというのは、結構緊張するものである。露天の金魚すくいで、紙網が破れないかどうか心配するのとは訳が違う。
ほとんどの場合、皮・髪・小骨だが、時にはビックリ!するようなものがでてくることがある(内緒)。
配管を詰まらせないように汚染水を抜くには経験が要るが、汚染水を処理できれば仕事の8割は成功したようなもの。
あとは、頑張って我慢して、我慢して頑張って、お掃除お掃除。

トラックバック 2006/05/23 投稿分より


-1989年設立―
特殊清掃専門会社
ヒューマンケア株式会社
0120-74-4949

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