【遍歴と阿弥陀籤】

【遍歴と阿弥陀籤】

買うほどのこともないだろうから図書館で借りて読もうと思い、借りて読んだらおもしろくて返すのが嫌になり、結局書店で買って本棚に並んでしまう本がある。

セレンディピティという造語の元になった本の邦訳『セレンディップの三人の王子たち: ペルシアのおとぎ話』(偕成社文庫 3263 )を借り出して読んだら面白くて、がまんできず書店に注文した。

2024年4月16日 六義園外周

訳者の竹内慶夫によれば訳した原著は第一部と第二部に分かれていて、セレンディポ王の愛しい三人の王子の遍歴譚が第一部、七人の話し手が語る七つの物語が第二部になっているという。

この邦訳の第二部では七つの物語から童話的要素の強い最初の三話だけが採られて他は省かれている。遍歴にあたる第1章から第7章、そして選ばれた三話をまとめた第8章までが面白い。第1章から第8章までは、買った本が届いたら再読してみたいと思う。

セレンディピティの原著を読んだら、なぜかプラグマチズムを概説したわかりやすそうな本が読みたくなったので、小川仁志『アメリカを動かす思想 プラグマティズム入門』(講談社現代新書 Kindle 版)を買ってみた。

偶然に導かれるように読んでみたくなった本が、なぜか必然であったかのように面白いことがあり、それをあみだくじ式読書と自分で呼んで楽しんでいる。

2024年4月16日 六義園外周

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【『季刊清水』2023 通巻56号発売】

【『季刊清水』2023 通巻56号発売】

戸田書店発行、雑誌『季刊清水』56号が戸田書店江尻台店店頭に並びました。

◉目次

巻頭詩 井戸………佐藤光江

【特集1】

岡に佇(たたず)

はじめに………鍋倉伸子・石原雅彦
村松友視さんに聞く 「ゆれる階」とは………編集委員会
牛道について 徳川家康の駿府と清水湊を結ぶ交通政策………北村欽哉
久能街道………中田元比古
大沢川………小澤邦雄
「清水御殿」とは何か………北村欽哉
下清水八幡宮について………山本量正
堂林に暮らして………鈴木芳子 聞き手:石原雅彦
望月勝さんに、堂林自治会のお話をきく………五味響子
我が青春の清水・堂林………大垣久雄
清水市文化センター………金子洋巳
清水二中、昭和最後のころ………夕霧さとこ
共生(ともいき)………小長谷英春
田中ワイシャツ店……… 聞き手:豊田久留巳

【特集2】

太田正樹コレクション………鍋倉伸子

「天池眞佐雄と三つの歌」補遺………石原雅彦

【清水と私】

巡航船………山本智義
海の見えない清水………杉田直樹
海は、市民のものだった………太田ふじ子
巴川………寺田 学
ぶらぶら清水を歩くPartⅡ 興津清見寺………山田裕道
通学路………大庭まどか

バックナンバー紹介

【編集後記

表紙画「海」 山口育三
1937年旧清水市生まれ。伊東市在住。 少年時代、 市内の展覧会で入賞 「天才山口」と言われた。 長じて建設業などを経て、還暦後から絵の勉強を再開。 2008年から2022年まで10回日本画の個展開催。 フェルケール博物館に「東海道53次今昔図」寄贈。本年9月、山口様の訃報がご家族より伝えられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

静岡新聞紙上にたびたび本誌の誌評を寄せていただいた詩人・小説家の三木卓様が  11 月 18 日に亡くなられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

表紙デザイン……石原雅彦

店頭での購入は

戸田書店江尻台店

郵送でのお取り寄せは本ブログ左サイドバーのプロフィールにあるメールアドレスから
直接石原宛にメールでお問い合わせください。

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【表裏に浮かぶ舟】

【表裏に浮かぶ舟】

禅でいう「貧」は富や地位を捨てるというより、富や地位などという俗なものを「欠いている」ということであって、積極的に欠いていることにより貧富の俗性が明らかになっている。「貧富」は一体となった欲の表裏に過ぎない。

「ある」と思うから「ない」、「ない」と思うから「ある」があって「有無」は表裏に過ぎない。「多い」を知るから「寡(すくな)い」が知られるのであって「多寡」も表裏一体になっている。つまるところ「生死」もまた起きると寝るが表裏になった「起臥」に似ている。起きているのが辛いと眠くて眠くて「死ぬほど眠りたい」などと思うのはそのせいだろう。

「表」を欠いた「裏」は無く、「裏」を欠いた「表」も無いという当たり前のことが言葉ではわかりにくい。けれど南宋の画家馬遠の寒江独釣図(かんこうどくちょうず)で水面に浮かぶ舟と人の絵を見たりすると、「いいなあ」と思う。「いいなあ」と思うことで、それが胸に沁みてわかったような気がする。だから一枚の絵が国宝になっている。

2024年4月15日 文京区立昭和小学校前にて

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【セレンディピティ】

【セレンディピティ】

NHK/BS シネマにオードリー・ヘプバーン、ウィリアム・ホールデン共演のロマンチック・コメディー『パリで一緒に』がかかっていたので録画しておいて晩酌時の家庭内映画大会で観た。

セレンディピティ(serendipity)という言葉があって、

素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。

とウィキペディアの解説にある。

セレンディピティという言葉を知ったのはつい最近で、外山滋比古の著書『乱読のセレンディピティ』を読んだからだ。英国の作家ホレス・ウォルポールが、子どものころ読んだ『セレンディップの 3 人の王子 (The Three Princes of Serendip)』という童話にちなんで造語したのが 1754 年のことだという。

映画『パリで一緒に』を観ていたらオードリー・ヘプバーンが、大きな眼をキラキラ輝かせながら、
「せれんでぃっぴてぃ!」
と、ユリが花弁を開いて素晴らしいものを見せてくれるように言う。

そうか、欧米の人はロマンチック・コメディーを観ながら「せれんでぃっぴてぃ!」がわかるんだろうなと思い、元になった本を読んでみたいので区立図書館で『セレンディップの 3 人の王子』を検索したら、児童書の区分に偕成社文庫で蔵書していた。

児童書なので児童に混じって図書館内で読んでこようと思ったけれど、200 ページもあるようなので借り出し予約した。これもまた不思議な「せれんでぃっぴてぃ!」である。

2008 年 4 月 15 日 幼いころ通った『双葉の園保育園』(目黒区大橋)

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【手合わせ】

【手合わせ】

「手合わせ」という言葉を辞書で引くと「勝負すること」「合奏すること」「初戦を戦うこと」「刃物を事前確認すること」「自前で調剤すること」などさまざまな手合わせの意味があるのだけれど、目当てにした手合わせの意味の記述がない。

井上靖は、餅つきで杵をふるう人とペアになって、手水をつけた人が「合いの手」をいれることを「手合わせ」と言っている。

ふたりひと組になっての餅つきは、つき手とこね手による「勝負」であるとも「合奏」であるとも言えるので、「手合わせ」という表現はおもしろいなと思ったのだけれど、餅つきについて言われる、よくある表現として見当たらないのは、静岡県東部地域だけでそう言われたのだろうか。

2008 年 4 月 14 日の発掘調査(たぶん港区赤坂)

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【劇とコーラス】

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劇の演者を観客が円形に取り囲むようにして古代ギリシア劇は演じられたけれど、演者と観客が混然と一体化していたわけではなく、両者を隔絶する目に見えない膜があってそれがコーラスだったと読んでいる本にあった。

コーラスといえば声を合わせて歌曲を歌う合唱隊だけれど、古代ギリシアにはもっと広い意味のコーラスがあったのかと思い、手持ちの辞書を串刺し検索したけれど「合唱隊」に類する意味しか見つからない。

「コーラス+ギリシャ+演劇」と検索してやったらウィキペディアに「コロス(古代ギリシャ語: χορός, khoros、 英: chorus)」で項目が立っていた。

コロスは観客に対して、鑑賞の助けとなる劇の背景や要約を伝え、劇のテーマについて注釈し、観客がどう劇に反応するのが理想的かを教える。(ウィキペディア)

劇が演じられる場所は円形劇場の中央から、張り出したエプロンステージつきの舞台になり、四角い枠で囲まれて客席に対面する平面的舞台になり、やがて演者と観客を遮る幕がフランスで発明され、枠組みにおさまった舞台演劇ではなく文学として戯曲を読む人々が登場することになる。その過程にコーラス(コロス)があったというわけだ。

2009 年 4 月 12 日の六義園

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【折り返し点】

【折り返し点】

散歩コースには、なぜかそのあたりに近づくとそこから先へ行くことに気が進まず引き返したくなるポイントがある。犬はそうでもないけれど、猫を連れて散歩に出ると、そういう明確なポイントがあって、そこまで行くとさっさと家に帰ってしまうらしい。誰の本に書いてあったかは忘れた。

郷里清水の友人は幼い頃、市内を流れる巴川を渡った向こう岸にある、となりの小学校の校区が怖くて遊びに行けなかったという。大げさだと笑うと「ほんとうに橋まで行っては折り返していたんです」と笑う。

読みかけの本に栞を挟んだ箇所を開くと、この前の部分にはどんな事が書いてあったっけと数ページ引き返して読みたくなる。そしてもとの地点に戻るとそこで本を閉じたくなる。その先に進めなくてなかなか読み終わらない本にはそういうポイントがある。著者が書いていることを理解できないか、あるいは同意し難いのかもしれない。

2010年 4 月 11 日の六義園

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【井上靖の風濤】

【井上靖の風濤】

井上靖の『しろばんば』、『夏草冬濤』、『北の海』という自伝的小説三部作を通読するきっかけをくれた友人が昨年亡くなられた。Google のポイントが貯まっていたので Google プレイの電子マネーに変換し、未読だった『あすなろ物語』の電子書籍代にあててみた。

その前に、同じマンションの同じ階に住んで飲み仲間に入れていただいていた故岡田英弘先生が、大学院を終えたころ井上靖に頼まれて史料の全訳をし、高額のアルバイト料をもらったという『風濤』を読んだ。モンゴルと宋朝中国を背にし、元寇を行う側の高麗から日本を見るように、方位を回転した世界地図が思い浮かんでおもしろかった。

2009 年 4 月 11 日の六義園

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【書き手と読み手】

【書き手と読み手】

自分の感情を滔々と語る「叙情」は自分ひとりでもできる。けれど、世界の事実を語る「叙事」は、世界を共有する相手が聞き手にいないと成り立たない。聞く相手がいないのにひとり滔々と語られる叙事は、正当な精神の状態ではない。

海外のドラマを見ていると、日記を書く少女が日々の日記の書き出しで「日記さん( Dear Diary...)」と日記帳に語りかけている。そうやって対話にして、ひとり日記帳相手に「叙情や叙事」を書いている。インターネット上に書かれている日記の多くには「インターネットさん(Dear Internet,,,)」という呼びかけが含まれているのだろう。

インターネットを介して日記のようなものを配信して、それを自分で読み返すことなどしないと言う友人がいる。「自分が書いた日記などを読み返していたら恥ずかしくて生きていられない、日記は書き捨てるものだ」と言う。ネット上に日記書きをする人の何割かに、自分が書いたものを読み返さない人たちがいるのだろう。

自分の古い日記を第四人称の観客になって読み返すのが好きだ。前日に誰かがアクセスした記録のある古い自分の日記をクリックすると「あの時こんなことを考えていたのか」と他人事のように自分がおもしろい。

「自分が書いた日記など読み返していたら恥ずかしくて生きていられない」と言う人たちから見たら、これもまた正当な精神の状態ではないのだろう。そして今日も日記を書く。いつか読んでくれる最も良き読み手である自分との再会を楽しみに。

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【ちいっとばっか】

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たけのこの天ぷらに使う乾燥アオサを近所のスーパーまで買いに行き、製造者の住所を見たら清水だった(4/8)。ちいっとばっかうれしい。

新清水駅のホームに東洋冷蔵『天上鮪』のラッピング車両が停車していた(4/3)。ちいっとばっかうれしい。

そういえば対徳島戦はどうだったのかなと静鉄電車内で速報を見たら辛くも引き分けていた(4/3)。ちいっとばっかうれしい。

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