超級龍熱

香港功夫映画と共に

李小龍的最佳電影〜精武門⑨ 短くも殺気漲る闘い!陳眞vs鈴木寛警護人!

2024-03-16 17:12:40 | 闘神伝説~李小龍

勝村「待て!貴様・・誰だ!」
陳眞「俺は陳眞!館主の鈴木に会いに来た!」
勝村「お前が陳眞か!?」

虹口道場に単身乗り込み、道場で師範代の吉田(馮毅)を倒した陳眞(李小龍)は、道場からさらに奥の渡り廊下を門弟たちを蹴散らしながら突き進み、虹口道場館主鈴木寛(橋本力)の書斎がある日本庭園に到達します。そこで恩師の復讐に燃える精武英雄の前に立ち塞がるは鈴木寛の警護人こと勝村淳。
この日本庭園の庭先で展開される陳眞vs鈴木館長警護人の一騎討ちでは、短いながらも本作の武術指導を担当した韓英傑(されどこのクライマックスのファイトシーンの殆どは李小龍が殺陣を構築した可能性高し)が勝村演じる警護人にかなりの“見せ場”を与えている事が分かります。
何故なら本作『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)最大のクライマックスである陳眞の虹口道場殴り込みシーンでは、道場に乗り込んで来た陳眞と闘った殆どの門弟たちが陳眞の一撃のみで瞬殺されています。
ところがこの陳眞vs勝村淳戦では、まず勝村の右の正拳突きが陳眞の顔面にヒット!さらに勝村は陳眞を柔道の荒技一本背負いで日本庭園の地面に叩き着ける激しい攻防に注目です。
本作『〜怒りの鉄拳』において、主人公陳眞が日本人にここまで攻め込まれる場面は1度もなく、これは李小龍をはじめ嘉禾影業サイドが日本の勝プロから香港に派遣された橋本力と勝村淳に対してそれだけ厚い敬意と共に接していた事の証しでしょう。
だからこそ勝村の強烈な一本背負いを浴びた李小龍が背中や腰を痛め数日撮影がストップしても、その後も何事もなく撮影が進行したわけです。
そしてこの陳眞vs虹口道場一門の闘いのために日本から橋本力と勝村淳が参加した事で、それまでの香港映画に登場した中国人俳優による妙な日本語とヘンテコなチョンマゲ、そして花魁袴を穿いた偽日本人ではなく、真剣に日本武道を学び、羽織袴を正しく身に纏い、凄味溢れる佇まいを全身で体現する本物の日本人vs精武英雄の、まさに異様な殺気と緊張感に満ちた死闘の幕が切って落とされます!

Chen Jen against Suzuki's bodyguard Jun Katsumura from Fist of Fury.


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

侵略と青春と女子高生!『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章』今月公開!

2024-03-09 11:34:53 | 作品レビュー

さて、昨日は都内某所で浅井いにお原作、黒川智之アニメーション監督『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章』(24)を試写で観て来ました。

ある日の8月31日。東京に飛来した謎の巨大宇宙船“母艦”。その日から人類と謎の生命体との闘いが始まる中、女子高生の小山門出とおんたんこと中川鳳蘭は彼女たちなりの女子高生ライフを満喫していました。自分たちの日常に宇宙船☓軍隊の戦闘が絶えず隣り合わせの生活に内心では不安と恐れを感じながらも、門出とおんたんは恋をして、喧嘩して、ゲームをして、そして受験勉強に没頭するのでした。

しかしそんな門出とおんたんの奇妙な、それでいて愛らしい生活も上空に浮かぶ“母艦”から派遣された“使者”との出合いで壊れていきます。ある日突然自分たちの前からいなくなる学友。それを悲しむ間もなく、門出とおんたんの2人は避けようのない破滅に向かってその身を投じていく・・・!!

門出とおんたんを取り巻く温かく深みのある登場キャラクターたち、2人の女子高生が暮らす東京の街中のリアルで何処か懐かしい風景が2時間という上映時間を決して長く感じさせません。やや門出の揺れ動く感情と妄想の描き方のバランスが悪い印象ですが、それも映画のラストの後章へと続く衝撃のエンディングで掻き消されてしまいます。嗚呼、早く後章が観たい!!

この『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章』は今月22日より全国ロードショー公開との事ですので是非!


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

李小龍的最佳電影〜精武門⑧ 虹口道場師範代吉田こと馮毅、その意外な真実!

2024-03-09 10:55:44 | 闘神伝説~李小龍

長らく連載して来ました「李小龍的最佳電影〜精武門」ですが、第8回を迎える今回から、いよいよ“精武英雄”陳眞(李小龍)が敵地である虹口道場に単身乗り込んでのクライマックス、つまり“史上最大の復讐劇”が幕を開けます。
道場の広い練武場にいた門弟たちを片っ端から蹴散らした陳眞に日本刀を手に襲いかかったのが陳眞が先の道場破りで乗り込んだ虹口道場で、陳眞に完膚なきまでに叩きのめされた師範代の吉田(馮毅)でした。

この吉田を憎々しげに演じたのが香港映画の名優馮毅でした。馮毅は北京の裕福な家に育ち、1935年に日本の明治大学に留学生として入学し生物学を学びました。この馮毅の明治大学留学は、一説には馮毅の母親が日本人で日中ハーフだった事が理由かも知れません。戦争中は馮毅も中国人留学生として辛い時期もあったようですが、留学時代の馮毅は本人が流暢な日本語を話す事が馮毅を大いに助けたそうです。
終戦後、帰国した馮毅は南京中央警察学校で柔道の教官、さらには香港に渡り「天聲日報」で編集業に携わるなど異色のキャリアを経て、やがては香港映画界に参入する事となります。

今回何故に馮毅の経歴を長々と書いて来たかと言うと『ドラゴン怒りの鉄拳』出演のために日本から香港を訪れた橋本力と勝村淳は、慣れない香港映画の現場で自分たちを何これと助けてくれる日本語が上手い明治大学出身の俳優さんの親切が本当にありがたかった!と語っています。
そしてその明治大学に留学経験がある日本語がペラペラな香港俳優こそが馮毅だったのです。そう、まさに日本という国が生んだ異国における数奇にして心温まる縁でした。

馮毅は香港映画の名監督胡金銓とプライベートでもとても親しく、馮毅はその胡金銓作品をはじめ多くの作品で主に悪役として活躍しました。
そして馮毅は本作『〜怒りの鉄拳』でもその日本留学経験を生かした如何にも日本人然とした眼鏡姿と憎々しげな佇まい共に、映画のクライマックスの陳眞との闘いでは胴体を日本刀で串刺しにされ、陳眞必殺の鉄拳を喰らいその場で朽ち果てる!という、文字通り吉田師範代の壮絶なる最後として観客に強烈な印象を残しました。
余談ですが、私が本作『ドラゴン怒りの鉄拳』と共に馮毅のベストパフォーマンスと確信するのが邵氏兄弟公司で張徹が撮った『洪家拳vs詠春拳』(74)で戚冠軍に詠春拳を伝授する師匠を演じた馮毅です。
この『洪家拳vs詠春拳』の馮毅扮する詠春拳の師匠は劇中で一言も言葉を発しません。ただ無言で淡々と戚冠軍に厳しくも的確に詠春拳の基本訓練をひたすら強い続けます。
この寡黙な中にも確固たる信念、そして弟子に対する厚き責任感を一切台詞無しで貫禄十分に演じ切った馮毅の姿こそ『ドラゴン怒りの鉄拳』の吉田師範代と並ぶ、俳優馮毅のベストパフォーマンスだと言い切りたい龍熱なのでした。

*本稿における馮毅の情報はK.Aさんにご協力頂きました。ありがとうございました😊。

Chen Jen against Yoshida from Fist of Fury.Fung Ngai actually half Japanese was studyed in Japan's Meiji university.That's why he speaks good Japanese.


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

龍熱チャンネル更新!最後の未公開映像!『死亡遊戯』フォトセッションの真実!

2024-03-07 13:02:13 | 闘神伝説~李小龍

「龍熱チャンネル」更新です!今回はいよいよ『死亡遊戯』の登場です。昨年丸太戦や新界野外ロケ映像が公開され『死亡遊戯』の未公開映像はこれで終わりだと思われていました。しかしまだ『死亡遊戯』の未公開映像が存在していた!

それが1972年9月に五重塔内セットで李小龍、カリーム・アブドゥル・ジャバール、田俊が揃い、マスコミ向けに行ったフォトセッション(撮影会)の様子を李小龍の実弟であるロバート・リーこと李振輝が撮影したモノクロ音声入り映像なのです!

私こと龍熱が来日したロバート・リーさん本人を直撃し聞き出した『死亡遊戯』フォトセッションの真実がいま明かされる時が来た!そう、私たちの『死亡遊戯』探しの旅はまだ終わってはいないのだ!BRUCE IS BACK AGAIN!!

高評価&チャンネル登録よろしくお願いします♫→https://youtu.be/9SnDNLG1YBM


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緊急告知!次回「龍熱チャンネル」はいよいよ『死亡遊戯』登場!

2024-03-05 20:08:31 | 闘神伝説~李小龍

緊急告知!お陰様で前回「龍熱チャンネル」でお届けしました『帰って来たドラゴン』大変好評で私と担当さんも嬉しく思っています♫。改めましてありがとうございます(^^)。

さて、次回の「龍熱チャンネル」ですが、いよいよ『死亡遊戯』登場となります。香港功夫映画評論家こと龍熱と言えば『死亡遊戯』、『死亡遊戯』と言えば龍熱!と言うわけで「龍熱チャンネル」初のデスゲームトークで、果たして龍熱はどんなテーマを熱く濃く語るのか?今週更新を予定しております「龍熱チャンネル」どうぞご期待下さい。BRUCE IS BACK!!

高評価&チャンネル登録もよろしくお願いします♫→https://m.youtube.com/watch?v=sQUL6NEuaQQ


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

龍熱チャンネル更新!倉田保昭、日本凱旋帰国作品!『帰って来たドラゴン』

2024-03-01 13:01:21 | その他

「龍熱チャンネル」更新です。今回は“和製ドラゴン”倉田保昭の記念すべき日本凱旋帰国作品『帰って来たドラゴン』(73)登場です!

70年代香港クンフー映画の大傑作として知られる本作を日本公開当時に映画館でリアルタイムで観た思い出に始まり、倉田☓梁小龍が披露するド迫力のハイスパートクンフーバトルの真髄、そして倉田さんのブルース・リーこと李小龍に対する親愛なる感謝の想いを龍熱が熱く熱く語ります。是非ご覧下さい!

リンクはこちらです→ https://youtu.be/sQUL6NEuaQQ

高評価&チャンネル登録もよろしくお願いします♫


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

李小龍的最佳電影〜精武門⑦ 日本悪客来港!橋本力&勝村淳、その本物の凄味

2024-02-25 10:47:43 | 闘神伝説~李小龍

香港クンフー映画における重要な要素が主人公と憎々しげに敵対し、最後には壮絶な闘いを繰り広げる悪役の存在です。
特に香港クンフー映画の悪役の場合は、その殆どが主人公と同等かそれ以上の優れた格闘スキルを併せ持つ事が要求されます。
ただ李小龍主演『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)が製作された当時の香港&台湾映画の日本人の悪役描写、それは酷いものでした。
殆どの作品に登場する日本人(実際は中国人が演じる)が軍人か侍で、珍妙な丁髷を付け、羽織袴を逆に穿き、何かあると「バッキャロ!」とヘンテコな日本語を叫ぶという、それこそ我々日本人が見たらまさに国辱的な日本人描写が平然とまかり通っていました。
当時の香港映画にそのような侮辱的な日本人悪役描写が定着していた背景には、日本と香港を初めとするアジア各国の過去の歴史や、日本人=悪役の設定が当時のアジアの観客に強い刺激を与え、それが作品自体に強烈なインパクトをもたらし作品のヒットに繋がる、との目論見が各映画会社にあったからでした。
しかしそのような我々日本人から見て残念かつ恥辱的な日本人悪役像が打破される時が来ます。
そう、日本から香港の邵氏兄弟公司に後の“和製ドラゴン”倉田保昭が招聘された時から香港映画界における日本人悪役像が著しく改善される事となります。

ただその頃、ライバル会社嘉禾影業でも邵氏公司と同じ動きが起きていました。嘉禾は『〜怒りの鉄拳』における重要な登場人物である日本人にして怨敵である虹口道場館主鈴木寛、そして鈴木の警護人を演じる2人の日本人俳優派遣を日本の勝プロダクションに依頼します。
こうして日本から香港の嘉禾影業に派遣されて来たのが元プロレスラーにして柔道2段、そして映画『座頭市』シリーズで座頭市のスタンドダブルを演じた勝村淳。そして元プロ野球選手から俳優に転身し、大映特撮映画『大魔神』シリーズで大魔神のスーツアクターを務めた橋本力でした。
香港に到着した橋本と勝村は、撮影前に嘉禾の衣装係から自分たちが劇中で穿く袴を逆に穿くよう執拗に迫られ激しく戸惑います。その理由は以前から香港人には日本人=花魁の誤ったイメージが強く残っていたからでした。
衣装係の執拗な逆袴の求めに遂に怒りを爆発させた橋本は「馬鹿野郎!俺たち日本男児がこんな袴の穿き方するか!袴は自分たちで正しく穿く。なあ?勝村!」「そうよ!それより主役の李小龍ってどんな男だい?」

ここに香港映画の撮影スタジオに陳腐な「バッキャロ!」ではなく、初めて本物の日本語の「馬鹿野郎!」が鳴り響き、屈辱的な花魁袴ではなく、日本男児らしい正しく堂々とした袴姿の日本人が登場する事となります。こうしていよいよ本作『ドラゴン怒りの鉄拳』のクライマックスで中国武術の名手陳眞vs柔道有段者の警護人、そして日本刀を手にした示現流の達人鈴木寛、文字通り中国人対日本人の息詰まる対決の時がやって来ます!

Two great Japanese villains Riki Hashimoto and Jun Katsumura from Fist of Fury.


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

龍熱チャンネル更新!“美しき狂気”ジュリア🎂バースデースペシャル🎉

2024-02-21 00:15:50 | 女子プロレス黄金伝説

龍熱チャンネル更新です♫。今回はスペシャル版として本日2月21日にお誕生日を迎えたスターダムのSTRONG女子王者にして“美しき狂気”ジュリアを龍熱が熱く語る「“美しき狂気”ジュリア🎂バースデースペシャル🎉」をお届けします。

今回の龍熱のジュリアへのバースデーメッセージでは、今後の進路が注目されているジュリアのこれから向かう道についても龍熱なりの思いをお話してみました。是非ご覧下さい😊。

リンク先はこちらです→https://youtu.be/zVgt44MbT4M


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

龍熱チャンネル更新!君は“最後の本格派”ドニー・イェンを見たか!?

2024-02-19 13:02:03 | THIS IS 甄子丹

龍熱チャンネル更新です。今回は“最後の本格派”ドニー・イェンこと甄子丹登場!龍熱がドニー兄貴との感激の初対面、そしてドニー兄貴の武打星人生のターニングポイントとなった“猛龍スタイル”踏襲までを熱く語ります!

リンク先はこちらです→https://youtu.be/rRYe8LyuG5g

高評価&チャンネル登録もよろしくお願いします♫。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

龍熱チャンネル更新!燃えた!燃えた!燃えた〜!風間健登場!

2024-02-13 12:52:51 | 作品レビュー

龍熱チャンネル更新です。今回から香港映画界で活躍した日本人武打星を語るセクション「🇯🇵レジェンドジャパン🇯🇵」がスタートです!

その記念すべき「🇯🇵レジェンドジャパン🇯🇵」栄光の第1弾を飾るは・・何と風間健!龍熱が語る日本の李小龍の歴史に様々な形で深く刻み込まれた風間健の足跡とは?そしてドラゴン少年だった龍熱にとって風間健とは何だったのか?いま李小龍の歴史上におけるアンタッチャブルドラゴンの真実に「龍熱チャンネル」が迫る!いま聞こえるあの声が!お前の道を強く生きよと!風間健登場!!

 

高評価&チャンネル登録よろしくお願いします!→https://youtu.be/6QBdtljkWhw


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする