ながらく更新していませんでしたが、2011年の7月に帰国し
三重県津市で家庭医として働いています
三重大学家庭医療研修プログラムとみえ医療福祉生活協同組合の指導医として研修医や医学生の教育にも携わっています
現在の職場のホームページと、ブログもありますので興味のある方は下記へどうぞ
http://www.tsucoop.jp/takachaya-cl/index.html
ながらく更新していませんでしたが、2011年の7月に帰国し
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今日は一日Faculty Development のセッションでした
ミシガン大の家庭医療科では全5回シリーズのFDセッションがあります
近隣の指導医とフェローが主な対象者ですが、3年目のレジデントも希望者は無料で参加できます
一般参加だと数千ドルとられるそうです
これまでは
第1回 Classroom Teaching Skills and Principles of Adult Learning
第2回 Clinical Teaching Skills
第3回 Administrative Skills
今日は第4回の Leadership in Academic Medicineのセッションでした
私の好きなトピックで、日本でもHANDSでリーダーシップのセッションを受けましたが
今日はまた違った切り口でSmall Group Activity も多く、practicalでした
ここから先は、自分自身への覚え書きです
1. Leadership; The Institutional Perspective
Leadership requires
A focus on purpose 何故?何が目的?を常に問いかける
A bias for results
A knowledge of systems
A commitment to innovation
2. The Transition From Physician to Physician Manager
Physician Physician Manager
Professional Identitiy Organizational Identity
Value Decetralizaiton Value Centralization
and Autonomy and Uniformity
Individual Perspective System Perspecitve
Influence Through Govern Through
Professional Expertise Organizational Position
and Personal Power and Formal Authority
3. Managing in Professional Organization: The Context for the Challenges
医師などのprofessional 集団は組織への帰属が薄い
Professional Values:
Medical Center はThree systemsからなる(Industryとは対象的)
Task/Administration vs Governance vs Professional Identity
4. Conflict: A Process to be Managed
Thomas-Kilman conflict Mode Instrument
Avoiding/Accommodating/Compromising/Collaborating/Competing
大層な、タイトルを書きましたが
実はミシガン大の1人の医学生が、ふと口にした何気ない一言を、私が頭の中で増幅させただけです
ある日、クリニックで実習中の医学生と隣同士の席に座りました
診療の合間のわずかな時間で
「はじめまして◯◯です」
「やあ、元気?レジデントの◯◯です」
「僕は日本から来たんだけど、日本ではまだ家庭医がメジャーじゃなくて。ニーズはあるからこちらでトレーニングして、日本での普及に一役買いたいんだ」
などと話すと、医学生の彼が曰く
「へえ~、それはアメリカと逆ですね。アメリカでは家庭医のニーズはどんどん減っているというのに。家庭医の仕事は、どんどんナースプラクティショナー(NP)とかにとってかわられているから。」
「はあ?」と思ったのですが
彼を指導する立場でもなく、診療の合間のわずか1、2分だったので
ムキになって反論することもせず、それ以上に話を深める事も無く終わったのですが、ずっと頭に引っかかっていました
件の医学生は、バリバリの専門医志向で
彼の分析に私は全く同意するつもりはありませんが
表面的なレベルでは、彼の言っている背景も確かに理解できます
アメリカの医療現場では、何でもかんでも、分業がすすんでいます
それもこれも、「高額な医療費を押さえるため」です
すなわち、一番人件費の高い医者の仕事を「純粋に医者しかできない事」に集約させることが徹底されています
心臓外科の手術が良い例です
バイパス手術では、開胸、グラフト採取、術後管理などは人件費の安いPA(Physician Assistant)に任せて、術者である外科医は肝の部分だけに集中します
そうする事によって、外科医は一日に何件も手術をこなします
こうして考えると、家庭医の仕事には「絶対に医者じゃなければダメ?」という質問に対して
「う~ん、そうでもないけど」・・・という内容が結構含まれています
事実、アメリカの地域では半径数十キロにわたって医師が1人もおらず
PAが遠隔地の医師の指導のもと(という建前で)、実質上地域の健康を守っている事もあります
確かに、高度な専門手術での分業はメリットが大きいでしょうし
家庭医の場でも、必要に迫られての分業はあります
ただ、分業がすすんで「家庭医はいらなくなる」とか「ニーズが減る」という考えには全く同意できません
分業がすすむからこそ、
1人の患者さんのケアをコーディネートする医者、地域のケアをコーディネートする医者が必要で
それが家庭医という仕事なのです
今やっている仕事、業務の内容が、10年、20年後も全く同じであるとは思いませんし
必要に応じて、変化をしていかなければいけませんが
分業化の世の中だからこそ、その弊害をカバーするジェネラルなマインドの医者が、ますます必要なのです
今年のミシガン大医学生のうち、家庭医療科にすすむのは15-7名とみられています
一学年が170人ですので、1割弱
これを多いととるか、少ないととるか
実は、例年と比べて今年はかなり多いようです
家庭医療科選択者が一桁台の年も有るようですので、今年はアテンディング達も喜んでいます
全米の医学部の中には3割近くの学生が、家庭医療科を選択する学校もありますが
ミシガン大学は一般的に、プライマリケアよりもいわゆる「臓器専門科」優位の学校です
ミシガン大学の家庭医療科は、全米の医学部で最も多くの指導医陣を擁し
医学生からの実習評価では10年以上にわたり、専門科の中で一番の評価をされています
指導医の先生方も、chairのシュウェンク先生を始め、尊敬できる方々が大勢いらっしゃいます
それでもやっぱり、多くの医学生は臓器専門医の道を選ぶのです
確かに専門医の質がおしなべて高く、他科にも尊敬できる先生方が大勢いらっしゃるのでしょう
それでもやっぱり「収入」という要素が否めません
プライマリケア医の給料は、放射線科、眼科、心臓外科などの高給取りの先生方の数分の一ですから
まあ、それは置いておくとして
「大学、大学病院、医学部に家庭医療科が存在する事の意義」です
家庭医療科を進路の選択肢として選んでもらうということは、勿論、大きいです
また、大学という事でリサーチも大きいでしょう
でもそれ以上に大きいのが、プライマリケア医と専門医がどのようにかかわり合っているか
臓器専門医を選択した彼ら医学生が、将来、どのようにプライマリケア医とかかわっていくか
臓器専門医として、信頼できるプライマリケア医がいるのだということを知っておいてもらう事
そういうことが大事なのです
勿論、「プライマリケア」ですから主戦場は地域,クリニックでなければいけません
ミシガン大も大学に病棟を運営していますが
あくまでもメインの所属は郊外に5つあるクリニックです
日本の大学でも、家庭医療科は大学病院の外にあるクリニックを主戦場とし
臓器専門医とうまくかかわり合いながら
医学生のロールモデルとなる
それが大学に置ける家庭医療科の使命だと感じています
水曜のカンファレンスでのGround roundの担当です
テーマは全くのフリーで家庭医療科の指導医、レジデント、医学生の総勢100名あまりに対して40分のレクチャーをします
これまでもM&M(mortality & morbidity)で同じ人達相手に計4回プレゼンをしていますので
場数としては踏んでいるのですが
M&Mはあくまでも決まったフォーマットの中での発表で
多少自分の色を出す程度で、割と気楽です
ところがこのGround Roundは、フリーのテーマで大勢にプレゼンをする唯一の機会で
ある意味レジデンシ−の中でも3年目としての集大成とも言えますので、ヘタはうてません
テーマがフリーなのが結構くせ者で、相当悩みました
最近の同僚のトピックをあげてみると
結構、個性あふれるトピックが多いのです
私は次の3つの軸でトピックを考えてみました
結局1、2、3の折衷という事で
Healthcare-associated pneumonia(医療ケア関連肺炎)の治療について話す事にしました
つまり
1. 内科系の話題なのでまあまあ得意
2. HCAPの抗生剤選択には、日頃から疑問を持っており、2005年のガイドラインには納得できない点があった
3. 肺炎なので割とcommon
内科系の入院を担当しない指導医もいるが少なくともレジデントは皆が興味を持てるはず
ということでHCAPについて話す事にしました
題目は 'Diagnosis & Treatment of Healthcare-associated Pneumonia ~ Beyond the guideline'
beyond the guidelineとは自分でもハードルを上げたなと思いましたが
「ガイドライン通りに治療をしていたら、おかしなこともある」ということを伝えたかったのでこのような題にしました
詳細についてはscribdにアップしましたのでご参照ください
かいつまんで要点だけを抜き出します
HCAPは2005年の下記ガイドラインで導入された概念です
HCAPの定義は以下です
HCAP: 入院中ではないが下記の一つ以上を満たす状況で発生した肺炎:
HCAPはCommunity Acquired pneumoniaよりも予後が悪く、耐性菌が多いというデータに基づいて
Hospital acquired pneumoniaやventilator-associated pneumoniaと同様のスペクトラムでとらえようという考えです
ガイドラインを額面通りに受け取ると、HCAPと診断された瞬間に下記の3剤併用両方が推奨されます
緑膿菌をカバーするセフェムやカルバペネム
+/-
緑膿菌をカバーするもう一種類(ニューキノロンなど)
+/-
MRSAをカバーするバンコマイシンかLinezolid
例えば「割と元気だけど、介護が必要な老人ホーム入所者」は自動的にHCAPになりますが
額面通りの治療はどうみてもやりすぎだと思いましたので
ガイドラインの引用文献を含めて、様々な文献を考察してみましたが
私が達した結論は
HCAPであっても耐性菌の可能性が低い群は、CAPと同様に治療してもOK
そして、下記のリスクファクターを持つものは、耐性菌を考慮した抗生剤選択が望ましい
この場合、先述のように3剤併用を要検討ですが
緑膿菌の2重カバーについては、必ずしも必要であるとするデータばかりでなく
MRSAのカバーも、「疑った時のみ」ということになりますので
実際はCefepimeやpiperacillin/tazobactamの単剤でもOKと解釈しています
遅ればせながら,明けましておめでとうございます
久しぶりの更新です
数ヶ月更新していなくても、結構な人数の方にアクセスして頂いているようで恐縮です
情報発信が、Facebook→Twitterと移行して
ブログの更新がどうしても滞ってしまうのですが
Twitterはどうしても、その場で情報を垂れ流し気味で、あとから見直すのも大変です
Facebookはもう少しまとまっていますが、日本の友人,アメリカの友人半々が対象で
情報発信がクローズド気味です
自分の中でもある程度まとめてとどめておいたうえで、不特定多数に発信したい場合は、やはりブログが良いかもしれません
ということで今回は久しぶりに現状報告
今月はSMO2というローテーションです
Sports Medicine Orthopedics の2回目ローテーションを略してSMO2です
ローテーション中は、5人いるsports medicineの指導医のうち3人の外来にそれぞれ半日ずつつきます
家庭医系のsports medicine医はオペをしませんので関節注射、リハ、シーネ固定,薬物治療などを主に行い
オペ適応になれば整形外科医に回します
クリニックで働いていますので、超急性期の外傷が少ないというセレクションバイアスがかかりますが
整形外科医に回される患者さんは意外と少なく、1割程度でしょうか?
その他は,家庭医のスポーツ整形外来で診療が完結します
肩、腕、手、腰、膝,足のオンラインモジュールで復習をしながら
日々,遭遇する患者さんのケアをしていきますが
どうしても疾患頻度に偏りが有り、肩,膝の患者さんが多くなります
ローテーション中は、他にも週1日は地域病院の整形外科グループの外来につきます
ここでのポイントは、あくまで外来につくのであって、オペ室には入りません
コンサルテーション後の患者さんがどのような経過を辿るかを知る,貴重な体験です
Rotator Cuff Injuryのオペではsupraspinatusの損傷が9割以上を占めるなど
外科系外来じゃないと実感できないことがみえてきます
今月はこれらsports medicineがらみの外来が週に計5コマ
他は1コマが水曜午前のカンファレンス
残り4コマが自分のクリニックでの外来です
私はうち1コマが日本人クリニックでの診療になります
週の半分はsports medicineの患者さんを診ながらも
日本人クリニックでは妊婦さんのグループけんしんをやったり
お産で呼ばれたり、新生児、小児の健診
月に1回はいつものnursing home visit(長期療養型老人施設の診療)など
バラエティーにとんだ日々です
そしてこのSMO2のもう一つの大きなイベントがGround Roundでのトークです
Ground Roundでの発表については次回書きたいと思います
1. 日本人が減った
医学生のときと比べて明らかに日本人が少ないように感じました
というよりアジア人が大抵は中国人
次いで韓国人
はやり経済状況の変遷でしょうか?
ちなみに,ラスベガスのルイヴィトンで20人ほどいた客が全員アジア人なのには笑いました
2. 食事に見る格差社会
アメリカでも金さえ出せば、とても美味しいものが食べられます
普段は外食で美味しいと感じる事が少ないアメリカ
日本のように「そこそこの金を出せばおいしいものにありつける」という事はありません
美味しいものを食べるには、相当の額を出す必要があります
それでもラスベガスは競争が激しいので、一流のレストランの料理が比較的安価で食べられます
ということでラスベガスでは奮発しておいしいものを堪能しました
せっかくなのでいったお店の紹介です
MGM Grand Hotel & Casinoにあります
メニューはフレンチと似ていますが,「アメリカン」な味付けです
おいしいのですがBouchonのような「洗練」よりはアメリカ人好みにしっかり味付けという感じ
続いてラスベガスで人気を二分するビュッフェ2箇所
'Le Village Buffet' in Paris
前評判が高くかなり並んだのですが,正直期待はずれ
肉、カニはイマイチ、魚料理はバリエーションが少ない
Bellagio 'The Buffet'
こちらは当たり
2種類あるbeefのうち神戸ビーフはイマイチもプレミアムアンガスは絶品
魚料理も多数有り、デザートの味も洗練
3. やはり自然は変わらない
公園の設備等は,久しぶりに行くと結構変わっていましたが
雄大な自然は全く変わらず出迎えてくれました
ヨセミテ国立公園
高いところからの景色が一番