勝村「待て!貴様・・誰だ!」
陳眞「俺は陳眞!館主の鈴木に会いに来た!」
勝村「お前が陳眞か!?」
虹口道場に単身乗り込み、道場で師範代の吉田(馮毅)を倒した陳眞(李小龍)は、道場からさらに奥の渡り廊下を門弟たちを蹴散らしながら突き進み、虹口道場館主鈴木寛(橋本力)の書斎がある日本庭園に到達します。そこで恩師の復讐に燃える精武英雄の前に立ち塞がるは鈴木寛の警護人こと勝村淳。
この日本庭園の庭先で展開される陳眞vs鈴木館長警護人の一騎討ちでは、短いながらも本作の武術指導を担当した韓英傑(されどこのクライマックスのファイトシーンの殆どは李小龍が殺陣を構築した可能性高し)が勝村演じる警護人にかなりの“見せ場”を与えている事が分かります。
何故なら本作『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)最大のクライマックスである陳眞の虹口道場殴り込みシーンでは、道場に乗り込んで来た陳眞と闘った殆どの門弟たちが陳眞の一撃のみで瞬殺されています。
ところがこの陳眞vs勝村淳戦では、まず勝村の右の正拳突きが陳眞の顔面にヒット!さらに勝村は陳眞を柔道の荒技一本背負いで日本庭園の地面に叩き着ける激しい攻防に注目です。
本作『〜怒りの鉄拳』において、主人公陳眞が日本人にここまで攻め込まれる場面は1度もなく、これは李小龍をはじめ嘉禾影業サイドが日本の勝プロから香港に派遣された橋本力と勝村淳に対してそれだけ厚い敬意と共に接していた事の証しでしょう。
だからこそ勝村の強烈な一本背負いを浴びた李小龍が背中や腰を痛め数日撮影がストップしても、その後も何事もなく撮影が進行したわけです。
そしてこの陳眞vs虹口道場一門の闘いのために日本から橋本力と勝村淳が参加した事で、それまでの香港映画に登場した中国人俳優による妙な日本語とヘンテコなチョンマゲ、そして花魁袴を穿いた偽日本人ではなく、真剣に日本武道を学び、羽織袴を正しく身に纏い、凄味溢れる佇まいを全身で体現する本物の日本人vs精武英雄の、まさに異様な殺気と緊張感に満ちた死闘の幕が切って落とされます!
Chen Jen against Suzuki's bodyguard Jun Katsumura from Fist of Fury.