日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

ブログ「日刊イオ」引っ越しのお知らせ

2019-06-15 09:00:00 | (瑛)のブログ
イオ編集部からのブログ移転のお知らせです。

6月17日(月)から、日刊イオのアドレスが、以下に変わります。
https://www.io-web.net/ioblog/


今まではイオのホームページとブログ「日刊イオ」が別のサイトに載っていましたが、今後はブログはイオのホームページ上に掲載されます。


新アドレスでは、ブログのバックナンバーも読むことができます。

今後も日刊イオをご愛読ください。

2019年6月15日
イオ編集部

『アイたちの学校』、明日から東京・渋谷で上映スタート

2019-06-14 10:00:00 | (相)のブログ
 

 朝鮮学校の歴史と現状を描いたドキュメンタリー「アイたちの学校」(高賛侑監督)が明日6月15日からアップリンク渋谷(東京都渋谷区)で上映される。期間は6月15日~28日までの2週間となっている。
 https://shibuya.uplink.co.jp/movie/2019/54264
 『アイたちの学校』は今年1月12日から大阪・十三の第七芸術劇場で封切られて以来、日本各地の映画館で公開されているほか、市民有志らによる自主上映も行われている。3月19日には参議院議員会館でも上映された。
 https://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/19c2fae105aa554c80c09051f48db51d
 映画館ではこれまで第七芸術劇場(大阪)、京都シネマ(京都)、名古屋シネマスコーレ(愛知)、横川シネマ(広島)、シネマテークたかさき(群馬)、元町映画館(兵庫)の6ヵ所で上映された。東京の映画館で上映されるのは今回が初めて。
 6月中旬以降も、和歌山、東京、栃木、埼玉、京都などで上映が決まっている。上映日程は以下のリンク先で確認できる(変更が生じる場合もあるので主催者にも確認を)。
 http://aitati.blog.jp/archives/18084679.html
 これまで、上映された各地で好評を博してきた『アイたちの学校』。海を越えて、韓国でも釜山平和映画祭(5月23~26日)、ディアスポラ映画祭(24~28日、仁川広域市主催)で上映された。
 アップリンク渋谷のサイトでスケジュールを確認したところ、当面20日までは午前中の上映となっている。16日(日曜)の上映終了後には高監督の舞台挨拶がある。
 東京および関東地方在住で本作を未見の方は、この機会にぜひアップリンク渋谷に足を運んでいただきたい。(相)

信号待ちでの出来事―この社会はどこに向かっているのか

2019-06-13 09:53:05 | (K)のブログ
 ある日の朝、会社に向かう途中で、信号待ちをしていた。4車線の道路。T字路で信号の手前に駐車している自動車もあって、目の前を通る自動車はいなかった。だからか、無意識に歩道から1歩出て、車道に立って信号が変わるのを待っていた。
 そのとき私の横に、おばあさんとその孫と思われる5歳くらいの子どもが立っていたのだが、その子どもが私の方を見て、次のように言うのであった。

 「車道に出ているよ。危ないよ。ダメだよ」

 その言葉を聞いて、苦笑いをしてしまった私は子どもに、「そうだね。危ないね。ありがとう」と声をかけた。そのやり取りに、おばあさんも笑っていた。

 しっかりした賢い子どもだな、と思ったのだが、同時に(誰にでもあまりそういうことを言わない方がいいかもしれない)という思いも持ってしまった。

 前にこのブログで、自動車による事故と運転免許についての内容の中、あおり運転について「あおり運転のニュースを見ていると恐怖を覚えて運転しようという気持ちにならない」と書いている。
 ニュース報道の情報だけで言うのだが、あおり運転の加害者は、クラクションを鳴らされたとか、マナー違反を注意されたとか、些細なことに激高し、非常に危険な行為、嫌がらせをしている場合が多い。

 歩行中であっても、私と同じように指摘された大人が、どのような態度、行動に出るかわからない。非常に悲しいことだが、子どもの何気ない言葉が大きな事件につながる可能性もあるのではないか。今の社会では十分ありえるのではないか。こんなことを心配しなければいけない社会なっているのか、と考えてしまう。

 5月末に起こった川崎での殺傷事件、6月上旬に起こった元官僚の息子殺害事件はショッキングだった。親が自分の子どもを虐待死させる事件も続いて起こっている。この社会はどこに向かっているのか、なんとかならないものなのかと、やるせない気持ちになる。(k)


南の市民団体が朝鮮学校訪問、文科省への要請、「金曜行動」へ

2019-06-12 10:00:00 | (全)のブログ


 朝鮮学校差別の解決に取り組む南の「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」「全国教職員労働組合(全教組)」(「全北(全羅北道)キョレハナ」などのメンバーで構成された「朝鮮学校差別反対!高校無償化適用要求!金曜行動12次訪問団」(37人、以下、訪問団)が、6月6~9日にかけて来日し、都内各地の朝鮮学校を訪問。7日には参議院議員会館を訪れ、関係省庁に要請を行った後、「金曜行動」に参加しました。

 6日、成田空港に到着した訪問団は東京朝鮮第1初中級学校(荒川区)を訪問。同校児童・生徒らは、運動場で体操を、体育館で公演を披露し訪問団を歓迎しました。


 訪問団の南の市民たちは公演を観覧しながら、異国の地でのびのびと育つ朝鮮学校の子どもたちの姿にこらえきれず涙をこぼしていました。


 公演後は、訪問団のメンバーと生徒らが一つの円になり、互いに手をつなぎ、時には肩を組み、統一ソングをともに歌いました。

 
 訪問団は7日には、東京・永田町の参議院議員会館を訪れ、文科省、法務省、外務省の担当者らに要請を行い、朝鮮学校に対する差別を撤廃するよう求めました。


 安倍首相と文部科学大臣宛の要請書では、日本政府と文科省に対し、▼日本の憲法、国際人権規約、国際児童権利条約に背く朝鮮学校への差別的措置を撤回すること、▼国連社会権規約委員会などの勧告に従い、一日もはやく朝鮮学校生徒たちに差別無く「高校無償化」を適用し、教育補助金中止を促す通知を撤回すること、▼朝鮮学校の生徒たちの教育権を侵害する一切の行為を打ち切り、生徒たちを威嚇する「在特会」などの右翼団体に対して規制措置を取ること、▼過去の植民地支配に対する深い謝罪とともに在日同胞への差別政策を直ちに撤回し、朝・日関係の正常化を図ることを求めました。

 全国教職員労働組合(全教組)のチョン・キョンウォンさんは、「日本学校と外国人学校に『高校無償化』が適用されるなかで、朝鮮学校だけが除外されている現状を見ても本当に差別が無いといえるのか」と質問すると、文科省担当者は、「朝鮮学校が適用要件に満たなかったので無償化の対象外となった。決して差別ではない」と答えると、その人権意識の低さに支援者からは「話にならない」「良心があるのか」と怒りの声が飛び交いました。

 要請後、私も議員会館から虎ノ門の文科省前まで移動する訪問団のバスに同乗させてもらいました。移動時間に、市民たちは「金曜行動」で学生たちとともに歌うため、「声よ集まれ歌となれ」のメロディーと歌詞を懸命に覚えていく、その姿が印象的でした。


 雨が降りしきるなか、訪問団は文科省前で東京朝高生や朝鮮大学校学生、朝鮮学校のオモニら約130人とシュプレヒコールを叫びました。


 「金曜行動」後、訪問団は日比谷野外音楽堂で行われた集会とサウンドデモ「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」に参加。サウンドデモで訪問団は、「朝鮮学校差別反対」と書かれたカードを掲げ、日本市民らとともに日比谷から東京駅までを行進しました。



 
 京畿道で教員を務めるチェ・ムンソンさん(32)は、「朝鮮学校の子どもたちとウリマル(朝鮮語)で交流しながら、私たちは同じ民族であり、これからも共に歩んでいく存在だと改めて実感した」と子どもたちと触れ合った感想をのべながら、「教育者として韓国の子どもたちに、日本で差別とたたかいながら暮らす同じ民族の在日朝鮮人という同胞がいるということを教えていきたい」と思いを話しました。

 私は東京第1初中、文科省要請、「金曜行動」、集会とサウンドデモのみの同行となりましたが、朝鮮学校を訪問し、子どもたちと触れ合いながら未来への明るい希望を実感する訪問団のメンバーの表情や言葉に勇気をもらいました。出会いに恵まれ、充実感に満ちた取材期間でした。(全)

自炊の復活

2019-06-11 10:00:00 | (麗)のブログ
最近、自炊を復活しました。

断捨離をして部屋の大掃除と模様替えをしてたことにより、心に余裕ができ作る気になったから…というのと、
とある深夜ドラマで主人公が美味しそうな料理を楽しそうに作っているのを見て、やってみるかと思ったのがきっかけでした。

とりあえず作っているのはそのドラマに出てくる料理の一部ですが、
工程さえ覚えてしまえば、あとは意外と簡単でした。

一人暮らしをする時、母から基本的な調理器具は絶対必要だからと買いそろえていましたが、
それが今になって活用する日が来るとは…。


自炊復活からなんとなく肌の調子がよくなってきた気がします。
しかし、ドラマの主人公のように「料理の楽しさ」はまだ見出せていません。

引き続き、頑張ってみます。(麗)



劇団アランサムセ結成30+1周年公演「リプレイ」、間もなく!

2019-06-10 09:45:00 | (理)のブログ
 劇団アランサムセ結成30+1周年公演「リプレイ」が、今月20日から23日にかけて、東京のTheater新宿スターフィールドで行われる。アランサムセは、在日朝鮮人による劇団として1988年に旗揚げ。時代とともに移り変わる同胞たちの生き様を描き続けてきた。

 昨年11月に結成30周年記念公演を予定していたが諸事情により公演は中止、主宰・金正浩さんによる謝罪動画は約750再生を記録した。それから5ヵ月。30周年を記念するだけでなく“新たな一歩”という思いを込め、改めていま自分たちができる作品を上演しようと今回の公演に至ったアランサムセ。新作「リプレイ」の概要、作品に込めた思いなど、金正浩さんに話を聞いた。たっぷりと話して下さったため、今月中旬に発刊される7月号に入りきらなかった分を含めてブログでも紹介したい。

—作品「リプレイ」について

 登場するのは、結成30周年を迎えた在日同胞劇団「アリランヘボセ」。新作の脚本を書けない座長と団員たちの葛藤を描きながら、過去作品と向き合う…という構成の物語だ。アランサムセの現状をリアルに反映させている。全くのフィクションでもなく、全くのノンフィクションでもない。

—構想はどこから得たか

 脚本ができなかったことで昨年11月の公演中止を決定したあと、これからどうしたらいいかメンバーで話し合った。その時に、これまでを振り返るだけでも内容になるのでは、という案が出た。しかし、ただ30年の歴史を紹介するだけでは作品にならない。いまの状況を「器」にし、過去作品を内容に盛り込んだ物語に出来ないかと考えた。
 そのためには仕掛けが必要だ。いろいろな仕掛けの案を出し合った。劇団の倉庫の掃除で過去の小道具や衣装を出して思い出すとか、座長を被告にした裁判で、証人や物的証拠を出しながら過去作品を検証するとか。過去作品の回想だけにとどまらず、現在と今後にどのように繋げるかが必要だと。

—どのような思いを込めたいか

 「歴史を大事にするのも結構やけどな、新しいものを作れんかったら意味がないねん」、これは劇団解散を決意する座長のセリフだ。個人的には、朝鮮大学校の教員として、作中の劇団が瀕している状況と現実のウリハッキョや同胞社会の状況を重ね合わせている。厳しい状況の中でどう踏ん張るか。苦労している同胞たちにエールを送る、そういうものになれば。
 アランサムセは結成当初から、民族心や自身の立ち位置の問題について同胞たちに警鐘を鳴らしてきた。私たちを取り巻く情勢や環境、価値観は変化したが、根本的な課題は変わっていない。改めてこれまでの脚本を振り返ると、作家は変われど一貫して同じ問題提起をしているのが分かる。そして今日の問題をどう見るのか、道しるべとなるメッセージも過去の作品から探すことができる。1989年の作品「トドリの冒険」(脚本=金智石)に、こんなセリフがある。

―全ての人が西に月を追いかける時、一人で東に向かう。彼には何もない。道は険しく暗い。
しかし彼には熱い情と固い意志と信念がある。陽はいつでも東に昇るのだ―

 民族教育を取り巻く状況もいまだ厳しい。依然として差別もある。ヘイトスピーチなどへのカウンターとして、自分のルーツに関わることをやっているんだと伝えたい。上の座長のセリフに関して言うなら、新しいものを作るために歴史が否定されるべきではない。大事なのは、歴史を起点にどうやって新しいものを作ろうと努力するかだ。新たなものを生み出すためには続けなければいけない。再び、繰り返しやっていくしかないのでは、そういう思いも「リプレイ」というタイトルには込められている。

—どうして30年も劇団を続けてきたか

 これまでは「表現したいことがたくさんあるから」と考えていた。日本社会に、同胞たちに、言いたいことだらけだし、どんどん増えている。その手段として演劇をしていると言い続けてきた。しかしこの数年間で考えが変わった。
 自分が大好きで憧れの演出家に蜷川幸雄さんという方がいる。海外公演も数多く上げ、「世界のニナガワ」と呼ばれる人だ。この人が演出した舞台を見て、生まれて初めて“金縛り”にあった。蜷川さんは、自身が演出して最高傑作といわれている作品を、自分の手で壊してまた一から作り直すことを繰り返した。昔の作品をいまその時の問題意識、その時の自分の姿勢でまた作り上げる。なかなかできないことだ。
 その蜷川さんも、「なぜ演出を続けるのか」というような質問を受けたことがある。それに対しての答えは「評価されてないから」。世界的にもじゅうぶん高く評価されているが、これまでやってきたことに安住しない、飽くなき情熱とチャレンジ精神があったのだろう。
 おこがましいが、いま自分も同じ気持ちだ。私個人の評価という意味ではない。30年やってきても観客数が増えていないこと、同胞社会で演劇文化がまだまだ成熟していないこと…。日本の映画や舞台の俳優を志す同胞青年は少なくないが、私たちの問題を私たちでやろうという人がどれだけいるだろうか。そういう意味で、30年間やってきたからといって何の達成感もない。
 劇団結成25周年公演の際、愛知から駆けつけた旗揚げメンバーが「見に来てよかった、守ってくれてありがとうございます」と言ってくれた。観てくれた人の人生にできるだけなんらかのプラスがある、そのような作品を上演することが目的だ。また次、また次と、もっと同胞たちが観てくれるよう活動を続けていきたい。

***
 現代を生きる同胞たちへ向けた、劇団アランサムセの新作「リプレイ」。30年間に積み重ねられた言葉を借りて、いま私たちに送られるメッセージとは。
公演の詳細は以下、チケットは問合せにて。(理)

●劇団アランサムセ結成30+1周年公演「リプレイ」
日時:6月20日(木)~23日(日)
20・ 21日 19:30~/22日 14:00~、19:30~/23日 14:00~
※開場は開演の30分前
場所:Theater新宿スターフィールド(東京メトロ・新宿御苑前駅から徒歩約5分)
チケット:一般3000円(当日3300円)、大学生2500円、中高生1000円/全席自由
問合せ:劇団アランサムセ(090-4415-0339、aransamse@gmail.com)

劇団アランサムセの公式HP、Facebook、ツイッターも随時更新!
https://aransamse.web.fc2.com/
https://www.facebook.com/arangsamse/
https://twitter.com/arangsamse

ヘイトスピーチ根絶のために、国会議員ができること

2019-06-08 10:00:00 | (理)のブログ
 国会議員による「ヘイトスピーチ解消法施行3年記者会見」が5月31日、永田町の参議院議員会館で開かれた。1週間ほど経ってしまったが、気づきや学びが多かったので内容を紹介したい。

 会見では、解消法成立のため当時から関わっていた議員がこの間の取り組みを振り返り、それぞれに課題を語った。



 自由民主党の西田昌司議員(国会対策委員長代行)は、「とにかくヘイトスピーチというのは恥ずべき行為であり、やめるべきなんだということを国会が認めたのは非常に大きな意味があった」とのべた。一方で、「残念なのが次は選挙を通じて、演説でなら自由だろうとわざわざ選挙に出てヘイトスピーチをする人が一部にいる。それを取り締まることはなかなかできない」とし、「そういう人たちは社会的に認められない。国民がそのことをしっかり認識しないといけない」と強調した。

 「ヘイトスピーチは人々の心を不快にさせるし、言えば言うほど自分の心が乱れて負の感情が増長し、不幸な道に行ってしまう。ヘイトスピーチをやっている人々にはそれを理解してほしい」とも発言した。



 公明党の矢倉克夫議員(政策審議会副会長)は、「5~6年前に川崎でヘイトスピーチの問題が上がり、法務委員会で視察に行ったときに、市役所の職員から『法律がないから私たちは何もできません』と言われたことが印象に残っていた。なんらかの形で必ず法律を作って行政を動かすことが必要だと学んだ」と当時の思いをのべた。また、「『助けて下さい!』という町に暮らす方の声が深く胸に刺さって、そういった一人の思いが広がって全会一致という形になったのかなと改めて感じている」と話した。

 矢倉議員は他にも、「選挙運動の名を借りたヘイトスピーチの問題については、“公明党ヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチーム”が3月26日に菅官房長官に提言をした。解消法の理念を活かしていくためには、許されないものは許されないと社会の人たちに伝えていく必要があるのではないか、という提言だ。その結果、28日には警察庁が都道府県に対して、選挙運動でも不当な差別的言動は許されないという趣旨の通知をした」と最近の働きかけについて報告した。
 「解消法は一つの、スタートの宣言。長い闘いだということを理解したうえで、それでも諦めずにやるということを宣言した」という言葉から、ヘイトスピーチ根絶のために不断に行動していこうとの決意が伺えた。



 日本共産党の仁比聡平議員は、「解消法の成立は大きな一歩ではあるが、終着点ではない。3年間を振り返って、差別や分断のない社会を実現していく上での国会の責任、政治家の責任というものを痛感している。ヘイトスピーチの根絶のため、6年前から有田さんとともに参議院法務委員会での質問を繰り返してきた。最初の時期の質問というのは法務省の啓発ポスターについて。外国人の人権を守りましょう、というようなほんわかした、テーマのはっきりしないポスターが全国で1000枚もないという条件下で、広がっているヘイトスピーチに焦点を当てた、「許さない」という啓発をしなければならないのではないか、と問うた。そういった中で、現在の『ヘイトスピーチ、許さない』という黄色のポスターに実っていった」と積み重ねてきた取り組みを話した。



 また、「私がとりわけ印象的だったのは、ヘイトスピーチを叫ぶ人たちが警察に守られながら向かって来た時のショック。そして被害者の『あの時、私の心は殺されたと同じです』という言葉。ヘイトスピーチが人間の尊厳をどのように踏みにじり、否定し、人格そのものを壊していくのか。その傷がどれほど重いのかということを私たちがちゃんと認識したことが、今の解消法成立に実っていったと思う」と、自身の気づきと行動の動機についてのべた。
 その上で、「この3年間、積み重ねられてきたさまざまな行政の取り組み、地方自治体議会での条例制定の取り組み、また条例制定後の運用実績などをしっかり受け止めて、国会での議論を再び行う時期なのではないかと思っている」と主張した。



 立憲民主党の有田芳生議員は、「昨日も新宿で凝りもせずにヘイトスピーチをする人物がマイクを握っていたが、それに反対する人たちが当然のように来ていた。6年前に新大久保でとんでもないデモが行われた時に比べると大きな変化だ。ヘイトスピーチのデモや集会に、こんな人たちが来てるのかというような新しい人たちが老いも若きもカウンターとして集まってきているというのが、解消法制定以降の現実的な大きな効果だろうと思う」と実感を話した。

 有田議員は続けて、「市民一人ひとりの人間的な怒りが、ここにいらっしゃる国会議員の皆さんの怒りと結びついてできたのが解消法だと思う。先ほど桜本の話が出たが、法務委員会で視察に行ったときも法務省の人権擁護局長も参加しており、在日コリアンの方のお話を聞いて涙を流す場面があった。そういう悲しみと苦しみと怒りというものが法務省の中でも広がっていった。その当時の人権擁護局長は土日の休みにヘイトスピーチの現場に自ら行き、実感としてヘイトスピーチを許さないという思いに駆られたという。そういった思いが法務省をも動かし、選挙におけるヘイトスピーチに対する通達を出して下さるような、今につながっているんだろう。しかし、いまだ止まないネット上の人権侵害やヘイトスピーチに対し、いまの法律では限界がある。これはやはりこれからの課題として、超党派で新しい取り組み、法律化を進めていかなければいけない。皆さんのお力に支えられながら、現場を基本にして国会と結びつく動きというものをこれからも作っていきたい」とさらなる対応策の必要性に言及した。


続いて質疑応答があった。

Q:公人、国会議員、著名人によるヘイトスピーチが大変多くなっているが、そのことに対して一般の方々は「こういう人たちが言っているからいいではないか」というような事例が増えている。これをなくすために求められる議員の役割は?

-仁比聡平議員
 公的存在によるヘイトスピーチの問題は実際に大きい。そんなことは許さないんだという大衆運動を、私たち政治家が先頭に立って大きく広げていかなければいけないし、そのことによって攻撃の対象となっている人たちの前に私たちが立ちはだかって守ることが大事だ。ところが現実には現職の国会議員だったり、その候補者だったりが、戦後の憲法のもとでの基本的人権の保障や平和と民主主義という大前提を根本から否定し、覆す言論を起こしている。この政治の責任ということを根本から打開しなければならない。先ほど言った地方自治体での条例の取り組み、運用と全部ひっくるめて、国会―例えば法務委員会の舞台で、関係の皆さんをお呼びして参考人質疑を行い、今の現状がどうなっているのかということをちゃんと認識・共有するということを次の国会からでも始めるべきだと思う。

-矢倉克夫議員
 先ほど官房長官への提言について話したが、国会議員だからこそできることを当然やるべきだ。解消法ができたことで、ヘイトスピーチの存在とそれをなくすことを国の目標にした、という理解はされたと思う。次は他者への理解や寛容という想像力が大事で、それを育むために必要なのは教育だと思う。色んな部分に関わる根本の話なので、教育制度も含めて、どのように詰めていくかという議論を総合的に進めていかなければいけない。

-有田芳生議員
 立憲民主党の参議院比例区の公認候補で、ネット上でヘイトスピーチを行ったとして公認を取り消された人がいた。与野党問わず、もっと国会議員―あるいは候補者が敏感にならなければいけない。私は立憲民主党の議員として、党内でヘイトスピーチについての講座をやるべきだという提案をしている。ここにいる我々はヘイトスピーチは許さないという考えがはっきりしていても、そうでない人たちがいる党もある。なのでそのような努力もしていきたい。

***
 記者会見に参加しながら、自分たちの生活に直結するものとして、初めて政治家の力の大きさを身に迫って実感した。上で話されたような公人のヘイトスピーチといったマイナスの部分にしても、市民の言葉を国レベルに押し上げ具現化してくれるプラスの部分にしても。本当に、「自分のできること」というのは階層によって様々なのだなと知った。
 同時に、声を上げる一人がいるかどうかも大事だと思った。これは最初に声を上げたというだけに関わらず、その後に続いて立ち上がる人がいたかということだ。膨らんだ市民の声は小さくても国を動かす可能性を持つ。ただ、傷を受けた個人が声を上げるまでには想像もできない辛さがあるし、声が広がるまでは二次被害が最初の一人に集中する。だからこそ、上でも引用した「攻撃の対象となっている人たちの前に私たちが立ちはだかって守ることが大事だ」という言葉には心強さを感じた。
 この日の会見に立った国会議員たちは目の前の個人の苦しみに触れて、自分がやるべきことを決意した。政治家と市民の生活をつなげるためには間に入る機関や制度がきちんと機能すべきだし、それを支える専門家など幅広い分野の連帯が必須だ。各々の「できること」を知り、その力を結集させなければいけないと感じた。(理)

子どもを連れての移動

2019-06-07 10:00:00 | (愛)のブログ
子どもを育てているとまた、変わった目線で世の中をみるようになる。
6月号の編集後記でも書いたが、育休中に引っ越しをしたこともあり、
子どもをどこに行くにも連れて歩くことが多かった。

引っ越しをしたものの、年度途中から保育園を変えられず、
結構な距離を公共交通機関を使って、通うことになったのもきつかった。

子どもは何せ愚図る。
喉が乾いた、お腹がすいた、座りたい、云々。
電車の席がひとつ空いていても、ひとりでは座りたくない、等…。
冬でも汗だくで、すごい顔で乗っていたと思う。

そして、たまに席を譲ってくれる人がいると神様に思えるほど。
譲ってくれた人に何度もお礼を言っては、
心のなかではそのかたに良いことがありますようにと人知れず祈っていた。

海外には子育て専用車両があるというニュースも聞き、本当に羨ましくおもった。
日本も子育て世代に優しい環境づくりを進めてほしいものだ。(愛)

「つながる!かわさきのハルモニ展&出版記念座談会」

2019-06-06 10:00:00 | (瑛)のブログ




「わたしもじだいのいちぶです」出版記念イベント「つながる!かわさきのハルモニ展&出版記念座談会」が6月1~2日、JR川崎駅近くのミューザ川崎で行われ、足を運んできた。

会場には、大八木宏武さんの写真展「ハルモニ!」やハルモニたちが識字学級で描いてきた絵、作文、習字などが所せましと展示されていた。川崎南部で暮らしてきた一世たちの生活史を記録した映像も流され、繰り返されるヘイトスピーチや、戦争反対に声をあげるハルモニたちの勇敢な姿も手作りの壁新聞で紹介されていた。









展示された作文や絵の数数に、かつては、学ぶ機会すら与えられなかった多くの一世たちの悔しさを思う。

ハルモニたちの文章を読みながら浮かんだのは、三重県に暮らした亡き祖母の姿。学校にすら通えなかった祖母の家にはいつも朝鮮語の新聞が置いてあり、祖母はいつもその新聞を教材に、朝鮮語を読んだり、書く練習をしていた。



会場には、識字学級「ウリマダン」に集うハルモニたちの一生を時系列で紹介するコーナーもあった。

目を凝らすと一人ひとりに歴史があり、家族との悲しい別れがあったことがわかる。日本と朝鮮半島を行き来しながら、苦労を重ねてきたその人生と思いをもっとたくさんの人たちに知ってほしいと感じる。



7月号、本誌の特集はヘイトスピーチ。

日本の植民地支配によって故郷を奪われ、それでもなお子どもたちのために声をあげ続ける一世のハルモニたち。その一字一句にもっと頑張らねばという思いに駆られた。展示を準備してくれた方々に感謝いたします。(瑛)

朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を! 7日と8日に集会、デモ、シンポ

2019-06-05 10:00:00 | (相)のブログ
 

 今回のエントリでは、今週金曜日と土曜日に予定されている集会の案内を。
 
 昨年、朝鮮半島で南北首脳会談とシンガポールで米朝首脳会談が実現し、長期にわたって政治的・軍事的な緊張状態が続いてきた朝鮮半島に対話による平和の兆しが現れている。しかし、日本の安倍政権は、東北アジアの平和の確立につながるこの変化の積極的な推進役になっていないばかりか、阻害物になっている。朝鮮半島の非核化、日本の朝鮮に対する過去の植民地支配と侵略による加害の歴史を直視したうえでの真の友好の実現に向かって、今こそ広範な市民の連帯が求められている。
 このような趣旨の下、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」市民連帯行動実行委員会が主催して7日(金曜日)に日比谷野外音楽堂で集会とデモが、翌8日(土曜日)には青陵会館(千代田区)でシンポジウムが行われる。両日の行事には韓国からも市民団体や労組の代表らが出席、登壇するなど国の垣根を越えて市民たちが連帯し、声を上げる場となる。
 「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」市民連帯行動実行委員会は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と「2019 3・1独立運動100周年キャンペーン」が呼びかけて今年3月11日に結成された。
 7日と8日の詳細は以下の通り。

 ●6月7日(金)18:30~ 集会 19:30~ デモ
 場所:日比谷野外音楽堂(〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園1-5)
 交通:東京メトロ丸の内線「霞ヶ関駅」下車 B2出口より徒歩3分
    東京メトロ日比谷線・千代田線「日比谷駅」下車 A14出口より徒歩3分
    都営地下鉄三田線「内幸町駅」下車 A7出口より徒歩3分
 あいさつ:キム・ヨンホさん(国債補償運動記念事業会)/オム・ミギョンさん(民主労総)/東京朝鮮高級学校生徒の歌とアピール(予定)/内田雅敏さん(弁護士)/湯浅一郎さん(ピースデポ)/中村元気さん(日朝国交正常化連絡会)
 行動提起
 ※手話通訳あり

 ●6月8日(土)13:30~16:30 シンポジウム
 場所:青陵会館(〒100-0014 東京都千代田区永田町2-16-2)
 交通:東京メトロ有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」下車 6番出口より徒歩3分
    東京メトロ千代田線「国会議事堂前駅」下車 5番出口より徒歩5分
    東京メトロ銀座線・丸の内線「赤坂見附駅」下車 11番出口より徒歩7分
 パネラー:イ・スンファンさん(東アジア平和会議)/パク・チョンウンさん(参与連帯)/ハン・チュンモクさん(韓国進歩連帯)/和田春樹さん(日朝国交正常化連絡会)/湯浅一郎さん(ピースデポ)/庵逧由香さん(立命館大学)/李柄輝さん(朝鮮大学校)
 参加費:1000円
 事前申込制。申込者数が定員(300人)に達し次第、受付終了。
 予約の申し込みは5日中(本日!)で締め切り予定。
 申し込み先:FAX 03-3221-2558 E-mail kenpou@annie.ne.jp 

 詳細は総がかり行動実行委員会のウェブサイトでも
 http://sogakari.com/?p=4050

 主催:「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」市民連帯行動実行委員会
 連絡先:
 ★戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
  1000人委員会(03-3526-2920)
  9条壊すな!実行委員会(03-3221-4668)
  憲法共同センター(03-5842-5611)
 ★3・1朝鮮独立運動100周年キャンペーン
  [連絡先]ピースボート(03-3363-7562)

(相)


映画「主戦場」にだまされたという者たち

2019-06-04 09:37:31 | (K)のブログ


 5月30日に共同通信社が配信した記事に注目した。タイトルは「「だまされた」と保守派が抗議 慰安婦映画「主戦場」」
 日本軍性奴隷制についての話題の映画「主戦場」に登場した日本の加害を否定する学者らが、だまされたと記者会見を開いたというものだ。長くない記事なので、全文紹介する。
 「旧日本軍の慰安婦問題を扱った公開中のドキュメンタリー映画「主戦場」の中でインタビューに答えた学者らが30日、東京都内で記者会見を開き、「大学院生の学術研究に協力したつもりが、保守をたたくプロパガンダ映画になっている。だまされた」と抗議した。今後、法的手段を検討するという。
 「主戦場」は日系米国人ミキ・デザキ監督(当時は上智大院生)が製作。保守派の論客と、元慰安婦の支援団体や研究者らにインタビューを重ね、それぞれが主張する構成になっている。
 会見したのは、慰安婦制度に問題はなかったとする立場で映画に出た「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝副会長ら3人。」

 だまされたと主張する学者たちに対して、映画を作ったミキ・デザキ監督が反論している。https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=6WdVrzp40bg

 映画「主戦場」は私も映画館に足を運んで観た。非常によくできた映画だと思った。しかし、日本の加害を否定し歴史を修正、被害者たちを「売春婦だった」などとおとしめる者たちの主張を長く聞かされて、気分が悪くなったのも事実だ。

 記者会見を開いた学者たちのこれまでの言動がどれだけ被害者のハルモニたちを苦しめてきたのか。朝鮮が解放されて70年以上がたった今もハルモニたちはなぜ苦しまなければならないのか。
 自分たちはだまされたと言うが、被害者のハルモニたちは日本にだまされたために地獄のような日々を送らなければならなかったのだ。これ以上、愚かな言動によって被害者を苦しめないでほしい。
 そういう者たちを生み出す土壌が日本社会にある。そういう者たちの言動を肯定する多くの人間、勢力が日本社会にいる。ヘイトスピーチが蔓延する日本社会がある。それが一番の問題だ。

 「主戦場」、ぜひ劇場で観てもらいたい映画だ。(k)

野球観戦に行ってきた

2019-06-03 10:00:00 | (全)のブログ


5月下旬、友人と野球観戦に行ってきた。
野球が好きな私は、大学生の頃から年に1~2回は球場に足を運んで贔屓のチームを応援している。



贔屓のチームは名古屋がホーム。
関東での試合はいつもビジター(サッカーでいうアウェーのこと)だ。

この日は、明治神宮球場に足を運んだ。私は過去2回、同球場で試合観戦をしているが、勝ったことがない。
また、贔屓のチームも同球場での試合を「鬼門」と呼ぶほど相性が悪い。
そして、私個人の現地観戦の戦績も7連敗中。連敗を阻止しようと試合前に念願のユニフォームも購入。気合を入れて応援した。

試合は夕方にプレイボール。日中の暑さはほとんど和らぎ、球場には心地良い風が吹いていた。



試合の序盤は一進一退の攻防で、ホームランも数発飛び出る最高の試合展開。友人は対戦チームを応援しているため、互いに一喜一憂しながら観戦した。

次第に贔屓チームが点数を重ね、相手を突き放す展開に応援席は終始興奮状態。
私も興奮して大声で応援歌を歌っていた。

試合は、贔屓チームが大差で勝利。
私の観戦連敗記録も「7」でストップし、最高の1日となった。(全)

これからの季節にレングッを

2019-05-31 10:00:00 | (麗)のブログ
本誌連載中である「2世とつくる朝鮮料理」。
先週はその撮影日で、いつものように(理)さんと一緒に料理を教えてくださる高さん宅へ。

今回の料理は「レングッ(冷や汁)」。
夏場によく食べられる朝鮮料理です。
実は私はあまり馴染みがなく、大阪にいた頃は食べたことがありませんでした。

シャキシャキなキュウリがドバっと! お酢がたっぷり効いたしょうゆベースでゴクゴク飲めます。
食べたのは人生で2回目くらいでしょうか…。

レングッにまつわる高さんのご家族のエピソードを楽しく聞きながら、おいしくいただきました。




今回もお昼ご飯を作ってくださいました。牛すじ煮込みをご飯の上にかけて丼に。
いつもありがとうございます…!(麗)

市民の声を届けるために-国会で反人種差別政策について考える集会

2019-05-30 10:00:00 | (理)のブログ

 5月29日、東京・永田町の参議院議員会館で、院内集会「ヘイトスピーチ解消法施行から3年 改定入管法施行後の反人種差別政策に向けて」が行われ、関係者、国会議員、メディア、市民など約150人が参加した。
 今年4月1日に改定入管法が施行され、外国人の「受け入れ」と人権にかかわる多くの問題がふたたび浮上するいま、まもなく施行3年目を迎えるヘイトスピーチ解消法をリンクさせ、新たな立法も射程に入れてさらに力を結集させていこうという趣旨だ。



 はじめに、ジャーナリストの安田浩一さんが「外国人労働者とヘイトスピーチ」をテーマに発言。安田さんは冒頭で、「まずはどうしても許せないことがある」としながら、5月28日に起こった川崎・登戸の殺傷事件に言及。
 「事件そのものはもちろん許しがたい。だが容疑者の身元が確認されるまでの間、ネットには『犯人は外国人に違いない』『川崎は在日コリアンが多いから犯人は在日だろう』というようなデマが流されたことに、ふざけるなという気持ちでいっぱい。著名人や影響のある人たちもデマに踊らされ、マイノリティが犠牲者になっている」と強く指摘した。

 安田さんはまた、総聯中央本部に銃弾が撃ち込まれたヘイトクライムのほか、国際政治学者を名乗る人物が「大阪には北朝鮮のスリーパーセルがいる」とテレビで平然と言ってのけた出来事、また政治家によるヘイト発言などを挙げながら、「これらすべてが、ヘイトスピーチ解消法が施行された以降に起こったことだ」と、法の実効性について再考する必要性を指摘した。



 弁護士の指宿昭一さんは、「改定入管法と外国人の人権」をテーマに発言。「日本には外国人人権基本法もなければ、多文化共生を推進する法律もない。入管法は外国人を管理するだけで、外国人の人権を守る法律ではない。それどころか外国人差別の温床になっているのではと思う」とさっそく問題提起をした。
 指宿さんは今年4月1日に施行された改定入管法の問題点について解説。一つ目は、外国人労働者を日本へ送るブローカーの規制がきちんとなされなかったこと。これまで、技能実習生や留学生のケースでも渡航希望者から不当に高額な費用を取る事例が多発しており、中間搾取や人権侵害の温床になっていた。そのような課題が目に見えているにも関わらず、大きな改善には至らず、実行性に疑問があるとした。
 もう一つは、労働者の使い捨ての問題だ。改定入管法では、新たに「相当程度の知識または経験を要する」、「特定技能1号」と「熟練した技能を要する」、「特定技能2号」という在留資格が設けられた。しかし、「1号」の労働者は通算5年以上の滞在が認められない使い捨ての状態で、家族帯同も認められていない。

 「そして最大の欠陥、それは技能実習制度を残したこと。技能実習生の方が、より奴隷的だからです。技能実習制度は、国際協力のために技能・技術を開発途上国へ移転する—という名目を持たされているが、実際には労働者として扱われている。技能実習生には基本的には転職する自由がなく、これまでにたくさんの人権侵害が起こってきた。農家に送られ、強姦された中国人女性もいる」
 指宿さんは、技能実習制度は必ず廃止されるべきだと主張し、また制度の改正を求めていかなければと話した。同時に法改正を待つだけでなく、市民社会のなかで外国人労働者を組織化し、団結・支援して権利を守っていく必要があるとした。



 国士舘大学教授の鈴木絵理子さんは、「解消されない実質的差別と拡大する制度的差別」とのテーマで発言。先立つ発言にもあるように、制度的不平等の拡大は差別の拡大につながると話し、総合的な対応策として言葉、制度の壁を解決するための施策が設けられなくてはいけないと主張した。



 最後に、弁護士の師岡康子さんが「切迫する人種差別禁止法の必要性」について発言。師岡さんははじめに、「今日の話でも怒りを禁じえない、外国人に対する人権侵害の話がたくさんあった。私たちはそれが新しい問題ではないということは確認しないといけない」と指摘。
 「植民地時代には法的にもっと差別して、被植民地の人々を奴隷とし、簡単に命を奪ってきた。戦後はそれに対する反省から出発しないといけないのに、それをすることなく差別し続けて、在日朝鮮人をはじめとする多くの在日外国人を無権利状態に置いたまま今日に至っている。その結果としての現在のヘイトスピーチの蔓延だと思うし、移民の方々への差別だと思う」

 師岡さんはまた、ヘイトスピーチ解消法が施行された以降の路上、警察、市民の動きなどの変化について解説。いまだ止まないヘイトスピーチ、それどころか法の隙間をぬって巧妙に広がり続けるようすを指しながら、ヘイトスピーチ解消法の矛盾と限界が露わになったと話した。その上で、より実効性のある法律、人種差別撤廃基本法の必要性を訴えた。



 集会の最後にアピール文が採択された。
 「ヘイトスピーチ解消法と改定入管法。これらは国会では別々の問題として議論されてきましたが、当事者から見れば、技能実習生として職場で不当な扱いを受けることも、家族の帯同を認められずに働かなければいけないことも、外国人として入居や入店、就職を拒否されることも、入管で暴力的な扱いを受けることも、路上のデモ隊から悪質なヘイトスピーチを浴びせかけられることも、すべて差別という点で同じです」―。
 主催側は、参加者一同の名前で▼政府は、外国人の人権擁護や異なる文化的背景の尊重などを含んだ内実ある移民政策を提示すること、▼政府は、何がヘイトスピーチかを判断するガイドラインを明示するとともに、ヘイトスピーチを含む人種差別全般を解消するための基本方針を策定すること、▼政府は、ヘイトスピーチ解消法をふまえてヘイトスピーチを解消するための教育活動を実質化すること-など5つの事項を求めた。

 集会には8人の国会議員が参加。ある議員が「今回の集会を機に、またいろいろと教えて頂いて頑張っていきたい」と発言するのを聞いて、国に声を上げるために、このような市民たちの団結した集まりと発信がとても大事なのだと実感した。(理)

朝鮮学校の運動会

2019-05-29 10:00:00 | (愛)のブログ
今月は運動会シーズン。
先週日曜日に子どもが通うウリハッキョでも運動会が行われました。

季節外れの猛暑になった日曜日でしたが、教室に冷房をつけて開放したり、
暑さ対策を万全にしたおかげで、熱中症に倒れる人もいることなく、無事運動会を終えることができました。

ウリハッキョの運動会は、親の立場で参加するのは初めてでしたが、
種目も多種多様で、同胞が参加するものも多く、とても楽しむことができました。

子どもたちも少ない期間で準備したとは思えないほどの完成度を見せてくれて、感動。
特に農楽は本当に素晴らしくて、暑いなか、チョゴリやパジチョゴリに身を包み、
サンモをクルクルと回す姿は、親バカながら、「すごい!」と素直に感動してしまいました。

運動会前日のある日の学校からの連絡帳では、サンモがうまく回せず、
サンモを投げては「もうやだ!」と泣いたという連絡も受けていたので、あまり期待していなかったのに、
子どもなりに頑張って練習して、本番を迎えたんだなと思うと、
ウリハッキョ(朝鮮学校)で、心も成長させてもらっているなと、うれしくなりました。

実際、子どもを朝鮮学校に通わせるのには、金銭的にもとても大変ですが、
日々のこうした心の成長を感じられるので、通わせがいがあるなと思った、そんな運動会でした。(愛)