ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

なが~いブランクのいいわけと、今後の抱負など

2024-04-17 15:17:22 | エッセイ・雑文(韓国・朝鮮関係以外)
 あ~あ。また1ヵ月以上の長~いブランクが生じてしまいました。
 1月末~3月末、とにかく仕事が忙しかったのがその理由です。
 基本的に無職なのですが、やるべきことはあるわけです。マンションの管理組合の役員等であればそれなりの手当が支給されたりしますが、私ヌルボの場合はそれも無し。収入に結び付くどころか支出に結びついたりして…(トホホ😢)。とくに痛かったのは好きな映画を観る回数が激減したこと。1月から3月末までに観た本数は計17本。「多いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、この5年間はほぼ年間100本観ていたので、約3割減です。
 ツイてない時には不運が重なるもので、2週間ばかり前にここ(前の段落)のさらに続きまで新規投稿として入力したところ、私ヌルボとgooブログ管理担当(??)の合わせ技で全部消えてしまったのです(トホホ😢😢)。いつもならちゃんとWordで下書きを書いてミスがないか等確認した上で投稿するのですが…。
 言い訳&反省はここまで。
 4月以降は暗黒の2ヵ月のブランクを取り返すべく、それまで脳裏にはちらついていた懸案の映画を「観まくるゾ!」というキモチが先に立ってブログ更新は後回し(てへぺろ←死語だな)映画を優先。4月7~16日には計6本観ましたがな。
 で、映画作品等具体的な話はまた今度。
 映画以外にも世の中に叫びたいことは多々あるので、これからはあれこれ発信していきます。(暖かな陽気になっていっぺんに元気になった感じ。(ハハハ、虫とかと一緒やね♪)
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できるだけ短く書きます! 新しいカテゴリー《ヌルボの意見・主張・寸感》

2024-03-04 13:20:47 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 また1ヵ月以上のブランクが生じてしまいました。
 理由はいくつかありますが健康面の問題はありません。
 今後はちょっとしたネタでも投稿しようと思い《ヌルボの意見・主張・寸感》という新しいカテゴリーを設けました。これまで実は自分でも記事が長すぎると思っていましたが、とくに寸感の場合は200字以内に止めます。

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★2023年 ヌルボの個人的映画ベスト10 <続き その1> 戦争・紛争・内乱・クーデター等

2024-01-30 11:12:15 | 韓国映画(&その他の映画)
 以前2015~16年頃)の<ヌルボの個人的映画ベスト10>を見ると、映画を評価する3つのモノサシ中、「私ヌルボ自身は、[A]娯楽性=20%、[B]社会性=50%、[C]芸術性=30% といったところかなと思っています」と書いています。
 今もほとんど変わっていませんが、近年世界の至るところで国家間の戦争や内戦、内乱、クーデター、地域紛争、独裁政権による民衆の弾圧等々が繰り広げられています。映画も、とくに社会性といったことを意識しなくても、印象に残った作品を挙げていくと、自然と上記のような国々や地域を撮った作品、とくにドキュメンタリーが思い浮かびます。
 そんな状況は、たとえば昨年10月のハマスによるイスラエル攻撃がメディアで大きく報じられて多くの国民が知るところとなり、そして「ガザ 素顔の日常」(2019.カナダ等3ヵ国合作のドキュメンタリー)が再上映され、(私ヌルボの場合)パレスチナ子どものキャンペーン・エルサレム事務所代表の手島正之さんの詳しいトークも聞けるわけです。(※スクリーンに映ってる人々と、それを観ているわれわれ日本人。このまさに両極端ともいうべき運命を分かった偶然は<いたずら>と呼ぶにはあまりに重すぎます・・・。)
 今パレスチナvsイスラエルに世界の目が向けられた分、ロシアのウクライナ侵攻に対する関心はやや薄らいでしまいました。
 しかし日本ではあまり知られていない、上記のような問題を抱えた国は数多くあります。
 たとえば2021年ミャンマーの国軍によるクーデターは日本ではどれほど知られているのでしょうか? あのアウンサンスーチーさんが自宅軟禁状態とかは小さく(?)報じられましたが・・・。
 昨年8月、ミャンマーでクーデターに抗する人たちが撮った「ミャンマー・ダイアリーズ」を観て心打たれました。軍政に反対する女性たちが住居の上の階の窓からフライパンを打ち鳴らし抗議の意思表示をします。彼女たちは街に出て堂々と抗議もします。そんな市民を軍は武力で制圧するのです・・・。
 このドキュメンタリーは軍政に対して地方を拠点に武力反抗を期して訓練中の人々が撮ったため制作スタッフ等の名前は一切ありません。私ヌルボ、このクーデターの実像(の一部)はこの映画を観て初めて知りました。なお、日本(の外務省)はこれまでの縁(?)からミャンマーの軍政とは良い関係にあるようですよ。クーデター後も。(この件書くと長いので以下省略)
 そしてトルコに対してクルド人組織による独立をめざす紛争。埼玉県蕨市に多く居住するクルド人は<ワラビスタン>と呼ばれているそうですが、難民認定をもとめても多くは認められません。ウクライナからの移住者に対する厚遇とはまさに対照的! クルドは日本と友好的なトルコを相手にしているという事情があるのかな? 
 日本はすでに1970年代後半のベトナム・ラオス・カンボジアからの難民大量流出をきっかけとして1981年に難民条約に加入しました。神奈川県でも横浜市泉区と大和市にまたがるいちょう団地では当時入国したベトナム人等の集住地域が形成され今に至っていますが、当時は政府も定住促進センターを設けたり日本語や日本の習慣等を学ばせたりと積極的に支援をしたのです。その後とくに彼らとの間では交流行事等はあっても諍いとかは聞いたことがありません。小学校では日本人と何ヵ国もの子供たちが一緒に学び、また個々の生徒に応じた語学教育も行われています。校内には、いくつもの言語で書かれた貼り紙もあります。
 ところが今、蕨や川口に暮らすクルド人たちは多くの(??)日本人から厄介者扱いされたりしているようですが、それにしても現地の事情も知らず(?)「トルコに送り返せ!」はないでしょう! 一昨年公開の映画「マイスモールランド」、機会があればぜひ観てほしいものです。(配信があるようです。)
 どうも近年、他国の不幸な人々には同情はしても日本には「来てくれるな!」と言う人がずいぶん増えたようです。日本の難民認定率が他国と比べると極端に低いのもそんな国民の雰囲気を反映しているからでしょうか? それとも政府がそのように誘導している?
 日本で「不法滞留者が多い」というのも、日本政府がとくに高くしたハードルにひっかかるからなので、殺傷事件や盗み、密輸等の犯罪をイメージするのは誤りです。
 人口の減少が進み外国人の労働力が必要なはずの日本の今の産業にとっても、外国人の受け入れどころか排斥とは「馬鹿なことをやっている」としか思えません。
 あまり日本人にはなじみのない国や地域でも内戦が長く続いている所があります。チュニジアのジャスミン革命(2011)以来延々と続いているシリア内戦については「娘は戦場で生まれた」(2020)でそのごく一部を知りました。ごく一部と言っても、登場する家族にとってはもちろん命に関わる一大事です。
 その他リビアイエメン等でも内戦が続いているようです。

 1月12日付毎日新聞(夕)の<シネマの週末・チャートの裏側>で大高宏雄さんがアメリカのエリート傭兵集団の活躍を描いた「エクスペンダブルズ」の最新作「ニューブラッド」について次のようなことを書いてました。
 正直、複雑な思いを抱いた。核爆弾を巡り、CIAの傭兵部隊と、敵対する組織が激しい戦闘を繰り広げる。容赦ない殺戮と血しぶきなど、アクション描写はかなりハードだった。それはいいのだが、アクション=戦闘シーンがどうにも気持ちを逆なでする。世界で起きている戦争がダブってくるのだ。いったい、何を見ているのか。ちょっと、いたたまれなくなることも度々だった。かつてのようには、のんきに戦闘シーンを見られなくなっていた。(中略)観客はどう感じているだろうか。

 私ヌルボも全く同感です。

独裁国家は、民主主義国家よりも数が多く、ある記事によると世界の人口の約7割は独裁国家に住んでいるのだそうです。
 また別のサイトでは独裁国家として以下の20ヵ国がリストアップされていました。
 アゼルバイジャン・トルクメニスタン・ウズペキスタン・エジプト・エリトリア・ベラルーシ・カンボジア・カメルーン・チャド・イラン・キューバ・セキドウギニア・カザフスタン・北朝鮮・ルワンダ・スホダン・シリア・中国・ベトナム・ベネズエラ
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★2023年 ヌルボの個人的映画ベスト10

2024-01-21 17:40:20 | 韓国映画(&その他の映画)
 2023年は、元日の記事・131日のブランクでも書いたように年間通して多忙な上、コロナの後遺症(?)等々で体調も思わしくなく、過去にないほと呪われた1年でした。(もう災厄は去ったのか、不安が心配・・・。)
 そんな中でもちょうど100本というほぼ例年と変わらない数の映画を観たのは映画に癒しを求めたということかも。(逃避とも言えますが・・・。)

 前置きはここまで。さっそくその100本から選んだベスト10を発表します。

[2023年](全100作品)
①小さき麦の花
②市子
③窓ぎわのトットちゃん
④オマージュ
⑤飯舘村 べこやの母ちゃん それぞれの選択
⑥プレジデント
⑦モリコーネ 映画が恋した音楽家
⑧ゴジラ-1.0
⑨キリング・オブ・ケネス・チェンバレン
⑩Winny
 [次点] 〇福田村事件 〇658㎞、陽子の旅 〇月 〇せかいのおきく 〇SHE SAID/シー・セッド その名を暴け 〇ミャンマー・ダイアリーズ
 [別格] 
セルゲイ・ロズニツァ《戦争と正義》ドキュメンタリー2選<破壊の自然史・キエフ裁判>
赤色は韓国映画または韓国・北朝鮮に関係する映画です

 今回はまず最上位の2作品は確定。そして年末最後に観た「窓ぎわのトットちゃん」を3位にしました。
 ①「小さき麦の花」は中国西北の寒村が舞台のドラマ。
 2011年中国西北地方の農村。主人公ヨウティエはマー[馬]家の四男。貧しい農民で、もう若くはないが独身のまま。両親と長男・次男は他界して三男のヨウトンの家で暮らしていますがはっきり言って厄介者です。一方、内気で体に障碍があるクイインもまた厄介者扱いされている女性。そんな2人が見合い結婚で夫婦になります。それでも、2人(+ロバ)は日々農作業に精出し、互いを思いやりながら作物を育て、日々を重ねていきます。またヨウティエは自分たちの家を建てるために泥を固めてたくさんの日干しレンガを造っていきます。ところがある夜突然の大雨に襲われ、2人は外に出て泥を相手に悪戦苦闘します。しかしそんな不運の極致の中で何と2人は相手に泥をかけながら無邪気に笑い合うのです! 名場面という言葉さえ陳腐なシーンに私ヌルボ、ヤン・イクチュン監督の「息もできない」の漢江の土手の名場面を想起しました。
 それ以外にも感動的な場面がありますが、2人の間の深い夫婦愛を描いた作品であるにも関わらず「愛してる」「好きだ」等の言葉もスキンシップもありません。それでも2人の間の愛がジワーッと感じられるのです。
 しかし本作はそのままハッピーエンドには繋がっていきません・・・。
 なお、クイイン役は国民的人気女優ハイ・チンですが、ノーメイクで農村女性になりきっています。それ以外はリー・ルイジュン監督の家族たちが夫役も含め多数出演。また時折映される日めくりカレンダーもそのままで1年間撮影されたそうです。
 本作はベルリン国際映画祭の星取りでは驚異の4.7/5点をマークし、金熊賞最有力と絶賛されたものの(なぜか?)無冠に終わりました。
中国で公開されると都市の若者の間で口コミで評判となり、ヒットを巻き起こして<奇跡の映画>と呼ばれたそうです。ところが「中国の若者たちが羨んだ、貧しい農民夫婦の物語『小さき麦の花』」と題したcinemacafe.netの記事にもあるように、本作は突然上映が打ち切られ、配信サイトからも削除されます。本作についての論評等も消されたとか。その理由も明らかにされませんでした。貧困撲滅という政府の方針と相容れないため等々の憶測もあるようで、ラストの辺りでは元のプロットが変更されたとの記事も読んだ記憶がありますが今探しても見当たりません。
 本作について<読んで♪観て♪>というAmebaブログに「小さき麦の花」と作品のタイトルそのままの表題の詳しい記事があります。ネタバレがどっさりあるので要注意ですが、映画の最後に私ヌルボが聞き逃した政治がらみの重要なセリフが記されています。
②「市子」は、監督の戸田彬弘が書き上げた演劇が原作のミステリードラマ。
 川辺市子は3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則からプロポーズを受け涙を流して喜びますが、その翌日に突然失踪します。途⽅に暮れる⻑⾕川は今まで市子の家族や生い立ちのこと等を聞いたことがなかったことに気付き、市子の行方を追ってこれまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていきます・・・。
 実は市子は自分のせいではない理不尽な事情で困難な人生を歩んで来たのです。そして相当にヤバいことさえも・・・。
 いやあ、最後まで目が離せない作品でした。
 何と言っても市子を演じた杉咲花が凄い! 主演女優賞をいくつも取って当然と思いました。
③「窓ぎわのトットちゃん」については1月6日の記事「暮れと正月に観たオススメ映画 <その1>」参照。
 4位以下は思案投げ首。何を重視するかで順位が入れ替わります。
 とりあえずは上記の順位にしたがって見ていきます。
④「オマージュ」は1960年代に活動した韓国第1世代の女性映画監督の作品フィルムを復元することになった49歳の女性監督ジワン(イ・ジョンウン)が現在と過去を行き来する時間旅行を描いたファンタスティックな雰囲気の作品です。
 いつも閑古鳥状態のジワンの監督作品について家族の理解は乏しく、息子は「面白くない」と言い夫は飯のことしか言いません。スランプに陥ったジワンはアルバイトとして60年代に活動した韓国で2人目の女性映画監督ホン・ウヌォン[洪恩遠]の作品「女判事」(1962)のフィルムを復元することになります。(※最初の女性監督は「未亡人」のパク・ナモク監督。) 消えたフィルムを探してホン監督の最後の行跡を追っていたジワンは帽子をかぶった正体不明の女性の影と共にその時間の中を旅行することになりますが・・・。※この「女判事」という作品は韓国映像資料院のYouTubeチャンネル<한국고전영화 Korean Classic Film>の公開動画(YouTube)で観ることができます。
 本作の制作に着手した時はまだ「女判事」のフィルムは発見されていなかったのが、シナリオを作成中に見つかったものの「まだ30分くらいの部分が発見されていないようだ」等、シン・スウォン監督への興味深いインタビュー記事は「オマージュ 監督 インタビュー」で検索すると2つ見つかります。
 この作品については、「まずは主役が小太りのフツーのおばさんって事に感動しました(笑)」で始まるFilmarksの猫さんのレビューを「そうそう!」と何度もうなづきながら読みました。その主演のイ・ジョンウンは「パラサイト 半地下の家族」の家政婦さんだそうです。猫さん同様私ヌルボも全然気づきませんでした。
 で、念押しですが、本作のキモは約60年前のホン・ウヌォン監督と、本作の主人公ジワンと、本作のシン・スウォン監督が逆境にもめげず信念を貫くその意志!といったとこでしょうね。
⑤「飯舘村 べこやの母ちゃん それぞれの選択」の飯舘村とは、かつてはブランド牛の生産地として知られ、酪農も盛んだった福島県相馬郡飯舘村です。ところがあの原発事故ですべてが一変してしまいました。その村で牛とともに生きてきた酪農家の3人の母ちゃんたちを以後10年の歳月をかけて追ったドキュメンタリーです。線量計の数値が規定を超えると牛たちはそのまま処分場に送られて行きます。かわいがって育ててきた牛たちとのそんな別れは観ている立場でもつらいものがあります・・・。その後3人の母ちゃんたちやご家族の中で甲状腺がんに罹患して亡くなった方が相次ぎます・・・。このような事実は行政側、東電、各メディア等はちゃんと伝えていないように思います。※本作は公式サイトも充実しています。
⑥プレジデントは、タイトルだけでは何もわかりませんが、ジンバブエのとんでもない大統領選挙を撮ったドキュメンタリーです。ジンバブエはマダガスカルからほぼ西のアフリカ内陸に位置する国で、かつてはローデシアと呼ばれたイギリスの植民地でした。そこで1980年の独立後首相、87年から大統領となったムガベはその後93歳となるまでその座に留まり独裁を続けましたが2017年のクーデターで退陣し、副大統領だったムナンガグワが暫定大統領に就任します。
 そして迎えた2018年の大統領選挙のようすをそのまま撮ったのがこのドキュメンタリー。野党・MDC連合(民主変革運動)の候補チャミサは民衆の圧倒的な支持を受けています。たしかに真っ当な演説をしています。ふつうに考えればチャミサが当選でしょうが、そうはいかないのです。選管がなぜかモタモタして開票が遅れたり・・・。つまりムナンガグワ側が大々的に買収しているようなんですね。さらには軍や警察まで投入されるとは!
 そんなわけで結果は明らか。
 この2018年の次の大統領選挙が昨23年8月行われましたが結果は同じでムナンガグワの勝利。野党候補のチャミサ陣営は結果受け入れを拒否しているとのことです。
⑦「モリコーネ 映画が恋した音楽家」は「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が師であり友でもある映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネに迫ったドキュメンタリーです。
 エンニオ・モリコーネといえば思い出すのが1960~70年代頃流行ったマカロニ・ウエスタンの口笛を使ったテーマ曲です。ただ私ヌルボはアメリカ西部以外が舞台のウエスタンは邪道だと思い込んでいたので全然観ませんでした。ところがこのドキュメンタリーを観て、彼が若い頃から取り組んできた音楽の幅も多様だし、彼が生み出した作品も実に多彩だったことを知りました。トルナトーレ監督の「‎‎ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」の音楽もモリコーネだし、一番驚いたのはサッコ=ヴァンゼッティ事件を扱った「死刑台のメロディ」(1970)の主題歌「勝利への讃歌」ジョーン・バエズの自作ではなくモリコーネの曲だったとは!(ご存知なかった方はぜひ聴いてみて下さい。
⑧「ゴジラ-1.0」はずいぶんヒットしているし、ゴジラ映画と言えば幼い頃1954年の最初の「ゴジラ」と続くアンギラスとかスラ等が登場するシリーズを数本観ただけの私ヌルボよりも詳しい人は山ほどいるでしょう。
 とりあえず探ってみたのは本作のタイトル中の<-1.0>の意味です。するとおよそ以下のようなことです。<-1.0><マイナスワン>と読み、戦争によって焦土と化して文字通り<無(ゼロ)>になった日本に追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現し、圧倒的な力で日本を<負(マイナス)>へと叩き落とすということ。
 私ヌルボ、初代ゴジラ以前の時代設定だからかな?となんとなく思っていましたがそうじゃなかったんですね。
 で本作の見どころはそのような時代設定と、また何よりもゴジラ(と、その出現)がすごく怖かったこと。いろんな意味で<原点>のように思える作品でした。
⑨「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」は事実に基づくアメリカのドラマ。
 2011年のある日のニューヨーク。早朝、双極性障害を患う黒人の元海兵隊員ケネス・チェンバレンは就寝中に医療用通報装置を誤作動させてしまいます。安否確認にやって来た3人の警官に、ケネスはドア越しに通報は間違いだと伝えますが信じてもらえません。最初は穏便に対応していた警官たちはドアを開けるのを拒むケネスに不信感を募らせます。次第に高圧的な態度をとるようになっていきます・・・。
 結末は、まさにネタバレになっているタイトルそのまま。
 なぜそんなことになったのか? ケネスが住んでいる辺りは警官にとっては<危険な街区>だったこと。だからケネスが「令状も持ってないのに入れるわけにはいかない!」と拒否しても立入りを強行できる(??)。そして黒人に対する差別に根差した不信と怖れがある。部屋の中でケネスが電話で話している声を聞いて「誰かもう1人いるぞ!」「薬物の売買をやってる?」等々誤解はどんどん良くない方に突き進む・・・。
 上映時間は83分。この短い時間にこの惨劇が始まり、終わるのです。
 本作についてのレビューを読んだ中で「福田村事件を想起しました」と書かれたものがいくつかありました。私ヌルボもその1人です。差別・偏見・怖れ・狂気のような使命感にかられた凶行へ、といったところが共通項です。
⑩「Winny」、このタイトルは20年ほど前に金子勇さんが公開したファイル交換ソフトの名称てす。ところがこのソフトが音楽や映像等の著作物の違法コピーに用いられ「著作権侵害に利用される」との理由で裁判では違法とされてしまい、Winnyを利用して著作物を送信した人たちが逮捕されます。金子さんは<違法コピー>はしていなかったのですが<著作権法違反幇助>の容疑で逮捕されてしまいます。
 私ヌルボ、本作を観て20年ほど前のファイル交換ソフトWinnyの報道に対する自らの鈍感さを反省しました。新聞等の見出しだけ見て「違法アップロードのモトとなると当然ダメだろ」程度の認識しかなかったようだしなー。
 本作では最初から「ナイフで人を刺す犯罪があった場合、ナイフを作った」人間を罪に問えますか?」といったわかりやすい説明があってナルホド!でしたが・・・。
 その金子勇さんを東出昌大が好演しています。

[別格] セルゲイ・ロズニツァ《戦争と正義》ドキュメンタリー2選等については近いうちにあらためて書くことにします。
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暮れと正月に観たオススメ映画 <その2>

2024-01-07 19:17:14 | 韓国映画(&その他の映画)
 今年最初の映画鑑賞は1月2日イオンシネマ徳島で観た「ファースト・カウ」です。
 唐突ですが、このブログ記事を今読み始めた方々にお尋ねします。お住まいの都道府県に映画館はいくつありますか?
 ある詳細な映画&映画館関係のデータサイトによると高知県が2館て最少。徳島県は鳥取・島根と並び3館で全国2番目の少なさです。(※このデータ集の中の全国の1人当たり年間映画鑑賞回数を見ると2019年が1.5回、2021年が0.8回という数値には愕然!)
 その県内3館の映画館中、徳島駅から歩いてすぐの商店街にある1館に行ってみると、(横浜基準では)ミニシアターほどの小ぢんまりとした映画館でした。
 市内でもう1館のイオンシネマ徳島は私ヌルボにとってはよく知らない、徳島駅からは直線でも約2キロは離れた所にあるイオンモールの最上階(5F)にあるとか。で、とくに期待感もなく上映作品をPCで見てみると・・・。えっ!?まさか! 「ファースト・カウ」があるではないですか! (一部の?)映画オタクの間で注目のアメリカの女性監督ケリー・ライカートの注目作です。
 
 この作品は、2021年11月10日の過去記事でも書いた通り韓国では2021年11月4日に公開されて記者・評論家が絶賛しています。私ヌルボも期待を込めて詳しく内容を紹介しました
 そんな作品が日本でも約2年後の12月22日ようやく公開されたことは知っていましたが、その時点での上映館は東京で4館、神奈川では1館のみ。そんな地味な(?)作品をイオンシネマ徳島では12月29日から上映しているのです。
 「これは行かずばなるまいて!」と自動車専用道を行くと早いのでタクシーを張り込んで行くと、イオンモールの大きさと客の多さにビックリ!×2。(人口約25万の1%はいたかも・・・!?) そして5Fの映画館に行ったらスゴイすごいスゴイ!×3。とても広いし少し薄暗くて良いフンイキ。横浜で近所にあるブルク13も大きなシネコンで同じフロアにはレストラン等もありますが、イオンシネマ徳島は映画館を抜けると飲食店街があり映画の客よりもたくさんの客で(正月だからか?)ごった返している感じ。

 「ファースト・カウ」には全72席で観客が7人。私ヌルボの前に3人組、後ろに1人×3。皆さんに「どんな経緯で観に来られたのですか?」と訊いてみたくなりました。
 作品は期待通り! ややこしい部分もわりとあるので表紙から裏表紙まで牛の目玉の部分に穴が貫通しているパンフを買い、モールの前から出ている徳島駅前行きのバスに乗って帰りました。
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