この前の(土)は対面のミニカウンセリングでした。新入会の人も含めて9名で2回の練習です。最近は機会を増やすために15分間の面接にしています。
カウンセリングでは最初の3分間は非常に大切です。多くの場合、話し始めると、その人にとってとても大事なことが語られるからです。そのことは後になって、あぁそういうことだったのかと気づくことで分かったのです。
それと、スーパービジョンを2回受けて、今の僕の考えで良いのだと分かったことが有ります。それは、問題点はクライエントの主訴、言いたかったことを受けてカウンセラーがアドバイザーに変身することです。やはりそこをスーパーバイザーは検討課題として直ぐに取り上げました。
ある程度カウンセリングの経験を積むと、弱くて困っているクライエントを助けてあげようという姿勢から出てくる応答に成りがちです。そこはそうであっても、クライエントの身になって気持ちとか考えを想像して伝え返しを続けることで、一緒に問題に対処していく関係、信頼関係が築かれていくのです。
以前、協会の研修に参加している時、お客さん相手に仕事している人の言葉遣いから思ったことがあります。機械を相手に仕事していた団塊世代の僕からみた感想ですが、普通に話してくれた方がこちらもしゃべり易いのに、と何度も思いました。ただ、僕の「普通」と他の人の「普通」がどうなのかは検討課題です。
一般的には、丁寧で、打ち解けても馴れ馴れしくないことと言われているようです。 クライエントに「自分は尊重してもらえている」という感覚をもってもらえるような丁寧な対応です。あまり人から大切にされてこなかったと感じている人にとっては、丁寧な言葉づかいで対応してもらえるだけで新鮮に感じるようです。
しかし、〈**様は~でございますか?〉というような丁寧すぎる言い方だと、逆に距離ができてしまい打ち解けて話すことが難しくなります。また一方で、親しさを勘違いして、馴れ馴れしい言葉でしゃべりすぎると距離が取れません。言葉づかいを考えることは、クライエントとの適切な距離を考えることにほかなりません。
何を言うかは大切です。新聞には「○○という意図は無かったが、もしそうとられたとしたら、その点についてはお詫びする」などと訳の分からない弁明が載っていますが、カウンセリングはそれは通用しないと思います。合わせて大切なことは「どういう言い方」をしたかです。
心をこめて、「大変な思いをされてきたのですね」と応答するのと、逆に一本調子に言うことと比較すれば分かりますが、案外言葉の内容に気を取られて勿体ない応答になってしまった人を見かけることがあります。映画や舞台が勉強になります。
支部の面接室は椅子が四脚あります。どこに座るか悩んだことがあります。何回かはクライエントに決めてもらったことがあります。それは、先輩から「クライエントにどこに座るか先に選んでもらって、それに応じて自分が座る椅子を決める」と聞いたことが有ったからです。
確かに「どこに座っても自由ですよ」ということが、来談者中心ということのように思えたのです。しかし、そう言われても、かえって戸惑うクライエントもいて、先導すべきところは先導して、「ではこちらにおかけください」と座る位置を指定する方が安心するクライエントが多かったようでした。
もちろん、何度か面接に来られた人の中には、自ら座る位置を指定されたこともあります。部屋の構造にもよると思いますが、90度の位置が人気がありました。それでクライエント自身に何等かのメリットがあったのでしょう。
こういうことは、産業カウンセラーとして話をする時に役に立ちます。部下の指導をする時は「人はメリットのある結果がもたらされる行動を繰り返す」から、その行動をとった時に「褒める」ことを勧めましょう。
そう言えば、ミニカウンセリングで「最近の自分について病気か性格か」困っている様子が話されました。振り返りでは「病気ではない」「病気についてはリファーする」とかが話題の一つになりました。
これを「人はメリットある行動をとる」という視点から考えることも出来ます。「葛藤」という観点からも考えられます。今回のクライエント役はその点は分かっていたようですが、多くのクライエントは薄々気づいていても落ち着かないので面接に来られているようでした。
理論を学ぶと、こういうクライエントに対しても慌てることなく進められます。知らなくても、病気か性格かについて、そう思う詳しいことを教えて貰うようにすると良いでしょう。カウンセラーが自説に囚われて解決志向にならないようにするだけです。
さて、質問です。あなたは
「現状」と「ゴール」の中間まで進んだとします。今と違ってきていることは何ですか?