2024年3月9日に打ち上げが予定されていたスペースワン社による民間企業が開発したロケットの打ち上げが中止になった。当日はライブストリーミングで打ち上げの様子を視聴していたが、一視聴者としては状況がよくわからないまま1回目の打ち上げ時間が変更になり、2回目の試みがあったもののついには打ち上げが中止になった。
後のスペースワン社の記者会見を伝えるニュースでわかったが、警戒区域内に船舶が滞留していたとのことだった。ロケットの打ち上げには射場関係者の勤務調整、漁協との調整、その他多くの利害関係者との調整・折衝が絡む。そのため、打ち上げ時期変更の経済的損失は多岐にわたるのではないかと想像する。そのため単に打ち上げが中止になったというだけの話だけ終わらないと思った。
射場地元の地域振興という意味では2回目があるのはプラスに作用するのは想像に難くない。
カイロスが搭載している衛星は、内閣衛星情報センターによる「短期打上型小型衛星」で、情報収集衛星の代替を目指したもので興味深い。
カイロスの開発はスペースワン社が行っているが、IHIエアロスペースから技術者が出向して携わっているということを報道で知った。開発・打ち上げの座組を調べてみると、事実上の国策企業のひとつなのかなと思った。ロケットの外観は、イプシロンを縮小したような形になっていて、イプシロンと同じように固体燃料を第一段モーターに使用する。そのまんまイプシロンを小さくした形になっている。ロケットの空気力学的な構造を考えるとおおよそ形には似たようなものに収束するのだろうけど、どうみてもミニイプシロンに見える。
最後にテレビ和歌山の打ち上げライブストリーミングを視聴していたが、芸人が場を盛り上げようと仕事していることは理解できるものの、ロケット開発の打ち上げ背景や技術的取り組み、国際競争力に関する技術的・経済的・政治的な視点も含めたことも取り上げて欲しいと思った。情報収集衛星が搭載されているので、衛星そのもののについて取り扱うのは当然できないのかもしれないが、スペースワン社の営業としてもロケットそのものの開発ストーリー紹介があるといいではと思った。
JAXAのロケット打ち上げライブでは、最近のH3を例にするとロケット開発や衛星の紹介があって、視聴者としても打ち上げ・ミッションの意義がわかりやすい。もしかしたら、カイロス初号機の場合は政府との契約でロケット打ち上げのプロモーションができないのかもしれないが。
次回のカイロス打ち上げを待ちたい。