どーやって生きる?

足元から“向こう”へ

「どーやって生きる?」Ⅲseason

それぞれの黄金週間

2012-05-05 00:05:17 | 足元

去った3月。思い返すと3月って寒かったんだけど、これやんなきゃあれやんきゃって目の前にお仕事ちゃんが押し寄せ、やたら精力的に活動した。翌月4月。3月に精も魂も使い果たしたのか、ふぬけつつ街をさ迷い歩き、山手線でへたりこんでいると、隣に座る新社会人が何やら熱心にファイルを読み込んでいる。真新しい鞄が膝に乗っていた。鞄のうえには企業から配られたような分厚いフォルダーある。新社会人(女性)が熱心に読んでいて、悪いと思いつつ横目で覗いてみると、なんとそこには

「話すの謙譲語→(  )尊敬語→(  )」
「言うの謙譲語→(  )尊敬語→(  )」
「待つの謙譲語→(  )尊敬語→(  )」

ってな問題が並んでいた。カッコのなかには恐らく彼女自身による解答が赤い文字で踊っている。
新社会人である彼女は電車でそれを読み、来るべきOJTに備えているわけだ。もし、こんな試験みたいな問題を人事やらどこかのセクションがせっせと集め、ぶ厚くファイル化し、これが社会の常識なんですよ、頑張りましょうね、とばかりに新入社員に微笑み渡したのであれば、その企業はクソである。就職難だし、就職できずにバイトばかりしてたらワーキングプアになると社会から、というかメディアから脅され続け、ようやく掴んだ内定企業でそんなファイル渡されたら、新社会人は熱心に吸収するしかない。言葉遣いってなもちろん大事だけど、それよりもっと大切なことがあるはずだ。それはたぶん働く力みたいなものだ。「内定がゴール」ではなく、働き続けるということ自体に意義を見出せるような、そんなOJTが大事なんじゃね、このクソ企業が。そんな型ハメ、すぐ辞めたくなるじゃん。いや、もちろん、彼女をすべての新社会人の象徴にするのは間違っているし、たぶんこーした研修を是とする企業は、もう少しで上場を視野におさめる新興勢力だから、東京のすべての企業がこうしたOJTを実施してるわけでわないだろう。だから俺は、彼女にこうした新人教育に疑問を持ってほしいし、こうした研修にゴーサインを出し、カネをかけた企業体質を疑うべきだし、ついにはこの企業が儲かっている日本のシステムなんてーのへ想いを馳せていただきたい。この日本でアップルやフェイスブックを産め、と別に俺が言う必要はないわけだが、少なくとも、とある人材が柔軟に企業活動する土壌は皆無なんですねっ、と、精と魂はよりいっそう尽い果たされ、ふぬけ度はさらに加速されつつ、覗き見を心から詫びた。さらに4月っちゅうのに寒いわけね。とーきょーっちゅう大都会が寒気でもって俺を攻撃している、と被害妄想にもおちいったよ。天候がこれほど人をストレスフルにさせるとは露とも思わなかったよ。島人のときはこんなんじゃないさー。台風もティーダカンカン(太陽光線が強く射し込む感じ)もLET IT BEさぁー。

しかしまぁ、「クソ企業は大っキライ」だって「天候による被害妄想」だって、それらすべては自分の内側の話しで、つきつめて言えば、4月、俺は実に内向し、空虚だった。関係各位の皆様、生返事ばかりで大変申し訳ございやせんでした。

こーして俺は黄金週間を迎えているわけね。で、ブログとか更新しちゃってるわけ。はははーっ。


鮭弁 by 金原ひとみ

2011-01-20 17:29:57 | 足元

外食に行く気力も喪失していた日曜の夜、レトルトの牛丼を夕食に出すと、娘は箸を握りもせず「いらない」と呟きテレビを見続けていた。そして八時を過ぎると、娘は「お外に行きたい」と言い始め、私が取り合わないでいると夫の部屋に行き、交渉を始めたようだった。「ちょっとマンションの周りを散歩してくる」と言う夫の首にしがみつき、私を見てにやりと笑った娘の表情は、かつて彼に百万超のブレスレットを買ってもらった時に、誰にともなく振り返り浮かべた私のそれと同じだった。
雨も降っていないのに傘を持って出た娘は、「お肉とご飯が一緒だと食べられないの」と言い、彼に抱っこをさせたまま傘をさし、お弁当屋さんで鮭弁を買わせた後、コンビニでプリンとチョコとポケモンのDVDを買わせ帰宅した。鮭弁は一口で「ごちそうさま」をして、チョコを食べながらポケモンを見る娘にはさすがに夫も呆れていたが、私は彼らが家を出た時点でこの展開を予測していた。本当にちょっと下を歩くだけ、って言ったんだよ。本当に悲しそうな顔でお魚弁当が食べたいって言ってたんだよ。と夫はぼやいていた。
私は三歳の女の子が狡猾である事が、悪い事だとは思わない。女の我儘を男が聞いている限り、家庭は平和だ。現に夫も娘も、どこが満足げだった。

(東京新聞朝刊・「本音のコラム」より『鮭弁』金原ひとみ・平成23年1月20日)


久々の嫉妬

2011-01-18 08:55:39 | 足元
第144回芥川賞・直木賞が決まった。
大変おこがましいが、20代のわたしは芥川賞受賞が決まる年に2回、そのたびごとにいら立っておりやした。30代に入りしばらくするとネガティブ反応は消失し、どちらかというとポジティブに捉えられるようになった。だが今回、ネガティブ反応久々の復活。受賞のニュース(第一報はツイッター)を聞いた途端、気持ちが浮ついてしまった。

どーしてこの女性ばかりニュースになるの?
現役の大学院生で、文学一家に育って、財閥の令嬢で妖艶だからじゃね?
ニュースの価値って、大学院生じゃなくて、文学と関係ない人の受賞のほうにあるんじゃないの?
おおっ。それもそうだな。

「小説は、書かれなかったことの方が大切。それを読み手が受け取ったとき、ある世界のすべてが書かれていたかのように感じることができる。小説の最も面白い可能性だと思う」(東京新聞朝刊・朝吹真理子受賞の言葉・平成23年1月18日)

にゃんだと?こなくそ。
閉ざされた世界から現れたメーテルだなこりゃ。
綿谷りさの昭和初期バージョンかいっ。

今回の二人の受賞者のうち、わたしのネガティブ反応は女性へ向かっていたんですな。
受賞作選考委員の言葉のセレクトが呼び水だったと思う。
選評は受賞作そのものから触発されており、ありきたりな言葉がひとつもなかった。

一方で、もうひとりの受賞者についての情報はありまへんでした。
友人がツイッターで「おもろいで」と言っていたのが唯一の情報。
その「おもろ」さは、今朝の朝刊でようやく判明しました。

(受賞の知らせのとき)「自宅にいてそろそろ風俗(店)に行こうと思っていた。驚きました」(前褐新聞・西村賢太受賞の言葉)

風俗て。あかんやろ。
出勤途中、満員の山手線で爆笑をこらえきれず肩が揺れた。

文学と無関係のところから出発し、芥川賞受賞に至るのがニュース素材として適格なんじゃないか、とは、つれあいと昨夜のニュースをみながらの会話である。

問題はあくまで「作品」なんだけど、
どのみち受賞者の履歴に焦点をあてるなら、未来の作家にエールを送る意味でも、メディアは男性受賞者を前に出すべきだったのかもしれない。

新聞に写る男性側の受賞者は、中上健次を彷彿させる風貌でした。
作品の19歳というキーワードも中上を思い出させました。

受賞作を読むまで、メディアに踊らされてはいかん。
そう思ったとたん、嫉妬が止んだ。
早く読みたい。

ツイッターなう

2011-01-17 12:30:20 | 足元
ネット発信が当ブログからツイッターへ移行しつつある。
ツイッターはリアルタイムの発信・受信ができて面白いんだな、うん。
なにより短くてすむ。ラクです。
ツイッター移行にともない、携帯もそろそろスマートフォンかなと思った。
量販店やショップに通い、スマフォについて店員と会話。
・・・たかっ。
機種変、ずっとしてなかったから携帯のことわからなかったけど、高いよ携帯。
本体も、ランニングコストもばかにならない。
店員は、本体が高くなった一方、通話料が安くなったというが、通話料が安くなった実感はない。
しかもあっしはauなんだが、auのスマフォは機種の差別化ができず、どれを手にしても「よしっ、これ購入!」感に乏しい。
迷った末、現在のところスマフォの必要性なし、と結論した。
ブログでは文章、ツイッターではつぶやきと使いわければええちゅーこっちゃ。

しかし、ツイッター。
先日は副都知事とソフトバンク代表がツイッター上でアポ取りみたいなことしていた。
こーいうのって公開してもいいのか?
二人のRTをみながら、企業としてのソフトバンクが、今まさに「動いている」躍動感を感じた。
もちろん演出ならたいしたもんだ。

北方領土でメドベージェフが「北方領土なう」と英語でツイッターしたらしいが、これもたいした演出である。

父は犬なんです

2010-12-08 13:12:21 | 足元
駅構内、ドトー○系の喫茶店にてお仕事の打ち合わせ。
40分ほどで打ち合わせ自体は終了。
残りはスマートフォンなど、携帯端末についての雑談となった。


ソフト○ンクって、どーなのよ。
ん、なに。
日本のお父さんが犬って、まずいでしょ。許せないでしょ。
え、どーいうこと。
海外二世の方が社長やってるわけだよね。日本の父を犬にしたわけだよね。これはまずいでしょ。
意図的ではないんじゃない。あのCMではお父さんだけがキャスティング決まってなくて、それでまぁ、ぎりぎりになって、じゃー犬にしよってなったらしいじゃん。
ますますまずいでしょ。無意識に犬でいこうって、日本の父親像は犬でっていう、そーいうのが働いたわけでしょ。

17時45分くらいだった。
隣の席では仕事を終えたのかサボってるのか、向かい合って座る、わっかいわっかいサラリーマン二人がいた。二人はネット接続させたノートパソコンのキーボードを激しく叩いていた。
ネトゲ?
以前ぼくは日が暮れた後のマックで、同じくわっかいわっかいサラリーマン二人が、ポケットサイズのマグネット式将棋盤で将棋をさしていたのを見た。
二人とも腕を組み、難しい顔をしている。
コーヒーカップとしわしわになったポテトが、几帳面にテーブルに並んでいた。

お父さんが犬ってまずいでしょ、絶対。犬って、下の下ですよ、一般的には。僕は何も買いませんよ、あの会社から。

彼は来年、父親になる。
だから「父」に対する想いが噴出しているのだろうか。
権力の象徴である「父」が犬。
そうか、そーいう見方もあるか。無自覚だったなと、彼の憤りをなだめつつ思った。

隣のわっかいわっかいサラリーマンのキーボード打ちが緩くなった。
その会社系列のリーマンかもしれない。
聞き耳をたてられている気がした。