防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

衣替え

2010年05月28日 | Design with Nature

お知らせ

突然ですが、このブログは以下のサイトに移動します。

http://design-with-nature-simogawa.blogspot.com/


ブックマークして頂いた方にはご面倒をおかけします。

なお、このサイトは削除はしません。新設のサイトともどもよろしくお願いします


応用地質学会発表申込み

2010年05月28日 | 技術動向
なんと今日が閉め切りでした。大慌てで応用地質学会発表の申込みと概要を作成し、先ほど送信しました。危なかった。研究対象となる現場は5月1,2日にも行ったところですが、道路脇斜面が崩壊して現在通行止めとのこと。

さて、私が参加している委員会でも、ポスターセッションで地域の地質学習マップ?的な展示をする予定です。会場となる島根県はジオパークで有名ですから、見劣りのしないものを作らなければ、、

斜面と防災・別記

2010年05月27日 | 技術動向
私のブログを読んでくださっていた方から、

ネット上に「斜面と防災・ 別記」と題したPDFが転がっています。

とのコメントを頂きました。検索してみたところ、まさに”ぶら下がって”おりました。
http://www.ctt.ne.jp/~myama/slope_landslide.pdf

PDFには栞がつけてありまして、読みやすい状態になっていました。別記とあるとおり、『斜面と防災』そのものではなくて、こちらの方は、追加項目もあり、より焦点を絞った力説型となっています。そして、より批判的な内容になっているとのことですが、強烈な文章がありました。

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『空論の法則』
 地すべりとは、読んで字の通り土地がすべる現象を指しているのであるから土地の摩擦に関する問題であるといえる。摩擦の問題といえばクーロンによって三つの実験的法則が確立されたのであるが、この報告がクーロンの思いつきや研究で実ったものではなく、300年もの歴史の上に打ちたてられたものであることは、曽田範宗さんの『摩擦の話』(岩波新書)という本に面白く書かれている。地すべり研究者は一度はこの本を読んでみることを薦めたい。
 現在地すべり研究者のなかにこの本の中に書かれている先人達に対しても恥ずかしいような実験や、それに基づいた奇妙な理論やを振り回している者があって、それが幅を利かせているようで、これを評して「空論の法則」と揶揄したのである。
 代表的な例は前からたびたび述べているように、地すべりを防止するためには地下水さえ抜けばよいというような理論である。
 現在集水井などによって排除されている地下水は、大部分がすべり面に接している地下水ではなくて、単に移動層内を流れている地下水である。このような地下水を排除すれば、移動層の重量が軽くなるだけであって、すべり面上にある自由地下水の水位を上げて移動層の見かけの重量をかるくしたことと同じ結果である。すなわち、すべり面に接していない地下水を排除することは防止する工事ではなくて地すべり促進工事である。
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摩擦の話については、このブログで紹介されておりました
http://blog.goo.ne.jp/picarin2005/e/6b2691030be3ce623cbe04e0a462730c


監理技術者の資格者証と講習は廃止 - 事業仕分け -

2010年05月26日 | 技術動向

事業仕分けは、昨日私にとって最も身近な部分が行われました。一部抜粋します。
ちなみに私は”5年に1回講習がある地すべり防止工事士”を持っていますが、もしかしたら砂防関係のOBで構成される「斜面判定士」とまとめられるなど、なんらかの”仕分け”があるかもしれません。たしかに5年に1度の耳学問ではスキルアップにつながるとは思えませんしね。

私は月に1度、同業者で開催されている(CPD認証あり)の地質技術勉強会に参加しています。そこでは毎回3人の発表者が、PPTを使って45分もの自己研究や課題とを発表し、そのご懇親会、二次会と議論を組みかわします。そういった能動的な勉強会を47都道府県で三ヶ月に1回くらいやった方が良いとおもうのですが。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20100523/541335/?P=1

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仕分け人側は、「一級施工管理技士のような資格を持っている方々に対する講習にしては、内容が薄い。一日仕事を休んで、わざわざ受けるような話ではないのではないか。法律や制度が変わるので必要だというなら、ほぼ毎年変わっているので5年に1回の講習では不十分だ」と主張した。



監理技術者資格者証の交付については、「権限付与の廃止」が8人、「見直しを行う」が5人(重複あり)。津川議員は、「建設現場の安全・品質・環境、品質管理の適正性確保が重要であることは論を待たない。不適格業者の排除も重要だ」としながらも、資格者証の交付に効果があるとは認められないとして「廃止」と結論付けた。さらに、「建設業には資格が様々ある。資格制度全体の見直しをしてもらいたいとの意見もある」とも言及した。
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地学教育

2010年05月25日 | 雑感
今日Googleアラート「地質」のニュースで、地質調査会社の方が書いたブログが紹介されていました。

http://petro.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-240f.html

昨日,地球科学者ユニオンの談話会で,元埼玉大の関陽太郎先生の話を拝聴した。地質調査業に明日はないとの内容だった。生徒もフィールドワークしたがらない。高校の先生は減少,大学の石油・鉱床学は皆無。地質の未来は,外国人留学生に頼るしかないのだろうか。

まあ、このようなことは私が高校生だったころかた言われていたことで、阪神・淡路大震災や京都議定書が話題になっても地学教育のマイナーさにはノータッチでした。

地学のプロと言える職業や産業がないんですね。我々技術者は公共事業、あるいは建設事業の付録みたいなイメージになっていますから、もっと民間需要の喚起に取り組むべき、、、、ってこともなんども言ってます。なんだか日本サッカー強化の課題を論じるとき言われることが変わっていないのと似てきました。


デジタルブック第四紀地質学

2010年05月24日 | Design with Nature
産業総合研究所のタイトルのようなサイトがあるのを知りました。地質で”業務”になる部分は、第四紀(特に後半の方は)扱われず「地盤工学」になりがちですが、現在私たちの暮らしの土台を作っているのは、土石流や洪水、地すべり、活断層など第四紀後半になって活発に変化した地形です>

デジタルブック第四紀地質学
http://staff.aist.go.jp/t-azuma/50QRCD/index.html

第四紀研究の最新の学術論文をもとにサイトが構築されているので、とても文章が長いのですが内容は高度です。

私の目にとまったのは、以下のサイトにある「沙流川の斜面模式図」です
http://staff.aist.go.jp/t-azuma/50QRCD/108060.html

間氷期・氷期・後氷期の河床変化モデル(貝塚,1983)の方は、地形・地質学の分野ではとても有名な図ですが、斜面模式図はそれほど有名ではありません。「沙流川の斜面模式図」は、学会発表されたものではなく、筑波地形学談話会(だったっけ?.)の会誌に掲載されているのみですから”知る人”も知らなくなってきています。でも、斜面地形の発達史をとても理解しやすく、私としては貝塚(1983)の山地地形版としての価値があると思っているので、この記事に画像としてUPしておきます。

言の葉

2010年05月23日 | 雑感

昨日は同業者の勉強会の二次会で、会話がはずんで楽しい時間を満喫してきました。同郷の人や、同じ大学出身者に囲まれ、焼酎も進みました。そんななか、私の前で飲んでいた方が研修で、「社会人になってから受けた言葉で印象に残っているものをふたつ書けというような作文があった」と語っていました。

そこで、自分だったらなにを書いただろうかとふと考えてみました。、、がっ、、、、改めてそういわれてみると意外とでてこないものです。地質調査は一人で行くことも多いし、公共事業に携わっていると結局「検査」や「基準」が幅を利かせることになりますので、いわゆる”言の葉”が自分の心に落ちていないのです。

ここでは、ブログやメールでのやりとりも含めてふたつ紹介してみます。

○スケッチは高度です
スケッチは高度な技術を持ったものにしかできません。
現場から読み取れる無数で多様な情報源から、経験と直観力によってノイズ(調査目的に対して無用なデータ)を削ぎ落とし、抽出したシグナルのみを、非専門の人々にも「見える化」する。その作業が現場の技術者の脳内で瞬時になされる。
それこそがスケッチです。
(2009年2月2日:今岡さんのブログから)
 

○銀座地すべり
   「銀座地すべりというのは泥臭さを忘れて、ただ格好だけ良い地すべりの研究や、対策のことである。まずその代表的なものは模型実験と、コンピューターを使ったやり方であろう。ただし、模型実験やコンピューターを駆使することを揶揄しているわけではない。模型実験を行うからには、その実体が正確に解明されていなければならないことであり、コンピューターにかけるためにはその資料が信頼されるものでなければならない。そういう基礎的なものを軽んじてただ実験や計算を精密に行ったとしても得られる結果は何の役にも立たないばかりでなく害をまくばかりであろう。」

http://www.ohta-geo.com/ginza.html


考える原点は色鉛筆

2010年05月22日 | 雑感

国土webマッピングシステムでは、1975~6年にかけて国土地理院によって撮影されたカラー空中写真を高解像度でダウンロードすることができます。

http://w3land.mlit.go.jp/cgi-bin/WebGIS2/WF_AirTop.cgi?DT=n&IT=p

この空中写真はとても便利で、私は実務で役立てています。そんななか、ある有名な活断層沿いの写真で、色鉛筆のあとが残ったままスキャンされている画像を見つけました。その跡をたどってみると、断層沿いの浅い侵食性の凹地と扇状地をくくってあるのがわかります。

それにしても、公的機関のデータ整備状況としては”消し忘れ”ともすれば”ミス”といわれるかもしれませんが、このような味わい深いイレギュラーならむしろ歓迎。考える原点はCADでもGISでもなく色鉛筆です。


観光文化 - 特集「ジオパークジャパン」

2010年05月21日 | 防災・環境のコンセプト

日本交通公社が発行している「観光文化」という雑誌の2009年7月号に、ジオパーク・ジャパンという特集号が組まれていたのを知りました。PDFをダウンロードできます。

観光文化:特集「ジオパーク・ジャパン」
http://www.jtb.or.jp/themes/content/img/publish/bunka/bunka196.pdf
あえて言えば、日本列島の大地全体に、私はジオパークを名乗る資格があると思っています。その大地の仕組みを科学的に語る組織を整備することによって、その地域のジオパークが成立するという日本列島であると思っています。

冒頭には「日本列島の誕生」で有名な平 朝彦先生のが詳細かつ迫力のある論説を繰り広げておられます。このような専門高度な知識を専門外の雑誌に掲載することも、大切なアウトリーチであると思います。

一方で、観光地域プロデューサーの前田雅裕さんの文章に、地形・地質の専門分野の偽らざる現状が述べられています。

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地質や地形などを中心とした地質遺産は、動物や植物に比べると地味な上に動きがないため、専門家から説明がないと分かりにくいところがあります。しかし、きちんとしたガイドによる説明があれば、知的な満足度は非常に高く、興味深いツアーになります。
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動きがない というのは、それに付加するものが付けにくい、つまり一般産業化しにくいということでもあるので、地学がいまひとつメジャーになりきれない一面だと思います。動物や植物に比べ、スケールが大きすぎてドーンと構えているため感情移入もしにくい面もあるでしょう。

また、知的な満足度が高いということは、知った時の快感も大きいことも意味します。でも、どうやってビジネスにするか、ちょっと発想が及びません。いい考えはないでしょうか。


輸出科学時代 - 日本列島の地体構造区分・造山運動研究史 - (日本地質学の【坂の上の雲】)

2010年05月20日 | 技術動向

長いタイトルを付けましたが、地学雑誌の今年の4月号にあった総説論文のタイトルです。「日本列島形成史と次世代パラダイム」という特集がPartⅠとⅡと組まれ、そのPartⅠに掲載されていました。地質学の最先端を行く論文集ですのでかなり高度で私には手に負えない部分もありますが、それでも興味と読み応えはあります。

http://www.geog.or.jp/journal/chigaku/jpre_119_2.htm

内容をごくごくかいつまんでみると、明治初頭ナウマンに代表される海外から地質学を輸入していた時代があり、それが成熟して次第に発展し、いまや最先進国となり(例えば、マントル・トモグラフィーによる日本列島や東アジアの地下構造の推定など、地球物理学分野からの貢献と地質学・岩石学の分野のコラボレーションにより、さらに新しい概念が生み出されようとしていることなど)、「輸出科学の時代」になったというものです。

この論文全体をでは、「日本は地体構造論・造山運動論の歴史を対象に、西欧以外の科学後進国がいかにして先進国に追いつき追い越すのかという視点から再整理を試みたもので、日本地質学の「坂の上の雲」物語と言えるかもしれない」と結んでいます。

このような背景には、おそらく何百万歩にも及ぶ踏査、ハンマーで岩を割ってルーペで鉱物を観察する、崖に這いつくばってクリノメータで走向傾斜を測るといった、ローテクと呼ばれてしまっている地道な努力の積み重ねがあります。もっと世界に誇って教科書にも載せるべきと思います。

ところで坂の下の地すべりを扱う分野はどうでしょう。誇りを持って輸出できるとしたらどんなことが考えられるでしょう。詳しい方のご意見を聞いて勉強したいところです。


宝石は、女性の最良の友 - B.W.ピプキン・D.D.トレント著「環境と地質」より -

2010年05月19日 | 雑感
よくブログでお世話になる今岡さんとのやりとりで、地質とアクセサリーの話になりました。記憶の隅に、そういえば地質の本にそれに関するコラムがあったなと思い、B.W.ピプキン・D.Dトンレト「環境と地質」シリーズの第1巻の42頁を開きました。このシリーズ通じてそうなんですが、内容を読む前に「きれいだ、、」と思ってしまいます。科学的な説明に入る前に心を動かしておくことが、どの分野でも専門にとっつきやすいのだということを思います。

さて、地質、宝石、アクセサリー、、、この辺のキーワードでどんな話題があるのだろうとネット検索していたら、私が婚約・結婚指輪を購入した「銀座ダイヤモンドシライシ」のサイトが見つかりました(当時あったかなあ)。

銀座ダイヤモンドシライシのダイヤモンドが優れている理由について
http://www.bridal-dia.com/web/64
(途中引用:ところで、ひとくちにダイヤモンドとはいってみても、ダイヤモンドの価値を見定めるポイントは様々ですし、ダイヤモンドの石も、実はたくさんの種類があるのです。採掘される場所や地層などで、全く表情の違ったダイヤモンドが採掘されることは、地質学に少しでも詳しい方であればご存知だと思います。

私が銀座ダイヤモンドシライシを選んだ理由は、別にこの文章を読んだからではなく、ふつうブライダル系のサイトは赤やピンクが多い中、ホームページの基調がさわやかな青でこだわりがありそうだから、、、です。 http://www.bridaldiamond.co.jp/

B.W.ピプキン・D.Dトンレト「環境と地質」シリーズや、イワン・L・マクハーグ「Design with Nature」、B・ルドフスキー「建築家なしの建築 - 系図なしの建築についての小さな手引書」などの本は、「専門家の敷居」を低くするための工夫、配慮が洗練されていると思います。

事業仕分け第二段後半戦

2010年05月18日 | 技術動向

いよいよ私の関連する業界の仕分けが始まります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100518-00000609-san-pol
【国交省(24)】運輸政策研究機構▽海外運輸協力協会▽河川環境管理財団▽関東建設弘済会▽東北建設協会▽中部建設協会▽北陸建設弘済会▽近畿建設協会▽中国建設弘済会▽四国建設弘済会▽九州建設弘済会▽港湾空港建設技術サービスセンター▽空港環境整備協会▽建設業技術者センター▽全国建設研修センター▽航空医学研究センター▽航空輸送技術研究センター▽浄化槽設備士センター▽全日本トラック協会▽道路保全技術センター▽日本建設情報総合センター▽雪センター▽リバーフロント整備センター▽ダム水源地環境整備センター


鹿沼軽石の載る40°の崖錐

2010年05月17日 | 災害の記憶と想像力
先日行った現場で、勾配40°以上ある崖錐(急傾斜地などから剥離した岩屑類が下部斜面に堆積して出来た地形です。一般には半円錐状を示します。そういえば宅建にも出ていた記憶があります)の上部に鹿沼軽石が載っている露頭を見つけました。

鹿沼軽石とは群馬県の赤城火山を給源火山(更新世約3万前)とする約1mの厚さの軽石層がで、見られる。全体として黄色に見え、園芸用として市内各地で採掘されていて、ホームセンターでも売っています。これが最上部に近い位置にあるとおいうことは、基本的にはその堆積面は3万年間安定していたことを物語っています。勾配が40°もあるので表面は落石・小崩壊で乱れてはいますが、なかには全面にコケの付着した2mくらいの岩塊も多く残っています。地表水はありません。

最近は30°、高さ5m以上の崖を一括してレッドゾーンとして法的な力を持つようになっていますが、このような地形発達史的背景や地表・地質踏査の成果をなんとか生かせないものでしょうか。

Field Geology Illustrated

2010年05月16日 | Design with Nature
『建築家なしの建築 - 系図なしの建築についての小さな手引書』を読んでいたら、なにか以前にたような雰囲気の本をかったっけなあ、、というおぼろげな記憶がよみがえりました。それは『Field Geology Iiiustrated』という地質の教科書でした。

http://www.amazon.co.jp/Field-Geology-Illustrated-Terry-Maley/dp/0940949059/ref=sr_1_48?ie=UTF8&s=english-books&qid=1274019829&sr=8-48

こういった写真やわかりやすい(イメージを共有しやすい)挿絵を多く使った教科書は、日本には少ないような気がします。

農芸 - 建築家なしの建築より -

2010年05月15日 | Design with Nature
昨日かってきた『建築家なしの建築 - 系図なしの建築についての小さな手引書』(これよくみたらページ数が書いてありません。だから目次ではなく、INDEX MAPなのです)の№28に、地すべり地形の模式図かと思うような写真が掲載されていました。日本では棚田、里山の原風景として親しまれています。

本文(訳文)は次のように記述されていました。
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セミラミスの吊り庭から現代のダムの建設計画にいたるまで、農芸は建築と競い合って大地の造詣を行ってきた。人類は、おそらく水や土を塞き止めるために最初の壁を築き、そのとき初めて、人間的規模における空間を創造したのである。
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