外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

相場が難しいのは何処だろう…五里霧中の原因とは

2023-03-05 18:02:00 |  -【特集】相場分析の組立て方

なかなかアップデートができないまま2月も終わり、
3月も5日が過ぎようとしています。


相場取引で難しいのは、
「今から上がるのか下がるのか」を見極める事
だと思われがちですが、

ただ上がるか下がるかの問題であれば、
それは丁半賭博と同じ理屈になってしまいます。

確率50%の勝負に勝てばよい…とばかりに、
勝率にこだわることになり、
僅かな収益(勝)でも決済をして、
とにかく損失(負)にならないトレードに徹してしまい、

せっかく伸びる相場を、
みすみすやり過ごしてしまうことにもなりかねません。


丁半賭博は、サイコロなりが静止した時点の結果のみで
リターンはゼロか100となり、
その上、まけた場合の掛金は没収になりますが、

一方の相場取引、つまりトレードは、
売買した値段から瞬間でも上がったか下がったか
を当てるものではなく、

そこから幾ら、上がったか下がったかの値幅で
損または益の大小が決まります。

ですからトレードの場合は、
相場の上値や下値の目途を予め持っておくことが
とても大切なことになり、
それによって、

同じ1勝や1敗でも、目途の違いによって損も益も
1円で終わったり、10円にもなる点をみても、
丁半博打とは違うのです。

もちろん、目途とは関係なく掛け金の量を増やせば
1勝のリターンを単純に増やすことは可能で
それは丁半博打でもトレードでも同じことが言えますが、

負けた場合の金額も増える結果になるため、
ただそれだけでは割りが良い話にはなりません。

ですから、ロス(リスク)とプロフィット(リワード)のバランスを
程よく保つためには、

トレードの取引額(賭博に置き換えると掛け金?)が一定でも
負けるときは1円にして、勝つ時は3円、5円にするということが必要で、
しかも目途に基づいて自分の判断で調整が可能なのがトレードであり、

こうした仕組みから見ても、
ギャンブルとは明らかに違うという裏付けにもなっています。


ただし、但しです、

いくら目途を持ったとしても、
自分がトレードしたタイミングの直後から、
必ずその目途に向かって相場が一直線に進んで届くかどうかは、
もちろん事前には判らず、
またその目途自体がどれだけ正しいのか否か、

難しいのは正にこの部分だと思っています。


それを物語るように、
相場を予想すること自体が悪…という風潮さえあるのも事実ですが、

にも拘らず、
目途を持つことの重要性を言い放った私の真意は、

目途の到達の仕方を今、予想することは難しく、
それを予想する意味は確かにありませんが、

これらの目途と、実際の相場の値動きがどうだったか
これらの目途と、現在の相場の位置はどうか

などをなるべく冷静に、なるべく細かく見極めることで
今後次の目途を目指せるのかどうかを判断することが

上がるか下がるかを含めて、その先の、
どこまで行けるかどうかの自分なりの確信になる、と思うからです。

 

ブログの大見出しにも「五里霧中の相場取引」と書いたように、
今回は正に雲をつかむような話をしてしまいましたが、

ここまで書いた多くの霧の原因を、
今後、一つ一つ晴らしていくことで
一筋の光…つまり読者の皆さんなりの確信につながれば幸いです。


備忘録的まとめ(何が霧となっているか)

・目途をどのように持つか
・目途と実際の値動きをどうみるか
・目途と現在位置をどうみるか
・売買の判断はどうするか

今後、不定期でも少しずつこうしたテーマを紐解いていく予定ですので、
また、覗きにきてください。


日銀総裁人事で円安…の違和感

2023-02-07 00:12:44 | ☆外国為替を読む

先週2023年2月3日金曜日の米・雇用統計は正直なところ
ビックサプライズもいいところでした。

20万人の増加が経済拡大の分岐点だと言われる中、
50万人超の増加というのは相当な事でした。

ですから、本日の本邦報道にも随分注目していたのですが、
朝からどのTVチャンネルも、今日のタイトルにあったように、
円安要因を日銀総裁人事に絡めて報道していました。


確かに、ユーロやポンドなどのメジャー通貨の対ドル相場は、
先週末の終値からさほど乖離はしていない中、

円だけが1円以上も窓を空けて今週の始値を迎えましたから、
確かに何かが作用していたというのは真実でしょう。


こんな時だからこそ冷静に考えたいのですが、

他のメジャー通貨であるユーロとポンドは、
アメリカの利上げに追随する形で既に利上げスパイラルにあり、
先週木曜日までは底堅かった理由として一理あった一方、

日米金利差が拡大の一途を辿る中で
その他メジャーがドル売りだったからといって、

対円でもドルを売ってきた投機筋は、
相当やせ我慢をしてきたはずというのは想像できます。

そうした連中が132円台でストップロスを置いていたとするなら、
100PIPS程度、上に窓を空けたとしても、
ここ数カ月のボラティリティを考えれば何ら不思議ではありません。

確かに、このギャップ要因の一部は総裁人事の件で増長された…
のかもしれませんがせめて蛇足としてでも、
アメリカ雇用統計のインパクトを丁寧に説明したほうが、
日本の投資家をミスリードしなくて済む、と言うのが素直な印象でした。

有名な経済系番組までもが異口同音だったのはとても残念でしたし、
もしかすると現日銀副総裁が引き継ぐことで
金融緩和継続思惑を強調した方が株高の説明が付きやすかったから、
というのであれば、ある程度は納得がいきますが・・・・・


お仕舞に、ドル円相場に限って言えば、
昨年終盤に戻り最高値の151.94前後を付けて以降、
しっかりと調整の戻しを一切入れることなく
127.22前後の安値まで一方的に下げました。

しかし、ここにきて3週連続で陽線推移できましたから
明白なドル売り材料が出てくるまでは、安値以降の戻り高値を探る展開
を一つのシナリオとして持ちながら相場に対峙してみたいと思っています。

果たして結果は??

 


浅野敏郎


2023年のグローバルリスク

2023-02-03 19:13:01 | ☆外国為替を読む

2023年も2月になりました。

ご挨拶から相当な時間がたってしまい、申し訳ございません。

 

さて、少し前になりますが、複数のメディアでもニュースとして

報じられていましたが、2023年の世界的な10大リスクが発表されています。

 

このレポートは、アメリカのユーラシアグループなる会社が毎年1月3日に

作成&公開しているもので、

代表のイアン・ブレマー氏は、先のダボス会議にも出演者として出席する

政治学者で、NewsWeekの表紙を飾るなどの著名人の様です。

 

彼らが毎年発行する「世界の10大リスク」レポートは、毎年よく当たる…

というか、クローズアップされるテーマを事前に上手くまとめあげています。

 

「と言っても、英文のレポートは難しいから…」と思われた あなた!

 

実は私も、例年なら10大リスクのタイトル程度しか認識していなかったのですが、

今回少し掘り下げてみると、

何と日本語版の、恐らくフルレポートが、JETROさんの公式サイトにリンクされていて、

じつに詳しく読み込むことができることが判りました。

 

JETROとは、日本貿易振興機構という独立行政法人で、皆さんも

一度や二度は見聞きしたことがあると思います。

 

Webサイトのビジネス短信という機能?コンテンツ?がありますが、

1月5日付の記事で、この世界10大リスクのレポートが報じられています。

少し前の記事で後方に埋もれてしまいましたので、ここに引き上げておきます。

米調査会社、2023年の「世界10大リスク」の1位、2位にロシアと中国(中国、日本、米国、ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ

米調査会社、2023年の「世界10大リスク」の1位、2位にロシアと中国(中国、日本、米国、ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ

 

 

本文の記事の冒頭に、添付資料 という形でPDFがリンクされていますので、

是非一度、お読みになることをおススメします。

 

念のため10大リスクのタイトルだけでも列記しておきますと、

 1ならず者国家ロシア
 2「絶対権力者」習近平
 3「大混乱生成兵器」
 4インフレショック
 5追いつめられるイラン
 6エネルギー危機
 7世界的発展の急停止
 8分断国家アメリカ
 9TikTokなZ世代
10逼迫する水問題

となっています。

 

3の「大混乱生成兵器」リスクについてはピンと来ませんね。

内容は主にAIがもたらすリスクのことを指しており、

このタイトルそのものがAIによって作り出された語句なのだそうです。

 

あれ?台湾問題は10大リスクではないの?

 

と思われた方も多いかと思いますが、10大リスクに続けて

「リスクもどき」というコーナーが設けられており、その中で

・ウクライナ支援に亀裂
・機能不全化するEU
・台湾危機
・米中の産業技術報復合戦

これらの4つが取り上げられていました。

 

私たちが為替(FX)を取引する上で、こうしたリスクがいつ顕在化し

(もっとも、既に大事になっているリスクもありますが…)

どんな因子(ファクター)がマーケットに影響を及ぼす可能性があるか、

把握しておくだけでも随分と役に立つと思います。

この10大リスクレポートは極めて読みやすくまとまっていますので是非、

一度は目を通しておくと良いかと思います。

 

そしてこのレポートは次のように締めくくられています。

投資に対して持っておくべき姿勢とも読める気がします。

(以下、抜粋)

 

「リポート作成に当たり、世界がどこへ向かうのか、などと
難しく考えないようにした。

重要なのは、どう予測するかではない。
現在の世界がどうなっているのか、本当にそうなのか
正しく理解すれば、

将来がどうなるかを、どんな占い師の水晶玉よりも
明確にとらえることができる。

その過程で、世界だけでなく自分自身についても学ぶことができる。
私たちはどのような偏見をもっているか? 
知っていると思い込んでいるだけで、実は知らないことは何か? 
そして、何が自分たちを間違った方向に向かわせるか?」


ご挨拶3

2022-02-06 14:03:49 | ☆サイト理念と免責事項

皆様こんにちは、

ご無沙汰しております。
現在は2022年2月6日、浅野敏郎です。

直近の記事が2014年末ですから、
あれから丸7年間が経過したようです。
Back to the future のような感覚にもなりますが、
この数年間は激動の時間でした。


よもやま話は別の機会に委ねるとして、
この間、一応は相場関係の仕事を継続しており、
それなりに知識と経験を積んでまいりました。

以前のように定期的に…という訳には参りませんが、
ブログタイトルに添えている理念通り、
少しでもお役に立てる内容が思いつきましたら、
ぼちぼち綴ってみようと思います。

ということで、
何となく再開宣言をしたいと思いますので、
改めまして、どうぞよろしくお願い致します。


原油安がインフレを阻害して景気が悪化する?黒田節の予防線に過ぎない

2014-12-09 19:46:55 | ☆外国為替から離れる(雑感)

こんにちは、
解散総選挙を控えて、皆さんの行動は決まりましたでしょうか?

具体的な政党批判はNGの時期に差し掛かり、いささか腰が引ける内容ですが、タイトルは少し大げさとしても、最近は原油安が物価を押し下げるとして、『インフレ目標の達成には原油高が必要』という、理解に苦しむ理論がまかり通っています。少し前にも座談会のようなテレビ番組でもこの話が議論されていた記憶があります。

インフレは好景気の一要素ではありますが、その逆のインフレを起こせば好景気になるか…と言えば、NOと言わざるを得ません。私は経済研究所員のような専門家ではありませんが、恐らく義務教育課程を終わった方々であれば充分知っていることだと思います。にもかかわらず、コストインフレだろうと何だろうと、インフレ目標の2%を達成するためなら出来ることは何でもやると、数字にこだわる日銀ですが、コストインフレで2%を達成しても何の意味もありませんし、さすがに原油価格を操作することは、いくら日銀でも「できない事」ではありますね。

また、政府は政府で、景気判断を株価に求めていますが、日経平均を見た場合、皆様もご存じなように最安値からは既に2倍以上に上昇しており、ケースによっては景気回復の根拠にされています。そこで、もし株価上昇が本当に景気回復を意味するのであれば、今は正に好景気まっただ中ということになりませんか?つまり、インフレになっていなくても株価が上昇するような好景気が現実のことになっていると言えてしまいます。しかし、現実は決して好景気ではなく、所得は下がる一方…となると、インフレ=好景気という嘘に加えて、株価上昇=好景気という政府の判断基準にも矛盾があることになります。

例えば、ドル円の為替レートが、円の史上最高値(終値ベース)を付けた2011年10月は76.25円でした。
同じ月のWTI終値が92.55ドル、日経平均の終値が8434円でした。原油の対円相場は1バレル=92.55×76.25=7057円となり、実に日経平均株価1に対する原油価格の比率は83.7%という数字が出てきます。この数字自体に何の意味もありませんが、景気が最悪だった時の目安とします。原油高と原発停止で移動手段に自転車がはやり始めたタイミングでもありますね。

では、原油のWTIが100ドルを割り込んだ本年7月30日を見ると、ドル円の終値は102.80円、日経平均の終値は15646円でしたので、原油を100ドル計算した場合の対円相場は10,280円になり、株価比較では65.7%
そして、終値ベースでドル最高値を付けた先週の金曜日、ドル円相場は121.57円、WTIは65.6ドル、日経平均は17920円でしたので、原油の対円相場は7,975円となり、株価比較では何と44.5%という数字になります。

極端な例として、日経平均株価が38915円の最高値を付けた1989年12月はバブルのピークと言うべきですが、ドル円相場は143.90円、WTI終値が19.68ドルであり、株価比較は7.2%という驚愕な数字になります。もっと言えば1ドル200円からの第一次超円高期の出来事であり、原油価格は少なくとも安い方が良いに越したことはないことが見えてくる気がします。

産業構造も、技術も大きく変わり、バブル期と現在は比較にはなりませんが、株価上昇=景気上昇が今の真実かどうかは別としても、政府見解を正しいと仮定した場合、まさに株価と原油価格は逆相関の関係にあり、原油価格が安ければ安いほど、日本の株価は上昇して、景気も上昇するという理論も十分成り立ちます。原油安によって、コストが低下しても価格が変わらないという事は、事業者の収益は拡大しているはずであり、円安による高収益企業に給与引き上げを要請するのも重要ですが、原油価格がダイレクトに影響する業態に対しても、値下げではなく給与を引き上げる要請をした方が、賃金上昇には広く且つ手っ取り早いような気もします。勿論、電力会社などはもっとコストが減るように料金の値下げをするべきで、一般企業の収益増加と家計には協力すべきです。

個人的には、原油安は新幹線計画にとっても原発推進にとっても逆風ですし、原油安を悪者論にしようとしている主眼は別にあると疑っています。ただ、エコは大賛成であり、原油浪費論者ではないことだけは申し上げておきたいと思います。税に関しては、ここでは止めておきたいというか…本当に難しい問題ですね。


日銀追加緩和以前のデータは参照外…崩壊相場の前データとして記憶に留める-IMM分析

2014-11-03 23:27:29 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週は久しぶりにIMM取組残高分析をお届けします。

もう既に周知の事ですが、先月末10月31日の日銀金融政策決定会合で追加緩和が決定し、市場のサプライズを誘ってドル円は急騰しています。その2日前にはFOMCを控えていたなど、本日番組で使用する10月28日締切のIMMデータは大きな相場変動前のものになります。
今の相場を見ればもう答えは出ている状況の中、将来的な展望を探る意義は既に半減していますが、2週前のデータは急落明けのデータだという事も含めて、大きな変革以前のデータを把握しておくことは今後意義を持つ可能性も有り、一応は確認しておきたいと思います。

ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

前回のデータは、ドル円が105円台へと一時急落した動きを含んでおり、ドルの買い越しが急減していますが、締切までの短期間でかなり反発したこともあり、折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移にはあまり影響が出ていません。
そして今回のデータ締切までの一週間で、相場は底堅く推移した一方、ドルの買い越しは僅かに減少し、7月下旬の水準に迫る67,399コントラクトとなっています。
単純な相場比較だと、当時は102円台中盤と5円以上も低い水準であることや、僅かでも買い越しが減少する中で、相場は逆に上昇するなどダイバージェンスも見られています。

この動きだけを見ると、IMM筋は安値からの反発地合いで、手仕舞いを進め気味だったことが判りますが、一方で逆行する相場に違和感を感じていたはずであり、日銀のサプライズが無くてもドル買いに転じていた可能性はあったと推測します。次回のデータで買い越しが10万コントラクトに乗せるような動きになっていなければ、IMM筋は今回の日銀サプライズに乗り切れていない可能性も有り、下値に不安を残す結果になるかもしれません。

各通貨別ネット残高推移
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

ここから明らかなのは、円を除けば各通貨の売り越しが継続する展開だったことは明白です。言い換えると、少なくとも28日までは円が独歩高だった構図が伺えます。

前回データと比較した各通貨のネット残高変化
続いて、こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。

このグラフから各通貨の売り基調は、極端ではないものの継続し、円だけが買われていた状況が良く判ります。

先ず円ですが、ブレークダウンを見ますと、前回のデータで円買いへシフトした後、今回は円売り円買い共に手仕舞いが見られています。FOMCを控えてリスクを減らす行動が優先されていた様子がうかがえます。この間、相場は最安値から一時3円近い反発をしていますが、少なくともIMMの買戻しではなかったことが明らかとなりました。

次にユーロですが、ブレークダウンを見る限り順調にユーロ売りだけが増加するという極めて安定した売り基調が確認できます。しかし、実際の相場は一時1.28台後半まで急反発する局面を挟んでおり、もしかするとそうした局面では買戻されていたのかもしれません。しかし、結果を見る限り、直ぐに売り直しているか、或いはこうした反発局面では落ち着いて売り増しが出ていることになり、IMMのユーロ売りはかなり腰が入っていることが伺えます。

続いてポンドは、15日の乱高下を含む前回のデータでは一段と手仕舞いが進み、ポンドからの撤退が顕著に表れていました。その後、今回のデータまで相場は方向感なく上下する中、やや市場は拡大し方向性が出る兆しが見られています。微妙ではありますが、3週前のデータと比べるとポンド売りにシフトしており、締切以降のFOMCを起点にドル買いへ進んだ相場を暗示していたことになります。

最後に豪ドルです。
前回の番組で受動的にしろ、ブルベアではベアが急拡大したことをお伝えしました。その後、2週間が経過した訳ですが、前回は殆ど動意が無く、今回はブルとベア共に増えて市場規模は拡大したものの、結局ブルベアには大きな変化は見られず、ブルが1ポイント回復するに留まっています。その間の相場は相変わらず揉み合う中、どちらかといえば底堅く推移しており、ブルベアとは相容れない動きをしていました。締め切り後の相場はここまで反落気味に推移しており、ブルベア通りの展開となっています。


総括と考察
それでは総括です、といっても、
今回は円相場が決壊し、次回のデータはドル買いと各通貨の売りで一色に染まっていることは想定でき、今のところ各相場はドル買いで推移しています。
ただ、円以外はその動きも小幅にとどまっており、円相場に合わせて売りを積み上げている程度に留まっており、これといった方向性を示唆する通貨は確認できませんでした。

ドル買いをキーワードにした場合、強いて言えば、ポンド売りはブルベアから見てもまだ伸び代があるのは事実である一方、取り上げた通貨の中でブルベアと相場変動が伴っていないのは豪ドルという事になります。
豪ドルは対ドルで考えても売り越しにはコストがかかり、相場推移が伴わなくなると収益が圧迫される宿命にあり、揉み合い始めて既に一か月以上が経過する中、下落再開とならなければ買戻しというシナリオも想定しておきたいと思います。

円は次回のデータで、どこまで円売りが進んでいるかでイメージは異なりますが、今週末はアメリカ雇用統計を控えており、その結果次第であることは間違いなさそうです。


IMM分析番組を最大に楽しむ方法

(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/59b225ac8b7014b34ab9c5210ad0c194

(2)各通貨のネット残高
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/7cb368373c8e9008ae738dd9750d06d5

(3)前週と比較したネット残高増減推移
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/c631b370f8906b33a7c8d81569bbcecd

(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-niv/e/18a50c30c204d61aa068d50ceb619b22

 


アメリカ経済指標悪化でドル売り…リスク回避なら買いではないの??-10月15日

2014-10-15 22:21:25 | ☆外国為替を読む

こんばんは、
ひさしぶりのコラムらしいコラムです。

このところ、アメリカの利上げ観測が後退し、株安やFRBコメントから世界経済に対する懸念が芽生えだし、市況等には「リスク回避のドル買い」という文面が目立ち始めた矢先、本日の米PPIの悪化およびエンパイア指数の大幅な悪化から、ドル売り が噴出しています。

アメリカの実態がさほど変わらず、その他の地域で発生した色々なリスクであれば、リスク回避のドル買いという図式も成立する場合はあるでしょう。しかし、今回の流れは長期債利回りの急低下や株安など、アメリカ自身の問題が浮き彫りとなる状況下で、リスク回避のドル買いはさすがに無いでしょう。ここまで、早期利上げ見通しと株高で進んできたドル買いだったにも関わらず、ファンダメンタルが180度変わっても、更にドル買いを連想するのは、さすがに皆さんも多くの疑念を抱いていたと思います。確かに、一時は何があってもリスク回避の円買いドル買いというステージがもてはやされましたが、この期に及んでこれを持ち出している、あまりに単純過ぎる相場コメントには辟易とするしかありません。

どそうか皆様も良くご記憶いただき、そうしたソースは今後、あまり信用されない方がご自身のためだと改めて声に出したく、一筆取らせていただきました。
円に関しては、これまでドショートだっただけに、リスク回避の円買いは矛盾なく受け入れられると思います。

等と言いつつ、個人的には最終的にはドル買いを思考していますが、理由はアメリカがつまずくようならその他は完全にコケてしまう訳で、現在のドル売りはあくまでポジションのアンワインドというスタンスです。ま、もし、これをリスク回避のドル買いと言うのであれば、YESというしかありません。

浅野


スコットランド国民投票まであと2日…開票プロセス等について

2014-09-16 11:50:00 |    -ポンドドル

ご無沙汰しています。

大げさな出だしとなりましたが、
今月9月18日がスコットランド独立の是非を問う国民投票の日であることは、その後の報道でも既に周知の事実となってきました。我々為替に身を置く人間としては、その開票プロセスが大切なわけですが、etvMEDIAジャパンが調べたところによりますと、投票の締め切りは現地時間22:00までとなっており、日本時間では19日の朝6時に相当します。

※上の画像はBBCのWEBサイト スコットランド関連カテゴリーTOP
イギリス政府のNO vote(独立反対に投票)活動が盛んな状況を伝えるニュースが目立ちます

そこから随時開票されて行く訳ですが、事前投票等を含めて郵便投票という形式が含まれているようで、これらの開票が完了するには、かなりの時間が掛かるとの予想もあるようです。イギリス国営放送に当るBBCでも、途中で報道される経過情報については責任を負わず、最終結果のみが唯一の真実であるといった免責文のような内容を掲載しているように、是非の数字が拮抗すればするほど、相場が乱高下しやすくなることも十分に予想できます。

また、日本の選挙後にも見られるような開票ライブ番組の情報を日本で把握するには、大掛かりな体制が必要であり、現地と同じ条件で開票経過を材料にするにはかなりの無理があると考えた方が無難であり、相場について行っても直ぐに引かれるような動きも想定して置く必要がありそうです。



Data from WhatScotlandThinks.org
※上のリンクから表示されるグラフはこれまでの事前調査結果を示すもので、開票の途中経過が示される予定などの記述は見当たりません。

個人的にはNOで決まると考えていますが、あまりに僅かな差で独立が否決されても、それはそれでその後の政権の不安定要因になりますし、既に高値から1000ポイント下落したポンドドル相場が、一気に立ち直るとも思えません。恐らく、NOとなればボトムこそ概ね確定するものの、上昇に関しては突発的な動き以降は、荒い上下を繰り返しつつ、徐々に底値を切り上げるような変動を想定しています。

投票以前にも、本日は重要な経済指標発表、明日にはBOE議事録の公開などイベントリスクには事欠かない状況の中、ポンドを取り巻く環境は暫く不安定になることは必至だと思います。皆様も十分にご留意ください。


主要通貨は市場規模拡大傾向にあり変動を示唆…円とユーロは売り継続の兆し-IMM分析活字版

2014-08-27 15:26:57 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週のIMM取組残高分析をお送りします。

本日番組で使用する最新データは、8月19日のIMM市場が終了した時点のもので、対象期間はちょうど日本のお盆休暇を挟む形になりました。ドル円相場は、8日の急落で底を叩いた格好となり方向感なく揉み合いで終わっています。前週は番組をお休みしたことで、今回は8日の動きを含んだ前回のデータと見比べることになりますが、IMM市場にはどんなポジション変化があったのか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、この3週間概ね同水準でした。
8日の急落も一時的だったことから、終値に影響は出ていませんが、さすがにドルのロングは一時的に減少していました。しかし最新データまでの間に買い直されており、相場は揉み合いで終わっていますが、その間にはロングが仕込まれていたことが判ります。

<各通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

ユーロと円のみが大きく売り越される構図は、依然として続いています。
2週前では若干手仕舞う動きになりましたが、翌週には回復し、ユーロは売り越しの動きを伸ばしています。豪ドル相場は底堅い揉み合いでしたが、その間にロングは若干伸びており、定位買い越しが維持されています。
意外だったのは最新データが締め切られた19日終値時点で、1.6615だったポンドドル相場は、3週前のデータが始まる7月30日寄付き時点の1.6942から、300ポイント以上下落していたにも関わらず、少ないながらもネットは安定してロングを維持していたことです。
それでは次に、これらの通貨を中心に詳細を見てみましょう。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。

先ず円ですが、この3週間は買い越しと売り越しが交互に現れ方向感が無い状況でしたが、概ね相場の動きに準じた変動であり納得の範囲です。ブレークダウンを見ますと、8日の動きを含んだ前回データは市場規模を縮小しながら円高方向へシフトしましたが、売り越しの手仕舞いが中心だったことが判り、今回はそこから規模を拡大させています。相場は締め切り直後からドル買いが急伸しており、拡大した市場は結果的に円売り側へシフトしていることでしょう。

次にユーロですが、こちらも方向感に欠ける展開が続いたようですが、明らかに売り越しが優勢であることが判ります。ブレークダウンを見ますと間のデータでは市場規模が縮小しており、僅かな買い越しはたんなる結果論だったようです。今回のデータは再び市場規模を回復し売り越しは3週前を上回っており再び売り越しへと動き始める兆しが伺えます。実際、この時点で相場は既に8月上旬の揉み合いを下に放れていましたが、ロングはまた投げられた様子も無く、その後の下落で恐らくユーロ売りへとシフトしているでしょう。

続いて問題のポンドですが、増減を見る限りこちらも方向感は無く、見た目から3週前の売り越しが延長されたに過ぎない印象です。ブレークダウンを見ますと、真中のデータに見られる手仕舞いを挟んで、3週前の市場規模を拡大した形でした。これだけを見ると相場は揉み合いを連想せざるを得ませんが、実際は300ポイント以上も下落していることを考えると、やはり今回の下落は非常に不透明であることを裏付けています。ブルベアも買い越しが過半数を維持しています。

最後に豪ドルを簡単に見てみます。こちらは過去2週の売り越しを調整した形です。ブレークダウンは、間に調整を挟んで再び市場規模を拡大しています。買い越す動きがやや優勢ですが、ここからどちらへシフトするのか、まだ答えは出ていない状況です。ブルベアは買い越しが7割近く在り、上昇見通しが優勢ですが、その割に明確な上昇相場になっていない部分は気になっています。

<総括と考察>
さて、繰り返し違和感を訴えてきたポンド相場は、IMMもロングのまま、本日で1.65台中盤と7月15日のピーク1.7190から既に650ポイント近く下落しています。もしかするとその後、ブルベアではスクエア程度になっているかもしれませんが、最も偏っていた6月17日締切データのブルベアからブルが13%減少した程度に留まり、ポジションの単純比較でもロングが3万コントラクトの減少、ショートが1万コントラクトの増加程度で済んでおり、下落相場を正当化しにくい状況は継続しています。

英国経済の失速でBOEの利上げ見通しが後退したのが下落根拠と言われる中、議事録で2名の委員が据え置きに反対し利上げを主張していた事実が無視されました。確かに現在の地合いと議事録との時間差は否めませんが、データ上の矛盾は恐らく何れはどちらかに解消されるでしょう。

ポンド安要因として、市場ではあまりクローズアップされていませんが、先週末にも日本のTV番組で特集されていたスコットランドの独立騒動が多少は影響しているかも知れません。市場での扱いが薄いこと自体、基本的には独立は在り得ないと結論されているのでしょうが、可能性として一部の資金逃避が起きているのが一因と言う見方もできます。逃避先として今のユーロは適さないことから、一部は豪ドルなど同じコモンウエルズ通貨にシフトしているとすれば、豪ドルの不自然な底堅さの要因にも繋がり、納得がゆきます。

いずれにしても、何かのポンド不安が解消されれば一気に買い基調へ転換する可能性は高く、経済指標の改善やBOEの姿勢等に加えて、注目度は低いながらも、独立の否決がそのきっかけになる可能性は皆無ではない事を覚えておきたいと思います。その可否を決める国民投票は9月18日に行われるという事です。


IMM分析番組を最大に楽しむ方法

(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/59b225ac8b7014b34ab9c5210ad0c194

(2)各通貨のネット残高
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/7cb368373c8e9008ae738dd9750d06d5

(3)前週と比較したネット残高増減推移
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/c631b370f8906b33a7c8d81569bbcecd

(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-niv/e/18a50c30c204d61aa068d50ceb619b22

 


円の売り越しが一段縮小し、買い越しは微増で円高を示唆するも動きは逆-IMM分析活字版

2014-07-29 16:14:04 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、7月22日のIMM市場が終了した時点のものです。
締切までの過去1週間の為替市場はユーロ安が一段と進む中、ドル円相場は、101円台後半から前半への下落となり、前週の上昇を帳消しにする動きとなりましたが、安値更新とはならず、ちょうど半値付近まで反発して引ける展開でした。値動きから予想されるIMMポジションは、あまり大きな変化は期待できませんが、実際はどうだったのか早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>

先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、前週と殆ど同じ水準となり、大きな変化は期待できない状況でしたが、ドルのネットポジションは買い越しが53,916コントラクトと、前週から9000コントラクト近くも減少する結果は意外でした。これは2012年10月23日週にドルが買い越しに転じ、そのまま9万コントラクトを越えた以降の間で、本年5月20日週の53,787コントラクトに次ぐ低い買い越し額になっています。

変化だけを見ると円高を連想し、実際の相場も一時は前週安値を試す101円前半まで下落しており、少なくともデータ締切時点の地合いは、円高を見据えた対応だったことが判ります。しかし、買い越しはピークに比べると既に5分の2程度に縮小しているにも関わらず、相場は殆ど水準を変えていない状態は不自然であることには変わりありません。

<各通貨別ネット残高推移>

次に、各通貨のネット残高のグラフです。

ユーロと円のみが大きく売り越され、その他は買い越されている構図に変化はありません。
スイスが僅かな売り越しを維持しているのはユーロの先安観が継続している現れでしょう。
細かく見ると、円売り傾向が継続した今回は、その度合いがやや加速した様子や、ユーロの売り越しが大きく加速したこと、そしてポンドの買い越しを調整する動きが強まったこと等が判ります。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>

続いてこちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。買い越し高と売り越し高の詳細な変動など、このグラフと一緒に見て参ります。

先ず円ですが、
先週に続いて円を買い越す動きとなり、度合いを強める結果でした。ブレークダウンを見ると、前週に残高規模を縮小し市場から撤退するムードを見せた地合いから、円買いへと明らかにシフトしたことが判ります。ここまで一貫して懸念してきた円高へのセンチメントが証明される結果でした。ブルベアも円のロングが15%に回復しています。

次にユーロですが、
売り越しが急伸したことが判ります。ネットで2万コントラクトを越える動きは明らかに強いものですが、ブレークダウンを見ても、買い越しの取り崩しは限定的であり、売り越しの純増による結果であることが判ります。買い越しと売り越しを合せた市場規模は20万コントラクトと圧倒的に大きいユーロが一度動き始めると、逆になかなか止まりにくい側面があるはずです。ブルベアはユーロのベアが前回の67%から72%へと急成長しています。

前回調整売りの度合いを緩めたポンドは今回、
再び売りを強めたようです。ブレークダウンを見ると、ポジションを縮小したのは買い越しのみならず、売り越しも僅かに手仕舞う動きとなり、ポンドの市場規模全体が縮小した形となりました。それでも買い越しがネットで1万コントラクト以上縮小した事実は比較的強い動きではありますが、相場は1.71台中盤から1.70台中盤へ軟化した程度で留まっているのは、地合いそのものが強い可能性は否定できず、一旦縮小した市場がどちらへシフトするのか、注視したいと思います。

最後に、高金利通貨としての色彩が強い豪ドルは、
その割に方向感が出ていません。ブレークダウンを見ると、買い越し売り越し共に残高が増えており、揉み合う中でも積極的な状態にあることが判ります。これで3週連続して市場規模が拡大しており、次にシフトする方向が目先のトレンドになる可能性は高いように思われます。

<総括と考察>

さて、締め切り後のドル円相場は、意外にも円安方向へと進んでおり、積み増した円買いが手仕舞いにあっている状況は推測できる範囲です。問題なのは、円買いが進まない理由として言えることが、アメリカの株式市場が強い状態を維持している程度しかなく、特に円買いを否定するような材料は見当たらない、という事です。

現在の円安は、データに反した動きであることは、こちらのグラフでもよく判ります。
円買いが殆ど増えていない状況に加えて、円売り残高はピーク時の半分以下に縮小しており、それでも全く円高に振れない現状は、どんどん不気味さを増しています。

こうした動きを見ると、本邦機関投資家がドル円を買い支えているとの噂は真実味を帯びており、もし、市場がドル買いで同調した際の動きは大きくなる可能性も否定できなくなってきました。いずれにしても、次にどちらのポジションが増え始めるのかで目先の方向が見えてくることは明らかになりつつあり、引き続き残高の動きを注視したいと思います。


<<IMM分析番組を最大に楽しむ方法>>

(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/59b225ac8b7014b34ab9c5210ad0c194

(2)各通貨のネット残高
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/7cb368373c8e9008ae738dd9750d06d5

(3)前週と比較したネット残高増減推移
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/c631b370f8906b33a7c8d81569bbcecd

(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/18a50c30c204d61aa068d50ceb619b22