La lune et le soleil

月のように静かに,太陽のようにおおらかでいたいと日々願いながら生きているzUnyaの日々。

瑞石庵

2013年07月14日 14時00分00秒 | 
米原での豪雨が幻だったかのように
京都の町は晴れ上がっていた。

新幹線から奈良線への乗り換えは
呆気ないほど簡単で
なんとなく、歓迎されているような気分になる。

稲荷で降り、鮮やかな朱の鳥居をやり過ごし、脇の参道から更に脇道にそれて
住宅地を歩くこと少し
一度は通り過ぎ、その間にカに手首や腕を刺されながらも
戻る道で涼しげな金風鈴の音と大輪の百合の香に呼び止められた、そこが
第一の目的地 瑞石庵 だった。
風鈴の門をくぐって細い廊下を抜けた先にもう一つの門。
その門をくぐると和の箱庭に迎えられ
その奥まで歩いてやっと、
建て屋への入口にたどり着いた。

稲荷の脇という立地とともに
神社-二つの鳥居の先にある聖域を連想させる。

呼び鈴を鳴らすと、
奥から女性が出ていらした。

御席は空いているのですが
ちょっと立て込んでいて
お食事をお出しするまでに40分ほど
かかってしまいそうなのですが

とのこと。急ぎの旅ではないので
待たせていただくことにした。

玄関でスリッパに履き変えてから通されたテーブルは
入口に一番近いところにある二人掛けの席。
他に、四人がけテーブルが二つと
四人がけの掘ごたつのあるお座敷。
百合の花が飾られた小さなテーブルにも
椅子が二つあるが
混んだら使われるのだろうか。
しつらえは、和洋折衷。

自然薯(自然生)という日本原産の芋を使った料理。
とろろ汁メインの自然薯ランチにも惹かれたが
ここは洋風にアレンジされた
自然薯美人プレートランチを選択。
ゆるりと、待つ。

謀略のボルドー・ワイン

2012年10月08日 09時17分42秒 | 映画や本・雑誌
つい先日、前の会社の先輩が
何を思ってか
平成6年に新潮社から出された
この ピーター カニングハムの小説を
貸してくれた。
題名に反して、ワインそのものは
物語の発端であって、主要テーマではない。
ボルドーのシャトーから始まり、イングランド、アルゼンチン、アメリカ、コロンビア、スペイン、バスクと
謀略のほの暗さと背景に広がる風景との対比が
印象的。
留学時代から、恩師がバスク人だったこともあり
バスクにはぼんやりとした憧れを持っていたが
この小説の描写の美しさに触れて
ますます行ってみたいという気持ちが強まった。

宿命に導かれた人が、渦に巻き込まれるように
一点に集う仕掛けも読んでいて心地よい。
賛否や好みのわかれるところかと思うが
私は、エスメラルダのような生き方は
とても素敵だと思う。

*エスメラルダ:主人公と敵対する首領の妻

癒やし系の論文

2012年07月14日 01時24分15秒 | お仕事
google の表紙がクリムトの“接吻”になっているのは
今日がクリムトの誕生日だからなのですね。

雨音が良く、合います。

仕事上の色々なことが急展開を始めたため
すっかりその対応に忙殺された一週間でしたが
気分転換を兼ねて目を通した論文に、大いに癒されました。

一時、接着の世界で盛り上がったヤモリの足の接着。
ところで、ヤモリの足の接着強度は、どうやって測定しているのか?
と素朴な疑問から元の論文をあたってみたところ…

十分な栄養を与えたヤモリを、朝と晩、ケージから丁寧に取り出し
板の上に載せて引っ張り、滑り出したところの荷重をロードセルで測定。
これを、数点のデータが取れるまで(←こちらの記憶は曖昧)、またはヤモリが疲れるまで行う。

踏ん張った場合とそうでない場合では当然結果が異なるので、
踏ん張るような体勢になった時のデータのみを分析対象とする云々

十分な栄養を与えるくだりや
ヤモリが疲れるまで、という条件は
機械屋の論文ではまず、出てこない表現。
何より、ヤモリの状態に気を配りながら実験している様子を思い浮かべると
思わず顔がほころんでしまいます。

やっている方は大変なのでしょうけれど、
その様子を丁寧に論文に書き込んでいる辺り
さらにはそれを受理して掲載する生物系のインターナショナルジャーナルも
素敵だな~と、思うのでした。

ひとつの区切り。

2012年06月16日 13時06分15秒 | いろいろ
気づけば4月からこのブログを放置したままでした。

その間に

愛車との突然のお別れがあり
提案していた新規プロジェクトが最初の審査を通り
少林寺では市民大会でNちゃんとMちゃんが、初めて最優秀賞を取ることができ
年齢がひとつ上がり
新しい愛車が手元に届き
転職後初めての海外(韓国)出張が決まり

などと、いろいろありましたが
概ね、なにごとも順調に、良い方向に進んでおります。
ありがたいことです。

この年になっても知らないことは沢山あるもので
昨日は韓国出張のチケットの見積書に
パスポートは6ヶ月以上有効期限が残っていること
という記述を発見。
ヨーロッパ、中国は3ヶ月あれば大丈夫だったはずなのですが・・・
国によって違うのでしょうか?
いずれにしても更新しないと出張に行けないので
慌ててパスポートセンターに走りました。

いつのまにか、住民基本台帳なるものが整備されていたのですね。
神奈川県民の場合、氏名や本籍の変更がなければ
パスポート更新時の持ち物は写真のみで済むのが便利です。

というわけで初めて住基ネットの登録内容を確認。
すると、氏名の名前の読みが違っていることが発覚・・・
パスポートセンターの方曰く、市役所に登録されている漢字から
一般的な読みをあてがっているだけなので
良くあることなのだそう。
パスポート発行には問題ないものの、
市役所に行って直してもらうようにと言われました。
とは言われても、特に困ることがないのに
わざわざ市役所に行くモチベーションが沸く訳もなく。
当面は放置でしょう。

申請から発行まではちょうど一週間。
今回のように、急に必要になった人にはとても助かります。

さて、フランス留学の奨学生選考中にパスポートを取得してから
もう、10年が経つのかと思うと
時の流れのはやさに驚かされます。

申し込みの際に、古いパスポートの初めから6ページ目までパンチ穴が打たれ
(余談ですが、だから入出国審査の方は7ページ目以降を選んで
スタンプを押してくれるのですね。なかなか粋な配慮だと思うのでした)
失効。

まだスタンプを押すページが数枚残っているのが少し悔しいです。
というのは、父が私位の年齢の頃は、
スタンプを押す場所がなくなって追加ページをもらった(らしい)
と聞いており、
追加ページをもらえるくらい海外で仕事をする
というのが密かな目標だったからです。
ユーロ圏内(シェンゲン条約国内)移動ではスタンプが押されなかった分のハンデはありましたが
負けは負け。これから追いつき追い越せるように密かに頑張りたいと思います。

これまでの10年は、ヨーロッパ(特にフランス&ドイツ)、中国、シンガポール
との縁が圧倒的に深かったのですが、
次の10年は韓国でしょうか。ニュージーランドにもまた行きたいですし・・・
加えて、南北アメリカ大陸、アフリカ大陸への初上陸も果たしたい。
まだまだ、行きたい場所は沢山残っています。

バード&ギボンズ:作品集

2012年04月03日 21時51分13秒 | 笛や歌・音楽
いつ買ったのか全く覚えていないのですが、
嵐の影響で早く帰ったのを良いことに
CDラックを物色していたところに発見。

Glenn Gould のピアノで奏でられるバードとギボンズの楽曲たち。
当時の音楽における決まり事から逸脱することなく
それでいながら新たな地平が見え
それを逸脱と呼ばれない限界の一点で表現した音。
そしてそれを寸分の違いなく奏でるピアノの音。

聴き終えた頃には嵐も収まり、
思いがけない邂逅への感謝だけが静寂の中に漂うのでした。

偶然という因果

2012年04月02日 12時41分21秒 | 映画や本・雑誌
偶が一と一が重なって二となることを示す漢字であること
からも理解されるように
偶然は二つの事象が交差するところを表すのだそうだ。

偶然の片割れからみたその事象は
その時こそ神秘と不思議に満ちたものとして捉えられ得るが
実際のところは、自身の意図の外にあった事象が
必然的な背景をもって交差したものだと考えることができる。

不思議なことに浸るのが好きな人間には
無粋に思われるかもしれないが
偶然を感じた瞬間に
見えなかった因果関係の出現を追っては
拓けた世界を愛でるのを幸福と感じる性は
研究者の職業病なのだろうか?

木田 元 著/偶然性と運命 を読みながら思う。

春の気配

2012年03月30日 07時42分15秒 | いろいろ
河原の道の梅と水仙が満開になりました。

随分と長引いていた寒さも大分と緩み
どこからか流れ込む、金木犀か百合かの香しい空気が
鼻に、一足早く春を運んできます。

頭上に広がる灰色の雲も
地平線に至る前には途切れ
まだ満面に白雪を湛える富士山が橙の朝日に照らし出される様は
自然と居住まいを正される光景。

胸を開き
背筋を天と地の間に立たせて
心を解き放ち
今日も、深い観察と発見に満ちた一日にしようと思うのです。

美丈夫 うすにごり

2012年01月21日 13時03分28秒 | 飲み物・食べ物
珍しく今週の一人ゴハンの晩酌は日本酒でした。

年始の女子会にて、しづ姉様から
“ぜひ一人で飲んで!”
といただいたものです。
高知県、濱川商店さんの発泡性清酒。

微発泡でアタックは軽やかながらアルコール度数14度以上
おりのにごり色からくるのか、麹の香りもしっかり。
ほどよい飲みごたえがある分
一晩で、とはいきませんでしたが
二晩で一本(500ml)、飲みきってしまいました。

スタンダードな和食(おでん、手羽元の塩焼、和え物などなど)
に合わせましたが、
辛いものや塩気の強めな料理でも良さそうです。

再び亘理へ。

2012年01月15日 11時12分09秒 | 
昨日,5月以来8ヶ月ぶりに宮城県亘理郡のイチゴ農家支援活動に参加してきました。

前回凸凹のひどかった高速は修復が進んで大分平たくなり,
農協の近くのコンビニが営業を再開して朝食や昼食を調達できるようになっていたり
山側の道ではレストランも営業を再開していたりと
復興の気配を感じられる部分も多々ありましたが
一方,更地にして瓦礫は撤去されたものの,その後土地をどう利用するのか決まっていないところや
いまだに津波で破壊されたそのままの姿で佇む家も少なからず見られ
地震の被害から立ち直っていない部分も残っていることを目の当たりにしました。

イチゴ農家も,塩害で復旧の見込みの立たなかった畑については
期間限定とはいえ代替地で栽培を再開できそうな見込みが立ってきたとのことで,
とにかく人手が必要な短期決戦的状況から
まだ立ち直れていない人たちに目を向け続け,必要としていることを察し
できることを必要なタイミングで提供することが求められる長期持久戦的状況
に変わりつつあり,そのように対応しなければならないことも感じました。

予定通り,金曜の22:30には揃い,出発。
バスは道が良くなっていたこともあり,ぐっすり。
安達太良SAあたりからぐっと気温が下がり
雪がちらついていたものの,
宮城に入ってからは晴天でした。

津波の海水そのものよりも、水と一緒に流されてきたものによって
被害の大きさが違ったのだそうで,
前回作業した畑はヘドロが大量に体積し,その異臭がかなり酷かったのですが
今回の畑は隣接した線路に停車していたコンテナや近隣の民家,防砂林の木々が流されてきたそうで
異臭はありませんでしたが,代わりに海からの風が強く,寒さとの戦いになりました。

今回作業させていただいた畑を所有する農家は,畑だけでなく家も被災し
農作業用の機械類も全て使えなくなってしまったものの,
それでも生計を立てなければいけない,ということで
再び作付けをしようと決意されたそうです。

大きな瓦礫は重機で撤去できても,細々としたものは人手で拾わないと取り除けないので
10人程度の班に別れて畑を掘り起こしながら瓦礫を広い,
金属・可燃物・プラ・石等に分別しました。
9時過ぎから15時までの作業で,畑の脇には
フィルム、鉄のパイプや棒、瓦、木の板や枝など,
流されてきたものを彷彿とされる瓦礫の山ができました。
畑の脇にはいまだ,破壊されたそのままの姿で取り残されている家々。
まだ被災地は被災地なのだと思うのでした。

土の中から出てくるプラスチック成形品やフィルムを見,
これがあると作付できないんだ,と農家の方が言うのを聞くにつけ,
樹脂材料の開発に携わっている者としては
もう少し自然に寄り添った形の材料を創り出すべきではないのか?
帰りのバスに揺られながらコバルト色に暮れゆく空,ぽつりと輝く木星を眺めつつ
“光”の更に先にある研究・開発テーマに思いを馳せるのでした。

作業のお手伝いに行き,東北のモノを買う,味わう。
その次に私が東北のためにできること,というのも存外,身近にあるのかもしれません。

Ch. D'ARGADENS 2006

2012年01月08日 17時08分34秒 | ワイン
昨晩の女子会で出した赤2本目。

Ch. D'ARGADENS 2006
Bordeaux, France
Merlot 63%, CS 32%, CF 5%
抜栓日:2012年1月7日

抜栓直後からしっかり微笑んでくれました。
初めの一口からほどよいロースト香とブラックベリーの香があって
余韻も長くてびっくり!
後から確認したところ,これはパルメのオーナーさんが醸造されているのですね。
納得。これで2990円という価格は良心的かな,と思います。

初めはとても華やかなワインでしたが
宴の終わり頃にはちょっと疲れた感じになって
翌朝も復活せず。
開けたらすぐ飲みきるべし!なワインでした。