Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

CPR中の自動機械換気 vs. 手動バッグ換気

2024年04月26日 | 循環
Shin J, Lee HJ, Jin KN, et al.
Automatic Mechanical Ventilation vs Manual Bag Ventilation During CPR: A Pilot Randomized Controlled Trial.
Chest. 2024 Feb 18:S0012-3692(24)00248-4. Epub ahead of print. PMID: 38373673.

Pilot RCTだけど。
心マも機械、換気も機械。
あとは自動アドレナリンivマシンができれば完全自動だ!
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電子カルテの活用による経験的抗生物質処方の改善

2024年04月24日 | 感染
ICU的な研究ではないのだけど。
JAMAでまとめてonline pubされた研究。

Gohil SK, Septimus E, Kleinman K, et al.
Stewardship Prompts to Improve Antibiotic Selection for Pneumonia: The INSPIRE Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2024 Apr 19. Epub ahead of print. PMID: 38639729.


Gohil SK, Septimus E, Kleinman K, et al.
Stewardship Prompts to Improve Antibiotic Selection for Urinary Tract Infection: The INSPIRE Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2024 Apr 19. Epub ahead of print. PMID: 38639723.


これら二つの研究のEditorialより。
"The genius of the CPOE bundle is the elegant integration of CPOE prompts into existing clinical workflows."
「CPOEバンドルの天才的な点は、CPOEプロンプトを既存の臨床ワークフローにエレガントに統合したことである。」
やはりここがポイントでしょう。
自動アラートにしても、AIによる決定支援にしても、やれば効果が出るというものではなく、どう導入するかがとても大事。

"Rigorous studies that build on the suc- cesses reported by Gohil and colleagues are urgently needed."
「Gohilらが報告した成功例を基にした厳密な研究が早急に必要である。」
同感です。
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動脈瘤破裂によるSAHの管理:集中治療専門医のための最新情報

2024年04月23日 | 神経
Robba C, Busl KM, Claassen J, et al.
Contemporary management of aneurysmal subarachnoid haemorrhage. An update for the intensivist.
Intensive Care Med. 2024 Apr 10. Epub ahead of print. PMID: 38598130.


表1の一部をコピペ。

DCI prevention
Not recommended: Intravenous nicardipine, endothelin receptor antagonist, statins, magnesium sulphate, hypervolemia, prophylactic hemodynamic augmentation

Anti‐inflammatory strategies
No benefit: Clazosentan: REACT (phase 3 study of clazosentan for DCI) and CONSCIOUS 2/3

おお!
REACTって書いてある!
そしてもちろんNo benefitってなってる!

メジャーな国際雑誌で利益なしと書かれた薬に年間160億円使う日本。
そしてその薬を新たに販売しようとする韓国。
極東の笑止
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敗血症性ショックにおける高乳酸血症消失までの時間

2024年04月22日 | 循環
ひとりごとが過ぎましたね。文献紹介に戻ります。

Ahlstedt C, Sivapalan P, Kriz M, et al.
Effects of restrictive fluid therapy on the time to resolution of hyperlactatemia in ICU patients with septic shock. A secondary post hoc analysis of the CLASSIC randomized trial.
Intensive Care Med. 2024 Apr 10. Epub ahead of print. PMID: 38598125.


"a restrictive intravenous fluid strategy did not seem to affect the time to resolution of hyperlactatemia in adult ICU patients with septic shock."
"indicat- ing that measures aimed at improving perfusion and oxy- gen delivery do not seem to affect lactate levels per se."

DeepL和訳:
「敗血症性ショックの成人ICU患者において、輸液制限戦略は高乳酸血症消失までの時間に影響を及ぼさないようであった。」
「灌流と酸素供給を改善することを目的とした対策は、乳酸値自体には影響しないようである。」

そう、その通り。

ちなみに、この手の「乳酸の迷信」絡みのブログ記載はたくさんあるので、検索ボックスで探してみてください。
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患者情報の収集と共有

2024年04月21日 | ひとりごと
ICUで患者診療をするには(ICU以外でも同じかもしれないが)、
1:既往歴から今日のラボデータまで、いろいろな患者情報を集めて状態を把握する
2:その情報に基づいて診断をする
3:その診断に基づいて治療方針を立て、実行する
というプロセスがある。これをいつもグルグル回している感じ。大きな輪もあれば小さな輪もある。内容的(ICU入室の主病態から今日の肝障害の原因まで)にも時間的(毎週、毎日、毎時間)にも。正しい治療をするには、もちろん知識も必要だけど、正しい診断がとっても重要。そして正しい診断をするには、もちろんこれまた知識も必要だけど、正しい情報がとっても重要。なので正しい情報を収集することは患者診療の根本に位置している、はず。

問題は、診断や治療についての情報は世の中に溢れているのに、情報収集の方法については根拠と言えるものがほぼないこと。集中治療関係の文献で情報収集や共有について扱っているものって、せいぜい申し送り(OP室とICUとか、ICU退室時とか)の方法についてくらいしか読んだことがない。にもかかわらず、「情報収集や共有の方法についての研究がなくて、どうすればいいか分からない」とか「PubMed調べたけど載っていなかった」とか言っている人に会ったことがない。少なくとも診断や治療と同じ程度(もしかしたら一番)に重要かもしれないのに。

実際、診断や治療って、人によってそんなに大きな違いはない。頭のCTが黒くなっていて肺炎と診断する人はいないし、低血圧患者にニカルジピンをivする人もいない。でも情報収集の仕方は驚くほど千差万別。個人でも違うし、施設でも違う。100のICUを訪問していた時、「どうやって情報共有しているんですか?」と何度か聞いたことがあるのだけど、みんないろいろな工夫をしていた。夕方、自治さいたまのICUで日勤から申し送りを受けている夜勤者を見ていると、みんないろいろ工夫をしている(自分専用の用紙を作ったり、コンピュータのメモを使ったり)。でも、それって逆に言えば、「だいたいこうやる」的なスタンダードがないということ。患者診療の根本なのに。

不思議だ。
もっと研究があっていいし、もっと共通点があってもいいのではないか?

慈恵にいた頃は、患者情報の収集と共有を容易にするための工夫をいろいろ考えていた。
自治さいたまに来てからも、いろいろ提案した。
そして今は自治本院で良い方法はないかと考えている。
なんか、すごく不毛なことをしている気がする。

結論が出ない。まさしく独り言。
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「造影したいけど腎臓が、、、」と言われたら、

2024年04月20日 | ひとりごと
ちょっと困りますよね。説明し始めると面倒だから。腎毒性があるのかないのかとか、最近の研究ではとか、どうしても少し長くなってしまう。
Dr. Bellomoのこの発言が一番わかりやすいのではないかと思います。
「造影剤は重症患者のAKIの原因としては非常に弱いとされているので、必要なら使いましょう」
これ、暗記してください。
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モニタに表示する血圧の測定値は平均血圧だけにしちゃえばいいのに。

2024年04月19日 | ひとりごと

タイトル:「モニタに表示する血圧は平均血圧だけにしちゃえばいいのに」 by ChatGPT

以下は、なぜそう思うかについての独り言です。

血圧について良く言われていること。例えば、
・臓器血流は平均血圧が重要
・ただし心臓は拡張期血圧
・でもCABGすると収縮期血圧に依存するようになる
・低い時は平均血圧、高い時は収縮期血圧を見る
とか。僕も3番目以外はこのブログとか昔のIntnsivistとかで書いたことがある。
つい先日もこの話を聞いて、ふと、「生理学的な説明とか教科書の記載は読んだけど、そう言えばちゃんとした根拠を知らないぞ」と思い、特に三番目についてPubMedで調べ出した。そしたら深い沼が見えたので、早々に撤退した。

根拠はどうあれ、こういう生理学的な説明は面白いので、それはそれで良い。
でも、その情報を使って臨床ができるか(例えばCABG術後患者はSBPをターゲットにしようとか)、というと、別の理由で問題があると思うのですよ。

説明し始めると長くなるので、興味のある人はこちらからリンクをたどって読んでいただくとして省略します(反射波とかダンピングとかA-lineノナマリとかNIBPの測定原理とか)。これらの血圧モニタリングの問題は特にSBPとDBPが強く影響を受けるので、そんな数字を使って臨床して本当に患者さんにメリットがあるのか、疑問に思ってしまう。MAPも、橈骨で測定された値を使って臓器の灌流圧を推測しているわけで、どれだけ当てになるのかわからないけど、SBP/DBPに比べればまだマシではないか。

相当高い確率で、全ての患者さんの全ての病態において、MAPだけで臨床しても予後は悪化しない気がする(波形は一つの情報なので見るけど)。
ついでに、「血圧が60まで下がっちゃってさー」とか、「外科医が血圧120以下って言うからさー」とか、そういう「うーむ」な発言を聞かないで済むようになるし、無駄な薬剤の使用が減る分、もしかしたら患者さんにとってはプラスかもしれないし。

ま、そんなことは絶対に起こらないんだけどさ、人間が臨床をやっている限りは。
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血症性ショックにおける毛細血管再充填時間のモニタリング

2024年04月15日 | COVID-19
Hernandez G, Carmona P, Ait-Oufella H.
Monitoring capillary refill time in septic shock.
Intensive Care Med. 2024 Mar 18. Epub ahead of print. PMID: 38498167.


CRTについての最近の話題をサクッとまとめた文章。
ほお、ANDROMEDA-SHOCK-2ってあるんだ(ちなみに1はこちら、コメントはこちら)。
N=1500。楽しみだわ。
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臨床上の質問における大規模言語モデルのパフォーマンス比較

2024年04月14日 | AI・機械学習
Han T, Adams LC, Bressem KK, et al.
Comparative Analysis of Multimodal Large Language Model Performance on Clinical Vignette Questions.
JAMA. 2024 Mar 18:e2327861. Epub ahead of print. PMID: 38497956.


NEJMからemail-alertが来るたびに、最近はChatGPT(有料)、Gemini(無料)、Claude 3(無料)にImage Challangeの問題文をコピペして遊んでいる。ほとんどは正解するんだけど、時々答えが違う時があって面白い。違うときはほぼChatGPTが正解なのだけど、それって有料だからなんだろうなと思っていたが、どうもそうでもないらしい。
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ICU設計の変更が譫妄とメラトニン濃度の日内変動に影響する可能性

2024年04月13日 | ICU・システム
最近、生活がパターンが変わり、それとともに読んでない文献がいよいよ溜まり、あっという間に100を超えた。どんどん読まないと。。。

Spies C, Piazena H, Deja M, et al.
ICU Design Working Group. Modification in ICU Design May Affect Delirium and Circadian Melatonin: A Proof of Concept Pilot Study.
Crit Care Med. 2024 Apr 1;52(4):e182-e192. PMID: 38112493.


ICUの設計をする時って、ベッドを何床にするとか、倉庫をどこに作るかとか、医者とナースの控え室の大きさをどうするかとか、そんな話が多いけど、患者さんの視点から設計を考えることって少ないのでは。
これもそうだけど、今後はそういう視点で作られたICUが増えるのかな。だったら素敵だな。
まあ、pilot studyなので証明されているわけではないのだけれども。視点が素敵だな、と思って。
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