『英語屋さん』の宝箱

『英語屋さん』『英語屋さんの虎ノ巻』(集英社新書/電子書籍版)、『英語で夢を見る楽しみ』(財界研究所)の著者のブログ

新ブログ〔なるほど!訳語発見〕 のご案内

2016-12-02 08:03:58 | お知らせ
現在こちらのブログには投稿しておりません。翻訳に関する最新記事および筆者の最近の活動については新ブログ〔なるほど!訳語発見 ~英語翻訳の現場から +〕でご覧いただけます。


ブログ更新終了のお知らせ

2007-08-29 11:05:39 | お知らせ

 この数ヶ月、生計を立てるための日々の仕事に追われてしまい、ブログの更新や管理に充てる時間や気力がなくなってしまいました。たいへん残念ですが、このブログ「英語屋さんの宝箱」の更新をいったん終了させていただくことにしました(ブログ自体は記録として、しばらく残しておくことにします)。


 なお、雑誌『財界』に連載中のコラム「英楽通法」のバックナンバー掲載分は、私のホームページでお読みいただけますので、よろしければ引き続きご愛読ください。


 長い間このブログにお付き合いいただき、まことにありがとうございました。



コラム「英楽通法」掲載『財界』最新号発売中

2007-06-13 18:38:00 | お知らせ

 ビジネス誌『財界』6月12日(火)発売号(2007年6月26日号)掲載のコラム「英楽通法」(第144回)のタイトルは Word of mouth(口コミ)。最近ちまたで耳にする口コミマーケティングの是非について考えてみました。


 なお、この「英楽通法」の過去の掲載分は、私のホームページ(コラム「英楽通法」バックナンバー)でお読みいただけます。


blackmail (ゆすり、恐喝)

2006-10-28 20:58:31 | 英語・翻訳

 blackmail「ゆすり、恐喝」と名詞で、また「ゆする、恐喝する」と動詞でも使います。 英英辞典でその定義を調べると、Extortion of money or something else of value from a person by the threat of exposing a criminal act or discreditable information(犯罪行為または不名誉な情報を暴露すると脅して、金銭または価値のあるものを人からゆすりとること=American Heritage Dictionary)とあります。


 しかし、広義では、個人が金銭を脅し取る行為に限らず、たとえば nuclear blackmail(核兵器による脅し)、terrorist blackmail(テロリストの脅し)のように、「脅し」という意味で広く使われています。extortion(ゆすり、恐喝)という言葉がおもに金銭等をゆすり取る犯罪行為を指すのに対して、blackmailは人を脅して何かを人に強要するという広い意味でも使うようです。


 おそらくblackmailをもじって作られた言葉に、greenmail(グリーンメール)があります。会社の株を大量に買収して乗っ取ると脅し、その株を高値で引き取らせる行為のことです。かつてライブドアがフジテレビに買収を仕掛けた事件では、結局「インターネットとマスメディアの融合」どころか、フジテレビ株の引き取りと自社への出資という形で多額の金銭的補償をフジテレビに求めた行為が、結果的にグリーンメールと受け取られました。green(緑色)はたぶん、ドル紙幣(greenback)に由来するものでしょう。



brownout (電圧低下)

2006-10-23 14:17:47 | 英語・翻訳

 電源事情が良い日本ではあまり心配がありませんが、海外の国や地域によっては、電子装置に不安定な電源供給への耐性が求められることがあります。「停電」ならblackoutですが、「電圧低下」という意味ではbrownoutという言葉がよく使われています。


 brownoutにはこのほか(戦時、空襲から街を守るための)「灯火管制」という意味もあるそうです。



green package (環境に優しいパッケージ)

2006-10-20 17:19:59 | 英語・翻訳

 green packageは文字通り「緑色のパッケージ」という意味になることもあるでしょうが、実務(技術)文書ではよく「環境に優しいパッケージ」という意味で使われています。packageは「包装」という意味で使われることももちろんありますが、集積回路(LSI)で「パッケージ」といえば、半導体回路を包んでいる部分(外装)のこと。その場合、文脈によって「環境に優しいパッケージ」、またはそのままカタカナで「グリーンパッケージ」と訳すのが正解です。

 greenが「環境に優しい」(=ecofriendly)という意味で使われている言葉としては、このほかgreen consumer(グリーンコンシューマー)がよく知られています。「環境意識の高い消費者」「環境に配慮した買い物や生活をする人」という意味です。

 このような新語は、少し古い辞書ではなかなか見つかりません。インターネットで検索するか、または『ビジネス技術実用英語大辞典』のような新しい実用英語辞典を駆使して意味や使い方を調べるといいでしょう。


ゴミも吸殻も道徳心も捨てた人々

2006-10-19 11:05:58 | 随想

 この国の道徳心は比較的高いと思っていた私も、最近はそうも思わなくなってきました。かつて都内の別の区の賃貸マンションに住んでいた当時はほとんど気にならなかったのですが、一軒家に引っ越して、門前に落ちているタバコの吸殻や菓子パンの空袋に気付くようになってからは、いちいち嫌な思いをしながら拾っては捨てています。


 私が現在住んでいる新宿区では路上禁煙条例がすでに施行されているので、この家の近くで歩きながらタバコを吸っている人を見かけては「すみませんが、新宿区では道路でタバコを吸えませんよ」とやんわりと注意することにしました。しかし、私の注意などどこ吹く風。「すみません」といってどこかに行ってしまう人はまだいいほうで、半数くらいは無視してそのままタバコを吸い続けています。さらにひどいのになると、私が見ている目の前でタバコを投げ捨ててしまう人も…。さすがに立腹した私が、「道路はあなたの灰皿じゃないでしょう。迷惑だから、拾ってください!」と強く言うと、オロオロしながら逃げてしまったので、結局は私が拾う羽目になります。


 そのような迷惑行為をはたらく通行人の大多数は、30代から50代以上のサラリーマン風の男性。新宿区の外から通勤している人もいるのでしょうから、区の条例を知らないのはまだ仕方がありませんが、人が注意しているのに無視することはないでしょう。こういう人々に道徳や法の遵守を説くのがまったく無駄だとしたら、この国の民度もたかが知れています。


 業を煮やした私は、路上禁煙を呼びかけるステッカーを新宿区役所からもらって門の外に貼りました。そのステッカーをもらうとき、区の職員に「地下鉄の駅から出てくる人が、そこでもうタバコに火をつけている」と話したところ、しばらくしたら地下鉄の駅前にも同じステッカーを貼ってくれました。その効果があったのか、ひところに比べると、捨ててあるタバコの吸殻が以前より少なくなりました。しかし、門前から吸殻が完全になくなることはなく、不逞の輩との闘いはまだまだ続きそうです。



magistrate [judge] (下級判事)

2006-10-17 14:54:37 | 英語・翻訳

 magistrate [judge]を手元の英和辞典などで引くと、まず出てくる訳語が「治安判事」。しかし、ちょっと妙な気がしました。荒くれ者をじゃんじゃん縛り首にした西部開拓時代のアメリカならともかく、いまどき「治安判事」などという言葉で呼ばれる役職があるのかな、という疑問が起こります。


 例によってあれこれ検索してmagistrateの定義を調べてみたところ、"A minor official, such as a justice of the peace, having administrative and limited judicial authority"(American Heritage Dictonary) という説明が出てきました。「治安判事のような下級官吏で、執行権限および限定的な司法権限を持つ」とあります。ということは、magistrateの意味は「治安判事」(justice of the peace)よりも広そうです。


 さらにWikipediaで詳しい説明を読んでみたところ、米国でいうmagistrate [judge]は、各州の裁判所と連邦裁判所どちらにもある役職だとか。まず州の司法制度としてのmigrateを見ると、"In many state judicial systems in the United States, magistrate courts are the successor to Justice of the Peace courts"(アメリカ合衆国の多くの州の司法制度で、magistrate courtは治安裁判所を継承した組織である)と説明がありました。つまり、かつての治安裁判所が、今日ではmagistrate courtに代わっている州が多いようです。


 いっぽう、連邦の司法制度においては、magistrate は1968年に初めて設置され、1990年にmagistrate judgeと改称された、という説明が出ていました。刑事裁判では令状の発行や軽い犯罪の審理、社会保険に関する訴訟、民事では当事者双方がmagistrateによる審理を受けることに同意した事案などを扱えるようです。


 そう考えると、結論としては、少なくとも今日の米国の司法制度で使われているmagistrateに関する限り、「治安判事」よりも「下級判事」と訳しておくのが無難な線かもしれません。


 もちろん、司法制度は国によって大きく異なります。英国にもmagistrateと呼ばれる役職が古くからあり、こちらは「治安判事」と訳していいのかもしれません。(今回訳したのは米国に関する記事だったので、そこまでは調べませんでした。いずれにしても、国によって司法制度は違いますので、それぞれ適した訳語を選択したほうがいいと思います。)


 なお、magistrateの起源は、行政官と司法官を兼ねた役職だったそうです。江戸時代の日本でいえば、町奉行のような仕事に該当するのでしょう。



quarantine (臨検)

2006-10-16 17:39:37 | 英語・翻訳

 核実験を強行した北朝鮮に対する制裁案の議論では、「臨検」という日常耳慣れない言葉が聞かれます。海上(公海)を航行する船舶に停船を命じて立ち入り検査を行うことですが、軍事力による強制を伴うことがあるので、憲法上武力を行使できない日本がどの程度この手段を使えるかについては、議論が分かれるところです。


 1962年のキューバ危機では、米ケネディ政権がキューバに対する海上封鎖を実施しました。このときは海上封鎖(blockade)という言葉を避けて、臨検(quarantine)という言葉が使われました。当時キューバに向かっていたソ連の貨物船は、米海軍の威嚇を受けて引き返しました。


 国連による北朝鮮制裁決議では、臨検よりさらに弱い船舶検査(inspection)という言葉が使われたようです。しかも、船舶検査は加盟国の義務ではなくて要請という形になったため、中国や韓国は早くも及び腰になっているようです。海に囲まれたキューバと違って、北朝鮮と陸続きの中国が貨物を調べなければ、国際社会による制裁も「ザル」に終わってしまうかもしれません。


 なお、法律的な用語としての「臨検」にはvisit [for inspection]という言葉も使われているようです。また、quarantineには一般の「検疫」という意味もあります。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第63号掲載)



transflective LCD (半透過型液晶ディスプレイ)

2006-10-13 16:21:24 | 英語・翻訳

 transflectiveという言葉は、少し古い一般向けの英和辞典ではまず見当たらないでしょう。transflective LCD(またはtransflective display)をインターネットで検索すると、「半透過型液晶ディスプレイ」(半透過型ディスプレイ)という訳語が見つかります。


 液晶ディスプレイ(LCD = liquid crystal display)のうち、バックライトを光源とするものを透過型液晶ディスプレイ(transmissive display)、外光を反射させて光源とするものを反射型液晶ディスプレイ(reflective display)といいます。半透過型LCDとはこの両者を組み合わせた技術で、明るいところでは外光を利用して消費電力を抑え、暗いところではバックライトを使って表示を見やすくするものです。


 transflectiveは、どうやらtransmissiveとreflectiveを足して二で割った造語のようです。いろいろ検索してみたところ、「半透過型」の意味でsemi-transmissive という言葉も使われているようですが、transflective と表記している例が圧倒的多数を占めていました。