私的文庫ナビ

文庫その他の話題を気の向くままに更新♪
もちろん不定期

今週の一冊~角川文庫~

2005-12-27 19:03:03 | Weblog
岩井俊二 「リリイ・シュシュのすべて」

『スワロウテイル』・『ラヴレター』などの代表作で知られる、映像作家岩井俊二。本作は同監督自らが書き下ろした、映画版の原作となる小説である。
十代の若者たちの間でカリスマ的な人気を持つ歌姫、リリィ=シュシュ。彼女の独特な歌の世界は不安定な美しさを抱え、同様の危うさを抱えて生きる若者達の共感を呼び、絶大な支持を受けることとなる。
だが、ファンの行動は次第にエスカレートし、ついにコンサート中に殺人事件がおきてしまう……。
リリィ=シュシュというミステリアスにキャラクター付けされた存在を中心に、ネットという虚構を通じ、ファンサイトで繋がる人々。
ネット越しでのつながり、恋愛、そして悪意の連鎖、飽和点としての事件。
その真相究明をきっかけに、物語はネットの向こうにある現実を描き始める。
殺人を犯した少年の心の闇、十代の閉塞感、そこで描かれるのは、記号の海には還元し得ない圧倒的なリアルだ。
そのリアルは、最高に醜悪で、最悪な歪みに満ちて、それでもなお逃れられない存在感を持ってそこにある。
イジメ、非行、援助交際…耐え切れない日常と、逃避先としての非日常、リリイ・シュシュのファンサイト。その狭間で自壊していく少年の悲痛な叫びが、読むものに鋭く突き刺さる。
読み終えた後に残るのは希望か、絶望か。是非自分で確かめてみて欲しい。

読書の合間に~映画・ドラマ~

2005-11-03 12:32:49 | Weblog
「バッファロー’66」

監督・主演:ヴィンセント=ギャロ

刑務所から出所したばかりのビリーは、両親に電話で、「政府の仕事でなかなか帰れなかった。今度妻を連れて行く。」と勢いに任せてつまらない嘘をついてしまう。しかし彼に妻など居るはずも無く、偶然通りかかった少女を拉致し妻のフリをするよう脅迫して、家に連れて行ってしまうのであった……

ギャロ演じる主人公のあまりの駄目っぷりに、最初はうわー、と言う印象。攻撃的で、虚言癖があって、神経質で、すぐにキレる。早口で何度も同じ事を繰り返す喋り方に、イラつきすら覚えてしまいます。
しかもいきなり女の子を拉致です。犯罪者です。犯罪いくない!!
しかし、徐々に過去が明らかになるに連れて、そんな彼の事がなんだかいとおしく見えてくるから不思議。。アメフトにしか興味の無い母親に、癇癪もちの父親。子供の頃のトラウマ。児童虐待。
初恋の相手に受けた酷い仕打ち。他人の罪をかぶらされて入れられた刑務所。
そりゃ人間歪むよ、と言う感じですね(^^;

あんたを産んでいたせいでバッファロー(フットボールチーム)の優勝試合を見逃した!と憤る母親。おそらくビリーは子供の頃から何度もこの言葉を聞かされていたことでしょう。
やがて成長した彼は、バッファローの優勝決定戦に百万ドルもの大金をかけます。
しかしバッファローは敗れ、百万ドルなど払えるわけも無く、他人の罪をかぶって刑務所に入ることで決着をつけることに。
後に彼はその試合が八百長がらみであったと聞き、出所したら八百長に加担した選手を殺す、と誓います。

そんな彼がどんな結末を迎えるのか、それはここでは伏せておきます。ただ、見終わった後に、何だそれって突っ込みたくなるような、それでも良かったな、って思えるようなそんな映画でした。

映像は六十年代を髣髴とさせるようなくすんだ色合い。それが映画の雰囲気に凄くあっていて新鮮です。カメラワークの斬新さも随所に。
四角いテーブルを囲むように座る四人。誰かの目線から常に他の三人だけを画面に入れるようにカメラを切り替えていく手法。こういった独創性が全編に溢れていて、まさに脱帽もの。

余り触れませんでしたが、共演のクリスティーナ=リッチも最高!
主人公の全てを肯定し、無償の愛情で包み込む女性。しかし、そんな彼女も危うい何かを抱えていると思わずにはいられないような、そんなギリギリの平衡の上に成り立った少女の危うい魅力を存分に見せてくれます。

ストックホルム症候群の映画、と言ってしまえばそれまでですが、それでは片付けることの出来ない味わいと魅力に満ちた秀作。
合わない人にはかなり合わないけど、ツボにはまればかなり気に入る、そういうタイプの映画だと思います。興味のある方はぜひぜひ。。

今週の一冊~幻冬舎文庫~

2005-10-20 09:41:34 | Weblog
村上龍 「イン・ザ・ミソスープ」

新宿歌舞伎町で風俗のガイドをしているケンジは、フランクというどこか奇妙な風貌の外国人に街の案内を依頼される。ケンジの脳裏によぎる歌舞伎町で起きた女子高生猟奇殺人事件。不安と疑念を抱えながら夜の街を行くうちに、フランクは徐々にその本性を現し始める……。

他人に最も恐怖を感じるとき、それは相手との正常なコミュニケーションが取れないときでは無いでしょうか。お互いの考え方、価値規範、行動基準が余りにずれているから、コミュニケーションの前提が崩壊してしまう。。そんな時、人は他者を「怖い」と思うものです。

味噌汁のようなぬるま湯につかった社会、そこに圧倒的に異質な「他者」が現れたらどうなるか?ぬるま湯に慣れきった人間達はとまどい、恐怖し、そして「他者」の暴力性の前に駆逐されていきます。

フランクという「他者」の前に次々と惨殺されていく歌舞伎町の人間達。馴れ合いも暗黙の了解も通用しない人間の前で、自己の主張を行えないまま、コミュニケーションを成立させられないまま、あまりにも無力に。

読んでいて、吐きそうになりました。
それは決して描写の残酷さだけではなく、そこに描かれる本質的な恐怖のゆえに。ただの文字の羅列に過ぎないはずのテキストが、人の身体をも揺さぶる。
本当に力のある小説とは、そういうものです。
読んでください、そして、恐怖してください。

……嘔吐はしないでね(笑)

読書の合間に~無印でお買い物~

2005-10-11 08:37:00 | Weblog
無印良品 「海のミネラル水」

海洋深層水から塩分を除去したと言うミネラルたっぷりの硬水です。

一般には飲料には適さないとされている硬水。
確かにちょっと味に癖があるかも。

だけど、この海のミネラル水を一口飲んで本当に驚きました。
口に入れた瞬間、感じる水の甘さ。
ミルクのような甘さと丸さが口に広がって、本当に信じられませんでした。
水に味があるっていう不思議な感覚。
これはちょっとお勧めかもしれません。

利尿作用が高くて体の不純物を除去する効果もあるみたいですよ~。
但し、飲みすぎるとお腹を下しやすくなるようなので胃腸の弱い方はご注意を。

今週の一冊~集英社文庫・新刊~

2005-10-05 09:42:10 | Weblog
本多孝好 「MOMENT」

死ぬ前に何でも一つ願いが叶うなら……
そんな空想にを思いを馳せたことはありませんか?
だけど、現実に願いを叶えてくれる存在が居るとしたら、それは神様ではなく、人間。万能の力など無く、ささやかながら、自分のできる範囲で。

病院でバイトをする主人公は、末期患者の最後の願いを叶えていく中で、そこにある人の思いに心を揺り動かされていきます。
ある者は死への恐怖を訴え、ある者は復讐を願い、またある者は淡い恋を打ち明け、死んでいく、その中で見えてくる人間の弱さ、醜さ、そして悲しさ。
しかし、それらを通じて湧き上がるのは、はかない人間存在への静かな希望と、愛おしさ。

連作短編の形式でつづられる本著は、このミスTOP10入りの「MISSING」で鮮烈デビューを果たした若手、本多孝好の文庫最新刊。首都圏書店では著者サイン本を置いているところも有るようなので(管理人も偶然発見してGETしました!)要チェックです!

読書の合間に~映画・SF~

2005-09-27 00:02:16 | Weblog
「イノセンス」

監督:押井守

先日紹介したディープブルーが自然の映像美の極致だとするなら、イノセンスは人工の映像美の一つの極北と言える作品でしょう。
アニメーションと言う人工的な手法によって描かれた、都市、機械、そしてこの作品のテーマにもなっている人形。その美しさはまさに圧倒的。
甲殻機動隊で一世を風靡した押井守監督の描く世界。ひたすらにハードで、どこか影のある世界。もはやそれは世界としか形容しようのないリアリティと存在感を伴って、見るものをひきつけます。

舞台は、近未来の日本。
魂を持たないはずの人形、アンドロイドが次々とプログラムの制御を逃れ暴走する事件が発生。
自らの身体の大部分を機械化した公安所属のバトゥは、その事件の謎を追う中で、人間・機械化された人間・人形、その不確かな境界線の揺らぎに襲われる。
人は何故自らに似た存在を作り出すのか、魂を持たない人の似姿は人ではないのか、一体人間とは何か、そんな問いを抱えながら、次第に明らかになる事件の真相。そこで彼が見たものとは……。


読書の合間に~映画・ドキュメンタリー~

2005-09-18 07:52:47 | Weblog
「スーパーサイズ・ミー」

監督: モーガン・スパーロック
主演: モーガン・スパーロック

訴訟大国アメリカで起きた一件の訴訟、
「肥満になったのはマクドナルドのせいだ!!」

さすがにこの訴訟は棄却されたわけですが、この映画はそれをきっかけに、米国から世界中へ浸透したファーストフード文化について考え直してみようというドキュメンタリーです。

内容は監督自身が被験者となり、一ヶ月間マクドナルドのメニューだけを食べ続けると言うもの。はっきり言ってバカです(良い意味で)笑

最初は、笑ってしまいます。
一ヶ月間マックて。笑
子供の頃そんな夢を抱いた気がする。笑

……けれど、徐々におかしくなる身体。
肝臓は悲鳴を上げ、体重は急増し、果ては精神にも悪影響が出始め、麻薬の中毒症状のような状態に……。

これ以上続けると危険だと言う医者のアドバイス。
ベジタリアンでもある恋人の嘆き。

そして、明らかになるアメリカの食品産業の問題。
政府に圧力をかけ、邪魔な法案は通過させない。
子供の学校給食にまでファーストフードを導入させ利益確保。

ちょっと、恐くなりました。。
これを見ると、しばらくマックに行きたくなくなるかも……。

こういう映画がヒットする辺り、いかに生活の中にファストフードが浸透しているかと言うことですね。。
と同時に、日本にはそれ以外の選択肢が豊富にあるという幸福。
アメリカの状況はもっと悲惨です。
家庭にも、学校にすら、食の逃げ場がない状況。

よし、今度からマックはやめてロッテリアにするか(そういう問題ではない)笑

読書の合間に~映画・ドキュメンタリー~

2005-09-15 01:00:15 | Weblog
「ディープ・ブルー」

脚本・監督:アラステア=フォザーギル 
      アンディ=バイヤット

深海、北極海、南太平洋……
広大な海を舞台に、生物達の織り成すドラマをとらえた珠玉のドキュメンタリー、ディープ・ブルー。
ベルリン=フィルハーモニーの美しい演奏をバックに、海の生物の世界が描き出されています。

全編にわたってその圧倒的な映像美にはただただ驚くばかり。
CG全盛の時代に、生の映像の持つ迫力が、自然のもつ美しさ、厳しさをこれ程雄弁に語りかけてくるとは正直予想できませんでした。。
一体どうやって撮影したの?と思わず考えてしまうような本当に貴重な映像の連続。
動物奇想天外あたりが好きな方なら必ず気に入ること間違いなし!笑

とにかく言葉では伝えきれないほど、九十分の映像の中で多くの事を感じ、考えさせられるはず。
是非自分の目でご覧になってください。そして、感じてください。

今週の一冊~岩波文庫・哲学~

2005-09-12 11:50:23 | Weblog
W=ジェイムズ 「プラグマティズム」

久方ぶりの更新となってしまいました。
謎の奇病もやっと回復してきたので今後は頑張ります……たぶん!!

さてさて、今回は岩波文庫の思想・哲学シリーズから、アメリカ思想の代表とも言えるプラグマティズムを取り上げてみました。
長らく続いてきた大陸合理論とイギリス経験論の二元的対立の中で、プラグマティズムは経験論の流れを受け継ぎながら、物事の真理とはそれが現実に奉仕する限りにおいて採用されるものであると言う新たな見方を打ち出しました。
極めて大雑把に言えば、現実を把握する上で都合のよいものを、その時点での取りあえずの真理としようじゃないかと言う考え方です。
いわばイイトコ取りの哲学ですね。

これは極めて当たり前のことのように感じられるかもしれません。
所謂「哲学」ですらないかもしれない。
そのことに関しては「真理」、あるいはそういったものに関しての思索を追究すると言う面からは多くの批判も有ります。
しかしながら、一方ではそれは我々のもつ一般的な感覚にマッチしやすいものだといえます。
絶対的な「真理」に固執すること、更に進んで狭い原理主義的な考え方に陥ることの危険性を考えれば、このいかにも折衷的な考え方の持つバランスは、実は大切なものなのではないでしょうか。
括弧つきの「真理」はどうであれ、現実の中で幸福に生きていきたい、そういう考え方もあっていいのではと思いますよ。


以下「Wikipedia」より抜粋http://ja.wikipedia.org/wiki/

プラグマティズム(Pragmatism)とは、実用主義、道具主義、実際主義とも訳されることのある考え方。元々は、経験不可能な事柄の真理を考えることはできないという点でイギリス経験論を引き継ぎ、物事の真理を実際の経験の結果により判断し、効果のあるものは真理であるとする。20世紀初頭のアメリカ思潮の主流となり、のちにアメリカ市民社会の中で通俗化され、ビジネスや政治、社会についての見方として広く一般化してきたもの。

今週の一冊~マドラ出版・広告~

2005-09-07 08:56:31 | Weblog
「広告批評九月号」

赤塚不二夫先生イラストの表紙が目印の今月の広告批評。
巻頭特集はRIPSLYMEのベストアルバム。そのアルバムのジャケットに赤塚先生のイラストが使われています。TVCMもすでにオンエアされているのでご覧になった人も居るかな?懐かしの赤塚テイストなイラストに今風の髪型や服装が取り入れられて、不思議な味わい。。

そして今月の目玉はやはりアジアのコマーシャル特集。
中でも、97年のカンヌ広告祭で銀賞一本、銅賞二本を受賞して以来、毎年入賞作を出し続けているタイのクリエイティビティに今注目が集まっています。
タイのCMにある素晴らしい創造性。その源は、西洋の模倣にとどまらず、国の独自性を表現に活かしていく事。そこから生まれる独自性・多様性が世界の広告表現全体を多様化し、活性化させる原動力になっているのです。
アジアのCMが西洋の表現の劣化コピーを生み出し続けている限り、そこには創造、という行為はありません。勿論技術的な側面を学ぶのは重要ですが、そこから更に一歩、独自の表現へと踏み出す事がなければ真に視聴者をひきつけるものは生み出されえないでしょう。
異質なもの同士の出会いが生み出す創造性、シュールレアリスムいうところの解剖台の上でのミシンと洋傘の出会い、それが生み出すサプライズの効果は個々のCMにおいても、また広告業界全体にとっても見逃せない重要なファクターです。
いや、話はそこだけにとどまらず、創造的な表現と言うもの全てに及ぶのかもしれません。
いずれにせよ、今タイが、そしてアジアが熱い!

ちなみに、タイでは今お茶のCMに使われている「新芽ちょうだ~い」という日本語が大流行しているそう。新芽を食べたい芋虫が、お茶の新芽を摘もうとする人間に向かって「新芽ちょうだ~い」といいながら念力を発するんだとか。。
どことなくユーモラスで可愛い感じがしませんか(^^



読書の合間に~映画・サスペンス~

2005-09-06 08:10:51 | Weblog
「フォーン・ブース」

監督:ジョエル=シューマカー
主演:コリン=ファレル

ニューヨークシティ8番街53丁目にある電話ボックス。
口先三寸が身上の宣伝マン、ステュが、誰からとも分からない電話を思わず取ってしまったことから悲劇は始まる。
ステュの胸元にはレーザーポインタによるライフルの照準。電話口の謎の男は電話を切れば命はないと脅しをかける。
電話ボックスから出られなくなったステュの運命は……

街角にあるガラス張りの電話ボックス。この衆人監視の中にある一角が、電話の内容が他者に聞こえないことによって、一種の密室として機能すると言うアイデアはまさに秀逸。
ストーリーは終始この電話ボックスとその周囲の人々のみで進行するのですが、その中で観客を引き込み続けるコリン=ファレルの演技も流石です!
81分という短めの時間尺なので話が間延びすることもなく、全編にわたって非常に緊張感の高い上質のサスペンススリラーといえるでしょう。
本当に見ていて退屈しない一作。
この度20世紀フォックスのBEST=HITS50シリーズから廉価版(980円)が再販されているので、興味ある方は今がお買い得ですよ~。。

今週の一冊~小学館・ビッグコミックス~

2005-09-05 17:19:30 | Weblog
山本英夫 「ホムンクルス第六巻」

トレパネーションと呼ばれる頭蓋骨に穴を開ける手術を受けたホームレスの男性が、他人の深層心理を映像知覚できる能力を手に入れ、異常な世界に入り込んでいくサイコスリラー。
作者が大麻所持で逮捕され長期休載を余儀なくされていた本作、このたび待望の最新刊が刊行されました。

主人公の周囲に現れる奇妙な人々、歪んだ深層心理の世界、それらが紡ぎ出す倒錯的で混沌とした物語。作者が麻薬をやってたこととも関係あるのかないのか、話自体もかな~りぶっとんでます。笑。
その中で描かれる屈折した人間心理。そして一種幻想的でさえあるイメージの世界。しかしそこにあるのはあくまでも、醜悪な現実。その対比が読者の現実の平衡感覚を失わせ、不安定な足場に投げ出されるような気分に陥らされます。

心理学、特にフロイト派の精神分析に傾倒した事のある人ならば、まさにはまってしまうことうけ合いのこの作品。一度手にとってみてはいかがでしょうか。



以下「Wikipedia」より抜粋http://ja.wikipedia.org/wiki/

頭部穿孔(とうぶせんこう)またはトレパネーションとは、頭皮を切開して頭蓋骨に穴を開ける民間療法の一種とされる。
この施術に於いて、通常の脳外科手術や頭骨骨折等の外科手術(急性硬膜下血腫を参照されたし)と違う所は、特に治療を目的とした行為というよりも、神秘主義観に基く物であり、また頭骨に穴を開けた後に何等かの塞ぐ処置を行わずに頭皮を縫合する所にある。

読書の合間に~食べ放題・池袋・タイ料理~

2005-09-05 08:26:42 | Weblog
「メコン」 ランチバイキング 1000円 11:30~2:30

池袋のタイ料理の名店メコン、アジアンブームの先駆け的なこの店では、昼の営業時間に大好評のランチバイキングを実施しています。
各種雑誌にも取り上げられ人気のこのバイキングに先日ついに行って参りました!

場所はJR池袋駅西口から徒歩五分。芸術劇場の裏手、丸井のある通りのマクドナルドが入っているビルの地下一階です。
お昼を少し過ぎた時間に言ったのですが既にほぼ満席状態。五分ほど待って席につくことが出来ました。待っている間にふと新聞を読んでみたらタイ字新聞だったのが雰囲気出してていい感じです。店内にはタイ国王夫妻の巨大な写真が飾ってあったりして面白い。店内は意外に(失礼;)小奇麗な印象で、同時にエスニック感漂うインテリア。タイ人?と思われる店員さんも人がよさそうで好感持てます。お客さんは結構多国籍な印象かな、外国の方もちらほら。

そして肝心の料理なのですが、これが上手い!
辛いものがすごく苦手……と言う人には若干厳しいかも知れませんが、結構食べやすいかな、と言う印象で、それでも辛さと本場の雰囲気は残しつつ、言うこと無しです!
メニューは主にサラダ・炒め物5~6種・揚げ物数種・タイカレー・スープ・ライス・そうめん・デザート(この日はタピオカ入りココナッツミルクでした)・ドリンク
といったところ。品数自体はそれ程多くないですが味と値段を考えれば十分合格でしょう。
お勧めはやっぱりカレー。この日はグリーンカレーだったのですが、大きめの具材がごろごろ。それをあのタイカレー独特のココナッツミルクの入った甘くて辛いさらさらのカレーがまとめています。これをご飯にかけていただくも良し、そうめんにかけて(これが意外に合うんです)いただくもまた良し。
もう食べながらうっとりしちゃいました。笑。

本当に近くの方は気軽に行ってみるといいと思いますよ。
きっとタイ料理の虜に。




今週の一冊~文春文庫・長編~

2005-09-04 10:19:28 | Weblog
村上龍 「希望の国のエクソダス」


~2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた。経済の大停滞が続くなか彼らはネットビジネスを開始、情報戦略を駆使して日本の政界、経済界に衝撃を与える一大勢力に成長していく。その後全世界の注目する中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった~
……文庫カバーより引用……


この国には何でもある。だが、希望だけがない。
この言葉と共に、静かに死にゆく日本に反旗を翻す中学生たち。円の暴落と日本経済の衰退、ヘッジファンドによる混乱と言う現実になりかねない状況にあるもう一つの日本を舞台にした、社会派フィクションの決定版。

衆議院選挙を目前に控えた今だからこそ、希望だけがない、というこの言葉が胸にひっかかります。今日明日に飢え死にするような心配はなくても、何となく抱えている将来に対する不安。
そんな漠然とした気分が共有されているからこそ、この小説の描く日本は妙にリアルで、同時にそれを乗り越えてしまう中学生達のたくましさがカタルシスを生み出します。
作中でネットが魔法の道具のように扱われているのはさすがに若干古さを感じさせますが、問題設定は今でも十分に新しく、現在でも通用するテーマといえるでしょう。
ちなみに、同じ「希望」というテーマを扱った著者の短編集「空港にて」もお勧めです。併せて読んでみると人生に希望がわいてくるかも?

読書の合間に~美術展・エジプト~

2005-09-03 11:43:56 | Weblog
東京都美術館 「ルーブル美術館所蔵古代エジプト展」

ルーブル美術館所蔵の五万五千点にも及ぶ古代エジプトコレクション。
今回の古代エジプト展ではその中から選びぬかれた二百点が公開されています。
ヒエログリフ解読でおなじみのシャンポリオンを筆頭に、ルーブルの学者達が古代エジプト史の解明に多大な寄与をしたという事実は日本では余り知られていません。(私もこの前まで知りませんでした……汗)
この展覧会では、そんな学者たちの遺物の紹介とともに、古代エジプト人の生活という側面に光をあて、彼らの暮らしぶりがよみがえるような展示が行われています。

というわけで、早速友人と行って参りました。。
上野駅から徒歩五分という好立地。
豊かな緑をたたえる上野公園の中を抜け、お目当ての東京都美術館へ。
平日の昼間にもかかわらず、美術館の中は結構な人。なかでもエジプト展がやはり一番の注目を集めているよう。
展示は古代エジプトの生活にスポットを当てたと言うだけあって日常の生活用具や儀礼用の道具など、雑貨の類が充実。

そこで感じるのは、現代でも古代でも、そこには人の「暮らし」があるんだなぁ、ということです。当たり前のことなんだけど、こういうことってなかなか実感できなかったりするもの。ともすれば現代とは違う風習や迷信にばいかり目が言ってしまい、そういった側面から昔の人々に対する歪んだイメージを作り上げてしまいがちではないでしょうか。
剃刀でひげをそり、アクセサリーを身につけ、死後の安寧を願って棺にお守りの品を入れる。そんな「普通」の暮らしぶりに触れながら、人間が居て生活がある、それは四千年の昔から変わらない、ということを強く実感させられる展示です。

展示の内容だけでなく、展示場の雰囲気も秀逸。薄暗い部屋に展示品がほんのりとライトアップされた様子は、まるでピラミッドの地下に潜りこんだよう。
ケースも柵も無い本当に間近で直に見られる展示も多くて感動ものです。スフィンクスの頭や石の棺が、息が届いてしまうほどの距離にあると言う興奮。
その他、教科書でおなじみの死者の書が広げてあったり、部屋の仕切りがルーブル美術館にあるガラスのピラミッドを模して作られていたりと、心憎い演出に満ちています。
古代エジプトの世界を存分に堪能して外にでると、あっという間に二時間が過ぎ去っていました。
十月二日までのこの企画展、この機会に是非足を運んでみてはいかがでしょうか。