岩井俊二 「リリイ・シュシュのすべて」
『スワロウテイル』・『ラヴレター』などの代表作で知られる、映像作家岩井俊二。本作は同監督自らが書き下ろした、映画版の原作となる小説である。
十代の若者たちの間でカリスマ的な人気を持つ歌姫、リリィ=シュシュ。彼女の独特な歌の世界は不安定な美しさを抱え、同様の危うさを抱えて生きる若者達の共感を呼び、絶大な支持を受けることとなる。
だが、ファンの行動は次第にエスカレートし、ついにコンサート中に殺人事件がおきてしまう……。
リリィ=シュシュというミステリアスにキャラクター付けされた存在を中心に、ネットという虚構を通じ、ファンサイトで繋がる人々。
ネット越しでのつながり、恋愛、そして悪意の連鎖、飽和点としての事件。
その真相究明をきっかけに、物語はネットの向こうにある現実を描き始める。
殺人を犯した少年の心の闇、十代の閉塞感、そこで描かれるのは、記号の海には還元し得ない圧倒的なリアルだ。
そのリアルは、最高に醜悪で、最悪な歪みに満ちて、それでもなお逃れられない存在感を持ってそこにある。
イジメ、非行、援助交際…耐え切れない日常と、逃避先としての非日常、リリイ・シュシュのファンサイト。その狭間で自壊していく少年の悲痛な叫びが、読むものに鋭く突き刺さる。
読み終えた後に残るのは希望か、絶望か。是非自分で確かめてみて欲しい。
『スワロウテイル』・『ラヴレター』などの代表作で知られる、映像作家岩井俊二。本作は同監督自らが書き下ろした、映画版の原作となる小説である。
十代の若者たちの間でカリスマ的な人気を持つ歌姫、リリィ=シュシュ。彼女の独特な歌の世界は不安定な美しさを抱え、同様の危うさを抱えて生きる若者達の共感を呼び、絶大な支持を受けることとなる。
だが、ファンの行動は次第にエスカレートし、ついにコンサート中に殺人事件がおきてしまう……。
リリィ=シュシュというミステリアスにキャラクター付けされた存在を中心に、ネットという虚構を通じ、ファンサイトで繋がる人々。
ネット越しでのつながり、恋愛、そして悪意の連鎖、飽和点としての事件。
その真相究明をきっかけに、物語はネットの向こうにある現実を描き始める。
殺人を犯した少年の心の闇、十代の閉塞感、そこで描かれるのは、記号の海には還元し得ない圧倒的なリアルだ。
そのリアルは、最高に醜悪で、最悪な歪みに満ちて、それでもなお逃れられない存在感を持ってそこにある。
イジメ、非行、援助交際…耐え切れない日常と、逃避先としての非日常、リリイ・シュシュのファンサイト。その狭間で自壊していく少年の悲痛な叫びが、読むものに鋭く突き刺さる。
読み終えた後に残るのは希望か、絶望か。是非自分で確かめてみて欲しい。