日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

ウニの発生ワークショップに参加してきました。

2023-12-01 20:36:36 | 生物教育に関すること

先月23日、きらら舎さん のワークショップに参加して、アカウニの受精と観察をしてきました。

まだ未受精卵。
精子を入れて、受精&卵割の様子が観察できます。


スマホ顕微鏡、恐るべし。
ここまで綺麗に観察できる&見られるのね。

ちなみに、双眼実体顕微鏡+スマホ(支えなし)だとこんな感じ。


受精8日目。まだ進んでいて4腕です。
海水の濃度調節で失敗したと思って、一度、諦めました。
片付けようと思って、シャーレに移して観察したら、うーん、たくさん泳いでいる。
急遽、3Lビーカーに移して、回転装置を作成。

ウインドモーターにストローとプラスチック容器のふたをつけたものを差しました。
稚ウニまで行かないかな、、、
珪藻が変態まで持つことを祈ります。


土壌に焦点化して生態系を考える

2022-11-06 16:19:05 | 最近読んだ本

生物基礎 第4編 生物の多様性と生態系 で学ぶ、環境形成作用の例として読み始めました。
2章の生態系の保全でもトピックとして活用できそうな1冊です。
木を見て森を見ず、ではなく、
森をみて土を見ず、ですね。

そのまま関連付けが可能なところだけピックアップしました。

土壌とは、生物の遺骸や排泄物と砂や粘土から構成されるもの。地球上には成分によって様々な土壌(ポドゾル、泥炭土、オキシソル、黒ぼく土等)があり、見た目から異なる。

土壌の誕生は、植物(の祖先)が陸上進出した5億年前であり、相互作用により、それぞれの場所で変化してきた。例えば、リグニン(ポリフェノールが複雑に結合した物質であり、幹の強度を高める)を得た裸子植物の誕生後、枯死した植物体を当時の微生物(分解者)が処理できず泥炭となってどんどん蓄積、地球史上最大の石炭蓄積時代となった。その後、リグニンを分解可能な菌類の誕生により、石炭紀は終焉を迎える。現在、海を挟んで同じような土壌が存在するのは、プレートテクトニクス理論によって説明することができる。

 土壌の酸性化の要因として、酸性雨だけでなく植物の影響が考えらえる。植物はカリウムイオンやカルシウムイオンなど、陽イオンを多く吸収するために、代わりに水素イオンを根から放出する。遷移では先駆種となるコケや地衣類は、岩との接触面でジワリと有機酸を放出し、岩石を溶かすことにより生存に必須な栄養分であるリンやカルシウム、カリウムなどを獲得する。

 人間の歴史は、土壌の状態に左右されていると言っても過言ではない。現在の農業の問題として、土壌の酸性化と窒素源循環の問題が考えられる。ハーバー・ボッシュ法の発見による窒素肥料の導入には、人口増加を可能にした面と、環境問題を引き起こした面がある。土壌の劣化(農地における窒素の過剰負荷、引き起こされる酸性化)の解決には、ここ100年の間に人類が生み出した急激な変化の中で、十分な試行錯誤を積み重ねることができるのか、文明の命運がかかっている。


体細胞分裂観察の手順

2022-08-19 12:43:00 | 中学理科2分野(生物)

一般的な操作手順は、
固定→解離→染色→押しつぶしと進めますが、
とにかく先に染色してしまった方が、よく染まるよね~の1枚です。
ネギの種子を発根(発芽)後の根端を600倍で観察した様子です。

 

 


系統樹思考の世界

2022-03-21 14:42:33 | 最近読んだ本

久しぶりの更新となってしまいました。

公民科の同僚とのちょっとした雑談の中で、紹介された一冊です。

系統樹とは、時間的な変化をたどった経路図を示す図のこと。

目指すは”最良”の説明
系統樹とは要するに何なのか?ーーーと問われたとき、それはある現象に対する説明であると私は即答することにしています(p.181)

”正しい”ではなく”最良”と強調されているのは、
アブダクション(abduction)という推論スタイルをとっているから。

分類思考と系統樹思考に関して、
ヒトには”ヒト性”、サルには”サル性”がという「本質」があると仮定する心理的本質主義に触れながら次のようにまとめています。

心理的な本質主義が人間の認知性向であるとみなされるかぎり、進化的思考ならびに系統樹的思考は必然的に認知的基盤はもたないと言わざるをえません。つまり、私たちは生まれながらの分類思考者だから、系統樹思考は「ものの見方」として意識的に採用する必要があるのです(p.125)

中学理科でも高校生物でも、「比較・分類」は繰り返し出てくるワードです。
「系統」なのか「分類」なのか区別できていると(自分では)思っていますが、
提示する教材が意識して表記されているのか、自分自身が何となくで発信していただけなのか、ハッとさせられました。
また、推論スタイルとして、演繹や帰納に続く重要なスタイルであり、
多分、物理や化学の授業では育む機会が少ないスタイル、というかスキルであると改めて感じました。


作品の中での系統樹は、書体であったり歴史であったり、生物の進化をだけを扱ったものではありません。
以前、授業見学先で「パスタ系統樹」らしきものを拝見したことがありますが、
あれは視点が「系統」だったのか「分類」だったのか・・・
認識のメガネを持っているようで持っていなかったようです。



 

 


おこめ食べ比べと遺伝子

2021-11-21 12:00:15 | 学習評価に関すること

高校における「観点別評価必須」が迫っていますね。


カテゴリーは「おこめプロジェクト」の方が良いのかも知れませんが、
「遺伝子とその働き」の理解を目指したパフォーマンス課題の検討 (jst.go.jp)

 

早く昨今の感染状況が落ち着いて、
実験室でも気兼ねせず食べ比べができるようになってほしいな、と願っております。

 


王道・タマネギの細胞

2021-02-10 19:29:48 | 中学理科2分野(生物)

核と細胞壁を確認するには、この子以上の材料はないでしょう。
ペロッとめくって、酢酸オルセインを一滴。
8分待ってプレパラート作成。

だ腺染色体観察用に調整してあったメチルグリーン・ピロニン溶液を何となく滴下。

あまり意味ないかも。

高校生物基礎の予備実験もついでに。

5年以上前に採取したイシクラゲ。
今年も生き返る?からすごいよな、、、。

顕微鏡って、時間を区切らないと際限なくのぞいてしまう危険な機器です。
ただ、やはりプレパラート作りやピント合わせはスキルなので、
苦手意識を持って通り過ぎることも多々あります。

生物の基本単位を観察できるって、
まるいねー、四角いねーだけでなく、
ここまでたどり着いた歴史というか、ロマンを感じるのですが、
自分が初めて顕微鏡で細胞を見た時にそんなことを感じていたかというと、明らかに否。
多分、課題として能動的に細胞を認識しただけだったと思います。

基本構造が一緒ってすごい事だと思うんだけどな。
なのに多様なのがもっと不思議。

言語化すると、ありきたりな言葉しか出てこないから、
ただノルマ的に顕微鏡観察に取り組む学習者の再生産をしているのかも知れない、
そんなことを考えながら、
今日は、今年度最後の対面授業の準備をすすました。


細胞と細胞小器官

2021-02-09 09:23:03 | 中学理科2分野(生物)

葉緑体という細胞がある、という記述を多数、みかけて、
細胞の中に細胞小器官である葉緑体がある!を確認するために、
生物部の水槽からオオカナダモを拝借して顕微鏡観察。


い、いや、これはこれで楽しいけれど、目的の比較ができないでしょ。

そこで、専門店でオオカナダモを購入。



伝わるものが全く異なりますね。

細胞と葉緑体と葉緑素の違いを考えるきっかけになればと思い実施しました。
ただ、分散登校中の観察って、色々、厳しいですね。
従来からの脱却を迫られていることを、ひしひしと感じます。




ファクターX

2021-02-07 23:41:13 | 最近読んだ本

生物基礎は免疫の単元に入っています。
NHKスペシャル特別班によるこの一冊、
とにかく読みやすくて、一気に巻末まで。

何故、日本を含むアジアの一部の国で、感染者や重傷者が少ないのか、
その要因「ファクターX」として、
・BCGが自然免疫を「訓練」
・交差免疫を持っている
・生活習慣
が挙げられています。

別の予防接種で自然免疫が訓練される、、、
説明を読めば、そうなのか、、、と分かったつもりになりますが、
そんなに都合よく働くのかという疑問と、
訓練される自然免疫って、何だか説明しにくい、、、

運動することで、
筋肉から放出されるインターロイキン6が免疫細胞を刺激します。
免疫力を上げるために適度な運動を、という話はよく耳にしますが、
具体的にサイトカインの名称が出てくると、そうなのかぁと簡単に納得してしまいます。

とにかく、そうなのかぁ、、、、とすんなり入ってしまう一冊。
良いのか悪いのか分からないけれど、次、何か追加で読みたくなるような構成です。

 


高等学校におけるパフォーマンス評価

2020-12-11 11:52:03 | 最近読んだ本

 

パフォーマンス課題に興味を持ち始めた6年前、
実践報告は小・中学校メインで物足りなく感じることが多々ありました。
その点、高等学校の実践で1冊にまとまっているお得感と、
手法としては一通りやりつくした感が読んでいてじわじわ湧いてきました。


パフォーマンス課題を設計して実践する時に、
どのくらいのスパンで行うのか?
文脈が適切なのか?
ルーブリックをどのように作るのか?
考えなければいけないこと、面倒な作業に追われる覚悟が必要です。

そもそも、作られた仮想の文脈が厭われることもあります。
設定された世界でレールに乗せておいて、
ルーブリックで機械的に優劣を当てはめていくようなイメージでしょうか。
学びの幅を狭めてはならない、という思いも分からなくもありません。

でも、パフォーマンス課題に限らず授業設計は、
自分の前提との対話の時間なんだと思うんですよね。
学習者が自由に発想するために設定した時間に、
授業者のバックグラウンドが色濃く反映される場を何度も見てきました。
そのこと自体は問題ないのですが、
結局、言語化なしで、授業者の文脈を学習者の文脈として渡しているのに等しいのではないかと思います。

パフォーマンス課題には欠かせないルーブリックの活用について、
「生徒の姿に即してルーブリックを見直す視点や、自由記述等で目標にとらわれずに評価する視点、行動の奥にある生徒の力を徴候に依らずに判断できる生徒を見る目(教師の教育的鑑識眼)を養うことが評価者には求められる。(略)ルーブリックに飼いならされるのではく、飼いならすだけの教師の力量が求められているといえよう。」
からも、授業者としてのトレーニングになることは間違いないと思います。
そう、思うものの、、、
最後の一文は、どんな思いと考えを基に掲載したのか、気になります。

 

 


校庭で収穫した果実からの天然酵母起こし

2020-06-28 12:46:57 | 中学理科2分野(生物)

校内で採取した梅、夏みかん、杏子から酵母起こしを試みました。
この時期であれば、煮沸消毒した瓶に、
果実とペットボトルの水を入れるだけで放置。
5日ほどで酵母液は完成しました。
杏子のみ成功、初挑戦で酵母を増やすことができました。
成功するか否かは、もちろん、果実選びにかかっていると思うのですが、
瓶のサイズと水の量の影響も大きいのかも。
検索すればすぐにヒットしそうですが、検証してみます。