昨年06年5月9日以来、当ブログに約3万5千ヒットをいただきました。ありがとうございます。
教育基本法改正が成立し、焦点は具体的な制度に移っています。 教育基本法にこだわらず、教育制度の問題を論じたいと思い、別なブログを開きました。
「変えよう!日本の学校システム 教育は制度がネックだ」
http://educa.cocolog-nifty.com/blog/
教育は文化現象であって、政治家の指揮や官僚統制にはなじまないのだという主張を、これからも続けようと思っています。
古山明男
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私の高校は、公立の進学校だった。名門校なので、受験一辺倒ではなかったが、それでも勉強以外は、刺身のツマのようなものである。 同級生の中には、「我々はうわべは仲良くしているように見える。しかし、ほんとうは成績競争が根幹にあって、お互いに孤立しているのだ」というような言う者もいた。クラスの回覧ノートに書く者もいた。
ずいぶんと穿った観方をすると思った。自分に友達ができない理由を、とんでもないとこ . . . 本文を読む
教育が荒廃したのは、戦後の民主主義教育によって、個人のことしか考えない人間がたくさん育ったからだという説がある。だから、人権保障は最低限にとどめるべきであり、公共心や国を愛する心を法定してでも教えるべきだという主張である。
しかし、個人のことしか考えなくなるのは、民主主義が原因とは思えない。
近代民主主義は、個人の権利の主張を認める。しかし、これは「自分のことだけを要求していればいい」を . . . 本文を読む
ヨーロッパ諸国の教育基本法制には、権利と義務についての共通原則があります。
日本との大きな違いは、「教育の自由」を基本的に保障していることです。具体的には、「学校を選ぶ自由」と「学校を作る自由」です。 教育法制の共通原則は、このようなものです。
1 すべての人のための”教育への権利” 2 無償の初等教育 3 初等教育を受ける義務 4 高等教育の機会均等 5 親が子どもに与える教育を選ぶ権 . . . 本文を読む
(きょうの文は、拙著『変えよう!日本の学校システム』の「学校を官庁的上下関係に入れない」の章からの引用です)
日本の教育システムが、お役所仕事の弊害に満ちていることを見てきた。 しかし、これを予防するのが目的だった法律がちゃんとある。 昭和22年に作られた『教育基本法』の第十条がそれである。日本の教育がお役所仕事で行き詰まらないための予防薬だったし、、唯一の治療薬でもあったは . . . 本文を読む
教育基本法改正案(政府案)に比べて、現行の教育基本法はずいぶんと条文の数が少ないです。 なぜかというと、現行法は
「そもそも教育は法律で指揮するものではない。法律は必要最小限にとどめよう」
というポリシーがあるからです。 これは、田中耕太郎と当時の文部省スタッフの方針です。
いっぽう政府改正案と、それにお付き合いした民主党案は、
「みなさん、こんな教育だったらいいと思うでしょ」
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自民党は、戦後日本の経済繁栄を導き、長期にわたり政権を担っている。しかし、教育政策においては、自民党は大きな失政をやっていると思う。
自民党は、文科省と組んで教育に影響を及ぼす心地よさに安住してしまったのである。教職員と保護者・住民が参加する教育運営システムを作り上げるのを怠った。地方自治に相当するものが、教育では育たなかった。
教職員と保護者・住民という、最大の味方になるはずの人たちを . . . 本文を読む
ブログが途絶えがちですみません。足を痛めて起居がままならない状態でした。
日本教育は、すごいお役所仕事をやっていると思います。内規でばかり動いているのです。 たとえば、5、4、3、2、1の相対評価を、義務教育学校が長らくやっていました。相対評価では、5は7%、4は何%というふうに人数をあらかじめ決めています。この仕組みでは、だれかの成績が伸びれば、だれかがずり落ちます。それでも、学校は「みん . . . 本文を読む
いろんな教育改革で、いつも不思議に思うことがあります。 「教育に問題があるからなんとかしよう」ということになって、委員を集めるとき、各界の成功者ばかり集めるんです。教育に問題がなかった人たちなんです。少なくとも、自力でなんとかできた人たちなんです。 その会合では、 「集中力です」 「奉仕の心です」 というような、ただただ当たり前の抽象論がでてきて、それが教育改革の切り札みたいになってしまいます。 . . . 本文を読む
田中耕太郎が、「教育基本法の理論」の中で、教育と法についての根本的な考え方を述べているところがあります。
「教育自体は文化的活動として法の外にあり、むしろ道徳や教育学的技術によって支配せられる....」
教育基本法の条文が少ないのは、この考え方が基本にあるからです。 法律が必要になる最小限に絞り込んでいるのです。
憲法は、教育に関する条文がきわめて少ないです。直接には、第26条だけです . . . 本文を読む
学校が、気持ちよく学べるところかどうかは、そこにいる人たちの道徳水準でだいたい決まります。だって、「そりゃ、あんまりだ」ってことを先生や友達にされたら、授業を聞いているどころじゃないもの。
従来型の学校は、徳目主義で道徳水準を維持しようとしてた、んだけど...。 金科玉条で生きてる人の言うことって、真実味がないです。徳目の暗記は、道徳水準を落とします。これは、丸暗記が学力を落とすのと同じ。 . . . 本文を読む
教育基本法を作った中心人物は田中耕太郎と言う当時の文部大臣です。この人が「教育基本法の理論」(有斐閣 1961)という本を出しています。教育基本法のことを調べるなら、これに目を通さないわけにもいかないだろうと思いました。4年ほど前、2002年のことです。
ところが、この本は絶版で、近所の図書館にもない。ネット上の古本屋で何冊かありましたが、2~3万円の値段がついていました。中に1万円のものが . . . 本文を読む
ここ数年かけて書いていた
「変えよう!日本の学校システム ――教育に競争はいらない」 古山明男著 平凡社 1680円(税込)
が発売になりました。日本の教育がお役所仕事でがんじがらめになっていることと、そこから抜け出す道を書きました。教育基本法についても、多くを割いています。
教育基本法」は、官庁が教育を指揮するために作られた法律ではない。まったくその逆であって、教育が、政治、宗教、 . . . 本文を読む
人間が発達するとき、まず自分を大事にできるようになり、それから、家族、親戚、友人、地域、職場、自治体、国、人類というふうに大事にできる対象が広がっていきます。
赤ん坊は、自分の生存のことで生きているだけ。 それが、だんだんと、家族の中で生きるようになり、友人や仲間と生きるようになり、やがて職業生活や政治生活に参加してきます。これが、当たり前の順序です。
これをちゃんと順序良くやらないと、 . . . 本文を読む
教育基本法改正案が秋の臨時国会で継続審議されることになった。
数の計算からいけば、臨時国会で成立する。成立したあと、学校教育法の改正があり、教育委員会も学校も、対応に追われ、疲れ果てるだろう。
しかし、改正が成立するかどうか、わからない要素があると思う。 自民党以外のところは、本心は自民党さんへのおつきあい。自民党が他の勢力と取引したり、なだめたりでなんとかまとめ上げた。
自民党は昔 . . . 本文を読む